鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

新コーチ陣と悲しい別れ

LARは一体Goffとそのキャップをどうやりくりするのか。同じ2016大量投資組としてそのハンドリングには興味津々です。
さてHC就任から1週間経って組閣がほぼ完了したのでお知らせします。
このメンツを見る限り、INDとLACのフィルムを見ることが不可欠。
見たところで何かわかることがあるのかと問い詰められても微妙ですが、まあおいおい見ていこうと思います。しかしなによりも優先しなければいけないはずのPHIのフィルムを観るのが全く捗らない。ほぼ12敗したチームのフィルムを観るのがこんなに苦行だとは思いませんでした。

 

【新コーチ陣】
Head coach:Nick Sirianni
(前職:IND OC)
前回出し切ったため割愛

Offensive coordinator:Shane Steichen(前職:LAC OC)
前任者不在だったために2年ぶりのOC。Sirianniの旧SD時代の同僚という誼。
LACのオフェンスという文脈で気になるのは、今年のルーキーQB Herbertの成功。期待できるのかと思いきや、現地LACのファンの反応は「出ていってくれてよかった」というもの。
理由は2つ。1つに、Herbertの成功は、QBCであったPep Hamiltonの手腕によるものが大きく、もう1つはプレーコールが全く効率的でなかったRun Offenseに極端に偏ったものであり不満だったから。というもの。
この人事がどういう結果になるかはわからないが、敢えて異論を唱えるのであれば、まず1つ目、Pep Hamiltonという人はStanford⇒INDでAndrew Luckという才能を開花させた人間として評価が高いが、じゃあそれ以外に何か実績がありましたっけ。というもの。INDの後はCLE・Michigan・XFL・LACという歩みだが、この間だれか育てられたのか。とは聞きたい。語弊はあるかもしれないが、目立った実績は最終年度のHerbertだけである。となると、Steichenがうまいことやった可能性だって十分にある。そしてそもそもPepがそれほどにスーパーなのであれば、新天地が泥沼のHOUのQBCというのも今一つ解せない。こんなことをいうとHOUファンの気分を害してしまうかもしれないが、もっと引っ張りだこで、もっと魅力的な職場があっていいのではないかと思う。だから、重ねてSteichenがうまいことやった可能性はあると思う。
そしてもう1つ、プレーコールという点。ここにも擁護の余地はあると思っていて、Steichenに全権限があったかというと実はそうでもなく、RB出身のHCであったAnthony Lynnから“Run優先でいくように”との圧がかかっていたという証言もあるため、それをどこまで信じるか。もっというと、実はランが効果的でないなかであってもプレーアクションは非常に効果的だったようで、“Defense-adjusted Value Over Average”という”Football Outsiders”の補正後指標でいうと、LACのパスオフェンスは7位とのこと。挙げるまでもないがPHIのこの指標は29位。結局誰が来てもPHIの2020よりはマシになる。問題はその程度の話。
何よりPHIではおそらくプレーコールを担当することはないと思われるのでその点心配はしていない。思う存分QB育成に勤しんでください。

Defensive coordinator:Jonathan Gannon(前職:IND DBC
2020までのSirianniの同僚ということでそっちの筋。2014~17までMINのAssistant DBCそこから3年間INDのDBC
もう少し待てば、「チャンピオンシップで3つもターンオーバーを奪ったのにそれをOffenseが活かせなかったせいでクビになった」でお馴染みのGBのDCペティンみたいな大物も落ちてきた可能性まであったが、そんなことは読めなかったんでしょうから致し方なし。惜しいけど。
2020にINDの試合を何試合か流し見したD#の印象としては、あのとんでもない破壊力のIDL(Buckner目当てに観ていたのにNTのGrover Stewartに目が釘付けになった記憶がある。ああいう選手が欲しい)をベースに、スーパーLBを置いているのであまり策を弄することなく全体をまとめられているな、という印象があった。そしてDungy以来の伝統のTampa風Cov.2。個人的には非常に好ましい。MIN⇒INDという経歴を見るに、4-2のベースが継続される可能性が高いと思っており、戦力構成をあまりいじらなくて済むのは再建にあたって大きい。大体似たような嗜好だったPHI D#を率いるにあたり、あまり違和感なく移行できるのではないかと思っているところ。うちにはINDのLBのAll Proじゃないほうにも勝てないメンツしかいませんが。(しかし!このLB問題への希望は後述)
全体の話はこの程度にして、前職がDBCということで、パスカバーとDB問題。
2020のPHI D#最大の課題は、vs No.3WRとTE。本当はNo.1にも派手にやられてたけど失点力という点ではBox近辺のパスカバーのほうが致命的。特にNCBとLBのパスカバー。Gannonは”CB developer”としての評価は高いと聞いているので、彼に期待しているのはこの点。シーズン中から何度も申し上げていたが、PHIにはCBがSlay一人しかいない。一方で、CB2としてはボロボロだったMaddoxもNCBとしてならやれる可能性があるんじゃないかと思っており、そっちで期待したい。残ったCB2はドラフトになるのか、MIN以来のつながりで2020にGannonの下でバウンスバックシーズンを過ごしたといわれているXavier Rhodesを獲ってくるのか。あんまりFAにお金はかけられませんが何とか縁故採用というところで安く収めたいところ。
そもそもSchwartzの下ではヘビーマンツーマンD#だったところのつらさが結構出ていたと理解しているところ、ゾーンカバーが増えるところがどう転ぶかは結構楽しみにしていたい。そしてIND D#は実はCov.2というよりSEA風のCov.3に移行しようとしていたという噂への期待もあり、そちらの文脈は後述。

Special teams coordinator: Michael Clay(前職:SF Assistant STC)
ゴミだと思っていた前任のDave Fippに対するDETからのインタビューリクエストをPHIが断ったという噂があり失神しそうになったが、SirianniがHCに決まったのちに、そのリクエストを許可。見事放流という流れに。その後、PHIよりもひどいスタッツを残していたGBのSTCにインタビューという話があって脳卒中になりかけたが、そちらを採用することはなく、Clayさんを採用という流れ。正直STCについては結果でしか語れないところがある。期待としてはPuntリターンでもっとReagorを積極的に使ってほしいというところと、Kick offのリターンはScott以外でお願いしたいということと、イップス気味のKのElliottの治療と、新punterの発掘。並べてみると注文が多い。ぜひやり遂げてください。

Quarterbacks coach:Brian Johnson(前職:Florida OC兼QBC)
今回の組閣において2番目のビッグネーム。そしてもしかしたら火薬庫になるかもしれない存在。
私は存じ上げませんでしたが、現役時代をご存じの方も多いはず。ユタ大出身の元カレッジのスターQB。現在33歳。2009 Sugar BowlのMVPにして“Madden”のカレッジ版である“NCAA Football”においてカバーを飾ったこともある御仁。プロでは鳴かず飛ばずだったが、コーチに転身して大成。2014~16のMississippi StateのQBC時代にはDak Prescottを育成。その後2017にはHouston大でOC兼QBC(D'Eriq King)。2018からFlorida大に移り、QBCを2年務めて2020はOC兼任に(Kyle Trask)。このオフにはSouth CarolinaやBoise stのHC面談を受けていたこともあるような有望株。
火薬庫と述べたのは、Hurtsとの関係が非常に深いこと。Johnson自身が高校時代にHurtsの親父のチームに所属。Jalenのことは4歳から知っている関係。Hurtsが大学に進むときも、結局Alabamaを選んだものの、Johnsonは当時所属していたMississippi stに勧誘したとか。さて、そんなHurtsとの濃厚な関係が見える男のいうことを、Wentzくんはちゃんと聞くことができるのでしょうか?という意味での火薬庫。
腕には期待しているので、育成成功するのがHurtsであっても全く文句ありません。

Pass game coordinator:Kevin Patullo(前職:IND Pass Game Specialist)
Tight ends:Jason Michael(前職:IND TEC)
この二人は明確にSirianni閥。INDから獲ってくるならRun Gameのスペシャリストがよかったけど、Passにするのね?じゃあOCは評判が悪かったRun Gameの構築をメインにやるのかね?それは嫌だよ。
そしてTECとしてはErtz・Goedertの育成に功があったJustin Peelleを本当に変える必要があったのか。ここは疑問。

Offensive line:Jeff Stoutland(続投)
今オフ最大の補強。一瞬BAMA行きが囁かれて絶望に陥ったが、最終的には収まるべきところに収まってくれた。彼の復帰は最大の朗報。どれだけ下位指名の選手をかき集めても最終的にはしっかり戦力に仕上げてくれるこの名コーチの存在は非常に大きい。Kelceの引退リスクもちょっと減ったのではないでしょうか。今オフにCまで補強している余裕はないので。いよいよ2021はMailataをプロボウラーに仕上げるという重責が待っております。変わらず期待しております。

Defensive line:Tracy Rocker(前職:South Carolina DLC
今回の組閣において最大のビッグネーム。Auburn大出身で、カレッジ最優秀選手賞であるLombardi Awardと、カレッジの最優秀インテリアラインマン賞であるOutland Trophyをはじめとして様々な栄誉を獲得した名選手。80年代Auburn界隈ではあのBo Jacksonと並び称される、まごうことなきレジェンド。2004年にはカレッジフットボールの殿堂入り、2005にはAlabama州のスポーツの殿堂入り、2018にはGeorgia州でもスポーツの殿堂入りを果たすなど、この上なく輝かしい経歴の持ち主。プロには1989の3巡でWAS入り。オールルーキーチームにも選ばれたが、膝のケガもあって2年でNFLの舞台からは退場。その後はAlabama・Tennessee・Mississippi・Georgia・South Carolina等の南部諸州を中心にコーチとして活躍。当然南部では有名人でリクルートにだいぶ影響力があるそうな。一度OhioにあるCincinnati大でコーチしているのでそれ以来の北進。
基本的にカレッジ畑の人で、プロでは2011~13のTEN以来2回目となるDLC
指導した名選手みたいなのまで調べてはいないが、少なくともMississippi出身のCoxにとってはだいぶ心躍る人事なのではないかと想像でき、彼が師事することでDLは全員一丸となることが期待できそう。
そして、彼の就任には副産物があり、実はこっちの影響がでかいのではないかと。それが、全く処遇が発表されていないDLC Matt Burkeの扱い。LBCであったKen Flajoleが戻らないことはすでにアナウンスされているのでそこに横滑りするのではないかという噂。
2009~13までDETのLBCとしてTulloch, Levy, Durant, FooteなどいまのPHIからするとキラキラした名前の選手を育成し、2014・15はCINでVincent Reyのキャリアベストイヤーを演出、ほかにはMaualuga, Burfictなどを育成。実はこっちが本職と思われ、彼がここに収まってくれるならもうちょっと改善が見込めるかもしれない。まああっさり外からLBCを呼んでくる可能性はありますが。

Defensive backs:Dennard Wilson(前職:NYJ Passing Game Coordinator & DBC
ここがよく読めないけど、Gannonのところで述べたように、SEA風のcov.3を目指すなら、という意味では若干首をかしげながらまあこの人もそういう文脈か、という納得をせざるを得ない。
LARのDBCを経て2017からNYJのDBC。2017以降のNYJのPass D#は以下の通り。
2017:21位
2018:24位(ここまでTodd Bowles)
2019:17位
2020:28位(ここまでAdam GaseというかGregg Williams)
実に成績はひどいものの、BowlesとWilliamsという過去の上司二人がアグレッシブD#の信奉者であることが見て取れる。そしてそこで重要になるDBのメンツという点で、彼の指導歴における主な選手はJamal Adams, Janoris Jenkins, Rodney McLeod, Trumaine Johnson, LaMarcus Joyner, Morris Clayborne。さて、このメンツは一体どう映るのでしょうか。個人的には、Jamal AdamsからSEAのにおいを嗅ぎ取っておりますので、cov.3への移行というか、まあ単純なcov.2だけをやるつもりはないのかな、とGannonの腹の内を推察しているところ。この辺りはドラフトへの影響もあるのでしょうし、時間があれば掘っていきたいところ。多分やらないんでしょうけど。

さて、長々と述べましたこのコーチ陣。個人的には非常に高い期待値を持っております。現時点では。

 

【去り行く人々】
個人的には、2020までの陣容が酷すぎたこともあり、今回はじき出された人間の中ではTECのPeelleぐらいしか疑問符が浮かぶ人間はいなかったが、ひとりだけ。
HCインタビューを受けながらまたも昇格できなかったことで心配していたDuce Staley。結局RBC兼AHCという現状と同じ肩書でDETに行くことに。
RB育成という点では信用できるコーチだったし、OBとしてもロッカールームでは大きな働きをしていたようで選手からの信頼も厚かったところ、今回の移籍は残念でならない。というか非常に悲しい。
Pedersonがコロナ感染した際も代役をきっちり果たしたことで本人としてもHCへの意欲が高まったのか。やはり本人がHCをやりたくて、その目がもうないところにはいられないということであれば快く送り出すしかない。DETでもいいRBを育ててください。


残るポジションコーチはRB・WR・LBぐらい。明確に人がいないのはRB。
WRはMooreheadの残留かもしれませんが、WR育成に定評がある新HCがどう評価するかは気になるところ。Mooreheadのコーチとしての能力はまだよく見えていないところもあってなんとも言えませんが、少なくとも2020ドラフト時にJeffersonよりRegorを高く評価していたという点は失点として記憶しておりますので放出となってもやむを得ないと思っているところ。
さて、ようやく組閣が大体終わってなんとなく方向性が見えてきたのでそろそろ本気で2020の振り返りに取り掛かっていきたいと思います。気は重いけど。