本当はMilton Williamsがどれだけ成長しているのかを知りたくてコーチフィルムを見始めたら、妙に見覚えのない隊形があったのでちょっと調べた次第。
シーズン序盤に殴りたくなるぐらいストレスを提供してくれたあいつがちょっとずつアジャストしてきていますよ、という話。
■Base
Gannon D#におけるBase隊形は以下のようなもの。
S2枚が非常に深いこれがBaseのCov.2。4DB+ILB2枚+SAMという人員構成。
ILBの片割れがゴミだったことも相まってこの隊形には本当に良い思い出がない。
OTの内側に構えたDEが一旦外に出てからパスラッシュをする必要もあったのでプレッシャーなんか全くかからないしSAMもよく言えば"ハイブリッド"だが悪く言えばLBとしてもDEとしても中途半端なAvery。
そしてDB2枚はパスならここからさらに下がる。結果として広大なフィールドがLB2枚に託されることとなって崩壊。
目指していたのがどんなものかは今となっては不明だが、たぶんこれをやるためにはモンスターILBが必要。故Eric WilsonとSingletonには無理だった。
かくしてリーグ最底辺D#が完成。
■Nickel
Baseよりちょっと頻度は少なかったかほぼ同等だったかで使われていたのが以下Nickel隊形。
Baseとの人員比較で言うとAveryがOUTしてMaddoxがINとなる5DB隊形。
こうなるとDLが慣れ親しんだ4menの構え方になるので両DEも比較的パスラッシュはかけやすそう。そもそも序盤からNickelで構えた時の方が止まっている感覚はあった。
そして先ほどのBaseの隊形はWeek1の映像だが、こちらは直近のWeek11のもの。ご覧いただけばわかりますが、S1枚はこのままBOXぐらいまで上がっております。そうです。なんとCov.3ができるようになりました。
なぜかMaddoxがBox内でも働けるという意外な一面を発揮しているので、この隊形はDBを増やしているのにランストップまでできるという思わぬ収穫がありました。本当にMaddoxとの契約延長は朗報だった。
しかしNickelにしたとてLBは2枚。そしてOffenseの人員に関わらずLBを2枚以上配置することにGannonが固執していることを逆手に取ったのがあのAndy Reid。
あの名伯楽相手にこういう見え透いた弱点を晒していると当然衝かれる。
かくしてEric Wilson vs Treek Hillという地獄が演出される。
Tyreek Hill with 5 catches 85 yards and a TD
— John Clark (@JClarkNBCS) 2021年10月3日
Eric Wilson is not stopping that TD
pic.twitter.com/DN8DRAsGlq
上のプレー、セットがわかりにくいが、Empty Formationだった。これに対してLBが2枚いるとどうしてもこういうミスマッチは起こる。
この惨劇を受けたKC戦後、さすがに見かねた記者からGannonに対して「DIMEパッケージを見ないが、キサマのすっからかんの頭の中にそういう思想はないのか」という問いが入る。その時のGannonの回答は「今はDIMEのチームではない」とのこと。
その回答を受けての記事には失望色がたっぷりと出ていた記憶があるが、賢明なるGannon先生におかれてはちゃんと「今は」と答えていたように、その後DIME導入を用意していたよう。
■DIME
満を持して先週?ぐらいからお目にかかるようになったDIMEパッケージ。ILBは一番パスカバーが安定しているSingleton1枚となり、S EppsがINする6DB隊形。
ここのところ安定して3割以上のスナップでプレーするなど出番を増やしているEppsだが、これが非常に良い。
マンツーマン比率がだいぶ増えるなか、ちっさいがしっかりTEないしはSlotをカバーできているのでこれはこれで良し。
DIMEになるのは3rd&Long等のパスシチュエーションがメインだが、ここからEppsとMaddoxをBlitzに入れて6menラッシュにするなどDBで遊ぶことも多くなってきた。
そして一目瞭然だが、Sの位置がWeek1より5ydぐらい上がってきた。まあ状況に依るんだろうが、深いクッションでフワッと守るだけではもはやなくなっていますよ、というお話。
Nickel・DIMEが増えることによりBaseは減少。最盛期(Week6 TB戦)に50%を超えていたSAM Genard Averyの出番は、Week11にとうとう過去最低の6%(4スナップ)にまで低下。
しかしAveryは本当にかわいそうだとしか言いようがない。本人は悪くないが、結局何を目的に獲得したかわからぬまま今年限りとなりそう。そしてPatrick Johnsonの存在も宙に浮く。
Blitz率もそれなりに増加、当初は退屈なCov.2のみだったカバレッジも、直近ではリーグ中位ぐらいまでマンツーマン比率も増加。
前任者Jim SchwartzはDLの運用と育成において達人であった。それをいまもTENで発揮している様子。Jeffery SimmonsがかつてのFletcher Coxになる日も近かろう。
ではGannonはというと、当初は罵詈雑言しか出てこなかったが、いま冷静に振り返るとDBの運用と育成についてなかなかいい腕を持っている様子。
Slayの復活もMaddoxの覚醒も彼のおかげと言って良いのでしょう。このまま引き出しにあるものを小出しにしていっていただければ来年も続投いただいてよいかというのが今の感想。
自分がやりたかったパスアタックを、手元の選手に合わせてRun the Ballに切り替えてチームを上向かせたSirianniといい、もしかしたら当たりかもしれない。
まあこんなものは今週次第ですぐひっくり返ってFangio DC待望論を叫ぶことになりますが。
ちなみにMiltonはいい具合に成長しているようです。意外とランストップが向上しているのが印象的だった。この調子で頼みます。