鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

Gannonの不満

DC Gannonはだいぶご不満な様子。
この情報を取り漏らしていたのでこれまでのドラフトプロセスが意味不明なものに映ってしまっていた。大いに反省しております。
火種はやはりDTポジションにありました。

違和感

ドラフトに向けて、現地の記者たちと概ね意見は一致していたが、どうもJordan Davisに対する評価だけが全く一致しないことに違和感があった。現地の評価が高すぎると思っていた。

その理由は、”2GapのDTみたいな時代遅れの存在は要らぬだろう”と個人的に思っていたところにある。

Davisはその体格から想像できないような運動能力を持っているのが最大の魅力だが、同時にその体格から想像がつくようにスタミナは微妙。そして(現時点での)パスラッシュの引き出しは非常に少ない。とにかくOLを押し込んでギャップを潰す、という基本思想からの広がりはほぼ見られない。
たまにスイムテクニックを披露する程度。

Cox・Hargraveといったパスラッシュでメシを食っていたDTの並びをここ2年見続けたPHIファン各位になら違和感には同意していただけると思う。

DTポジションからの不満

昨シーズン中に不満の声を上げたのはCox。曰く、”こんな消極的なスキームでプレーしたことがない。”と。
Gannonの前に5年の長きにわたってDCを務めたのはJim Schwartz。この男がCoxに与えたミッションはただ一つ。

”プレッシャーをかけなさい”

これだけ。

その結果、CoxはSchwartz時代の5年間連続でプロボウル、オールプロにも1stチームと2ndチームにそれぞれ1回ずつ選出されるという全盛期を経験する。そりゃ自信も持つ。
DLにそんな自由に動かせた尻ぬぐいはLBでしないといけないのだからSchwartzが優秀なLBの確保に拘った理由もよくわかるというもの。
そしてそれがいなくなった2020の苦闘も納得である。

一方で後任のGannonは、こう言っては失礼だが、その風貌から想像がつくように非常に細かいルールの遂行を選手に求めるそう。そしてそれは実績抜群のCoxに対しても例外ではなかった。
慣れ親しんだ3テクの他にも、4iや5テクといったポジションでのプレーも要求し、そのルールも結構厳格だったとか。
そういったあれこれが前述した不満の声にも繋がったのだろうし、下り坂に差し掛かって慣れないスキームでプレーすることもパフォーマンスの低下の一因にはなったろうと想像される。

DTポジションへの不満

Gannonは、シーズン中にあまりにも言うことを聞かないCoxの役割を減らしてHargraveを3テクに移すことも考えた様子。
しかしその足かせとなったのはHargrave自身のランストップ能力の低さ。

Hargrave加入時に期待したのは実は”1テクでダブルチームを受けてくれること”であった。そうすることでシングルブロックとなるCoxが最大化されるのではないか、と思った。
蓋を開けてみるとそうはならなかった。
繰り返すが、Hargraveはランストップが非常に下手。ダブルチームでは際限なく押し込まれるし、シングルブロックでもしっかりOLと組み合って膠着してしまう。
この苦闘はPFF如実に表現されているようで、Hargraveのランストップの指標はリーグのDT110名の中でなんとほぼ最下位に近い105位。
これが足を引っ張り、総合評価は31位で、あの衰えた(ように見えた)Coxの29位よりも低いものとなった。

そしてこのオフ、この状況を打開するべくGannonが求めるのは”0テクもしくは1テクで汚れ仕事をこなせる人材”。

そう考えると、昨ドラフトでランストッパーTuipulotuを指名した理由も、パスラッシュよりランストップの方が評判が良かったMarvin Wilsonを大事に囲い続けた理由も、このFAで315lbsのRenell WrenをCINから連れてきた理由も腑に落ちる。
「それなら3巡ではMiltonより(317lbsで1テクが主戦場の)Alim McNeilを指名すべきだったんじゃないのか」というツッコミは刺さりすぎるのでいただけない。

ともかくそういったわけでLogan HallとかDeMarvin Lealとかに見向きもせずJordan Davis・Devonte Wyattに加えてTravis Jones(UConn)というランストッパーを30-Visitに加えたこともしっくりくるというもの。

CoxもHargraveも2022限りで絶対放流、というわけでなく、それぞれの能力の高さを知っているだけに、汚れ仕事をこなせる人間を横に置いてみたときにどうなるか見てみよう、ということだと理解しているのでまあこういう試みもアリではないかと思った次第です。

1-15で目当てのCBかWRが獲れた暁には1-18をトレードダウンしてTravis Jonesだな。