鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2020年 week12 vs SEA レビュー 深い闇

ずっと疑問に思っていたことがある。今日の試合はそれが更に深まる結果に。
Ertzは本当にRichard Rodgersよりも良い選手なのか?来年以降もRodgersでいいのでは…?

 

しあいけっか:SEA 23-17 PHI

 

勘違いしないでほしい。完全なガーベッジタイムでのRodgersのワンハンドヘイルメリーというハイライトキャッチがなければ9点だった。そしてこの試合を見ていない人にひとことで説明するなら「先週の焼き直し」

 

【QBを巡るゴタゴタ】

試合直前になって入ってきたニュース。
「ルーリーオーナーから『Wentzが苦しむようならHurts出せ』という指示がコーチ陣に下りた」というもの。個人的にはルーリーが現場に介入するのは非常によろしくないと思っている。昨シーズン終了直後にも、HC Pedersonが「OCは続投」と記者会見した24時間後にクビにしたというような事件があったが、こういうことは組織としていかがなもんか、と思わざるを得ない。
ただまあどっちの決断にしてもファンとしては納得できるものであり、大声でダメだとも言いにくい。
さて、本件、明確にしておきたいのは、「そもそも2020ドラフトで2巡なんかで使うアテもないのにQB Hurtsを指名したGM ローズマンがQBにまつわる混乱の諸悪の根源である」ということ。今シーズンに入るにあたって、Wentzにもなんらかの影響というかメッセージを与えたに違いないと個人的には思っている。こんなもん契約延長したてのフランチャイズQBへの仕打ちではない。

しかしまあ戦前の「Hurtsのスナップ数が増える」という観測もあり、出番が増えたHurtsのプレーがこの試合の楽しみであったということは白状します。

そして結果。
Wentz:64スナップ(手元集計値)
Hurts:2スナップ(いちたすいち)
まあね。そうでしょうね。なんとなくこうなる気はしてた。

Hurtsの投入は3 and OUT×3シリーズのあとのシリーズの2nd Down(2Q 1stプレー)。そのプレーでいきなりケイデンスが合わず、3人ぐらいがフォルススタート。コーチ陣はどんな教育をこの半年強彼に施していたのか。仕切り直したプレーでJefferyの記念すべき今シーズン初キャッチとなる6ydsパスを通し、期待が高まってきたところ、またしても1プレーでお役御免。続く3rdDownでWentzは台本通りサックを食らってパント。意味が分からない。

続いてのHurtsの登場は翌シリーズ。タイムアウト明けの3rd2で登場してSandersへのハンドオフ。MailataがJamal Adamsにやられてノーゲイン。パント。

以上、Hurtsの全スナップでした。

 

【今週の戦犯(Wentzを除く)】

①HC Pederson
挙げはじめると「ここの判断も間違ってた」の大合唱になりかねないので、2点だけ。選手起用とかはもうあきらめているので純粋な試合中の判断について。

1.赤旗の使いどころ(その前段でのTOも含めて)
3Q残り4:58、SEAオフェンスでDK Metcalfに19ydsパスが通ったところで赤旗投入。ファンブルに見えたのかもしれませんが、ハイライト1回であれがダウンだということは明白だったはず。確かに以前の試合で「なぜ投げないのかその赤旗を」とは申し上げましたが、この状況でそれはおかしいでしょう。そもそもその直前のPHIオフェンスシリーズでTOを取ってしまっていたので、このチャレンジ失敗で残りTOは1つに。

そもそも、前にとったTOというのが大クセ。敵陣深く攻め込んで、わざわざTO取って綿密に打ち合わせて、その結果RB Bostonが一人プレー間違えてスクリーンで20ydsゲインするつもりが7ydsロスのサックに様変わりしたというミラクルを起こしたもの。一体どんな統率力なのでしょう。

赤旗投入については、たぶんその前のシリーズでFGを決めて5点差にしていたのでモメンタムを渡したくなかったのだと推察されるが、そうまでしてモメンタム渡したくないなら「スクリーン」のサインが分からんRBを入れるなよ。そのせいでFG止まりになったんでしょうが。あれがなければ3点差になっていたかもしれないでしょうが。

追い上げが必要だった4QにTOが1つしか残っていないのは非常にしんどかった。

 

2.4thDownの判断

赤旗については腹が立っただけで試合の大勢には影響がなかったかもしれない。しかし以下については単なる敗退行為。

仮に真剣にこの試合のターニングポイントを論じるのであれば、4Q残り9分弱の敵陣15ydsでの4thDown4でなぜかPedersonがFGではなくOffenseを選択したところ。(結果はもちろんINT)
この時点での点数は9-20で11点差(3+8)。2ポゼッション差、特に1FG+1TD圏内であれば、ここでのセオリーはまず3点取って1ポゼッション差以内に入ること。確かに同じく15ydsからセットされるTFPについて、K Jake Elliottが見事に左にひっかけて外す、というイベントが2Qにあったことは事実。だけどここでそれはない。「ガッツィーコール」では全くない。単に状況が読めていないだけ。こういうのを見るにつけて、HCとOCを両立できるキャパがない人なんだなあと強く思う。HCである以上、まずは試合における正しい判断というものを見せていただきたい。

 

②K Jake Elliott
もう我慢ならん。前述したTFPの失敗。これがドラ外新人とかなら許す。全然問題にしない。けどお前さんは違うでしょう。K界隈では有数の高給取りなんでしょうが。

彼のサラリーまでを細かく見に行くほど暇ではないが、来年クビにしたらどうせデッドキャップがかなりあるんでしょう。Kにデッドキャップ振舞うほどキャップの余裕があるわけではないんですよ。しっかりやってください。

 

③RG Jason Peters
やっぱり無理でしたよねいきなりRGやるのは。そりゃLT⇒RGなんてセットの方向が変わる、ステップの方向が変わるというシンプルな違い以外にも、視野の取り方、DLとの距離感、スタンツやブリッツの飛んでくる角度、内側だけでなく外側のOLとの距離も気を付けなければならない、などなど全然世界が違うので簡単なコンバートではないはず。
それを付け焼刃的に2回の練習で試合に臨めばそりゃそうなる。金曜時点の練習場でいくら良くても、試合は全然別物。
詳しく数えてないけどたぶん全6サックのうち、2つか3つはRGのところから。その他プレッシャーになっているのも含めると数知れず。
これについてはPetersだけをけなすのはいくらか酷な気もする。シーズン前の戦力構築におけるフロントと、彼をいきなり起用したコーチ陣と、Peters本人の合わせ技。

来週からはMailata/Seumalo/Kelce/Herbig/Pryor(もしくはDriscoll)の並びでお願いします。これは真剣なお願いです。「来年」とかそういう視点じゃなくて、現状でもこの並びが一番安定すると思うんです。もちろん来年以降も見据えてますが。

 

④WR Jalen Reagor
2020年ドラフト1巡全体21位指名。WR界隈では3番目の指名。
バストという認定にはまだ早いのかもしれない。だけども22位指名のMIN Justin Jeffersonには到底及ばないし、49位のPIT Claypoolにも、33位のCIN Higginsにも敵わない。
プロのレシーバーというのは本当に奥が深い。40ydsのタイムが全くアテにならない世界。トラックで速いのとフィールドで速いのはまた別物なんでしょう。そして、フィールドで速いことと、フリーになる能力があることも全く別物なんでしょう。
彼のどこを気に入って指名したのかわからないが、今のところ何も見えない。本当に現時点では「カタログ上の性能値が少しだけ高い方のGreg Ward」という印象。そしてそれもカタログ止まりなので実際にはWardのほうが使い勝手がいい。

とにかくセパレートが全くできない。いつもべったりとCBを背負って動く。上背もないからまあQBからしたら投げづらいでしょうね。その結果が、7回ターゲット3回捕球の11yds。

week12も終わりました。今のところ輝くプレーはweek1の50ydsキャッチ以外何一つ見ていません。あれも相手のDBが彼のスピード舐めてただけなんでしょうね。

 

⑤CB Avonte Maddox
今週で言うと順位はこれぐらいでしょうか。
この男の欠点はもう見た瞬間にわかるもの。小さい。5-9なので175cm程度。これで190cmからのWRにマッチアップしようとするのだから無理がある。

今日は1プレーだけ。2QにSEAのWR David Mooreに許したTDの場面。彼6-0(約180cm)らしいですね。巨人に見えたよ。プロでは小兵に分類されるはずのWRが巨人に見えた。それぐらい絶望しかなかった。Maddoxがほぼ毎週見せてくれるこのやられ方についても、フロントとコーチ陣と本人の合わせ技なのでまあ今年は諦めないといけないんでしょうね。(4QのLockettへのDPIについては許す)

 

【その他】

・DC Schwartz
機嫌よくDL4枚がプレッシャーかけ続けていた2Q残り12:17の3rdDown12でいきなり6枚プレッシャーかけて、Sが浅いゾーンケアしに行ったせいでMetcalfに52ydsキャッチを許した場面。なぜそれが必要だったのか。そんなムダプレシャーをかけに行くぐらいならMetcalfのダブルカバーでも考えといてくれよ。

一方で、統率の観点。最初のシリーズにMetcalf絡みでアンスポーツマンライクコンダクトの反則が2つあったところ。
人によっては極端に嫌がるのでしょうが、個人的には嫌いじゃないです。特に2つ目の反則で後ろからMetcalfをMalikがドつきにいったやつ。あれ以降、Slayに対してMetcalfが余計なことをしているシーンをみなかったこと、PHI D#も落ち着いたのか、パーソナルファウル系の反則がホースカラー以外なかったことなどに鑑みると、闘争心を煽るというか、味方を守るというか、ああいうことは必要悪であり、それ以降はしっかり手綱を引き締めたのだと理解しておきます。
決して正しい行動だったとは思えませんが、NFL選手と言うのは元来が野獣なのでしょうから。
加えて、今週はDL陣がオフサイドトラップに1回も引っかからなかった。すばらしい。やればできるんですね。

・CB Slay
DK Metcalfという男は化け物です。完璧なカバーもちらほら見えたが、あれで通されたのはまあある程度やむなし。満足はできないものの、他でいかれるよりはだいぶ腹落ちする。

・NCB Nickell Robey-Coleman
どれほどLockettにやられるかとビクビクしてましたが、4回23ydsは及第点。よくできました。

・DL陣
Wilsonを2サックしたことに加え、TFLがDLで5個。やっと給料に見合った働きでしたかね。欲を言えば、あの程度のOLであればもうちょっと派手でもよかったと思いますが。

・LB T.J. Edwards
いいよね。スパイで入っていてWilsonをしっかり仕留めた場面とか特によかったよね。
ドラフト順位はめでたく6位まで浮上したものの、CB2という巨大ニーズと比較すると、Micah Parsonsに行くほどでもなくなったかなあという所感。

・RB Sanders
相手が悪かったという言い訳もあろうが、キャリー平均がここまで6yds弱あるのに今日のスタッツは6回15ydsですって。確かに最初は出てなかったけど。もう少し持たせてもよかったのでは?特にD#が踏ん張っていた前半。
しかしこの男、なんでこんなにもパスキャッチが下手になったのか。昨年は8割近い捕球率を記録していたはずだが、今年は40%台だとか。今日もクリーンドロップを2個ほど見た気がする。RBに投資している暇はない。

 

 

Wentzはやっぱりダメだった。視野、判断力、パス精度。全部がダメだった。だけど、SEAオフェンスと比べてみても、やっぱりPHIオフェンスは根本的にフィールドの使い方が下手すぎるように見える。具体的に言うと、フィールドを横切る系。それを多様なWR・TEを組合わせる系。だってあまりにもレシーバーがフリーになれていないもの。だからWentzだけがダメだとは言わない。オフェンス全体で悪い。Pedersonも充分今季限りで降板する資格がある。

今日の試合をルーリーがどう評価するか。ぜひともその評価を下す際には、こんなにもいびつなロスターを組んだGMのことも一緒にまな板に上げて判断していただきたい。強く願っています。