鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2020シーズン査定(OL編)

J.J. Wattのニュースが流れてくるたびに、一回JJAWと空見してしまうのが全PHIファンの宿痾。今回のニュースは特に“Release”というワードがつくのでこちらの期待値的にも腰が浮く回数が多い。Justin James Wattと本名で呼んであげてほしい。
そしてキャップ的にもPHIはこのニュースと一切関係ないが、私の予想はGBへの里帰り。リング獲れそうなQBがいて幼少の頃から応援していたチームならそこにいきたいと思うのが自然だという理由。GNはバクティアリの契約再構築でキャップスペース作ったみたいですね。本当にあるのかな。

では2020PHIの低迷の大部分を担うといわれるOLの振り返り。

 

【2020開幕前】
Stay:Andre Dillard(19/1:IR)・Isaac Seumalo(16/3)・Jason Kelce(11/6)・Brandon Brooks(16/UFA/HOU:IR)・Lane Johnson(13/1)・Jason Peters(09/T/BUF)・Matt Pryor(18/6)・Nate Herbig(19/UDFA)・Jordan Mailata(18/7)・Sua Opeta(19/UDFA)
OUT:Halapoulivaati Vaitai(⇒DET)
IN:Jack Driscoll(20/4)・Prince Tega Wanogho(20/6)・Luke Juriga(20/UDFA)・Brett Toth(20/ARI/PS)・Ross Pierschbacher(20/WAS/PS)・Jamon Brown(20/Street FA)

これで勘弁してください。
ドラフトでいうと、毎年毎年引退がちらついているKelceの後釜がそろそろ必要な感があったのでInterior、特にCが欲しかったのだが、指名されたのはAuburnコンビ、4巡のDriscollと6巡のWanogho。それぞれAuburnではRTとLTだったようなので当初の目論見とは違った。DriscollはPHIが好きなバーサティリティを備えているという噂だったのでこいつにCとかGとかやらせるのか、と思っていたがそのままRTとしてシーズンイン。
Cの後釜にはUDFAのJurigaを据えた。彼はWestern Michigan出身のドラ外。カレッジのフィルムでは機動力が売りなのがよくわかるKelceタイプだったので彼でいくというのは納得できた。

まあなんにせよ開幕前からいろいろあったユニット。Brooksのアキレス腱断裂とかDillardの二頭筋断裂とかPetersの復帰とコンバートをめぐるゴタゴタとかLaneの足首の手術とか。
詳しくは確か一度書いたことがあるのでそちらに譲りたい。
とにかく開幕前から不安しかなかったユニット。結果して、想定していた先発を3枚欠いた状態で開幕。

【2020成績】
Jason Kelce
16試合(先発16試合) 1,125スナップ(99.6%)/7.4M
Nate Herbig
15試合(先発12試合) 893スナップ(79.0%)/0.7M
Matt Pryor
15試合(先発10試合)775スナップ(68.6%)/0.8M
Jordan Mailata
15試合(先発10試合)733スナップ(64.9%)/1Tackle(1ソロ)1FF/0.7M
Isaac Seumalo
9試合(先発9試合)588スナップ(52.0%)/2.3M
Jason Peters
8試合(先発8試合)508スナップ(45.0%)/4.5M
Lane Johnson
7試合(先発7試合)404スナップ(35.8%)/10.3M
Jack Driscoll
11試合(先発4試合)300スナップ(26.6%)/0.7M
Sua Opeta
8試合(先発2試合)170スナップ(15.0%)/0.5M
Brett Toth
6試合(先発1試合)97スナップ(8.6%)/0.5M
Jamon Brown
2試合(先発1試合)72スナップ(6.4%)/0.4M
Luke Juriga
13試合(先発0試合)14スナップ(1.2%)/0.5M
Ross Pierschbacher
1試合(先発0試合)1スナップ(0.1%)/0.1M

圧巻の総勢13名。50スナップ以上でも11名。
上記試合数はSTのスナップカウントでも加算さえるようなのでJurigaとかの数字が膨らんでおりますが、お察しください。全員追いかけるのは無理でした。

細かい数字は途中からカウントをやめたので記憶していないが、先発OLの組み合わせは14か15通りにおよび、これまでの12通りとかの記録を更新して歴史的なNFL記録。
それでもスタッツ的にはNFLで19位だとか。意外と悪くない。サラリーが1M超えるのが6名いたうち、最後まで働いたのが1名、DillardとBrooksの合計で10Mが無駄になっていると思うと悪くない。
明確に「こいつ下げてほしいな」と試合中に感じたのは、Pryor・Peters・今は亡きJamon Brownぐらい。ほとんどが若手であったが、試合を積むにつれて成長していっている様がよく見えて、巷で「OLが悪い」と言われるほどに不快ではなかった。
実はweek1から一番ひどかったのはLTに入っていたPeters。あいつがケガで抜けてやむを得ずMailataを入れてから非常に安定した印象。キャンプではMailataと競っていたPryorは、終盤にRTに入っても本当に何もできていなかったので、彼とは明確に差がついた形。
大量のサックもQB・WR・HCの責によるものが多かった。OLを責めるんじゃない。
しかし一つOLが悪かったのは、CG間の受け渡しというかアジャスト。特にSeumaloがいなかった時期は本当にひどかった。これも終盤になるにつれてHerbigとKelceのコミュニケーションも確立されていったように思うので最終的にはあまりストレスにならなかった。

そして上記スタッツで異常な数値が入っている奴がいますが、やはりMailataの1タックル1FFはお見事。最高だったので貼っておきます。タックル後の振る舞いも含めて完璧。

 

彼の経歴についても過去に書いていますのでそちら(上に貼ったリンクと同じ)をご覧いただければ幸甚。

 

【2021への願望とか】
これだけのメンツをやりくりして、それでもなんとか形にしたのは完全にOLC Jeff Stoutlandの功績だと思っているので彼が一瞬BAMAに戻ると見せかけて残留したのは最大の朗報。
そんなOLユニットですが、2021を迎えるにあたって懸念は3つ。

1.LT問題
 個人的にはMailataが成長したことで、ここにはもはや決着がついているものだと思っているが、一方で19年1巡の投資をしたDillardがいるのも事実。彼は“ノーパワー”というドラフト時の評価が的中して19年シーズンにおいてもシーズン換算22サックという驚異的な被サック率を残していた逸材。
20年キャンプイン時にはそれなりに身体も大きくなっていたようだが、やはり不安は残る。
 シーズン中に「もうMailataが来年以降もLTのファイナルアンサーでいいよね?」と聞かれたPedersonは「そう評価するにはDillardを見ていなすぎるからなんとも言えない」との回答を残していた。
まあ投資との関係でそう言いたいのもわかるのでもう一回キャンプで競わせてもいいけどもう決めちゃえば?ちなみにMailataはまだ23歳でDillardは25歳。
というわけでDillardは売りに出したいところ。できれば21ドラフトの指名権に変えたいけど、まあキャンプで他チームに不測の事態が起こったときに売ってもいい。というか統計的にはその“不測の事態”が起こる確率が圧倒的に高いのはPHIなわけですが。じゃあステイでもいいか。「弾にはなりえる」という程度の認識でいます。

2.Kelce
 毎年恒例ではあるが、やはり引退するか現役続行するかで悩んでいる様子。
現在33歳。Stoutland体制という意味では変更がないが、Pedersonもいなくなるしこの環境をどう思うか。同世代のCとしてAFCで名を馳せていたPouncey Twinsがそろって引退したことは彼の心にどんな影響を与えているのか。ちなみにPouncey TwinsはKelceより2つほど若い。
 個人的には2020シーズン中に100試合連続先発という節目も突破したこのおじさんには一日でも長く現役を続けて、チームのcultureを支えていって欲しい気持ちが強い。
能力的にはDLとのマッチアップという点で衰えも見えているものの、その分ますます鋭くなっている戦術理解によって、SandersのロングゲインのほとんどのキーブロックをLBないしSFに決めていたのが非常に印象的。このいぶし銀の活躍は未だに捨てがたい。
なんとか現役続行を決めて、オフシーズンにはしっかりスナップの練習してください。お願いします!

3.JP
 Jason Peters。今オフにおけるPHI OL陣唯一のUFA。なので再契約の動きさえなければ自動的に放出。そして本人は、どういう世界線に生きているのかわからないが、「まだできる」と宣っているとのこと。
 将来的には殿堂入りもできる可能性あるんでしょうし、これまでに積み重ねた経歴には敬意を表するが、いかんせんこの2年間の印象が悪すぎる。

 そして、完璧に見えるStoutland唯一の欠点が、このJPの扱い。
LTでいい成長曲線を描いていたMailataを、Petersが復帰する際に追い出してみたり、その後LTをMailataに追い出されたJPを、たった1週の準備でLT⇒RGというトリッキーコンバートで試合に出して失神パフォーマンスを披露していたこともあったが、とにかくJPへの評価が過大で甘い。

 これには理由がある。
 2013にPHIのOLCになるまで一貫してカレッジの世界にいた彼。実はその時から学生に“理想のLT”としてPetersのフィルムを教材にして指導していたそう。
そのためPHIに来た時もJPを指導できることに興奮していたし、愛犬が亡くなって沈んでいた時には、JPの声掛けでOL陣から新たな犬を贈られるなど、JPともいい関係を築いている様子。
 だけどもうそろそろ限界なことには気づいてほしいところ。これ以上贔屓が過ぎると貴様も同罪ということになる。
 希望は、“JPと絶対に契約しないこと”
 こんなことをいう日が来るとは思わなかったが、JPがいるとStoutlandは使ってしまう。だけどチーム的にはプラスにならない。だから絶対に契約しないでください。

 

というわけで、2021年の理想の布陣は以下の通り。

LT:Mailata(24)・Dillard(26)
LG:Seumalo(28)・Herbig(23)
C:Kelce(34)・Juriga(24)
RG:Brooks(32)・Opeta(25)
RT:Johnson(31)・Driscoll(24)
(カッコ内は来シーズンの年齢)
なまじ2枚目の選手が経験を積んでしまっているのでドラフトでは少し動きづらいところもあると思うが、希望としては下位でInteriorのデプス要員がほしい。上記メンツのなかでは一番弱いし取り替えたいのがSeumaloのところなのでここの入れ替え、もしくはアキレス腱断裂が癖になっているBrooksの控えという意味でも。
間違ってもFAは要りません。