いよいよFA市場が開場してしまうので現時点のもろもろを整理しておきましょう。
日本時間14日(火)未明から合法タンパリング期間開始です。
そして、すごく地味な動きしかないだろうことにも腹をくくっておきましょう。
STの振り返り?何ですかそれ。
当然PHIにおけるキーマンはGM Howie Rosemanになるが、まずは彼の黒歴史から振り返っていくのがこのオフにどう動くかを紐解くカギになるでしょう。
もしくは一片の足しにもならないか。
かつての失敗
歓喜に沸いた2018年2月4日のイベント後、Rosemanは浮かれた。
あの頃のRosemanは基本浮かれていた。
"Dynasty"を作るんだと息巻いての"Win Now"モードの連発。
振り返ると、
- 2018オフ~
CARとのトレードでWR Torrey Smithの放出
SEAとのトレードでDE Michael Bennettの獲得
DT Haloti Ngata獲得
WR Mike Wallace獲得
CelekをリリースしていたTEにRichard Rodgers獲得
トレード締め切り間近に、何にもならなかったWR Golden Tate獲得のためにDETに3巡指名権を渡す
他 - 2019オフ~
デッドマネーキング・DT Malik Jackson獲得
TBとのトレードでD-Jaxを獲得し、契約延長
火種・CB Orlando Scandrick獲得
トレード締め切り間近に、何にもならなかったDE Genard Avery獲得のためにCLEに4巡指名権を渡す
Brandon Graham・Jason Kelce・Isaac Seumalo・Brandon Brooks・Rick Lovato・Lane Johnsonとの契約延長(実質再構築)
他 - 2020オフ~
DETとのトレードでCB Darius Slay獲得そして契約延長
DT Javon Hargrave獲得
CB Nickell Robey-Coleman獲得
DE Derek Barnettの5年目オプション行使
OT Jason Petersとの契約再構築
他
まあ当たりもあるので全部を否定しようとは思わないが、とくに契約延長とか再構築で将来のデッドマネーを積み上げる変わりに目先のキャップを空けるムーブを非常に好む。
その結果、ロスターの年齢は着実に老化し、その時限爆弾が爆発したのが2020シーズン。
Wentzこそケガをしなったものの、Kelce以外の高給取りが軒並み長期離脱となってPederson政権が崩壊。
その時に必死で嫌いな奴のことを調べた記憶があるので詳細が気になる方はこちらをご覧いただければ幸い。
あのオフにはさすがにRosemanへの批判も高まり、命の危機を感じたのか急ピッチでロスターの若返りに着手。
ちょこちょこやらかすクセは今でも変わっていない(i.e. Robert Quinn)が、2022シーズンに関してはお見事だった。
そして、まあその結果といって良いが、まだまだ過去の遺産としてのデッドマネーは積み上がり続けている。
現状整理
2023シーズンのデッドマネーが以下です。
既に余裕のリーグトップ。
この死に金を考慮したキャップスペースは6.6M。
さすがにこれでは動きようがない、と、普通は思うが、そこで動くのがRoseman。
例えばSlayとかLaneの契約再構築をかますと30M程度浮くことになるらしい。
よし。
となったのがこれまでのRosemanだが、Slayとのペイカット含みの延長協議をやっているところなんかを見ると、どうも様相が異なるのがこのオフ。
2018以降のロスター作りであまりにも批判が強かったのを受けて、徐々にではあるが自転車操業の程度を減らしていこうとしているのではなかろうか、と思っているところ。
など言いながら明日にでも"Laneと再構築"みたいな話が出たらごめんなさい。
2022シーズン中
通常、Rosemanは契約最終年の選手についてはシーズン中にさっさと延長をしてしまう。
2021シーズンの場合、最終年を迎えた2018ドラフトのGoedert・Maddox・Sweat・Mailataがそうだったし、2019UDFAのT.J. Edwardsもそうだった。
それが出来なかったことについては、"パフォーマンスが良い選手が多すぎて、というかみんな良すぎて選べなかったし、交渉も難しかった。ほんとに良すぎて。"との発言をしている。
2019ドラフト(振り返りたくはないが、振り返ると、1巡からDillard・Sanders・JJAW・Shareef Miller・Clayton Thorsonである。よくもまあこんなにガラクタばっかり集めることも出来たもんですな。)に契約延長に値する選手は1人もいなかったのでこいつらではない。
主には単年契約だったTJ・Kyzir White・Bradberry・CJGJとか、Hargrave・Eppsあたりのことを指しているのだろうがさもありなん。
シーズン中からオフの最優先事項がHurtsとの契約延長になることは簡単に読めたはずで、その一方でこのどデカキャップを占めるはずのQBとの延長コストが読めなかった以上、枝葉の選手で変にキャップを埋めたくなかったということならよく理解できる。
というわけで動けなかったこのシーズン中。
そしてHurts問題が動いていない以上、状況はさほど変わっていないはず。
補償ピック
最大限に流出してしまう可能性が高いこのオフ、どういう選手を獲るのかについて考えるときには補償ピックの話がどうしてもついて回る。
難しかったですが、おそらく以下の理解であっているはずです。
- 補償ピックとは、"FA流出がデカかった"チームに、翌ドラフト(今オフの場合、2024ドラフト)指名権が与えられるというもの。
選手に関する補償ピックは3巡以下で、各チーム4つが最大。 - 対象は、UFAで、ドラフト翌週までの期間で新チームと契約した選手で、契約がリーグ上位35%に入る選手。
この対象者のことを、Compensatory Free Agentの略でCFAと呼ぶこともあるそうです。
テストに頻出なのは、"契約期間切れ"によるFAしか対象にならないということ。
カットされた選手や、RFAのオファーがなかった選手は対象になりません。
今の例で言うと、Carson Wentzを筆頭とするカットされた選手たち(Street FA略してSFAと呼びます)は補償ピックの対象にならないので獲り放題ということになります。
また、ドラフト後に余っている選手たちも同様です。 - 仕組みは、まず単純に獲得したCFAと流出したCFAの数の引き算。
そのうえで流出数が多いことを条件に、獲得と流出の相殺後にもらえるピックが確定するようです。
例えば4巡相当・5巡相当の選手が1名ずつ流出し、5巡相当の選手を1名獲得した場合、5巡で相殺が発生してそのチームには4巡指名権1つが付与される、という仕組み。 - ちなみに、2023ドラフトにおいて7つという異次元の補償ピックを獲得したSFは、選手の4つ(D.J. Jones・Arden Key・Raheem Mostert・K'Waun Williams)に加えてマイノリティHC/GMを輩出したことでも3つを貰っている。
で、そのデカさというのは、年平均サラリーとその年の出場スナップ率を、もちろんサラリーの比重の方が大きいが、総合的に考慮して決められるそう。
そして、ここからが本題っぽいですが、現在PHIで見込まれているUFA候補者のうち、補償ピックの対象になりそうないわゆるCFAは以下の通りです。
DT Javon Hargrave→4巡
(DT Fletcher Cox→4巡)
CB James Bradberry→5巡
OG Isaac Seumalo→6巡
LB Kyzir White→7巡
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OT Andre Dillard→7巡
DT Ndamukong Suh→7巡
LB T.J. Edwards→圏外
DT Linval Joseph→圏外
QB Gardner Minshew→圏外
S Marcus Epps→圏外
S CJGJ→圏外
RB Miles Sanders→圏外
RB Boston Scott→圏外
Coxは契約切れのはずなのにOver The Capにそう認識されてないのは一体どういうことなのだろうか。
あいつの契約は常々思うが難しすぎる。
感想は、世知辛いですね、というもの。
しかし勘違いしてはいけないのが、このシミュレーションはあくまで現在の契約金額に基づくものです。
新契約がデカくなれば順位は上がるので、例えばSeumaloが3巡に化けることももしかしたらあるかもしれんませんし、今圏外のCJGJについても、デカい契約を手に出来れば5巡ぐらいにはなってくれるかもしれません。
結論じみた推測
どこまでUFAの選手を引き止められるかにかかっているが、補償ピックは狙うはずなので、それほどFA市場で動くとは思えない。
加えてあのキャップ事情もあるので、一点豪華主義的な動きも起こりにくそう。
というわけで、今週も皆さんゆっくり眠っていただいて結構です。
PHIにビッグニュースは訪れなさそうです。
しかし来年のピックの潤沢さを考えると、このドラフトで来年のピックをネタにしたトレードアップもあり得る気がしてきた。
CB狙いのこの動き(やるなら6位のDETの上に出る必要がありそう)が起きた場合には、補償ピックのことを思い出していただけると幸いです。
結論は、Rosemanは早くHurtsとの契約を延長しろ。
でした。
GO BIRDS!!