事前に"荒天"という予報は入っていたのに偉そうな"展望"とかいう記事を書いているときにはすっかりその情報が頭から抜けておりました。
これは反省。
気温15℃のなかの大雨と暴風ということで、試合中もかなり選手は寒そうにしていた。
残暑厳しい日本からはなかなか想像しづらかったが、コンディションは最悪だったようです。
結果:PHI 29-21 JAX
観ていて完璧な試合なんて恐らくないんでしょうが、この試合に関してはかなりそれに近かったような気がしております。
悪天候にも助けられながら強いJAXに勝って32チーム唯一の全勝に。
各種パワーランキングでも1位(にせざるを得ない)が目立つ。
ここまでは非常に順調。順調すぎる。
ケガ人が多発したので次戦以降が心配。
何より心配なのは、こんなに順調に来ていていざ負けたらどんな心境になってしまうのか、ということ。
展開振り返り
JAXボールでのスタート。
JAXは雨のなか果敢にもKirkを狙うが、そのパスが2つ失敗して3凡に終わる。
が、3rd DownのプレーでSlayがBradberryと衝突して前腕を負傷。以降戻らず。
返しのPHIシリーズも意外なことにパス主体。
自陣30yd地点での4th&1でこの日1回目のQB Sneakを敢行したところはSirianniの真骨頂。
しかしその後ノープレッシャーのHurtsがPascalを狙ったパスは、若干迷った風で強引に密集地帯に投げ込みINTに。
それをそのまま先方のS Ciscoに持ち込まれて今季初のPICK6を食らって先制を許す。
そしてこのプレーでタックルしに行ったMailataが転倒して自損により肩を傷める。こちらも以降戻らず。嫌な展開。(0-7)
何とかしたいPHIの続くシリーズだったが、Mailataの穴を埋めてLTに入ったDriscollのところのランブロックがちょいちょい滞って順調には進まずPuntに。
自陣47ydからのPuntをSipossがあっさりエンドゾーンに蹴り込んだのにはガッカリ。
続くJAXシリーズ。
いつものようにHargraveのところでやられながらもランを2つストップ。
迎えた3rd&5でKirk大警戒モードのダブルカバーの裏でAgnewに長いのを通され自陣に侵入を許す。
その後プレーアクションやらランやらであれよあれよと進まれてあっさりTD。
ちょっとずつ惜しかったのがちょっとずつ届かず、という印象。
このシリーズはプレーコールがキレキレだったので割と諦めはつく感じ。
と自分に言い聞かせるものの、こんなにリードされたのはいつぶりか、という点差に。(0-14)
さすがにそろそろなんとかしてね、というPHIシリーズ。
いきなりAJへのミドルパスがつながり、それをいつものRACで15yds稼いですんなり敵陣に侵入。
が、その後3rd&5でSandersが止められ(微妙だがHurtsがキープしとけば出たはずなので恐らくHurtsの判断ミス)、4th&3もあっさりパス失敗で攻守交替。
とうとう負けるか。まあボロボロにやられりゃ気分も切り替えやすいか、相手Pedersonだし。と9ヵ月ぶりの敗北に向けて心の準備体操を始めていたのは内緒です。
そしてJAXは全然手を緩めない。
ランとAgnewのスクリーンというたった2プレーでPHI陣に侵入。
だが、ここで朗報。
ようやく2Qに突入。これまでの3試合で2Qは敵を圧倒してきていることもあるので何とか流れが変わることを期待していた。
そして、それは現実に。
いきなりAgnewのダブルムーブがガラ空きになりTD確実のプレーをLawrenceがミスショット。(ちなみにこのプレーの戦犯はSlayの穴を埋めていたCBのMcPhearsonとSのEpps。)
2nd Downでは短いパスを通されるが、3rd DownのランをSweatがしっかりタックルしノーゲインに。そして迎えた4th&3のギャンブル。
Reddickのプレッシャーでポケットを追い出されたLawrenceが何もないところでファンブルし、それをCoxがリカバー。
やっと飛び出したビッグプレーで自陣43yd地点から開始したPHI Offenseだったが、Gainwellへのスクリーンはロスし、Pascalへのパスは失敗。
D#ホールディングで何とか1st Downは貰ったが何とも晴れ間が見えないところで、空気を変えたのはやはりこの男AJ Brown。
LBの裏側のスペースでしっかりパスをキャッチ。
更にGoedert。スクリーンからいいRACを見せて一気に敵陣10ydへ。
続くプレーでHurtsのRPOがAJにヒットして待望のTD!
と思ったが、Goedertが反則を取られて20yd付近からの1st Downに。
何としてもTDが欲しかった場面。
3rd&16からHurtsが気合いのスクランブルで3ydまで前進。
当然ギャンブルに行った勝負の4th&3ではまたしてもHurtsがスクランブル。
Devin Lloydのヒットを受けながら体を伸ばして何とかTD。
この20ydsをTDで締められたのは本当に大きかった。
何よりHurtsを中心に、画面から伝わるOffenseの気合いが最高だった。
これにて何とか延命。(7-14)
ノッてきたD#は、なぜか消極的になったPedersonのプレーコールもあってLawrenceに仕事をさせず3凡。
ここでようやくSteichenが改心。
続くシリーズではOLとSanders・Sermonを強調し、結局9プレー71ydsのうち8プレー64ydsをランで稼ぎ出し2Q残り3:59でついに同点に。(14-14)
JAXというかLawrenceは何かが狂ったのか、返しのシリーズの3rd&1のQB Sneakでファンブル。
これをReddickが拾ってJAX陣35ydからPHI Offense。前半残り3:00。
OffenseはAJ・SandersというかOL、というここまでで良かったものを次々に出していき、最後はGainwellがDickersonとGoedertのナイスブロックに生かされて10ydsのTDラン。
Elliottが2020シーズン以来のXP失敗というご愛嬌を見せてくれたが0-14から20点連取で前半を終了。(20-14)
しかしPHIボールで始まった3Qはまたしても沈黙。
見せ場はD#。
残り9:42から始まったJAXシリーズが、カウンターやらプレーアクションやらが面白いように決まりだし、止められる気配が全くないままPHI陣16yd地点まで。
ここでチームを救ったのはBradberry。
QBの目線をしっかり見て、7menでプレッシャーをかけたために恐らく捕られていても全然責められないターゲットへの浮かせたパスを冷静にピック。
これは本当に上手かった。
どういう精神状態ならこんなことが出来るのだろうか。
彼を放出してくれたNYGさんには感謝しかない。
美しいので是非見てほしい。
James Bradberry through 4 games:
— Victor Williams (@ThePhillyPod) 2022年10月4日
• 24 targets
• 11 catches allowed
• 96 yards allowed
• 22.2 passer rating when targeted
• 0 TDs allowed pic.twitter.com/T5m4mW6Fv2
このプレーからPHI Offenseは4Q頭まで5分半かけてドライブ。
最後はElliottのFGでリードを9点に広げることに成功。
途中、3Q最終盤にもあったElliottのFGにて先方CB Tyson CampbellのRoughing the Kickerの反則でElliottの多分蹴り脚が壊されたことはその後の試合展開を割と複雑にしたので付言しておく。(23-14)
このあとのKick OffからElliottのキックは全然飛んでいなかった。
4QのD#の主役はReddick。
まずは残り12:13からのJAX陣31ydからの2nd&10でRT Taylorを技術で外してストリップサック。
Lawrenceがファンブルしたボールを自ら拾い、Sack・FF・FRを記録。
これをしっかりSandersのランでTDに仕留めてリードを広げる。
ここで恐らく点差のこととElliottの脚のこととかがあって2ptを狙いにいくが失敗。(29-14)
そしてまたしてもElliottのKick Offが飛ばない。
JAX陣32ydから始まったD#は、この日Lawrenceからのパスが8度目の正直でようやくKirkに通り、いつの間にか自陣への侵入を許す。
この後KirkはさらにScottをダブルムーブで置き去りにして45ydsのレシーブ。あっという間にゴール前まで来られたと思ったら、AgnewへのパスであっけなくTD。
わずか6プレー、1:30で完走を許して1ポゼッション圏内へ。(29-21)
そして残り7:19からのPHI Offenseがやるべきことは一つだけ。
10プレーのうち9プレーをランで繋いだ結果、残り2:00で敵陣21ydから4th&3の場面を迎える。
JAXはTO全て消費済み。
本来ならFGで2ポゼッション差にしてしまって試合をクローズすることもできたはずだが、この日はもうElliottが明らかに蹴れる状態じゃなかったのでギャンブル。
そしてここでHurtsが狙ったのはもちろんAJ。
だったが、残念ながらAJがこれをお手玉して落球。
1:48という微妙な時間を残して、21yd地点からJAXのOffense。
だけど、ライブ観戦時点でもあまり不安はなかった。
それぐらいDefenseを信じられるようになったというのはすごいことです。
結局、最初のプレーでRT Taylorを押し込んだReddickがまたしてもSack & FF。
今度はHargraveが拾って試合終了。(29-21)
先週ようやく高給の価値があることを証明した地元民Reddickは2サック・2FF・2FRという記録で見事にNFCのWeek4のDPOWに選出。
主なスタッツ
立役者はいっぱいいるが、恐らくReddickとBradberryとOLとSanders。
もちろんHurtsも。
この荒天のなかFumbleを1つもしなかったSandersはじめボールキャリアの皆さんは素晴らしかったです。
良かった人たち
2Q
2Qさんは今季のPHIに本当に優しい。
The Eagles have 85 2nd-quarter points this season. the No. 2 on the list has 48 points.
— Zach Berman (@ZBerm) 2022年10月5日
Perhaps more impressive: 40 of those 85 points have been scored in the final 4 minutes of the 2Q. The Eagles' point differential in final 4 minutes of 2Q is 33.
Next on the list? 14.
4試合で、リーグダントツの85点を2Qさんから頂いているそうです。
本当に感謝。
そのうち40点が2Q残り4:00だということで、この時間帯の得失点差は驚きの+33点。
リーグ2位は+14点だから2QさんがPHIをいかに贔屓にしてくれているかがわかる。
この試合でも20-0だった。ありがたい。
SAM Haason Reddick
言うことなし。
ランプレーでもTFLが1つあった気がしているし。
スピード特化の人だと勝手に思っていたので、意外と技術の引き出しが多そうなことに驚いている。
お見事でした。この調子で。
CB James Bradberry
上にも書きましたが、最高。
OL陣
書き漏れていたが、Mailataに加えてSeumalo(こちらはもらい事故で足首を負傷)も途中離脱。
試合後のSirianniは"ゲームボールは出場したOL7人分とOLC Stoutlandの分も合わせて8個あげたい"というようなことを言っていた。
LTに入ったDriscollはJosh Allenを相手にしていた割にあまり大した穴にはならなかった(1サック)。
逆サイドではLaneが全体1位ルーキーTravon Walkerを熱心に教育。
格の違いを見せつけていた。
.@Eagles @LaneJohnson65 pitched a no hitter against the #1 pick in the #NFL draft. And #44 is going to be a really good player . But Lane looks like he wants his Belt Back for the best RT in the Biz. #BaldysBreakdowns pic.twitter.com/wvxQKxjwI2
— Brian Baldinger (@BaldyNFL) 2022年10月3日
Seumaloもパワフルだったが、その後に入ったOpetaも腑抜けていた先週とは大違いの気合いの入りよう。
ゴリゴリ押し込んでいた。
Kelceはいつも通りだったが、若干肘を痛がっていたのは気になってます。
いつも通りの最高のプルアウトをご覧ください。
This team had the identity of the 2021 Eagles and they loved it. I LOVE watching DeVonta Smith celebrate a rushing TD like this. Again, the impact Hurts has is crazy and Kelce is still absolutely elite in space. Great job to seal by Seumalo too. pic.twitter.com/66Qao9V260
— Jonny Page (@JonnyPage9) 2022年10月4日
そして白眉はDickerson。
パンケーキを8回ってあなた。やりすぎ。
Landon Dickerson had *Checks notes* EIGHT pancakes on Sunday vs the jaguars.
— Nick 🦅 4-0 (@PhillyNick100) 2022年10月4日
EIGHT. Here’s all 8 of them. Serving up some 🥞 pic.twitter.com/B9h7RqZG58
DT Jordan Davis
DLは今週も全般的に良かったが、週が進むにつれてパスラッシュもランストップもパスカバーも良くなっている原因は実はこいつなんじゃないかと思えてきた。
2021も5DLは多かったが、その際のOff-Ball LBは2枚のことが多かった。
今季はそれが1枚になり、その分DBが入ることが増えている気がする。
こういう構え方を出来ているのも中央にDavisが鎮座しているから。
お世辞にもランストップが上手くないHargraveに代わってこいつがCの前にいることで中央からの圧力は倍増。
周りのDLの負荷は減り、LBまでOLが漏れることも減ってランストップが向上。
DBの増加はパスカバーの向上に顕著に表れている。
そしてブリーザーとしても機能しているのでCoxもHargraveも試合終盤まで元気にパスラッシュができる。
2021のD#に抱えていたストレスは、もしかしたらこの男によって全部拭いとられているのではないだろうか。
最近そんな風に考えております。
プレシーズンだけみてバストっぽいとか言ってしまっていた見る目がない人間には、こんな好循環は全く見えておりませんでした。
不明を恥じるしかない。
Penny Front(5DL+1LB)の運用が上手くなってきたGannonもお見事です。
QB Jalen Hurts
微妙なパスは多かったしPICK6のパスは断じていただけないが、あのスクランブル2連発をはじめとしてリーダーとしては完璧。
パス自体も要所ではしっかりAJやGoedertに通していたし。
ベストの出来にはほど遠かったが、悪天候のなか勝つために必要なプレーに徹していた印象です。
それも含めて良かったと思います。
RB Miles Sanders
134ydsはキャリアハイ。
何よりファンブルなし。
素晴らしい。
契約最終年だが、この調子でケガしないなら来年もいてほしい。4年契約とかはないです。
それと、初見でサンプルも少なかったがSermonも良かったと思います。
LB T.J. Edwards
あろうことか彼を誉め忘れていたので急いで追記。
ソロタックルは4にとどまったが、Lawrenceをサックしたプレーはその判断といい非常に印象的。
本職のランストップのみならず、パスカバレッジでもグングン成長を見せてくれている。もはや万能感まで漂ってきた。
前から申し上げているが、こいつの契約延長は速やかに実施されねばならない。
急げRoseman。
今オフの高騰の前に握るのだ。
悪かった人たち
STC Michael Clay
SipossのPuntが2021よりよくなったかは悪天候の時に判断しようと思っていたが、モロに悪い方の目が出た。
全然飛ばない。
なんで本拠地で敵チームのパンターにNETで17ydsも余分に飛ばされるところを目撃しないといけないのか。
リターンゲームがダメだったこともこの一因。
Gannonは恐ろしいほど結果を残している。
現行コーディネーター陣でダメなのはあんただけです。
ちなみに、FGの左側何とかしろと言い続けていたが、この日のWing(大外の2線目)は巨漢・Jordan Davisだった。
もうちょっと習熟したらなんとかなりそうだな。ここだけはナイス。
その他
Bradberry以外のDB陣
Maddoxの代役としてNCBに入ったのはJosiah Scott。
懸念していたKirkは9回ターゲットとなって2回成功。最初の7回は全部失敗。
ドロップも相当数あったが、ScottよりEppsが上手くカバーしていた印象。
ScottとかMcPhearsonがダブルムーブに全くリアクション出来ていなかったのは非常にいただけない。
全般的に、JAXのいいデザインのプレーにだいぶ混乱していたようなので、そのあたりは修正が必要っぽいですね。
PSから一時的に昇格したChachereだが、パントやキックオフのカバーが良かったのでSTとして上げるならありかも、と思った次第です。
戦後の動き
ケガ人が多い。
Sirianniは詳細を全く明らかにしていないが、重そうなのはElliottと、たぶんSeumalo。
PSにGのTyrese RobinsonとKのCameron Dickerを追加したのはそういうことではなかろうかと思っている次第。
それと、Dillardが練習復帰する様子。
Mailataが長引く場合、LTをDriscollでいくのかDillardにするのかはちょっと重要。
好きなのはDriscollだが、彼はSeumaloのRGに入れるほうが良い気がしているので、その場合のLTは消去法でDillard。
結論は、Stoutland先生にお任せします。
まだまだシーズンは序盤。
Slay・Mailata・Elliott・Seumaloとまあまあ痛いところが抜けた状態にはなっているが、ARZ戦に向けて無理させることはないようにしていただきたい。
序盤の大本番はその翌週ですので。
この試合に関しては、とにかく勝ってよかったという感想が一番強い。
アツい試合でしたし。
前回の開幕4連勝はSBまで進んだ2004だったようで、"あのチームよりバランスよくて良いチームだぜ"みたいな浮かれた声も結構上がっている。
わかる。
毎週贔屓が試合に勝ってくれて、毎週だれかが週間最優秀選手に選ばれるようなこんな楽しい時間はいつまで続くかわからない。
いまのうちに精一杯浮かれましょう。
浮かれたついでに。
2022のDROYはJordan Davisです。