鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

トレードダウンの狙いとFA市場の整理

数少ない毎週入れているエンタメの一つがオードリーのオールナイトニッポンなんですが、その中で若林さんがHopkins以来のごたごたをもってHOUファンを辞めた心中を吐露しておられた。
HOUファンの皆さんにおかれては心中お察しするしかない。偶然、本当に奇跡のようなことが起きて、たまたまSBに勝てたことで若干救われているが、明日は我が身。
フィールド内の戦力とかコーチ陣だけでなく、フィールド外のフロントの巧拙も含めてNFLのすべてがエンタメだと理解はしていても、災害のような理不尽が贔屓に降りかかってくるとイライラして本当に眠れない夜が来るのが腹立たしい。ニュースが主に寝る前に入ってくる時差までも憎い。
というわけでうちのフロントに巣食う理不尽が主導しているFA市場におけるこれまでの動きです。

 

【6位⇔12位トレードの考え方】
レシーバーには”X””Y””Z”という呼称があり、”Y”は主にTEのことなので、純粋なWRには”X”と”Z”があるとお考え下さい。近年一般的となったスロットは”S”という呼称が当てられている場面をよく見る。
“X”と”Z”はそれぞれオフェンスの大外にアラインする“NO.1”のレシーバーであることは共通するが、その違いの最も大きなものは“アライメントが1線目であるか否か”というもの。
“X”と”Y”が1線目にアラインし、”Z”が2線目にアラインすることが一般的。
そのため、求められる能力としては、アラインする深さの1~2ydsの違いによって、1線目の”X”はCBからのプレッシャーを受けやすいことになるため、”Z”より屈強でリリースが上手いことを求められる、と個人的には理解しているところ。つまり、"Z"と”S”は求められるものが似ているが、”X”はパワーまで求められるという点でちょっと異質だという理解。
そして、PHIの事情としては、2021からはReagorを”Z”として起用するため、“X”のWRを欲しかった様子。
これまで"X"はJefferyが長らく務め、その不在時にはFulghamがメインで務めていたと理解している。要はFulghamを置き換えたいということ。しかしReagorは確か3 coneのタイムが7.31とかいうこのサイズにしては異次元の遅さだったけどそういう細かい動きできるのかね。比較対象としては、このタイムが大きな要因となって2巡後半までスリップしたDK Metcalf(SEA)の7.38が挙げられます。なお、彼はReagorと比較すると15キロほど体重は重いです。

2021ドラフトにおけるWRプロスペクトの中で、”X”として高い評価を受けていたのがJa’Marr Chase(LSU)。
例えば残りのWR有望株として挙げられるDeVonta SmithJaylen WaddleのAlabamaコンビはどちらも小さく線が細い。確かにBAMAで大外はやっていたが、スロットが1線目にアラインして比較的ラクなSやNCBとかとマッチアップし、大外は2線目、というようなスキーム上の工夫がなされていたのでプロで”X”を張れるかは未知数。FloridaのKadarius Toneyも同様。同じくトッププロスペクトであるRashod Bateman(Minnesota)は6-2(約188cm)でサイズは十分ながら、カレッジではスロットもしくは”Z”の起用がメイン。そして彼らはその器用の幅とかサイズの問題とかでChaseよりは少し評価を落とす。

つまり、RosemanはどうしてもChaseが欲しかったと。そして、彼が仕入れた情報によると、「どうも5位のCINがChaseをスルーすることはなさそう」という見込みが高まったため、そうであれば、ということで一度12位に落としたMIAとのトレードを肯じたということだったよう。確かにChaseが5位に残った場合、Burrowの元相方をCINがピックするという考え方に一定の合理性はありそうだが、そうだとしてもこのタイミングで落とすべきだったのか。SFが3位まで上げた時点で、5位にChaseとSewellが残るシナリオは十分に考えられるが、そこでBurrowの負傷の経緯を考慮した際、本当にCINのピックはChaseしかないのだろうか。確かにわからない。わからないのであれば、当日まで待ってもよかったのではなかろうかと。
つまりこのトレードは「Reagorという過去の投資に縛られたもの」だったという結論。おわかりいただけただろうか。こいつが全く成長していないということを。失敗の影響を最大化する、という点で彼は名手である。まさしく災害。まさしく理不尽。
6位に残ればもしかするとPittsもChaseも残っていた可能性があるし、カレッジで”X”としても実績を残しているPittsなんかが獲れれば最高であった。そして両方とも残っていなかったとすれば、QBもしくはSewellで非常においしい商売ができたであろうに。QBでの商売がうまくいけば2022の1巡指名権もMIAよりもっといいものが獲れたのではなかろうかと。
というわけでまだまだ未練はある。
願わくば、彼ら二人はあのプロデイでの評判をもって、是非5位までに消えていただきたい。CINがChaseをスルーしたら暴れる。

 

【出ていく方のFA】
以下、本当は本題にしようと思っていたFAの途中経過です。
<カット組>
WR DeSean Jackson:彼にとっては地元にもなるLARへ。WAS時代に自分を上手く使ってくれたSean McVayとの再タッグ結成。ケガさえなければまだまだやれるはず。しかし単年契約で4.5Mはお安い。10M以上払ってたチームがあるとは信じられない。

DT Malik Jackson:昨年のチーム反則王はCLEへ。いいとこ行ったな。パフォーマンスだけを見ると、十分にFletchの2番手を務められていた男ですので最後の花咲かせてください。

その他契約先未定:
S Blake Countess
DT Treyvon Hester
WR Alshon Jeffery
WR Deontay Burnett
期待していたBurnettは“non-football injury”でWaiver。なにをしたんや。バスケかな。

UFA
無制限FA。まずは新所属が決定した人たち。

S Jalen Mills:開場初日にNEへ。年平均6M程度で4年契約。スタッツ的にもSとして才能を開花させつつあったのでケガには気を付けて頑張ってください。

S Rudy Ford:こちらも初日にJAXへ。STerとしては信用に足る選手なので頑張ってください。

LB Duke Riley:STキャプテンも流出。こちらはMIAへ。STキャプテンと言いながらLBとしてもたまにいいプレーを見せていた印象。Kamuのような活躍が目に浮かぶ。やはりいいコーチを揃えることが強化には一番必要なことなのだと思います。

DE Vinny Curry:なんやかんや毎年いるから結局今年も残るのかと思いきや単年契約にてJetsへ。

LB Nathan Gerry:こいつに行き先なんてないと思ってましたよ。残留じゃなくて本当に良かった。SFに行っても面白映像を期待してます。

出戻りが1名。
DT Hassan Ridgeway:契約の詳細はよくわかりませんが、とりあえず2021はPHIに残留。Malik・Hesterがいなくなって薄くなったDTのデプス要員としては割と期待できる方なのでこの動きは良し。

以下、新所属未定の人たち。
RB Corey Clement
CB Cre'Von LeBlanc
T Jason Peters
CB Nickell Robey-Coleman
TE Richard Rodgers
QB Nate Sudfeld
どうしても残してほしいというメンツがいるわけではないが、RodgersはErtzの動きが固まり次第新契約の話をするのでしょうね多分1年で。しかしErtz決まらんな。
それ以外に残ってほしい人はいません。

<RFA>
実質的な登録歴が3年以下で契約切れとなった選手に適用されるFA。制限付きFA。それでも出ていくというのはテンダーオファーを前所属チーム(PHI)が出さなかったから。
P Cameron JohnstonHOUへ。いいPunterではあったが、元がUDFAのためPHIが最安テンダーオファーを出しても意味がなかったところ。仮に対価があるテンダーオファーを出すとしたら2巡相当のものだったが、それでいうと3M弱を払う必要があったが、そんな金はないので意味のないオファーを出さずに放流したものという理解。見事に攫われてHOUへ。そんな高くなかったと思うけど。ロスターに残るPはSipossのみ。彼が何者かは全く存じ上げない。

その他、TE Joshua Perkinsにもテンダーオファーを出していないので所属先未定。戻ってくる選択肢も消えてはいない。

<ERFA>
実質的な登録歴が2年以下で契約切れとなった選手に適用されるFA。これはチームがオファーすれば、選手はサインしてリーグミニマムで1年プレーするか、サインを拒否して1年浪人するかしか選択肢がないという過酷なもの。他チームとの交渉は不可。この辺り、極めてアメリカ的。
LB Alex Singleton
WR Greg Ward
RB Boston Scott
めでたく全員サイン。特に上の二人は安いとはいえそれぞれユニットの中核。お気張りいただきたい。

 

【入ってくる方のFA】
<カット組>
こちらはFA市場開幕前から契約可能だったもの。対象は1名。
CB Shakial Taylor:2019にカンザス大からUDFAでIND入り。ルーキーでは5試合にプレー。その後INDをカットされ、DEN⇒NYGと流れるが、2020はNYGでオプトアウト。シーズン終了後にWaiverに賭けられたところをPHIが獲得。ロン毛。経歴からお分かりの通り、ルーキーのIND時代は新DC Gannonのもとでプレー。サイズはMaddoxよりはるかに大きい6-0(約183cm)なのでまあCov.2っぽい人選。だけどMaddoxと同じくロン毛。

UFA
S Andrew Adams:前TBの元NYG。2018に一瞬ブレイクしかけたが、結局2020は23スナップしかD#に登場していないので、ほぼSTer。Fordの後釜。

S Anthony Harris:来てほしいけど来ないだろうな、と思ってたら本当に来ちゃった大物。2015のUDFAでのプロ入り以来一貫してMINに所属。タグを貼られて迎えた2020シーズンに成績を急降下させ、単年5Mという安さでPHI入り。接点としては、またしてもDC Gannon。そしてS McLeod。GannonがMINの時代に3年間の付き合いあり。そしてMcLeodとはカレッジ(Virginia)時代のチームメイト。ラップ期間は1年間のみながら、同じポジションということもあり、McLeodから受けた影響は大きかったよう。
パスカバーに関して定評があるが、一方でランストップもかなり優秀なFS。開幕が危ぶまれるMcLeodの後釜としてFSに綺麗にはまりそう。SSは2年目のK’Von Wallace。こいつは早速真価を問われることになるが、それぐらいのプレッシャーはあって良さそう。守備範囲小さくてよければそれなりにやれそうですし。
Harris本人は、2020に成績が下降した原因について「よくわからないが、多くのことをやろうとしすぎた気はする」という発言をしている。Gannonの指導のもと、全盛期を思い出していただきたいところ。これは是非ともいい補強になっていただきたい。
これにて一旦S問題は解消。

QB Joe Flacco:元SB MVP。前NYJ。ちびっ子のころからのPHIファンがおじさんになって帰還した形。彼の獲得について物議をかもしているのが、その金額の高さ(去年が1.3M⇒今年は3.5M、最大7.5M)だが、これは2019のケガの影響によって2020のサラリーが低すぎたのだと思うしかない。そしてそのケガのリスクが減った今年、これぐらいになるのはまあやむを得ないのでしょう。何よりこの金額はQB3に払うにはあまりに高いので、念願のHurts先発がほぼ確定した形。
市場に残るQB2候補を見ていた当初、Flaccoだったら嫌だなあと思っていたのは主にそのぎらついた(ように見える)顔。しかしよく考えると彼ももう36歳。さすがに落ち着いていると信じたい。PHIには38歳になっても全く金銭面でのぎらつきが止まらないOTがいましたが。
しかしFlaccoが“メンター”的なポジションを全うできるのかは全く読めない。FolesにしてもMcCownにしてもその点は完璧に見えたので、ここが懸念点。これはDarnoldを見ていての感想ですが。まあHurtsにしてみるとWentz⇒Flaccoなら問題ないのでしょう。
タイプ的にあまりにHurtsと異なるので、QB3はその点で少し機動力があるタイプを獲ってくるのではないかという予想。その後のトレードによって12位まで落としたPHIにこれ以上のQB論争は不要です。

 

それにしてもCB2をどうする気なのか。NYGに行ったAdoree Jacksonには食指を伸ばしていたのでその気はあるのだろうが。現時点ではT.J. Carrie(前IND、元OAK・CLE)に興味があるという噂なのでこの進展を待ちたい。