鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

Week14以降の楽しみ方のご提案

やっぱりやると思ってましたよ。NYGとWASは。共通点は新体制初年度、Defenseが安定していることなど。Offenseでは、NYGはOLが比較的まともでWRが強力、QB・RBが微妙。
WASはWR・TE・RBが強力でOLが微妙。そこに超一流ゲームマネージャーであるアスミスの復活。
スケジュールのラクさでいうとWAS、一方、タイブレークで効いてくる直接対決はNYGの2勝。
さあ果たしてどっちだ。個人的には残り4試合を3-1でFinishすると踏んでWASが8-8で地区優勝。もちろん最終戦の@PHIは3の一角と見ていいでしょう。

 

さて、本題。日本時間9日未明、とうとうQB交代をダグが決断したという全米の耳目を惹きつけてやまないニュースが飛び込んでまいりました。次戦の先発QBは正式にHurts。シーズン序盤はOLのケガ人のせいにしていたら済んだものを、あれよあれよという間に積み重ねられる悲惨な成績。そして晴れてWentzはNFL最高給のバックアップQBに。歴史上最高給バックアップかどうかは調べていないので知らないものの、多分そう。
シーズン開幕前、というかほんの3か月前、彼への懸念は「最後までケガなくシーズンを終えられるか」だった。そしてそれはすごく良いほうに期待を裏切った。頑健そのもの。50近い数のサックを浴びても、そのたびになにごともなかったかのように立ち上がり続けた。そしてシーズンは結果的にあの(Wentz的には)忌まわしき2017年と同様にweek13をもって終了した。

 

Hurts考】

<プロ入り前>

有名人である彼の経歴をたどっても既視感満載かもしれませんが、まあおさらいということで。
2020年ドラフト2巡全体53位指名。
Oklahoma出身。とはいえOklahoma在籍は1年。

その前は3年間Alabamaに所属。トゥルーフレッシュマンの2016年にデビュー、その年のプレーオフ勝戦で現HOUのQB Deshaun Watson率いるClemsonに敗退。

そして翌2017年、再びAlabamaはプレーオフ決勝に進むも、今度はHurtsが大不調。無得点に終わった前半で、当時トゥルーフレッシュマンであった現MIAのQB Tua Tagovailoaに代わってベンチに下げられることに。その試合、BAMAは勝利したものの、スーパーパフォーマンスを見せたTua株が爆上げ。

しかしHurtsが真に男を上げたのはその翌年。2018年、Hurtsは当然出番を求めてBAMAを出るものと思われていたが、全米の予想を裏切ってBAMAに残留。Tuaのバックアップとして黙々と日々の練習をこなす。なんて素敵なチームプレイヤー。そして晴れ舞台はSEC ChampionshipのGeorgia戦。負傷したTuaを見事にリリーフし、14点差をひっくり返しての勝利を演出。その後の試合は復帰したTuaが先発に戻り、最終的にBAMAはLawrenceのClemsonに決勝にて敗北。

その後2019年にOklahomaへ転校。HC Lincoln Rileyの下でBaker Mayfield・Kyler Murrayと2代続いたハイズマンウィナー&ドラフト全体1位QBの跡を継いで先発に。Oklahomaでは現CARのHC Matt RhuleのBaylorに2Q途中で3-28と大量リードを奪われるも、そこから意地の逆転劇を演出、34-31での勝利を挙げるなど、特にパスの能力に磨きをかけた様子。ハイズマンレースでも、Burrowについで2位になるなどなかなかの成長を遂げたようで。

しかし、そんな経歴にもかかわらずドラフトにおいてQB界隈でTop Tierでなかった理由は一つ。パスの能力。まだ足りない。総合評価は「とてもいいチームプレイヤーだけれどもパスが下手で使い道があまりない。だからよくてテイサム・ヒル」的なことだったと思います確か。

Lincoln Rileyによっていい感じに味付けされたとはいえ、Baker・Kylerとの明確な違いは「クイックリリース」「Deep Ballの正確さ」という2点。肩の強さは十分にあるという評価だが、特にクイックリリースがどうやら絶望的なよう。QBのメカニックは完全に門外漢ですので細かくはわかりませんが、要は「遅い」とのこと。
まさにこの2点において、先日正座して眺めたGBのAaron Rodgersはすごかった。全然力感ないしめちゃくちゃモーション小さいのにまあよく飛ぶこと。しかも正確。WentzともHurtsとも全然違う世界の住人に見えた。プロってすごい。


<そして今>

サンプルはweek12の@GB後半。Wentzと比較すると、うーん。…似たようなもんでは?タイプが。

現時点のHurtsが明らかに(今年の)Wentzに勝っているのが、アライメント時点でのリード力。この分野でプロ入り後4年間スターターを張り続けたQBがルーキーに負けているなんてありえない話だと思われるかもしれないが、これが本当の話なのである。とにかく狙いどころが悪い、狙いどころ以外が空いていても見つけられない、というのがあのサック数に表れていたところ、確かにHurtsも100点では当然なかったが、Wentzよりはマシ。

実はHurtsがTE Goedertへ決めたパスパッケージが、その試合の前半にWentzでも2回コールされたとのこと。Wentzは、3by1のレシーバー3枚サイドの大外で「Jaire AlexanderにカバーされるBoston Scott」という地獄絵図マッチアップに投げて失敗、もう1回はフィールド中央で全然空いていなかったFulghamに投げて失敗。だって恐ろしく空いてないもの。
それに対してHurtsは、コンセプトの狙い通り、レシーバー1枚サイドでS AmosとマッチアップするGoedertにしっかりヒット。すばらしいね。これだよこれ。という話。

Greg WardへのTDパスも最高であった。プレッシャーにさらされると、するするとポケットから抜け出し、自分の足でカバーをずらして最後はDeepへドン。というかふわり。「ポケットワーク」と呼べるほど辛抱強くてさりげない動きではなかったかもしれないが、最近のWentzから見たことがなかったので新鮮そのもの。これができていたはずなんです良かったころのWentzは。そしてそれがなぜできなくなったのか。よくサイドラインであの頃を思い出してみてください。

確かにプロ入り前の評価通り「クイックリリースができない」という点ではWentzのクローンであった。すごくゆっくりとお投げあそばすんですね。Rodgers様と比べれば、ですが。
しかし「Deep Ballの正確さ」という点ではWentzで見慣れている分マシに映ったからストレス少なめ。
今後は、「ポケットワーク」とか「プレー開始後のリード能力」みたいな部分を磨いていっていただきたいというのが希望です。

Hurtsを評価する声として「チームプレイヤー」以外によく出てくるのが「とてもストイック」というもの。高校時代には同世代の他のQBたちに少しでも差をつけるべく、ある時を境にウエイトルームに籠ってひたすらトレーニングに明け暮れたのだとか。大学時代の彼を評して一番興味深かったのが、「ウエイトルームでもフィルムルームでも仕事中毒だ」というもの。その仕事に懸ける情熱、是非残り4試合での成長につなげていただきたい。

 

そして、Hurtsとは関係ない文脈だがGB戦において苦言を呈したい奴が1名。Reagor。このヤロウ。Punt ReturnでのTDはポロリがいい方向に転んだ典型例でまあよかったけど、オフェンスよ。サボるな。Hurtsからのタテ一発はまあよかったにしても、あれ以外のブレイクがひどく適当だったり明らかに力抜いてたりというプレーがとても目につく。というかそういう目で見てしまったからなおさら。
その点Greg Wardのプレー見るとプレースピードがReagorと比べると非常に速い。とても良い。Reagor君、あなたの比較対象はQBを押さえて今年のOROY確実(という個人的評価)の紫色のあいつです。パントリターン一発程度で喜んでいる場合ではない。あの順位でリターンスペシャリストを獲ったわけでは断じてない。Wardみたいないい先輩がいるんだから見習って成長してください。決して銭ゲバおじさんのほうの背中を見習わないように。

 

 

【今後のシナリオ】

「Wentzのトレード価値は?」「ライクがいるコルツは買ってくれるか?」「QBが豊富な2021年にドラ1指名すべし」というようなおぞましい議論がPHI界隈から聞こえるようになってきたが、今シーズンの残り試合がどうなれど、2021年のQBはキャップ事情的にWentzを本線とせざるを得ないのではないかと個人的には睨んでいるところ。超消極的に。しかし、確かに今後については、Hurtsの活躍如何によって選択肢が発生することは否めない。けれども今シーズンに出し得る、来年の「QBの」選択肢は、「Hurtsが良すぎて鼻血出るから2021年も文句なくHurtsで。」という一番キラキラしたパターンだけである。そんなものは万々歳で迎えるわけで、ここでわざわざ書くことではない。もしかしたらその場合が一番難しいかもしれないが。

ルーリーオーナーに突き付けたいのはGM RosemanとHC Doug Pedersonのコンビの処遇。
全オプションの前提として、以前にも述べたように、このQBを巡るいざこざというか混乱はすべてGM Howie Rosemanに起因している。

GM・HCともに残留。
 ・前述したHurts大爆発政権延命パターン。ちょっと嫌。

GM・HCともに残留するが、HCの権限を縮小(して正式にOCを就ける)
 ・諸悪の根源はオフェンスにあるという考え方。先週ぐらいまでは、これでいいのかな、と思っていた時もあった。

GM残留、HC交代
 ・一番見たくない未来。

GM交代、HC残留
 ・今度はHCの権力が無駄に増強されそうで嫌だ。

⑤総取り換え
 ・現実的にはこれが一番良い。

実は、ルーリーとローズマンの関係性を考えると、③の選択肢もあるんじゃないかと疑っている。ないと信じたいけど。
今季のチームがうまくいっていない最大の要因はオフェンス。なので、もしかしたら②のパターンでもうまくいくのかもしれない。何よりダグが意外とあっさり(自身の延命のためかどうか)プレーコールの権限を一部委譲したという話もあり、プレーコール権限とセットなのであれば新進気鋭のコーチをOCに雇えるのではないかと思わないでもない。
だけれども、ローズマンが組んだ年齢層が高いロスターに数多いる穀潰しおじさんたちを優遇するダグの手法は明らかにローズマンの悪さの片棒を担いでいる。ような気がする。だからやっぱり⑤の選択肢になるんだろうか。その場合、WentzというよりHurts指名が明らかなムダとなる可能性が高くてちょっと抵抗がある。だけれどもPetersとかAlshonみたいなやつらが若手の出場機会を奪っている事実にも反吐が出る。

 

悩ましい。
この辺についてはオフに入るまでに、残り4試合の過ごし方と合わせてじっくり考えていきたい。
日本から考えても何の意味もないのだが。

そしてなぜこんなにローズマンのことをひどく言う人間がいるのか、ということも併せておいおい。しかしこんな弱いシーズンなのに、というかだからこそというか、書きたいというか妄想したいことが多い。どれぐらいニーズがあるかわかりませんが、Philadelphia EAGLESを愛する日本の紳士淑女の皆さまの、少しでも暇つぶしにご協力できれば幸いです。