鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2021のお仕事振り返り(WR篇)

早速本題に。WRの振り返りです。

 

■2021開幕前
Stay:Jalen Reagor(20/1)・Quez Watkins(20/6)・Greg Ward(17/UDFA)・JJ Arcega-Whiteside(19/2)・John Hightower(20/5)
OUT:DeSean Jackson(19/T/TB)・Alshon Jeffery(17/UFA/CHI)・Travis Fulgham(20/PS/GB)・Marquise Goodwin(20/T/SF)
IN:DeVonta Smith(21/1)

2019・2020とNFL最低ユニットとして君臨したPHIのWR陣。
2020は2年ぶりに500ydsレシーバーが誕生して湧いたが、走ればケガするという完全な失敗補強となったD-Jaxと、チームへの不満を”匿名で”リークしてロッカールームの空気を乱したりプレーすれば6捕球で9.9Mという記録的なコストパフォーマンスを晒したJefferyに加え、2020のチームリーディングレシーバーであったTravis Fulgham、2020ドラフトでのトレード加入後即オプトアウトとなったGoodwinが離脱。ゴミ揃い。
どういう見る目をしたらこういうロスターを構築してしまうのか。

いつの間にか姿を消した2020のリーディングレシーバー・Travis Fulghamはどうやら練習態度に難ありということで確定の様子。期待はしてたんだけどな。残念。

2020に期待していたものの上手く運ばなかったのがドラ1・Reagor。こいつはご存知の通りJustin Jefferson(MIN)の1つ前で指名されたためJeffersonとの比較が止まらない。2020はケガも多かったこともあって即戦力とはいかなかったが2年目への期待はあった気がする。

キャップスペースもなかったためFA補強はなく、2年連続でこのポジションが圧倒的ニーズのまま迎えたドラフト初日。全体12位からDALとのトレードで10位にちょっとだけアップして獲得したのがDeVonta Smith
長らく待望した正統派のWR1候補。Alabama時代、2020の本人が大爆発したシーズンもそうだが、2019のJerry Jeudy(DEN)・Henry Ruggs(元LV)が爆発したシーズンにおいても、見た限りNo.1 WRはDeVontaが務めている場面が多かった。気がする。2020のWaddleにしてもDeVontaがD#のカバレッジで一番気を遣われているところであり、そのスキを縫ってWaddleを上手く使っていた。気がした。
なのでPHIが欲しかったWR1としては非常に良い人選であった。本当はChaseが欲しかったけど全然届かなかったし。DeVontaの存在があれば、Reagorの負担も減ってもう少しやりやすくなるのではないかと思った部分もあった。

その他、プレシーズンで存在が全米にバレたQuez Watkinsも2年目のキャンプを順調に過ごし、期待はだいぶ高かった。DeVontaがしっかりD#を引きつけ、アンダーニースをReagorが、長いのはWatkins、というのを想像していた気がする。

開幕前の期待は以下の通りです。

WR(5):
#6 DeVonta Smith(Alabama) 6-0 170lbs 22歳 1年目(3.7M・1/4)
待望のエースWRはドラ1全体10位指名。ハイズマンウィナー。 とにかくルートランがスムーズでリリースもブレイクも一級品。プレでは1試合だけの出番だったがこれでもかというぐらいセパレートしていた。 もちろん相手のレベルが上がってからどうなるかはこれからの話だが、いきなり各チームのCB1とのマッチアップになることは確実なため昨年のMINのJustin Jeffersonよりはつらい戦いになりそう。1年先輩のDiggs弟(DAL)ぐらいはなんとかしてください。DALと言えばカレッジ時代にボコボコにし忘れたドラ2のKelvin "Bossman Fat" Josephと決着をつけても良い。 初年度の期待値は1,000ydsレシーブ。初戦の期待値は1TD。 ケガにだけ気を付けて10年間しっかり活躍してくださいませ。

#18 Jalen Reagor(TCU)5-11 197lbs 22歳 2年目(3.0M・2/4)
飛躍を目指す2年目の元ドラ1。ケガで11試合の出場にとどまった昨季、さすがに31回396ydsでは誰も擁護してくれなかった。そしてオフに出た"昨シーズン中、体重超過による罰金食らってた"報道。そしてキャンプ直前に親友が殺害されるという悲劇。 いろいろあった2年目キャンプでは最初こそ出遅れたものの、中盤になるとOBJばりのスーパーワンハンドキャッチを披露するなど順調に過ごす。 合同練習でも相手CBを1on1でブチ抜く頼もしい姿を見せてくれたが、試合が始まるとやはり物足りない、というのがプレまで。 果たして学生時代のような輝きを再度見せてくれるのか、それともリターンスペシャリストとして劣化版Ted Ginnのようなプロ生活を送るのか。勝負の2年目。

#16 Quez Watkins(Southern Mississippi)6-0 23歳 2年目(0.8M・2/4)
キャンプから評判が良かったうえにプレ初戦でPIT相手にスクリーンから独走TDを披露したことで全米に存在がバレた元ドラ6。売りはそのスピードであったが、オフのトレーニングでルートランが改善されたことでもしかしたらReagorを食っちゃうかもしれない男。 Smithの存在がSを引きつけることになるはずで、そうなったときに活躍するのはこの男だという読み。ブレーク候補。

#84 Greg Ward(Houston)5-11 190lbs 26歳 3年目(0.9M・1/1)
Boston同様2019に彗星のように表れてチームをプレーオフ進出に導いた立役者。Houstonでは元QB。スピードがあるわけでもないし天井は見えているが、欲しいところにいてくれるナイススロット。不満があるとするならこのサイズ通りの捕球半径の小ささ、というところぐらい。 この年齢にしてWRルームでは一番のベテランに当たる。去年おじさんたちが離脱して以来リーダーとしての役割をしっかり果たしている頼れるアニキ。 プレシーズン最終戦での出番の多さなど気になるところはあるが、長くいてほしい人。

#19 José Joaquín Arcega-WhitesideStanford)6-2 225lbs 24歳 3年目(1.4M・3/4)
本名長い。JJAW。忌まわしき3年目の元ドラ2。2年で14回254yds1TD。これがD.K. Metcalfより前に指名されたのだからRosemanピックの真骨頂。 セパレートできないキャッチできないというどうしようもない置物で、プレシーズンではそれなりに活躍するものの、シーズンが始まったら全く試合ではお目にかからない。 UDFAでも生き残れてないはずの成績だがSTの貢献を考慮されて今年も生き残りに成功。まあRosemanが切れないだけでしょう。5人しかいないWRの貴重な枠の一つをこいつに割くとはSirianniは一体彼に何を見たのか。 去年はとうとうヘルシースクラッチまで経験した置物に未来はあるのか。

2021最終53名紹介 - 鷲の巣

 

■2021成績
DeVonta Smith
17試合(先発16試合) 104ターゲット 64捕球 916yds(Avg. 14.3yds) 5TD

Quez Watkins
17試合(先発12試合) 62ターゲット 43捕球 647yds(Avg. 15.0yds) 1TD

Jalen Reagor
17試合(先発13試合) 57ターゲット 33捕球 299yds(Avg. 9.1yds) 2TD

Greg Ward
17試合(先発0試合) 11ターゲット 7捕球 95yds(Avg. 13.6yds) 3TD

JJAW
16試合(先発2試合) 5ターゲット 2捕球 36yds(Avg. 18.0yds) 0TD

2014のJeremy Maclin以来となる1,000yds獲得WR登場とはならなかったがDeVontaは期待を余裕で超える出来栄え。やっぱりWRにとって重要なのはリリースとルートランとキャッチングです。プロスペクトチェックのときはとりあえずそれだけを見れば良いのではないかと思ってしまいました。
PHIのルーキーフランチャイズレコードも更新して文句なしのチーム新人王ではないでしょうか。今後10年は安泰。彼の素晴らしいところは、頭が良いからでしょうかランプレーにおいてもキャリアの位置を正確に把握しているためポジショニングが非常によく、ブロッキングがとても上手い。パワーなんか関係ない。対DBのブロッキングにおいて大事なのはポジショニングです。

Watkinsも良かった。Week2のSF戦での91ydsキャッチは今季NFLにおけるOffenseプレーの最長不倒距離。だからどうしたという記録。TDにもならなかったし。
期待したロングパスのターゲットと言う点では、DBをブチ抜いたあとちょっと手抜く癖があります。そのせいで最後のちょっとが合わない、というシーンを何度か見た気がする。しかしドラ6の2年目としては良いものを見せてくれたのではないでしょうか。課題はやはりルートラン。DeVontaと比べれば物足りない部分であり、DeVontaとGoedertを厚めにカバーされた後の3枚目のターゲットとして輝くことが出来なかったのはこの点にあるのではないかと睨んでいる次第。ここが改善されればWR2として独り立ちできる期待感はある。

Reagorは…もうこのチームでは無理でしょう。
物足りなかった2020から明らかに劣化するとか一体どうしたら良いのか。なんならプレシーズンをピークにどんどん劣化していった。
象徴的だったのがWeek12 NYG戦での試合終盤でのドロップ2発。あとは前にも紹介したリリースできなさ。

メンタルでしょうな。インスタグラムのほうでもごちゃごちゃとメンヘラぶりを発揮しているようですし。PHIという街において、こういう状態になってからカムバックするのは難しそう。Agholor然り、先ごろトレードされたBen Simmons(NBA BKN)然り。もう味方は誰もいないわけですし街を出るしかないのでは。それを強くオススメします。
ちなみに、先に出したJustin Jefferson(MIN)だが、”Reagorの代りに俺が指名されててもMINでの俺のように活躍できたかはわからない”という趣旨の発言を先日されていた。これはCousinsの重要性という文脈ではあったがまあ嫌われたもんですな。

ケガ人が少なかったことやランの比率が高かったこともあり、過去2シーズンと比較するとWardの出番は激減。期待したのはHunter Renfrowのような"頼れるスロット"という立ち位置であったが、今季はゴール前で勝負強さを発揮。シーズン終盤まで2キャッチ2TDという謎のスタッツを残していた。Sirianniに言わせると”スペースを見つけるのが上手い”ということで出番がゴール前で増えたのもそういう評価に基づいたものだった様子。

"ガジェット系"という分類がある。メインポジションはWRで、外のWRや中のWRに加えてRBやリターナー、果てはQBまで出来ちゃうような運動能力が高く、バラエティに富んだ起用をされるような選手がこう呼ばれることがある。最上級の例がSFのDeebo Samuelであろうか。
PHIにもいる。JJAWという選手である。通常はあらゆる形でボールキャリーをさせたいからこういう使われ方になるのだが、JJAWの場合は、あらゆる形でブロックをさせたい選手のことである。ガジェット系ブロッカーという新ジャンル。WRとしてのアウトサイドでのブロック、インサイドでのブロック、RBの位置についてのリードブロック、そしてSTでのブロック。それぞれに素晴らしい。だけどキャリーは絶対にさせられない。だって捕れないから。

 

■2022への願望とか
<2022契約関係整理>
WR1 DeVonta Smith:2025まで。キャップヒット4.6M
WR2 Quez Watkins:2023まで。キャップヒット0.9M
WR3 Jalen Reagor:2023まで。キャップヒット3.6M
WR4 Greg Ward:RFA(制限付きFA)
WR5 JJAW:最終年。キャップヒット1.6M

一応Reagorは5年目オプションを行使するなら2024までだがそんなことはないはずなので2023まで。

現有戦力側からすると、要らないのはReagorJJAW。JJAWはカットでも1.6Mのうち1.2Mが浮くのでいつでもどうぞ。Reagorはカットすると4.2Mの2023のサラリーを負担させられるのでできればトレードしたい。その場合ちょっとは浮く。トレードの場合、2024の7巡指名権とかでも結構です。本人のためにも是非ここではないどこかでやり直させてあげて欲しい。

そしてWardの処遇。
RFAのため、PHIは1巡・2巡・オリジナルラウンド(その選手がUDFA上がりの場合"第一拒否権(優先交渉権)"のみを有する)の3種類のオファーをすることが出来る。それぞれのサラリーは以下の通り報じられている。
1巡テンダー:4.76M
2巡テンダー:3.38M
オリジナルラウンドテンダー:2.18M
第一拒否権(UDFAのオリジナルラウンドテンダー):2.13M
彼はUDFAのため、オリジナルラウンドのオファーであれば第一拒否権のみがPHIには与えられる。このテンダーオファーであれば2022のサラリーは2.13M。2021のサラリーが0.9Mだった男にこの昇給をオファーする理由がなさそうなのでおそらくテンダーオファーは出さずに放流ということになろう。このオフはJAXを選ぶのかPHIを選ぶのか。

NYGやTBに散々やられたように、DeVontaとGoedertに続くターゲットがいないのがWRユニットにおける2021シーズン最大の課題であった。できればWR2が欲しい。何年連続でWRの補強が課題になるのか。

ドラフトでの補強も当然必要だろうが、Hurtsを支えるという意味でもここにほしいのは即戦力。ということでかねがね申し上げている通り、Tier1はDJ Chark(JAX)とトレードでのCalvin Ridley(ATL)。条件が良さそうなのがChark。HurtsとすぐにシンクロしそうなのがRidley。さてどっちを選ぶのか。はたまたどちらからも蹴られるのか。

上に挙げた2人のどちらかが獲れるのであれば、ドラフトでの希望はスロットのエキスパートということになるので、Wan'Dale Robinson(Kentucky)でもCalvin Austin(Memphis)でもSkyy Moore(Western Michigan)でも、ちょっとタイプ的には異なりそうだがJahan Dotson(Penn State)でもよろしい。この辺のちっちゃい系。
このオフも不安と期待と妄想が尽きないポジションである。