鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2022 Week8 vsPIT感想

かつてないほどデッドライン直前のトレードが活発だったようで。
もうちょっと遅くても良いのに…と思っていたデッドラインですが、見切りと賭けの要素も含めてこれぐらいのタイミングがエンタメとしては一番いいのかもしれませんね。

 

というわけで、年に一度の罰ゲームであるTNFを控えているのでサラっとWeek8の振り返りです。

結果PHI 35-13 PIT

 

展開振り返り

PIT Offenseからのスタート。
いきなりDavisEppsによるナイスランストップから始まったシリーズは、3rd&9から待望していたGrahamを3テクにつけてのスタンツからのパスラッシュが決まってこの日最初のサック。
CoxSweatがDEについてカップを縮める役、1テクのHargraveがIOLを引きつける役、Grahamはスラントであわよくば割り込む役、そして仕留めるのは逆の3テクの1.5列目ぐらいにいたReddick、という役割がはっきりしたデザインのプレー。

ずっとこういうのが見たかったんですよGannonさん。
いいお仕事だと思います。

 

返しのOffenseはこれまでの伏線回収および新たな伏線の敷設に勤しんだシリーズ。
伏線回収は、3rd&1からのQB Sneakの裏プレー。
以下の映像ではMyles Jackを沈めたMailataブロッキングにも注目しているが、そもそもこのアライメントからQB Sneak以外のプレーをしたのはこれが初めてのはず。
これまで百発百中の、明確なQB Sneakのシチュエーションになって、ハドルをといて全員が急いでセット。
ここまではいつものQB Sneakのシーケンス。
違うのはここから。
いつものプレーかと思ったらHurtsは持ち込まずボールをSandersへトス。
Sandersはあっさりと7ydsをゲインして1st Downを獲得。

こういうプレーがあると今後の守りにくさは5倍増しなのである。ナイスSteichen & Sirianni

 

そして新たな伏線を張ったのが、その後の3rd&9からのGoedertへのスクリーン。
いつものように大外に出張ったGoedertへのスクリーンだったが、この時の内側のブロッカーがPascal
この時はしっかりブロックを決めて7ydsのゲイン。
気になるゲインですね。
Goedertが大外に張ってPascalがその内についたときはスクリーンをまず警戒してくださいよDefenseの皆さん。

 

最後は2nd&10からAJへのロングパスで締めたが、このプレーはBlitzが想定されるシチュエーションでの2TE隊形からのマックスプロテクション。
AJDeVontaだけをルートに飛ばしたもので、マンツーマン+1HighのSの前でDeVontaが空いていたが、Hurtsが選択したのはエンドゾーンのAJ。
AJ自身も「DeVontaに投げるもんだと思ってたから飛んできたときにはびっくりした」的なコメントを残しているし、その心境は脚を緩めているところからもわかる。
パス自体は外のスペースをAJに使わせるものではなく完璧ではなかったが、S Fitzpatrickとの競り合いにAJがあっさり勝利して見事に39ydsのTDパス。
(以下動画の最初のプレー)

このプレーの最高なところは、
"Blitzに対してはスクリーンもしくはショートパス"
というWeek6までの公式を崩し、
"ブロッカーを増やしてでも時間を作って信頼できるWRを飛ばして奥にドン"
という新たな公式をブチ上げたところである。
Steichen & Sirianniはバイウィークの間にいい仕事をしたようですね。
こういうのが見たかったんですよ。注文通りである。
最高です。
何よりも最高だったのは圧倒的な球際の強さを見せたAJ。
神様ですねあんたは。
付け加えるなら、多少のリスクに目を瞑ってエンドゾーンに投げ込んだHurtsもお見事。
この姿勢が大事です。
さらば縮こまったOffenseよ。(7-0

 

と、順調に先制したのに続くPITシリーズでは13プレーで75ydsを繋がれて同点に。
許し難いのは自陣ゴール前2ydまで押し込まれながらなんとかFGに持ち込んだのに、そこで要らぬ動きでOffenseのFalse Startを誘発しようとして自身がDelay of Gameの反則を取られたGraham
キサマ何年やっとるのかこのジジイ。それが反則になるのは高校ぐらいで知っとるでしょうよ。
この初歩的なミスがClaypoolからFB Derek WattへのJet Pass TDに繋がって同点。(7-7

 

ここからしばらくして2Qへ。
この時間帯はいつも通り。いつもと違ったのは、AJへの2発長いパスでTDを獲ったこと。
あとはFG決められたこと。(21-10

 

そして鬼門の3Q。
ここから急に失速するのがOffenseの定番だったが、やはりバイウィーク明けで仕事してきた感満載のSteichenはひと味違う。
これまでの6試合で点を取った記憶が全くない後半の開幕シリーズで、これまでの6試合と、この試合の前半にも改めて張った伏線を回収。
それがこちら。

プレッシャーが予想される場面でGoedertが大外に、その内にブロッカーPascalがついていたらスクリーン、というのは前半にも学んだところ。
PIT D#のリアクションの速さも頷けるというものです。
まあ結果はその裏側だったんですけどね。
ナイスなタイミングでのナイスなデザインのプレー。これはコーチングの賜物。
PascalはPHI加入後初となる34ydsのTDレシーブ。(28-10

その後はFGを許したが、4Q頭にHargraveのサック&FFをMaddoxがリカバーしたテイクアウェイを起点に、続くプレーでAJのナイスRACが43ydsのロングゲインになり、最後はSandersの11yds TDランで勝負あり。(35-13

 

この時点で4Q残り12:41。OffenseはTNFに備えてMailata/Dickersonのどちらか以外全員を2枚目以降に落として休息モード。
結果、これ以降のガーベッジタイムでも得点は動かずこのまま試合終了。

 

主なスタッツ

 

良かった人たち

AJ Brown
あまりコメントすることもない。単なる神様。現人神。
DeVonta・Goedertと他にターゲットもいる状況でもあり、マークもさほど集中せずのびのびプレー出来ている様子。
4つ目のTDも狙っていたようで、Pascalに取られたものについては非常に悔しがっていた。
頼もしい。
球際の強さにRACと持てる武器を存分に発揮してくれた。
156ydsレシーブも、3TDレシーブもキャリアハイ。
7試合で659yds・5TDという成績は、PHIでは2004シーズンのTerrell Owens以来となる快挙だそう。
SBに進出したあの時と違うのは、DeVonta・Goedertと周りが充実していることに加えて、QBとの結びつき。
のちにチーム崩壊を招いたMcNabbのような性格難があるQBとHurtsを比べるんじゃないよ。
TNFでも活躍してくれるのを期待しているが、彼に注目が集まる試合で活躍するのは、恐らくDeVonta。もしくはGoedert。そういう寸法です。

ちなみに、このルーブル美術館に飾るべき写真(しっかりトーンティングは取られてます)

だが、何と言っていたのか試合後に聞かれていた。
"1. 2. It’s not enough"と言っていたとのことです。
頼もしいですね。

 

 

Jalen Hurts
そうなんだよ。これが見たかったんだよ。
安全なプレーも大事だがそれだけではいけない。
取れるリスクは取っていきましょうね、ということでAJに長いのを投げ続けた姿には非常に好感が持てる。
2021序盤のように、とりあえず投げてみた、というようなパスではないのもまた良い。
この日はPITが相当プレッシャーをかけていたようで、だからこそ成長も見えた。

 

PITは53%もの比率でBlitzをかけてきていたようだが、それに対してもしっかり対処出来ていたとのこと。

QBレーティングは131.4です。素晴らしいとは思いませんか?

 

ポケット内からの成績もしっかり向上。

 

その結果がこれである。

これまでというか最近の試合で唯一と言って良いほど足りなかったDeepをしっかり攻められた。
良いものを見せてもらいました。

この出来には満足できるか?という試合後の記者からの問いには、
"3Qはもうちょっとプレーを決められたし、3つ食らったサックも避けられた。もっと出来たと思う。"
とのこと。
完璧な人間性である。

 

 

OL各位
この写真1枚で足るのではないでしょうか。

サックこそ3つ程度あったが、あれだけのBlitz比率に対して3サックなら上出来でしょう。
加えてラン平均5.6yds。
珍しくLaneがプレッシャーをかけられていた場面はあったが、まあご愛嬌。
みんなで健康体を維持してこの調子でやっていっていただきたい。

 

ちなみに、ハロウィンの優勝者はバットマンKelceではなく、Kelceのコスプレで試合会場に現れたこの男です。


Stoutland先生へ。
JurgensをエキストラOLとかFBで使うプレーが見たいです。
よろしくお願いします。

 

 

Defense各位
"テイクアウェイが足りない"と思いながら観ていたが、4Qに固め打ち。
もうちょっと早くから出てくれたらありがたかったが、まあ1INT 1FRに加えて6サックはお見事。
上述した鮮やかなデザインはその後あまり頻繁には見なかったが、CJGJのBlitzは美しかった。
CJGJのINTに繋がったPBUはTJだったし、Hargraveは久しぶりの大当たりで2サック(+1FF)だったし、ボールが集中したBradberryも良くやっていたし、Miltonも1サック1PBUは見事。
という具合にユニット全般がよかった日だったが、立役者はほぼ姿を見かけなかったSlayとOLを真ん中から壊していたDavisだったと思っている。
非常に効いていた。はず。

 

そのうちDavisがHigh Ankle Sprain(通常4~6週かかり、人によってはだいぶ尾を引く場合も…)で途中退場。
泣いても良いですか?
スナップ数もこれまでになく増えていたのでこの事故は非常に残念。
いまは一日も早い復帰を祈っている。

 

コーチ陣(1名除く)
OCのSteichenもDCのGannonも素晴らしいプランと遂行だったと思います。
最高でした。
彼らの優れたお仕事は、やはりこの部分に出るのだと思っております。

単純に考えると1試合平均で2回相手よりOffenseシリーズが多いということ(だと思ってます)。
就任以来口酸っぱくボールについて語っていたSirianni &Co.
引き続きよろしく。

 

悪かった人たち

Brandon Graham
前述のとおり。
落ち着きがなさすぎる。

 

 

STC Michael Clay
バイウィークが明けても1人だけ落第点を叩き出し続けるSTC。
この日は今季2試合目となるFake Puntからの1st Down獲得を許す失態。
相変わらずリターンゲームはリーグ最底辺だし。
ここでやられて負けてからでは遅いのだよ。いつぞやのGBを見たのか。

 

リーダーとしては素晴らしい人のようで選手にも慕われているが、現状に対する手立てを講じられないのであれば去っていただきたいところ。

 

McPhearsonSipossのPuntを1yd地点で抑えたプレーは見事でした。
あの形は頻繁にSTのコーチ陣と練習している形だとのこと。
(ちなみに、McPhearsonの回想によると、弾く力がやや弱かったため先方のCBに入っていたOlszewskiが触らなければタッチバックになっていたはずだったとのこと。危なかった。)
次はリターンゲームをなんとかしてくれ。
リターナーの素質とかの問題ではない。
なぜならDeVontaでも結果が変わらないんだから。
頼むよここだけです。

 

今後の話とか

・TNFの前に4Qを休息に充てられたのはだいぶデカいはず。ナイスな試合運び。

 

・vsHOUというかRB Dameon Pierceというドラフト時から超欲しかったRBを迎えるにあたり、Davisという文字通り大きな穴をどうするか。
現有戦力のDTで埋めるなら、Tuipulotuの出番増もしくはPSからMarvin Wilsonを昇格させてそこで使うか。両方微妙。特に前者は絶対ダメだ。


なので提案したいのは3LBの形。
具体的には、Deanの出番を増やしてランストップを狙うというのはどうか。
ショートウィークだしあまり新プレーはなかろうがアクセントで良いのでDeanを使って上げてほしい。
もちろんWilsonも使ってほしい。よろしく。

 

 

Hurts、地元に帰還。
HOUで試合を出来るのが夢だったと。
どうやらおじいさんがHOUのスタッフだったようで、彼自身もチーム施設には何度も足を運んだことがあるそう。
燃えている様子でなにより。精一杯やってください。

 

 

・トレードについて。結局欲しかったRB2の補強はならず。まあ仕方ない。
残り指名権は3巡までを除くと7巡×2だったし。
BUFにいったRB Nyheim Hinesだったら獲れたのでは?という声が現地から上がっているが、たぶん欲しかったタイプと違う。
Hinesのレシーブ力は評価が高いようだが、PHIのその枠はドラフト時にSirianni自身がHinesと比較したGainwellがいる。
欲しかったのはこのテのタイプではなく、もう少しランに寄ったタイプ。
だから彼目当てに動けなかったのはまあ致し方ないと理解しているところ。

 

 

さてTNF。
しっかり予習しようと思ってTEN@HOUの試合を一度観た。
観た結果、この気持ちをどこにぶつけたらいいのかわからないが、あの時間を返してほしい。
もう観ない。

 

空席が目立つスタジアムを見て思ったのが、これならPHIファンが押しかけてARI戦のようにまるでホームみたいな空気になるんだろうな、ということ。
しかし折悪しくワールドシリーズが雨で1試合順延したせいでTNFと第5戦(@PHI)が丸被りに。
というわけで声援は期待できない。
頑張れ。