鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

高揚と信頼と傷心と希望

喪失感が半端ない土曜午前。
少し前から溜めていたニュースをはけていきます。
まずは無視出来ない3月の出来事から。

 

4度目の正直への高揚

2019 Zach Brown:口が悪いハズレ。シーズン中にカット。
2020 Jatavis Brown:見られなかったハズレ。シーズン開幕前に引退。
2021 Eric Wilson:見たこともないぐらいハズレ。シーズン中にカット。

悲惨としか言いようがないPHIのLBポジションのFA補強史に新たな1ページが。

現地3月26日にLACからUFAになっていたLB Kyzir Whiteと契約。
単年契約で2Mのインセンティブが付いた最大5Mとのこと。2.2MのT.J. Edwardsの契約よりちょっと高い。

オフシーズンに入る前から”FAではこいつ狙え”的な妄想記事で名前が挙がっていたので存じ上げてはいた御仁。

LA界隈の記事を見ると「まだWhiteが残っているのは恐らく条件面の問題。もう少し待てば単年で安く帰ってきてくれるかも。」というような内容のものが出ていた。それほどに現地からは渇望されていたようだが、残念ながらStaleyはOff-Ball LBに高額な選手を置くつもりはないのでしょう。
「(プロボウル選出までいったのに安く放流されてNEで先発に定着した)Adrian Phillipsのときと同じだ」という現地LACファンの嘆き、PHIファンにはよくわかります。
Rosemanも同じ思考かと思いきや今回はちゃんとした選手を獲ってきたので褒めてつかわす。

Reddickに続いてまたしても地元民。もはやファンだった選手しか来てくれないのかい?そんなに魅力がないのか?
高校生ぐらいの時分にはPHIのトレーニングキャンプを見学しに来ていた程度に熱烈なファン。お目当てはVick・McCoy・D-Jax。しかしお犬様は素行はさておき当時の若者たちからの人気が抜群。最初にスタジアムで観た試合はかの有名な2013のSnow Bowl。足首まで雪に埋もれる天候のなか McCoyが213ydsのシーズンフランチャイズを走ったDET戦。


ありがたいことにWhite本人は「ここに骨をうずめたい」的なことをおっしゃっているのでこの単年契約でのテストは重要。
問題は同じようにテストを控えているT.J.、そして勝負の3年目を迎えるDavion Taylorの存在。テストするべき人間が多すぎてドラフトしてる場合じゃない。

WhiteはSからの転向組。似たような経歴ではNate Gerryという悪夢を思い出すが、こやつはただただ臆病者だったことで全部のプレーアクションに引っかからないと気が済まないという性癖を持っていた。一方のWhiteは、ちょっと試合を見た限り落ち着いて正確なプレーリードが出来ていそう。OLが漏れてきたときの対処という意味ではT.J.より劣ることは否定しようがないが、パスカバーにおけるTEなりSlotなりに対してのリルートはT.J.よりも格段に上手い。落ち着いてプレーリードした後ちゃんとプレーに絡めるスピードもある。広いフィールドでSlotを消せるカバー能力には心がときめく。
はっきり申し上げてむちゃくちゃ楽しみですしむちゃくちゃ期待している。

Sirianniの功績

ケガが少なかった印象がある。
前任のPederson時代がとにかく野戦病院で毎年毎年メディカルスタッフを交代させていたような記憶があるが、そのたびにうまくいかなかった。

レーニングキャンプのころから言われていたが、Pederson時代に2.5hぐらいあった全体練習の時間を、Sirianniはおよそ1時間短い1h超に短縮。空いた時間は選手たちの自主的な練習に任せる、というスタンス。なので全体練習終了後にHurtsと若手WR・TEたちが延々と練習していたという記事をよく読んだ。

当時記者たちからも「大丈夫か?短すぎないか?」という懸念の声は出ていたが、Sirianniはどこ吹く風。
シーズンインしてもこの傾向は続き、水曜の練習は全部ウォークスルー。フルパッドは木曜と金曜だけ(もしくは木曜だけ?)という極めて軽負荷な練習スタイルを継続。

体力余ってる奴や必要だと思う奴は勝手に練習する、という自主性を重んじたスタイルだが、このあたりの”選手たちを大人として扱う”という部分がカレッジ上がりのHC達との違いと言えるか。特にJAXあたりの騒動を振り返るとそう思う。

そしてこのスタイルが大きな影響を及ぼしたのが、何を隠そうJason Kelceの進退
現役続行を表明したのち、3月の終わりか4月の頭かぐらいの時期にKelce自身が語っているのが、
「HC Pedersonの体制が続けば俺はもう引退していただろう。それほどシーズン中の練習の負荷が軽かったのはありがたかった。Pedersonも比較的進歩的な方だったが、とはいえ本人も20年ぐらい前のNFLでプレーした経験を持つ人間で、その根本の哲学の部分はオールドスクールだったから『練習をすればするほど良い』みたいな風潮はあったように思う。」(以上、完全に意訳)ということ。

シーズンエンドの大ケガはGraham・Brooks・Seumalo・Taylorぐらいしか(これでもBrooks・Dillard・Lane・Seumalo・Peters・Gerry・McLeod・Maddox・その他多数を輩出した2020と比べるとだいぶ少ない)思いつかず、層が薄かったWRも、おじさん揃いだったCBも離脱はなかった。

結論は変わらない。いいHCを獲った

オリンピアンの加入

110mハードルでリオ・東京のオリンピックアメリカ代表に選ばれ、それぞれ5位・4位という成績を残した元OregonのWR Devon Allenと契約。
先日のプロデイで40yds4.3台で走ったこともあってPHIの目を惹いた様子。Oregonでのプレーは2014~2016の3年間。

2015元日のRose Bowlで左膝のACL断裂。そこから驚異的な回復を見せて2016のリオオリンピックに出場。しかしその秋にフットボールに復帰したところ再度左膝のACLを断裂。その後は陸上競技に専念して東京オリンピックにも出場。
この華麗なる経歴というか負傷歴を持つ男に個人的に期待しているのはやはりKick Offのリターナー。Oregon時代は2014に8回209yds(Avg. 26.1yds)0TDという記録を残しているがいかがか。

まあお試し枠でしょうね。しかしこの男のハイライトを漁っているとやっぱりMariota上手いな、という感想に帰着します。

悲しい別れ

なんだかんだ言って戻ってくると思っていたS Rodney McLeodがINDと契約
McLeodかHarrisのどっちかを戻すのかな、と思っていたこのオフ、意外な安値でHarrisと契約できたので一息ついていたところはあったが、何度も繰り返すがどうせMcLeodは戻ってくると思っていただけにショックは大きい。

Eaglesにとって、というよりPhiladelphiaという街にとっての損失の方が大きそう。それほどまでにコミュニティを愛し、そして愛されたリーダーであった。無念でならない。

振り返るとキャリアハイはACLを切るまでの2020だったか。2021もそれほど悪くないプレーを見せていただけに本当に残念でならない。McLeodもいなくなり、Graham・Coxも最終年を迎えるD#のロッカールーム。あの頃の選手は誰もいなくなるのか。(反則王のことは呼んでない)
SB制覇は遠くなりにけり。

闘将探しの旅

順番はMcLeod流出と逆になるが、元KCのS Tyrann MathieuとZoom面談。
McLeodのリーダーシップに加えてバーサタリティとFSとしてのアップグレードを狙った動きだとしたら頷ける。

対抗はNO。奇しくもそのNOとの1巡トレードでドラフティに割くべきキャップも減った。金ならあるはず。

Brian Dawkinsを手放した日に始まった後悔はその後Malcolm Jenkinsの獲得とSB制覇で少し癒された。Jenkinsの放出もRodney McLeodという存在があったからだろう。そしてその存在感は絶えることなくしっかりと受け継がれた。
闘将の存在は絶対に必要。
この系譜を受け継ぐのはMathieuしかいない。
ここまで書いてJenkinsを喪ったNOがMathieu獲得に動いている理由がよくわかった。

わかったからこそ絶対獲れ。わかったからこそ一歩も引くな。