鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

6月1日

現地が6月1日を迎えた。我々の世界では別れの季節である。
この日の特別さは、サラリーキャップの計算方法によるもの。そして、我らがPHIがいよいよNFLトップに立ったものがあります。

 

【6月1日の意味】
この日以降、NFLではデッドマネーの扱いが変わります。これ以降、保証サラリーを除いて、残りの契約年数でのデッドマネーの分散計上が可能になる。

PHIの例でいうと、ちょっと変化球ではあるがErtzがわかりやすい。
彼のキャップヒットは以下。
2021:ベースサラリー8.5M+再構築サインボーナス4.2Mの合計12.7M
2022:契約なし。ただし、再構築サインボーナスがあり、それが3.5M
うち、デッドマネーは再構築サインボーナスの4.2M+3.5Mで計7.7M

こいつの場合、契約は2021のみだが、度重なる契約再構築により、2022にも3.5Mのキャップヒットがあることによるややこしさ。これが変化球の理由。

5月31日までのカットもしくはトレードの場合、この7.7Mの全額を2021のデッドマネーとして計上する必要があるが、6月1日以降のカットもしくはトレードであれば、
2021・4.2M、2022・3.5Mという分散計上が可能になり、2022に移る3.5Mだけ2021のキャップセーブが可能になるというもの。

単に先送りしただけですが。

 

【Zach Ertzの行方】
PHIのキャップ状況の話を続ける。
NFLの場合、各チーム2人まで指名できる「6月1日指定カット(post-June 1 designation cut)」という制度があり、要はサラリーキャップの計算上は上記6月1日以降のカットとして後年度に分散計上を行うが、身柄はFA市場開場と同時にリリースする、というもの。
PHIの場合既にCLEと契約済みのMalik Jacksonと未だ転職先が見当たらないAlshon Jefferyがそれにあたる。
この2人分のキャップが6月2日に合計4M程度空くことになり、それをもってPHIのキャップスペースは6Mとかになる予定。これで恐らくドラフティー全員と契約は可能になるため、当面はこれで良さそう。

 

つまり、現地報道のサヨナラErtzムードとは裏腹に、ファイナルカットが近づけばまたサラリーの状況は変わるが、現時点では無理にErtzを放出する理由が見当たらない。
UDFAを1枚追加しただけでドラフトでもFA市場でも誰も獲得しなかったことを見ると、意外とこのままシーズンインという可能性もなくはない。

ちなみに、Sirianniが2TE隊形を好むという話もあったが、PHIというかPedersonの2TE隊形からパスをとにかく投げるスタイルとは違い、INDの場合2TEからのラン比率が非常に高かったようで、実はSirianniにとってレシーブ型TEのプライオリティはそこまで高くないのではないかと睨んでいるところ。
というわけで、Ertzに拘ることもなさそうだが、一方で残留ももしかしたらもしかするかもしれない。

そして、これがそう見せかけるための動きなのであれば、つまり、「PHIは絶対にErtzをカットする」ということが他チームに見透かされていれば当然トレード価値などない(単年8.5MでErtz、という契約が安いと映る場合はこの限りではない)ところ、トレードの対価を引き出すためにErtzありきっぽい状況を作り出しているのであれば、そして実際にこれで対価を引き出すことができれば、Rosemanは悪魔の化身かなにかと思わざるを得ない。

嘘みたいな話だが、実は今のPHIに明確な補強ポイントはないと思っている身からすると、来年の指名権をもらえるなら良し、選手とのトレードなら却下、と考えているところ。
もちろん補強ポイントがないというのはそんなに浮かれたものではなく、「高額おじさんさもなくば評価が定まっていなかろう若手」という極端なロスター構成になったことによるもの。
高額おじさんポイントに欲しい選手などいないし、じゃあLBとかCBは?となっても、TJとかMcPhearsonの出番を奪わないでほしいと涙を流して懇願したい。この辺りはもう好みの問題ですし異論は多々あるでしょう。この感情が贔屓だということも理解しているつもりです。
結論としては、Ertzで指名権が対価としていただけるならなんでもありがたい。最高で2022の5巡ぐらいでしょうか。

 

【祝・NFL首位】
もうお気づきだとは思いますが、もちろんそうですデッドマネーです。
気が早いOverTheCapさんによると、Malik(3.6M)とJeffery(5.6M)のデッドマネーを追加したことにより、PHIのデッドマネーはNFL首位の49Mになりました。めでたいですね。というかまだ確定ではないですが、歴代最多でしょう。
2位は42.7MのCARだそうです。ここは再建とKuechlyの引退の影響が効いているようですね。
意外と僅差でぼやけてしまいますが、この差の6Mとかで今年なら大物CBが一人入りますからね。それぐらいシリアスな差です。最下位のINDは0.2Mだそうです。この差。

確認しておくと、2021のサラリーキャップは182.5Mで、2020からの繰り越し22.8Mを加えたりしたPHIのキャップ総額は207Mとかそれぐらい。そのうち約50Mがいない選手への支払いです。つまり戦力の25%が無駄遣いになりますね。
ドラフトやらなにやらで浮かれがちになってしまいますので、自戒も込めて以下もう一度貼っておきます。

 
上のチームの戦績を平均してみると今年はやっぱり4勝とかですかね。そういう腹の括り方をしておきたいと思います。

 

以上、水を差して終わります。