とうとうConference Championshipの対戦相手が決定。
AFCはKCとCIN、という1年前の再戦で、NFCも順当に2年連続のSFと、この中では唯一フレッシュなPHI。
この4チーム、2022レギュラーシーズンにおいて、"得失点差"と"OffenseのEPA*1"という重要とされる指標においていずれもTop6に入っているチームばかりなのだそうです。
タイプの好き嫌いなくOffenseが出せて、タイプの好き嫌いなくDefenseが止められる、そういうチームが強いということでしょう。
何が言いたかったかというと、こういう結論を出した途端、Defenseの嫌いなタイプがバレているPHIがめちゃくちゃ不利にしか見えない、というお話しでした。
(なぜかPHIはDefenseのEPAもあまり悪くなく、全体5位。ただし、お気づきのようにRunに限定すると26位に急降下します。)
前振りが長くなりましたが、その得失点差リーグ1位・Offensive EPAリーグ4位という現在リーグで最もホットだとされるSFの敵情視察を実施しましたのでご報告を。
敵情視察
今季のSFの試合を観ても良かったんですが、まあそれはベタだし現地の記事読む方が手っ取り早いということで、直近の対戦を観ております。
時は2021シーズンWeek2の@PHI。
Sirianni体制下で開幕ATL戦を制して勢いに乗ってのホーム開幕戦がそれでした。
そして、先に結果から申し上げると、こんな試合を観たばっかりに、敵情視察には失敗しました。
vs SF Offense
まずは先方のスターター。
待て待て。
違いすぎる。
まずQBからしてもうちょっと顔の彫りが浅かったはずだし、iOLが全員違う。
WR2も違えばRBなのかWRなのかよくわからない奴も加入してない。
続いてはPHIのスターター。
すごいな本当にこの戦力でプレーオフ行ったのか。
LBに至っては総とっかえ。
あまりにもメンツが違うので当初の目的は果たせませんでしたが、気づきを以下に羅列しておきます。
- だれこのHargraveとかいうランストッパー。知らない。
いまやランには無力、でお馴染みのHargraveだが、この試合は中央を結構壊してたのが意外。
ただし、iOLは全員替わっているし、若くなっているのでたぶん同じようにはいかない。
Davisがんばれ。 - あのMicah Parsons(DAL)を文字通り完封するという戦慄のパフォーマンスを見せたAll-Pro LT Trent Williams、実はBarnettに結構苦戦していました。
駆け引きはフルスピードでヒットした後、という色気なんか全くないバカ特有のムーブを見せるBarnettのパワーをやや持て余していた印象。
もちろん慣れたあとは、というかBarnettの引き出しが異常に少ない(ヒットして外から躱すか、それが無理なら苦し紛れにスピンするか、だけ)ことが分かった後は、完全にコントロールしていましたが。
というかまたこいつかよ。
せっかくいなくなってくれたと思ったのに。
TyronとZackとこいつは飽きた。もういいよ。 - 意外とDeebo(のラン)を止められていたのは朗報。
一応両EDGEはしっかりリード出来ていたので安心。
レシーブで6回93ydsだった事実は伏せたい。
Eric Wilsonの裏を通されてそのまま40ydsを走られたプレーは泣きそうになったあの時の感情まで思い出せた。
WhiteとBlankenshipならあんなことにはならないだろうよ。そうですよね? - スクリーンが上手いし効果的。
ターゲットがElijah Mitchellであり、CMCではなかった、それでもアレ、ということは肝に銘じておくべきだよGannon。
わかってんだろうなキサマその分野での成長は全く見られていないが。 - 化け物であることを再認識させられたKittle(個人的にはあのキャッチ自体より、その直後のヒットの前にボールを抱え込んだ動きの方が理解不能。あのままヒットしてたらこぼれてたはずなのに。Sが見えててやったのだとしたら全くもって人外。)
This catch from George Kittle is even crazier from this angle 😳 pic.twitter.com/LdUo1GnnL4
— OurSF49ers (@OurSf49ers) 2023年1月23日だが、この試合は4レシーブ17yds(もちろんスクリーン込み)なのでそんなにやられていなかった印象。
もちろん理由は定かでないですが、ちょっと安心したのは事実。
いいぞGannon。 -
Hassan Ridgewayとかいう有能ランストッパーを放流したのはRosemanの大失態。こんなに活躍しているあいつをなぜリリースするのだ。
あいつさえいれば…という試合は残念ながらDavisとJosephがいるので思い出せないが、まあSuhは獲らずに済んだはず。
なに?SFにいるって?
そうかIRか助かった。 - QBがJimmy Gなのでよくわからぬが、この男はやはりField中央に投げるの上手い。
ゴミLBにそれをされちゃ出るのは自明。
今は違います。
さてPurdyにもアレができるのでしょうか。
だとしたら泣くしかない。 - しかし泣きそうになるぐらいプレッシャーがかけられていない。
Grahamはアキレス腱切るし。
なんだこのRyan Kerriganとかいう給料泥棒は。
スタッツを見て呆れたが、Blitz2回・0サック・プレッシャー率6.1%というDefenseだったそうです。
そりゃJimmy Gも気持ちよくプレーできるに決まっておろう。
やる気あるのかGannonは。
Reddickもいるし、さすがに今回もこうにはならないはず。
ならないですよね? - 全然敵情視察でもなんでもないが、あのメンツから1年でここまで揃えたRosemanは本当に見事。
Ridgewayというミスはあるにしても。
脱帽です。
vs SF Defense
こちらもまずは先方のスターター。
変わり果てたSecondary。
確かにNormanと開幕直前に契約してたのは覚えてる。
元気してるのかあいつは。
続いてはPHIのスターター。
1年半という歳月はやはり長い。
この試合で途中離脱したBrooksはこのシーズン限りで引退したし、そのRGの穴を埋めたLandonはこの試合非常に不安定だったが、その後LGに移って今やプロボウラー。
そしてスキルポジションはやはりタレント不足。
WR2があいつという時代もあったのか。
感慨深い。
ではこちらも感想をポツポツと。
- Greenlaw負傷離脱中のSF D#において、実は一番厄介な存在に映ったのが、中央に鎮座するDJ Jones。
このオフは本当に欲しかった。
だがそんな願望が届かないほどの高額(3年30M)でDENに行ってしまった。
この分を差し引いてもちょっとソフトになってくれているのではなかろうかというのが希望的観測。
それと、この試合ではFGを叩き落とされたりもしたKinlawが全局面で相当に邪魔だったが、そういえばDAL戦では姿を見かけなかった気がする。
ケガの影響か?
せめてPHI最大の強みであるiOLでは勝負以上のことができないとちょっとしんどいことになりそう。 - MailataがちゃんとBosaと勝負出来ているのが素晴らしい。
BosaはDPOYパフォーマンスを見せているシーズンだが、Mailataとて最近の安定ぶりには目覚ましいものがある。
対Parsonsならちゃんと排除できてたし。
ここを消せるとだいぶデカい。 - ルーキー(当時)のCB・Lenoir君へ。
どうかこの時の初心を忘れていないことを願っています。
今やAll-Proにも選ばれたSFのS Hufangaだが、この試合のDefenseスナップはたったの"2"。
この未知数がどう効くのか全く読めない。
少なくともPHIにとってはリスクしかない。
怖すぎるポイント。
Hufangaのせいもあって、DBは間違いなくこの当時より凶悪化している印象。 - Hurtsよ。
上手くなったなあ。
判断と球離れが本当に良くなったよ。
そして、AJが入ってくれて本当に良かったなあ。
誰も彼も全然空いてないじゃないの。そりゃDeVontaにばっかり投げることになりますわな。
当時HurtsがあまりにもField中央を使わないので苛立った覚えがあるが、確かにWarnerがいればそうなるか。
Lambに追いつくLBとか反則でしかない。
AJならなんとかなるのだろうか。
ランでもパスでもWarnerは避けてよろしい。
この試合も5ソロタックル1TFLに加えて3ターゲット1被成功1PDですって。
総括
- 当時と比べると、PHI DefenseとSF Offenseとでは双方がパワーアップしている印象で、PHI OffenseとSF Defenseとでは、どっちもパワーアップしているがReagor→AJという強化とOLの安定のおかげでややPHIの方が強くなっているか。
この時は11-17というスコア。
この6点差がどこまで縮まるのか、あるいは広がるのか。
興味は尽きない。 - Rosemanは偉大。
あの戦力から1年でここまで持ってこれるとは。
QBがルーキー契約だというのはデカいのだろうが、それにしても見事なパッチワーク。 - それを可能にしたのがSirianni。
この試合を観て認識を新たにしたが、やっぱりキサマはプレーコールが下手だ。
それを認識してかHC業に専念しているのは本当に素晴らしいよ。
Steichenがいなくなってもこのままでいてください。
コールを出そうとは間違っても思わぬよう。
最後に
手前味噌、本当に手前味噌。そして蛇足なのも理解している。
本当に恐縮だが、この試合の感想を読み返してみると本当に面白い。
Hurtsへの信頼が(今ほど)なかったことがよく読み取れるし、Sirianniはプレーコールをやめて本当に良かったし、BarnettはクソだしGannonもアレ。
特に面白かったのは、Field中央を使えていないHurtsへの注文と、ここを使えるターゲットを切望していたこと。
まさにAJのことだったんだな今思うと。
それがこちらになります。
みんなChampionshipでは成長を見せてくれたまえよ。
Barnettは寝てていいよ。
この時と変わったのは、PHIというチームがすごく頼もしく見えること。
そしてこの時から変わらないのが、SFというチームがモンスター集団にしか見えないこと。
敵情視察という本来の目的は果たせなかったが、楽しみはもりもりと膨らんでございます。
*1:EPAとは、アナリティクスの文脈で多用される指標で、"Expected Points Added"の略です。
OffenseにおけるDown & DistanceおよびField Positionから導き出される得点期待値("EP"="Expected Points")の、プレー前後における差分であり、Offenseであれば正の値が大きいほど優秀、Defenseはその裏返しなので、負の値が大きいほど優秀、とされています。
例えばHurtsが自陣20yd地点から1st&10を迎えた場合、この時点のEPは0.7(所与の値)なので、ここから20ydsのパスをAJに通して自陣40yd地点からの1st&10となれば、ここの時点のEPが2.06(所与の値)ということなので、このプレーでのHurtsならびにPHI Offenseの"EPA"は+1.36、ということになります。
これだけではどれぐらいのものかわかりませんが、2022シーズン最高のOffenseを走らせたKCのEPA/playは+0.179であり、最悪のHOUのそれは-0.168というものだったそうです。
つまり、KCはプレーする度に得点期待値を0.179点増やし続け、HOUは-0.168点減らし続けた、という解釈になるでしょうか。