実は下位指名群のなかで一番興奮している指名がPHI最後の指名となった彼。
7-234 DE/LB Patrick Johnson(Tulane)6-2 240lbs
【生い立ちからTulane】
Tennesseeはチャタヌーガ出身。124.0サックで未だPHIのオールタイムサックリーダーかつホールオブフェーマーである偉大なるReggie Whiteと同郷。
Patrick自身が「チャタヌーガ出身でPHIに指名されたのはWhite以来らしいよ」とカレッジ時代のHCに話しているようなのでこの指名には本人も興奮している様子。
Notre Dame高校ではTE・LBとしてプレー。2-starリクルートとして主にFCSレベルからのオファーが多かったようだが、FBSレベルではCentral MichiganやFlorida Atlanticのオファーを蹴ってTulane入り。
TulaneではトゥルーフレッシュマンからDEで活躍、Ohio StateやOklahoma相手にサックをかますなど当初から素材は素晴らしかったようで、器用すぎたこともありその後パスラッシュを生業としながらもDEやLBなどポジションをちょこちょこ変えた。この点がサイズ同様にトゥイーナーだという評価になったのかもしれない。
結局積み上げた24.5サックはTulaneのオールタイムサックリーダーなので残した成績は立派。
2020にTulaneのDLCに就任したByron Dawson(高校レベルでの指導経験が豊富で、2005~19までの15年間指導したEvangel Christian Academyからは1巡でLARに指名されたJerry Tillery(ND)を筆頭に3名の高校オールアメリカンを輩出)の指導により、その技術レベルは格段に進歩したそう。
【人柄】
文句なし。
Tulaneでもキャプテンだし、コーチからは「あいつがどこにいるのかすぐわかる」と言われるぐらいフィールドでは元気いっぱいで、ロッカールームやハドルの空気を前向きに変えていくことができる人柄だとのこと。
サザンアイビーの1つに数えられる名門難関大学にあって、3年半で単位を取って卒業したところからも学業面での優秀さはうかがえる。
【選手としての評価】
<長所>
・手の使い方が上手
・ブロックに対してヒットする技術が高い
・小さい割にコンタクトは強い
・パスラッシュの足捌きはスムーズ
・LBとしても、ブロッカーへの嗅覚は優れてい
・コーチングに対して熱心に耳を傾ける
・カレッジ時代の実績あり
<弱点>
・サイズが小さい
・腕が短い
・NFLレベルで“強い”とは言えない
・手の使い方は上手いが、一度組まれると苦労する
・ランゲームでのアンカーがやや弱い
・2019に肩の関節唇を損傷した前歴があり以降のプレーにやや影響あり
・フィットするスキームを選ぶ
以上が、ドラフト前の評価。
【希望】
このドラフトではTulaneから2名指名されたが、もう一人は4巡111位のCameron Sample(CIN)。PatrickはSampleの逆サイドの相方。映像を見ている限り、Sampleのほうがこんなに早く選ばれる理由はあまり見当たらないというのが率直な感想。とはいえドラフト前の評価からすでにSampleは「4巡相当」という評価をされていたので何かはありそう。
この順位で指名された選手に当然期待されるSTでのプレーも、カレッジ時代から積極的に取り組んでほぼ全スナップ出場していたこともあり、HCは太鼓判を押しているのでやってくれそう。
個人的に興奮している理由は、映像からうかがえる技術レベルが非常に高いこと。ランプレーの際のプルアウトしてくるOLとの当たり方なんかは完成されている感があって非常に頼もしい。天井という意味ではあまりないのかもしれないが、運動能力も高そうなのでただのいい奴では終わらない気配がする。(個人的願望)
春のOTAでは、LBのドリル中に、Joe Ostman、Genard AveryとPatrick Johnsonの3人が従来のOff-Ball LBとは別ユニットとして練習を行っていたという目撃情報もあり、Gannonがトゥイーナーパスラッシャーたちをどう生かすかは非常に興味深い。
果たして53人のうちこのポジションに何枠割かれるのか全く分からないし、そして多分偉大なるRyan Kerriganもこの枠に入ってくるとは思うが、是非とも生き残ってほしいというのが本音です。
TulaneのBowl Gameは欠場しているが、これは直前に父親が急死したことによるもの。
そんな悲劇は世の中に山ほど転がっているのだろうが、そういう悲劇を乗り越えた男はひと味違うのではないかと思いたいところがある。
7巡234位と言えば“UDFAで声掛けても来てくれなさそう”という選手を指名するゾーンだと認識しているし、チーム側も認識しているとおりPHIのDLというかパスラッシャー陣の層の厚さでは彼のロスター枠確保は相当に難しそうだが、そんな逆境でもめげずにアピールしていただきたい。
そして一日も早くGannonの懐刀となって要所でフィールドに出てきて活躍してくれるのを楽しみに待ちたい。