鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

或るPHIファンの申し開き

本来ならば人事異動やQB以下各ポジションの査定などを実施したかったところ、丸3日経過しても未だ騒動が完全に収まりそうにないあの世紀のクソ試合に関する、太平洋の反対側からのイチファンによる申し開き。
昨晩眠りにつきながら、個人的にはなんとなく腹落ちしたのでこの解釈で一つその矛を収めていただけませんか、というお願いです。
以下、通常と変わらないとはいえ完全なる妄言ですので、お気に障ってもどうかぐっとこらえていただきたい所存です。

あの試合において、特にNYG関係者を筆頭に、一番不興を買ったのが、4Q序盤にHurtsを下げて3番手のQB Nate Sudfeldを投入したこと。この行為が「完全に勝つ気がない采配」であり「『ドラフト順位を上げるための敗退行為は許されない』という暗黙の了解を破る行為だ」とか「こんなことを許すのであれば「『フィールドに出る限りは勝利を求める』というNFLの存在意義を揺るがしかねない」等(以上、完全意訳)の非難の殺到を招いた。そのリアクションには異論ありません。個人的にもあのQBスイッチは完全にドラフト順位狙いだと思いました。あの時は。


さて、ではここでいったん冷静になって事実を整理したい。

 

【前提というか事実の整理】
GM Roseman・HC Pederson以下、フロントと首脳陣は残留(シーズン終了後3日経過時点)
②試合後のPedersonコメント “I was coaching to win”
③2020年終了時点で21年度サラリーキャップ(想定額)と比較して70M以上の超過
④Week16終了時点でプレーオフ進出の可能性は完全に消滅していた

 

【事実に基づいた妄言】
まずは①の人事異動に関して。
シーズン終了前からずっと待っていたのにGM交代の報道はまだない。まだない上に、現地火曜日の記者会見に出てきて、GM Rosemanは「ロスターを若返らせなければいけないとわかっていたのにそれを実行できなかったのは私の責任」「ドラフトでのHurts指名時に“QB factory”を目指す、と言ったことは後悔している」「ドラフト6位は大きい。絶対に当てないといけないしそのための人間は揃っている」など、結構“on me”という言葉を繰り出すなど、クビがかかった人間とは思えない発言の数々。というかここまで自分の責任を認めるということは彼の交代はないのでしょう。
そしてHC。CINと並んで全体で5番目に悪い成績に終わったHCでありながら、現時点になっても明確に「Pedersonは残留」というニュースは出ない。プレーオフに出たHCについてならこんなニュースが出ないのもよくわかる。しかし上述の成績。もうちょっと何かあってもいい。ということは彼の交代はやはりなく、そしてシーズン終了後にそのような素振りすらなかったことを考えると、最終戦前は「残留」ということはすでに決まっていたのではないかと推測される。そしてこの推測にすがってこの項を進めていく。


続いて、②のPedersonの発言。
これは試合後の記者会見において、問題のQB交代について聞かれた時のコメント。そもそもこの男は記者会見で明確なことを言わないということで現地記者からは半分呆れられている。その人がこんな発言をしたのだから全米はおろか全世界の笑いものになった。曰く、「勝つためにコーチしていると言いながらweek1以来ドレスアップもしていなかった3番手QBを出すとは何事か」と。しかしその文脈で、彼は「4年間ここで頑張ってきたSudfeldにはこの試合に出る権利があった」とも発言している。
さらに、Kelce、Graham等複数のベテランは、最終戦を迎えて「Sudfeldに出番があることを知っていた」と発言している。
現地火曜に地元ラジオで「誰が裏で糸を引っ張っているか知らないがHurtsを下げたことにPHIの選手は皆混乱していた」と憤慨しながら発言したMiles Sandersは除く。貴様そんないらんことを言うてる暇があったらファンブルしないように走る練習とボールを捕る練習をせんかい。とはいえ彼は未だにPHIの若き至宝。来シーズンは期待しているよ。
脱線した。

 

【捻りだした結論】

この試合は(プレビューでも述べた通り)純粋なプレシーズン第0戦であった。


残念ながらこれでは皆さんに理解していただけないであろうため補足する。しかしいい日本語が見当たらない。「消化試合」という言葉ではなんとなく勝利を目指す気持ちが伝わらない。「練習試合」でも同じか。なんと言えばいいのか。
断じて言いたいのは、「PHIとしてはドラフト順位を上げるためだけにワザと負けたわけではない」ということ。
そもそもこのプレーオフ進出の可能性が消滅済みの最終戦にケガ人もおじさんも含めた全戦力を投入して勝ちに行く、という選択肢はどのHCでもあり得ない。一般的には、この状況の最終戦の勝利にあまり意味はない。敢えてあり得る可能性を挙げるならば、「少しでもいい試合を見せないと明日から仕事がない」という状況に置かれたHCだけか。ここは推測になるのだが、上でも述べたように、やはりPedersonは残留が内定していたのであろう。そうでなければ筋が通らない。

つまり、Pedersonのコメント“I was coaching to win”は本心なんでしょう。「長期的には」という言葉を足せば。
③のように、PHIのサラリーキャップ事情は火の車。このオフは大勢のベテランたちをカットしなければいけない、あるいは再契約ができないことがすでに分かっている。そしてその中の一人に、おそらく2020年限りで契約が切れるSudfeldも入っているのでしょう。勝利に意味がない試合なのだとすれば、バックアップQBとして4年間チームに尽くした男に対して、転職活動の助けになるような場面を作ってやりたい、という気持ちも少しは理解できる。結果としてそれが裏目に出たのだとしても。(そしてその状況がわかっていたからこそ、Kelceは昨日のインスタでSudfeldのことをかばったのでしょう)
そしてベテランの転職活動の場のためとしてだけでなく、若手のオーディションの場としてもこの試合は活用された。その思いが表れたのが総勢10名超?のインアクティブリスト。結果は残念だった両OTも含めて、若手が試合経験を積んだ。70Mもキャップを開けないといけないチーム事情に鑑みると、やはりどこかでオーディションは絶対に必要だった。
何よりもHurts。彼もどこかでSudfeldが入ることを知っていた的な発言をしているが、それがゴール前4th downギャンブル失敗のあのシリーズ直後だとは到底思っていなかったであろう。反省しかない形でシーズンを終えることになった。個人的にはHurtsのメンタルを非常に買っているところがあるので、こういう刺激の仕方はアリだと思う。これでHurtsが飛躍したら儲けもの。飛躍しなければ…
本当はこういったことが本気のレギュラーシーズンの中でできればいいんでしょうけど、それができないのがPedersonの不器用さ。

無理矢理結論じみたものに持っていこうとしたもののやはり失敗した。
ここまで読み返してみても伝えたかったことの100分の1も表現できた気がしない。
繰り返すが、わかっていただきたいのは「ドラフト順位を上げるためだけに敗退行為をとったわけでは断じてない」ということ。

“I was coaching to win”が本当に意味を持つのかどうかはここからのPedersonの腕次第。あの敗北とそこからのバッシングを受けて、チームはカルチャーを失いつつあるように見える。

「一般的には、この状況の最終戦の勝利にあまり意味はない」と偉そうに前述したが、こういう試合を全力で勝ちに行くことがチームのカルチャーとかケミストリーにとっては重要なのかもしれない。
そんな葛藤というかもやもやを抱えながら、あの敗北と、あの敗北の中で経験を積んだ若手が本当にチームの力になるかどうかを楽しみに2021シーズンの開幕を8ヶ月間待つこととしたい。