鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2020シーズン査定(TE編)

Sirianniとつながりが強いLVのWR Tyrell Williamsがクビになるとか。PHIメディアはSirianniの指導でSD時代にキャリアハイを迎えたこの選手にPHIが興味持つのではないかと報道というか推測をしているようだが、個人的にはいかないでほしい。11Mは高いし今年ケガで働けてないし。ならばDeSeanでいいよ。

さて、HCが変わり、Offenseの流派が微妙に変わっても相変わらず重視されそうなこのポジション。スーパーTEというのはグロンク以来10年ぐらいトレンドになりそうでなってるようでなってないんじゃないかという微妙な存在。現役ではグロンク以下、Kelce・Kittle・Wallerぐらいしか思いつかない。
扱いが難しいのか、そもそもそんな身体能力を備えていながらOffenseの理解力が高くてキャッチもできるなんていうスーパーマンが少ないのか。たぶん後者なのではないかと踏んでいるところ。
ではPHIにおける当該ポジションの振り返り。

 

【2020開幕前】
Stay:Zach Ertz(13/2)・Dallas Goedert(18/2)・Richard Rodgers(20/Street FA)・Joshua Perkins(18/Street FA)
In:Caleb Wilson(20/Waiver/WAS)・Jason Croom(20/Street FA)・Noah Togiai(20/UDFA⇒のちに放流・INDへ)・Hakeem Butler(20/PS/ARI)
OUT:なし

上記で言うと、Richard RodgersはStreetから拾ったし、19シーズン後にPHIからUFAになって一瞬WASにも所属しているので正しくは20の新加入だがまあStayという位置付けでいいでしょう。だからOUTはなしという嘘みたいな整理になっておりますが、2019が盤石だったとかそういうことではありません。
9月に一瞬所属していたJordan Franksという選手もいたようですが、まあ無視。

ロスター構成としては、上位2枚にしっかり投資して、それ以外はパッチワークでやっていくという姿勢が明確。これはずっとそうだしまあ妥当なものだと思います。
そういう意味でもブロッキング能力が高いと思っていたUDFAのTogiaiには期待していたのだが無念のファイナルカットでの脱落。たぶんPSに入れたかったんではないかと想定しているが、同じくTEには目がないINDに攫われて終了。というかこの時点でロスターにTEが2枚(PerkinsはIR)しかいなかったんだからそりゃその狙いはバレる。彼を守るためにもJefferyで浪費した1枠は貴重だったんですよ。
そしてErtz。前になんか書いた気はするが、開幕直前になって、KittleとKelceで高騰したTE相場に現行契約が釣り合ってないという理由で契約に関してゴネだした。「今年が最後かもね」的なことをちらつかせてシーズンイン。

 

【2020成績】
Dallas Goedert
11試合(先発9試合) 65ターゲット 46捕球 524yds(avg. 11.4yds) 3TD
Zach Ertz
11試合(先発11試合) 72ターゲット 36捕球 335yds(avg. 9.3yds) 1TD
Richard Rodgers
14試合(先発4試合) 31ターゲット 24捕球 345yds(avg. 14.4yds) 2TD
Jason Croom
4試合(先発0試合) 1ターゲット 1捕球 3yds(avg. 3yds) 1TD
Hakeem Butler
1試合(先発0試合) 1ターゲット 0捕球 0yds(avg. 0yds) 0TD

ゴネた割にErtzは初戦から散々だった。4thDownでのクラッチドロップに加えてWentzからもターンボールの数々。ゴール前でのTDキャッチはあったものの、ゴネた割に…という内容。その後もそもそも彼に対して不満に思っていた「セパレートできない」という点が如実に出たシーズン。実績的にも当然エースとしての期待をかけていたが、球際の勝負強さも鳴りを潜め、仕上がりはなんとRodgersにも獲得ヤードで及ばないありさま。そしてその効率は驚愕の捕球率50%。酷かったWeek1以降、彼は反省して契約に関することは口にしていない様子。

だけども彼だけが悪いというつもりはさらさらない。
Pedersonという男は、もとより2TEの隊形を非常に好むところがあり、今シーズンで言うとその比率は38%とか確かそんなもの。そうまでしてTEを置いておきながら、使い方はあまり上手くない。
例えばKCみたいにKelceをアイソレートさせてそこのミスマッチを徹底して衝く、とかそういうことは別にしない。アテにしているのは密集での競り合いとか空いているZoneを的確に衝くとか、そういう能力。いわゆる一般的なTE。
Ertz自体もKelceとかKittleほど身体能力に優れているわけではないので、キャッチのアベレージが10yds近辺になるのは平常運転。だとしてもこれまで70%ぐらいはあった捕球率(この言い方は少し雑なような気もしますが、要は捕球数÷ターゲット数)が50%というのは異常事態としか言いようがない。
気になったのは、特に2017なんかでは非常に有効だったTEスクリーンが、2020については全く機能しなかったこと。そりゃ対戦相手もディープの脅威が薄いTEのスクリメージライン近辺のプレーなんか見やすいに違いない。そしてそれが来る可能性が高いとなればなおさら。この点もやはりPedersonの限界だったのではないでしょうか。
主にEtrzが浅いゾーン、Goedertがより深めのゾーン、という使い分けだったかと思うが、QBのリズムを作るという上でより重要になるアンダーニースのErtzの不振はWentzにも若干の影響を与えたのではないかと思う次第。
そして例年野戦病院化するPHIにあって、意外とTEだけはその難を逃れていた印象はあるが、今年はその大波をこのポジションがモロに被る形に。Ertz・Goedertの両方がいない期間もあったが、そこで輝いたRichard Rodgers。
彼が輝いた理由が全く分からない。なぜかオープンになっていたというシーンが非常に目についた。一時、NFLのレシーバー陣におけるセパレートキングの座に就きそうな勢いであった。そして平均14ydsというなかなかの大砲ぶり。しかしどちらかと言うとパスターゲットとしてのタイプはGoedertと被るのでそこがちょっと面白くないところ。

 

【2021への願望とか】
まずはコーチ人事から。このパッチワーク軍団を6年間にわたってまとめていたTECのJustin Peelleがいなくなるのが実は最大の不安要素。SirianniがTEにも強いこだわりがある様子なので新TECのJason Michaelにも期待は持てそうなものだが、蓋を開けてみないとなんとも。
個人的には選手補強よりコーチ補強のほうがチームを長く強く保つためには重要だと思っているところもあるので、彼への期待は大きい。

では選手の契約関係。上位3人の状況は以下の通り。
Ertz:2021年まで(2021:12.5M/7.8Mデッド)+ダミーサラリーが2022年に3.5M・23年に1.8M発生
Goedert:2021年まで(2021:1.8M/0.5Mデッド)
Rodgers:単年契約のためUFA

Ertzは2020の成績をもってゴネるなんてことはないし、このまま契約満了までキープできるかとは思うが、このオフのキャップ状況を考えると、7.8Mのデッドマネーでも飲んでトレードせざるを得ないのではないか。30歳で迎えたシーズンに下降傾向を見せてしまった男のトレード価値はいかに。本来的には11月のトレード期限までに放出してしまいたかったというかオファーはあったようだが、そのタイミングでIR入りしていたため残念ながらトレードは実現せず。5巡ぐらいが妥当なんでしょうかね。そう思っておきます。4巡が取れれば御の字なのでしょう。

Goedertの3年目が完全に期待通りだったかといわれると非常に微妙なところではある。こんなにケガするとは思っていなかったし、ちょいちょい重要な場面で落球しはる。だけれどもブロック能力とかスピードとか、トータルでいうともはやErtzよりはいいのではないか。そうなると、2ndTEとしては高すぎるErtzにはサヨナラと言わざるを得ない。Goedertの契約終了年が2021に迫る今、最終判断として2021はいよいよ独り立ちさせる必要があるのではないか。
いや、けどちょっと物足りないけども。TEの二人目どうしようか…という問題が出てくる。

そしてこのErtz離脱前提の文脈で出てくるのが、全体6位でKyle Pitts(フロリダ大)という選択。
Pittsについて。と言っておきながら、この問題は実はPittsがどうかということではなく、単にTEというポジションを全体6位で指名することについて自分を納得させたいだけのことです。
非常にいい選手であることは衆目の一致するところだが、投資価値に見合うかどうか。スカスカのロスターを再構築せねばならない立場にあるPHIが6位で指名する価値があるかという問題。

サイズは6-6(198cm程度)で、40ydsは4.4台という噂。このプロフィールでいうと、近いのはLVのDarren Waller(LV)である。
彼のようにミスマッチを起こせて、スーパーワイドアウトみたいな使い方ができるTEであれば、WRが巨大なニーズとなっているPHIが指名すると、TEとWRの両方の穴を埋めることができちゃうということになりこの指名も悪くないような気がする。

一方で、懸念はやはりそのサイズ。このサイズのスキルポジションはNFLでも規格外であるがゆえに、当たりはずれもばらつく。
似たようなサイズでいうと、当たりが、先ごろ殿堂入りしたCalvin Johnson、Darren Wallerなど。外れの筆頭はあの忌まわしきDorial Green-Beckham、Ladarius Green、微妙なのがKelvin Benjaminとか。
前述のWallerにしても、実は最初にWRとして指名されたBALでは薬物問題等もあってあまり働けず。2018にBALのPSから拾われた先のOAKでTEにコンバートされてから活躍が始まる。ブレークアウトは2019。彼の場合はそもそもが6巡指名のためあまり比較対象にはならないが、Grudenと出会わなければどうなっていたかはわからない。

そして、もう一つの懸念がSirianni。彼もPedersonに輪をかけて2TE隊形が大好きという噂だが、実はReichにもこのテのタイプのTEをうまく使いこなせるイメージがいまいちわかない。身体能力的にもINDにいた選手ではちょっと違うし、Sirianniが被っているLACのHunter Henryともやや違う。
しかしここについて一つ注釈をつけるなら、今回のコーチ人事。2020にフロリダ大でOCを務めた新QBC Brian Johnsonの存在がある。彼の存在を、Hurtsコネクションということだけでなく、フロリダでPittsを使いこなせたようなOffenseの新風を取り入れるためだと説明するのであれば納得感がでてくる。そして安心できる。安心した。

そもそも、「TEが6位は高すぎる」とか、このテのサイズの選手は当たりはずれが大きいとかいう選手個人を見ない一般論的な議論はいかがなものか。良くないと思う。ゴール前のみならずフィールドのどこでもミスマッチを作れるモンスターがいればOffenseのあらゆる問題は解決するのである。QBだって困ったときのターゲットがいれば落ち着くだろうし、WRだってカバーが緩めばルートを走りやすくなる。初年度はまだGoedertがいるから負担も軽かろう。
脳震盪問題は怖いが、こういう素材が落ちてきたら絶対手放してはいけない。彼は絶対当たりなのである。そう思い込むことにしたい。

PHI地元民であり、ブロッキングへの情熱も十分にあり、素行もよく、性格も穏やかで後輩の面倒見もよくてFootball IQも高いという非の打ち所がないPitts君。是非PHIへ凱旋したまえ。


もしPittsがいなくなっていた場合、どうせストリートにいるはずのRodgersを拾ってきてUDFAなりドラフト下位なりで若くて安いのとってきて最後の1枠に追加するだけでよい。