鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2020シーズン査定(LB編)

TJというと一般にはWatt三兄弟のあいつを思い浮かべられるのでしょうが、PHIの文脈では全然違う選手のことを指します。

 

【2020開幕前】
Stay
:Alex Singleton(19/Street FA)・TJ Edwards(19/UDFA)・Nathan Gerry(17/5)・Duke Riley(19/T/ATL)
OUT:Nigel Bradham(⇒NOのちにカット⇒DEN)
IN:Davion Taylor(20/3)・Shaun Bradley(20/6)・Jatavis Brown(20/UFA/LAC⇒のちにカット)・Joe Bachie(20/NO PS)・Rashad Smith(20/Street FA)

2016にBUFから加入して以来、LBの柱として活躍してきたBradhamのオプションを破棄してリリースした2019オフ。FA市場でもパスカバーできないタックルできないLBである元LACのJatavis Brownだけを補強というか獲得しただけに留まったので、ドラフトの主眼としては“WRの補強”に加えて“LBの補強”が明確にあった。特にLBでいうと、“パスカバーができる”LBが欲しかった。
それが、蓋を開けると1巡のReagorのあとまだまだ即戦力LBと思わしき候補が残っていた2巡ではQBを指名。そして3巡でやっと指名したLBはコロラド大の“Davion Taylor”。LBプロスペクトのなかでは面談回数が一番多かったと記憶しているので指名の気配はあった。ここで来るとは思っていなかったけど。彼は高校時代、宗教上の理由で金曜にはプレーできなかったようで、そのため試合にはほとんど出場できていない男。その後短大を経てコロラド大でプレーするも、評価は「速いが経験不足。素材型。パスカバーが下手。STでは貢献しそう」であった。即戦力が欲しかった。
その後、6巡で地元テンプル大からBradleyを指名。こちらもドラフト時の評価は「速いけどちっさいし、そもそもLBとしてのプレー範囲は広くないからデプス要員。STは優秀。」とのこと。即戦力が欲しかった。
結局、キャンプではGerry→TJという序列が決まったようで、パスカバーが苦手(遅いという評価)なツーダウンプレーヤーとしてのTJが抜けるパッシングダウンでSingletonが絡む、というLBの陣容に固まる。
この時点では「キャップ的にはリーグで1番安い」という事実があったが、もちろん評判も32位。超不安な開幕。

【2020成績】
Alex Singleton
16試合(先発11試合)120タックル(75ソロ)2サック 5TFL/1INT 1TD 1PD
T.J. Edwards
12試合(先発12試合)70タックル(37ソロ)2サック 5TFL 2FF/1INT 1PD
Duke Riley
13試合(先発8試合)55タックル(30ソロ)0.5サック 2TFL 1FF/1INT 1PD

Nathan Gerry
7試合(先発7試合)57タックル(32ソロ)1サック 4TFL/0INT 2PD
Davion Taylor
12試合(先発1試合)10タックル(7ソロ)
Shaun Bradley
15試合(先発0試合)15タックル(9ソロ)1TFL
Joe Bachie
4試合(先発0試合)2タックル(1ソロ)
Rashad Smith
2試合(先発0試合)3タックル(2ソロ)

序盤のD#崩壊の立役者は間違いなくNathan Gerry。この出来を表現する適切な日本語を知らない。平たく言うと、クソ。
文脈として、この人は元々SSとしてドラフト5巡指名されている人である。つまり、期待されていたのはパスカバーである。その男が残した、7試合出場平均の被ターゲット時のQBレーティングが139.8である。ちなみに敢えて補足しますが、QBレーティングの合格点は100で、満点は158.3です。ちなみに、Gerryさんにおかれましては、week2 vsLARとweek5 @PITにおいて、なんと二度も、満点158.3を叩き出しておられます被パス成功率100%についてもweek1~3と5の計4試合で達成しております。すごいですね。よく生きていられますね。とにかくTEのカバーができない。LARの時はブーツレッグに全部引っかかってからの動き出しになるので、Higbeeの尻を追いかける場面ばかりが目に付いた。
その後、Week6のBAL戦では今度はランのホールを盛大に間違えてリアクションしてLamarの独走TDを招いたりド派手なタックルミスを起こしたりと、それはもう凄まじい地獄を演出してくれていた。
彼については、何というか「フットボールが下手」という表現しか見当たらない。S出身ということでHitに自信がなく、OLと勝負しても到底太刀打ちできない⇒急いでリアクションする⇒結果プレーアクションには全部引っかかる、という悪循環。
そしてWeek7を最後にケガ⇒IRというPHI恒例の流れでフェードアウト。さようなら。名前すら聞きたくありません。

その後のPHI D#を救ったのはカナディアンフットボール上がりのAlex Singleton。最初にインパクトを残したのはweek4 @SFのPick6であったが、あの試合の出番は20%そこら。week8以降はほぼ出ずっぱり。体格的にはGerryと同じながら、Hitができるのでリアクションに余裕がある。パスカバーも上手いとまではいかないが、可もなく不可もなし。なによりあのタックル数のスタッツを見る限り、ボールがあるところにしっかりリアクション出来ていたのでしょう。心強く見えた次第。

そして、2年目のT.J. Edwards。Wisconsin大で4年間MLBのスターターを務めながら、プロデーにおいて40yds走で4.87を記録してしまったことでスピード不足を懸念されてUDFAまで落ちた男。しかし期待通りやはりよかった。まずこちらはGerryで見慣れてしまっているので、中央のランでOLを処理してRBを後ろに倒すというタックルを見せてくれただけでお腹いっぱい。
正しくプレーリードができるということはLBにとって非常に重要な資質であると同時に、そこが正確であればプレースピードは十分に補えるのではないかと思っており、4.58で40ydsを走り抜けるどこかの下手クソよりよほど安心してみていられた。
パッシングダウンになると下げられてしまうところはあったが、個人的にはもっと出場時間を確保してほしかった選手。
ゲームプランによってはほぼ90%のスナップで出場していたこともあったので、大きな成長が見られた2年目と言っていいでしょう。最終的にはハムストリングのケガで12試合の出場に終わったが、来年以降への期待は大きい。

Rileyはいいプレーも見ましたがあまり印象がありません。
BachieSmithの二人は途中加入なので大目に見てあげていただきたい。ミシガン州立から2020のUDFAでNO入りしたBachieにはT.J.と被るところもあり期待していたが、まだ何かを見せてもらったわけではない。タイプ的にTJとフィールドで両立することは難しそうなので、まずは来年のキャンプから。

【2021への願望とか】
今後の展開が地味にしんどいユニット。まあ毎年ロクな補強を受けていないのでこうなるのも納得だが。今オフで契約が切れるのが、
Singleton(ERFA)
RileyUFA
GerryUFA
の3名。
一番下のやつは文句なく切ったらよろしいが、SingletonとRileyを残そうにもそもそも彼らが入るキャップスペースがない。なにせ現在43M超過中。
ERFAのSingletonはこうなった以上絶対に残ってほしいし、ミニマムで確保可能。だけど繰り返すがキャップスペースがない。もとが一番安いユニットなのにミニマムで一人もキープできんのか。なんという絶望。

シーズン開幕当初はOffenseの体たらくもどこかで直ると思っていたので、懸念はGerryのところであった。この明確な穴を埋め、なおかつグレードアップもしたかったのでMicah Parsons(PSU)が本当に欲しかった。
ところが、中盤以降まあまあSingletonとT.J.が上手くいっていたので一瞬ここは後回しでいいかとも思っていた。
しかしながら、SBでTBのLB陣を見てしまった。素敵すぎる。ああいうユニットが欲しい。

だけどまあ全体バランス考えるとやはりオフェンスで6位は使いたいのでParsonsが来てくれることはなさそうですが、3巡ぐらいで一番いい選手が欲しいです。やはりパスカバーが重要。1年キープするSingletonの出番を奪うような柱になる選手。
だけれども、くれぐれも申し上げたいのは、“LBとしてのパスカバー能力”が重要だというところ。決してSを持ってきたらいいというものでもない。
その失敗はGerryで十分。
やはりLBにはランストップから入っていただきたいという所存です。

しかし何年続けて「3巡ぐらいでいいLBが欲しい」と思わされるのか。いい加減にしてほしい。