Sean Paytonが引退だそうで。元PHIのQBCという経歴の割にPHIに対して害意をむき出しにするこのおじさんには各種因縁も相俟って全く良い印象はないが、それでも名コーチであったことは確か。
引退とは言っているが、本人は”とりあえず2022シーズンは休む”ぐらいのノリのようでそれ以降の動向は未定。まだやれる年齢ということもあって復活のシナリオもある。その中で最悪なのは”2023に(かつてAssistant HCまで務めた)DALのHCとして復帰”というもの。
先方はMcCarthyの動向が不透明ななか、全くあり得ないシナリオではない。
そうなると非常によろしくないので休養中にしっかりモチベーションを無くすように。仮にこれが実現したらNOは空前の対価をDALに要求するように。(2024まではNOとの契約があるようで対価を要求できる模様)
本題は、タイトルが全然思いつきませんでしたが引退の際のサラリーキャップの取扱いについてです。
■PHIの事情
以前紹介したシーズン終了直後のRosemanとSirianniの記者会見の際、特に言及がなかったあの人について、引退するのではないかという憶測がやまない。
そうなったときに焦るのではなく、今からお勉強をしておきましょう、という趣旨です。サラリーキャップの。
その人とは、RG Brandon Brooksです。
2012のドラ3でHOU入り。その後2016からPHI所属。とにかくランブロックが強力で、Laneとのコンビは健康なら破壊力抜群であった。2019にはPFFが”全OL最高”というランク付けをしたほどの方。全OGでも全IOLでもなく全OLである。
しかしケガが多い人で、2017こそフル出場してSB制覇に貢献したが、以降は
2018:ディビジョナルプレーオフNO戦の1Qに右アキレス腱断裂
2019:ワイルドカードSEA戦直前に右肩の脱臼
2020:6月に左アキレス腱断裂で全休
2021:Week2 SF戦で大胸筋負傷
という故障歴。左右のアキレス腱を切っても復帰してきた猛者ではあるが、いかんせん肝心のときにいないもしくはずっといないというなんとも計算しづらい選手であった。
2019には(2021以降4年間の)契約延長をしており、財政難に苦しんでいた昨オフにはトレードの噂もありながら、最終的にはRosemanお得意の契約再構築を行っていた。
しかしこの選手について、”シーズンエンドにはならない”というWeek2の後のアナウンスにも関わらず、その後Sirianniは何度聞かれても”最新情報はない”としていた。
さすがにこれでは引退説も流れようというもの。
しかしその時に問題になるのはキャップ状況。
2025までのキャップヒットは以下の通り。(Spotracより)
2022:19.4M
2023:18.0M
2024:19.1M
2025:1.9M(ダミーイヤー)
じゃあカットするとどうなるかというと、デッドマネーに相当する、2022以降のサインボーナス・オプションボーナス・過去リストラ分の合計が15.7Mとなっている。
これを6月1日までにカットしてしまうと全数が2022に計上されることになり、
19.4M-15.7M=3.7Mのキャップセーブ(デッドマネーは15.7M)となる。
6月1日以降であれば2022のデッドマネーは当年度分の計上のみでよくなり、残りは翌年計上となるので、
2022:19.4M-5.9M=13.5Mのキャップセーブ(デッドマネーは5.9M)
2023:9.8Mのデッドマネー
ということになる。
後者(6月1日以降のカット)でも相当に痛手にはなるが、それでも前者よりはマシであろう。
では引退だとどうなるかというと、Kuechly等の先人の例からすると”リーグへの書類提出をどのタイミングで行うか”だけの話になる様子。
”引退しまーす”と宣言したり記者会見したり映像を流したりすることは正式な手続きにはならず、”Reserve/Retired List”にいつ登録するかだけの問題のよう。たぶん。引退の正式な手続きがよくわかっていないが、現時点の理解は上記のとおり。(間違っていればご指摘ください。)
なので、Brooksが2月中に「引退します」と言ったとしても、チームが正式な手続きを6月1日以降に実施すれば、そのタイミングでのキャップ計算が発生するものと思われる。
この場合の難点は、3月16日の新年度開始から5月31日まで、チームのキャップには実質19.4Mのキャップヒットがかかったままになること。であれば”6月1日以降のカット予約”としてさっさと身柄とキャップを軽くするほうを選ぶかもしれない。
とかく引退は難しい。
というわけで、長々申し上げましたが、多分Brooksの場合は
2022:19.4M-5.9M=13.5Mのキャップセーブ(デッドマネーは5.9M)
2023:9.8Mのデッドマネー
ということになりそうです。
RosemanがGMである限りはこのデッドマネー祭りに付き合わねばならぬようですね。
■その他のニュース
Week18で途中退場後にIR入りしていたBrett Tothだが、あの実はケガがACL断裂の重傷だったようで、この度手術を実施したとのこと。回復まで9ヵ月程度と見込まれており、来季開幕にも間に合わない。
確か契約最終年だったはずで、これにて無念の別れとなりそうな予感。
ただただ悲しい。
デッドマネーの文脈でいうと、そういえば2021シーズンのPHIのデッドマネーは63.8Mという歴史的な規模だったようですね。そのなかで9勝してプレーオフに出たのだから本当に素敵。
過去10年で40M以上のデッドマネーを計上したチームのなかでは最高の勝利数ですな。Sirianniさんお見事。
record of team with dead cap in excess of $40M last 10 years:
— Warren Sharp (@SharpFootball) 2021年4月8日
2021:
DET (?? wins)
2020:
CAR (5 wins)
NYJ (2 wins)
JAX (1 win)
2019:
MIA (5 wins)
NYG (4 wins)
ARI (5 wins)
2018:
BUF (6 wins)
NYG (5 wins)
ARI (3 wins)
2017:
CLE (0 wins)
2016:
NO (7 wins)
2013:
OAK (4 wins)