鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2021 Week17 @WAS感想

案の定立ち上がりからリズムは悪かったしまるでシーズン序盤のような負けパターンのような試合運びだった。特筆すべきエラーがない「力負け」という嫌な表現もチラついたが、大ケガからの復活のシーズンで屋台骨としてチームを支えて牽引し続けた男の大仕事で見事な勝利。

 

結果PHI 20-16 WAS

本当に素晴らしかった。これで9勝7敗となり、SNFでのMINの敗北で最終週を待たずに第7シードながらプレーオフ進出が決定。

 

■展開の振り返り
・Heinickeの躍動とJaret PattersonとかいうUDFAのルーキーRBが止まらず6プレーであっさり先制を許す最悪の立ち上がり。(0-7

・返しではDeVontaへの長いパスを通して敵陣に入るが、想定通りランがあまり進まずギャンブルも失敗。その後もHeinickeが全くパスを失敗しない展開でFGを許す。(0-10

・さすがにこれ以上離されるとつらい状況で、2Qにかけて3TE隊形を多用。これが上手くハマり、BostonのランとGoedertへのパスをメインにたまにBostonへのパスなんかも使ってじわじわと敵陣ゴール前に侵入。4th DownまでかけてBostonのインサイドへのランでようやくTD。(7-10

・しかししかしまたしてもDefense不在。ゾーンに入ったかのようなHeinickeと地味なPattersonのランが止まらず。Sweatのサックとナイスプレッシャーで何とかFGにとどめるが嫌な感じは継続。結局この後の返しのPHIシリーズもダウンこそ一度更新したがHurtsがサックを浴びてパントに。その後も先方Offenseを止められる気配なくFGを許す。最悪の流れのまま前半終了。(7-16

・PHIのリターンで開始した後半。ようやくOffenseが何かを思い出す。2ポゼッション差、Defenseは止めた実績がないという結構追い込まれた状況下。こういう時に頼れるのはやはりGoedert。ここへのパスとBostonのランで順調に進む。途中迎えた3rd&14という大ピンチにはプレーが崩れてからGreg Wardに27ydsのパスを通して1st Downを更新。最後は4th&G(敵陣2yd)からDickersonかKelceに足が引っかかったHurtsが曲芸のようなトスでBostonにボールを託し、GoedertとDeVontaのナイスブロックにも助けられTDラン。何とか2点差に追い上げ、後はDefense次第。(14-16

・ここでGannonのお目覚め。凝ったデザインのZone BlitzからSweatのサックが飛び出して初の3凡。次のシリーズでは覚醒気味のAveryにもサックが出るなどようやくWASのOffenseを把握し始めたのか以降はほぼ完璧な封じ方。Scott Turner(WASのOC)の課題は後半のバリエーションです。
ところがOffenseもそれに付き合い、その後3Qは得点動かず。4QになってHowardがそれなりに機能したりDeVontaもいつも通りだったりでFGを2発。(20-16

・久しぶりの勝っている接戦でドキドキしたが、残り2:21からのWASのシリーズがまあ進む進む。Pattersonへの短いパスが全く止まらず、ずるずるとゴール前20yd地点へ。ここでHeinickeも焦ったのか、S HarrisがしっかりカバーしていたTE Batesを狙ったパスはオーバーしてエンドゾーンのMcLeodの手の中に。この表現では伝わらなかろうが、ダイビングでの華麗なINTであった。本当に声が出た。声が出たのはWardのキャッチとこのプレーと3回のサックであった。結構楽しんだ。結局後半は立ち直ったDefenseが完封して試合終了。

 

■主なスタッツ
<Offense>
投げる人
#1 Hurts:17/26(65%)214yds 0TD 0INT LG 30yds レーティング90.9 サック1

走る人
#35 Scott:14回47yds(Avg. 3.4yds)LG 14yds 2TD
#1 Hurts:7回44yds(Avg. 6.3yds)LG 22yds 0TD
#24 Howard:11回26yds(Avg. 2.4yds)LG 7yds 0TD
#14 Gainwell:1回4yds(Avg. 4.0yds)LG 4yds 0TD
#18 Reagor:1回▲3yds(Avg. ▲3.0yds)LG ▲3yds 0TD
合計:34回118yds(Avg. 3.5yds)LG 22yds 2TD

捕る人
#88 Goedert:6/7 71yds(Avg. 11.8yds)LG 18yds 0TD
#6 Smith:3/6 54yds(Avg. 18.0yds)LG 30yds 0TD
#35 Scott:4/4 39yds(Avg. 9.8yds)LG 19yds 0TD
#84 Ward:2/2 35yds(Avg. 17.5yds)LG 27yds 0TD
#16 Watkins:2/4 15yds(Avg. 7.5yds)LG 10yds 0TD

<Defense>
パス:27/36(75%)247yds 0TD 1INT LG 25yds レーティング81.6 サック3
ラン:22回94yds(Avg. 4.3yds)LG 11yds 1TD

<Special Teams>
蹴る人
#4 Elliott(K):FG2/2(100%)LG 42yds・XTP2/2(100%)
#8 Siposs(P):2回74yds(Avg. 37.0yds・NET 37.0yds)LG 39yds Inside20:2

走る人
PR Reagor:1回7yds(Avg. 7.0yds)LG 7yds 0TD
KR Gainwell:2回21yds(Avg. 10.5yds)LG 21yds 0TD

<Penalties>
Offense:3回20yds
Defense:3回22yds
96番:なし
ST:なし
合計:6回42yds

 

■良かった人
Hurtsとレシーバー陣
この試合でチームを救ったプレーに順位をつけるならその筆頭は間違いなくWardに通した3rd&14のプレー。映像は以下。

シーズン序盤にはこういったプレッシャーを受けてポケットから逃げたあとにプレーが決まることはそう多くなかったと思う。DeVontaは最初から出来ていたが。
この点に関してOCのSteichenだったかSirianniだったかが「プレーが崩れたらレシーバーはQBが流れるのに合わせて浅いZone・深いZone・中間のZoneにばらけて流れなければいけないが、それが出来ていない」というようなことを言っていた記憶がある。今日についてはこのWardのプレーにしても別でGoedertにもあったが崩れてからのHurtsのプレーメークの力には目を細めた。

良いコーチングを受けているのか、レシーバー陣との息が合ってきたのか、Hurtsが成長しているのか、恐らく全部だと思いますが、こういうチームとしての成長が見られたのは本当に素晴らしいことでした。

DL陣
願えば叶う。Sweatが期待通り久しぶりの複数サックとなる1.5サック。Averyが1個。Coxが0.5個。WASのOTはケガでやや落ちているとは聞いていたがSweatはよくやっていた。Gannonのデザインも良かったと思います。文句ありません。素晴らしい出来でした。
ちなみにSweatはサックの他にもPBU2発と大活躍であった。本当に腕が長い。
じゃあまずはSweatの2発から。

こちらはAveryのサック。つよつよなんである。

ちなみにであるが、地味にうれしかったのは、MiltonがPBUを1つ記録したことである。これは泣ける。何がかというと、こいつのドラフト時の粗削りだという評価の1つとして”PBUがカレッジ通算で1つしかなく、パスレーンを読むのが苦手”というものがあった。シーズン終盤になってここにも成長が見られた。素晴らしい出来事でした。

Averyは自身の反則で取り消しとなったが、序盤にINT未遂もあった。パスカバーでも成長しているのか。たまりませんね。

McLeod
やはり1年前のACL断裂はこれまでのキャリアでも一番つらい出来事になったとのこと。
そこからどう立ち直ったかを問われたインタビューで、
「いろいろつらいことを経験したが、大事なのは強くなる方法を見つけることだけだよ。失ったと思ったものから何かを得ることだってできる。最低の状態に置かれたときに、どのような気持ちになるのか、どのように耐え忍ぶのか、どのように立ち上がるのか。そのすべての経験が、自分を自分たらしめている。俺はどこまでいってもアンダードッグだよ。高校卒業時には5つ星じゃなかった。3つ星だった。大学でもケガをしてプロ入りもドラフト外だし。だけどそこから10年この世界でやってきた。ずっとアンダードッグの物語だった。俺にとっては”やり続けた”ということが全てだよ。今回のケガもそうだ。これまでで一番つらいケガになったが、家族がいた。妻がいた。俺を知るすべての人たち、メッセージを送ってくれたり、電話をくれたりした人たちがいた。こういう人たちのためにやってきた。自分に与えられたサポートへのお返しのためにやってきた。これまで支えてくれた人たちを失望させるわけにはいかない。」
だと。
うちながら泣いている。
なんて得難いリーダーなのか。コミュニティに対しても積極的に発信するし子供の支援に熱心だったりという人格者。この試合の前にも全体ミーティングでチームを引き締めたと伝わっているし、2勝5敗となったLVからの帰りの飛行機のなかで空中分解しかけたチームを結びつけるべく話し合いの場を持ったのも彼だと聞いている。その後チームはなんとプレーオフに行けるまでにバウンスバックしました。
KelceといいLaneといい、こういうベテランに少しでも報われて欲しい。だからプレーオフに行けることにはとても大きな意味があると思っています。
ではそんな苦労人の最高のプレーの映像を。

Mailata
スニークでこんな押し込むのはさすがに笑う。超人。

 

■悪かった人
なし。Reagorは今日も描写できないほどひどかったが気分がいいから言わない。
そういえばJeffersonはまだプレーオフに出られないらしいな。Reagorは出るけど。そしてこの比較にあまり意味はないけど。

 

■今後
第7シードなのに第6シードより先にプレーオフが決まっちゃったのは、現在成績が9-7で並んでいるSFには直接対決で負けているが、9-7でNOと3チーム並んだ場合には、3チームの直接対決がなかったため地区内成績での比較となり、地区内で既に4敗しているSFが脱落することになるから。(PHI・NOはいずれも地区内3-2)
なのでPHIはNOが来たら直接対決の結果で第6シードになり、SFが来たら第7シードになるというからくり。

ちなみに今後の組み合わせは以下の通り。

見ていただければお気づきになるかと思うが、PHIのシード順位が何位になるか、ワイルドカードゲームでの対戦相手が誰になるかとPHIのDAL戦の勝敗は一切関係がない。初戦から@TBとなるのは一番避けたいが、ここは完全なる運任せ。

なのでDAL戦は完全無欠の消化試合。なぜかスケジュールが目立つところに調整されたが、完全なる消化試合。HurtsとGoedertとDeVontaは出なくても良い。

まあPHIにあるものが”勢い”だけなのだと思うならDALに全力に勝ちにいって波に乗ることを選んでも良い。どっちでもよろしい。

 

しかしあの暗黒のタンクゲームからたった1年でまさか本当にプレーオフに返り咲けるとは…猛烈に感動している。対戦相手はずっと弱かったがとにかく初年度から結果を残したSirianniとHurtsのコンビには長く続いていただきたいところ。
Sirianniはまごうことなき当たりHC。

Hurtsは本当に良いリーダーですな。ずっとこいつがQBで全く異論ないです。ちなみにHurtsは高校時代から2年連続同じスキームでやったことがないらしいので来季以降への期待はますます高まっている。

もしかしたらリーグ全体に旋風を巻き起こせるかもしれない存在だと思っているのでプレーオフの戦いは本当に楽しみにしている。「やっぱり対戦相手に恵まれてただけか」となる可能性は非常に高いですが。本当に年明けからめでたい。