でっかい穴だと思っていたところに立て続けに補強が。
これにてドラフト前のFA補強はいったん終了のはず。たぶん。
そしていよいよドラフトに向けてのプロセスも熱を帯びてきているようなのでTop30-Visitについても少々。
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やってきたLB
TJを筆頭にLBにガッツリ投資しているCHIからUFAになっていたNicholas Morrowを獲得。
存じ上げなかったので勉強しました。
2017のUDFAでLV(当時はOAK)入り。
大学はGreenvilleというDivision Ⅲの弱小校。
高校時代にはOLからキャリアを始めたが、その身体能力ゆえに盛んにコンバートされ、大学時代はSとしてプレー。
Northwestern大のプロデイに参加し、ここで40ydsを4.52で走ったことで注目を集める。
プロ入りしたOAKで当時のDC Ken Norton Jr.によってSからLBのコンバートされ、理想として背中を追ってきたのはDeion Jones(当時ATL・現CLE)とかLavonte David(TB)といった小兵スピード型の選手たち。
数試合観ましたが、ほんとにまあそんな感じです。
6'0"(183cm)の216lbs(98kg)というほぼCBのような体格はやはり小さく見えるが、一方でスピードは充分。
オープンフィールドでのRBやTEのパスカバーに問題はなく、小兵ながらOLにちゃんと当たっていけるのでランストップも、さすがにT.J.のレベルにはない気がするが、それほどストレスはなさそう。
何度も何度も申し上げるが、後者の"自分からOLに当たって処理できる"という能力はLBに必須のものです。
如何にスピードがあってもこれが出来なければ一切使い物にならないというのはEric Wilsonを筆頭に数々のゴミたちがしっかり見せてくれた。
というわけで最低限超えるべきハードルはクリアしているようです。
少し脱線しました。
その他、プレーリードは悪くないんだが、ランのときにOLが漏れてきた場面でちょいちょいラクな方から行ってしまうのがいただけない。
ちゃんとホールに顔を出さないと止まらないよ、と真面目なダメ出しをしたくなるシーンが散見される。
特に自分から遠いサイドでのプレーになったときに発生しがちで、これが原因でタックラーが足りなくなって事故が発生した映像も観た。
ただそんな不満を抱いたのも相手がLaremy Tunsil(HOU)とかPenei Sewell(DET)とかのスーパーアスリートOTたちなので通常は問題なさそう。
付言しておきますが、両名相手にも山ほどいいプレーは見せていた。
まあ完璧な選手などいないと思うことにしましょう。
そして、映像からはわからないが非常に頭がいい選手なのだそう。
フィルムスタディを怠らないため、相手の隊形からプレーの目星を付けるのがお上手なんだとか。
それが証拠に、2022CHIでのスナップ数は1,086でD#選手ではトップとなるほぼ100%(99.82%)の出場。
うむT.J.と被る。
PHI的には、T.J.にあったランストップ能力を犠牲にして、T.J.に足りなかった(とされる)パスカバー能力を獲得した形。
Kelce弟とPachecoを止められなかったSBから得た教訓が、やっぱりパスD#だ、となるのは非常に興味深い。
雑駁にまとめると、
タックル:T.J.>Morrow
ランストップ:T.J.>>Morrow
パスカバー:T.J.<Morrow
頭脳:T.J.=Morrow
ぐらいになるでしょうか。
T.J.とは求めるものの方向性が違うため比較しても意味がなさそうだが、結論としては、とてもいい補強だと思います。
しかしこのままMLBとしてMorrowを起用して、WLBにDeanを入れるとなるととんでもないスピードユニットになる。
そしてこのLBの組み合わせにするにはOLを漏らさないようなDLの強化は必須。
HargraveアウトでMiltonインの時点でDL強化は完了しているという見方もできるが、Roseman的にはまだ足りないと考えているだろうことは想像に難くない。
というわけでドラフトにおける1巡10位でのDL指名の蓋然性はますます高まった。
気がする。
問題はDTなのかDEなのか。
台頭するMiltonの存在と、Graham・Barnettとの契約が2023限りであることを考えるとDEに行きそうな気がしなくもないが。
話は戻ってMorrow。
開幕時に28歳を迎える無名校出身の苦労人は、Division Ⅲの大学でプレーすることについてこう語る。
"Division Ⅲにはスカラーシップもない。プレーするためには金もかかる。大勢の人が見に来るわけでもない。
最後に大きな見返りがあるわけでもない。だからただただゲームを愛するがゆえにプレーするんだよ。隣にいる兄弟たちのために、ただ単に競い合うことが好きだから、プレーするんだ。"
とても好感が持てる。
SingletonにしてもTJにしても、その席は元から苦労人専用の席だからね。
似合うと思いますよ。
応援している。がんばってくだされ。
S補強
CJGJの離脱でDBルームに不足していたドレッドを補充。
PITからUFAになっていたTerrell Edmundsを獲得。
思っていたよりだいぶ大物ドレッドだった。
2018ドラフト全体28位でPITに指名されたVirginia Tech出身のSは、5年目オプションを行使されなかったので広義のバストには当たるのだろうが、それでも1年契約でPITに残っていたのが5年目に当たる2022シーズン。
悪い選手ではないがやや物足りなかったということか。
1年前のオフには(名前的に)非常に欲しかった記憶がある選手だが、改めて2022シーズンWeek8のPIT@PHIの映像を観返したところちょっとした不安が芽生えてきたのは事実。
この試合のEdmundsのお仕事は、スロットに入ったA.J.かTEのGoedertのカバーがメインだったが、結構簡単にパスが通っていた印象。
(Pro Football Referenceなんかではターゲット認定数がだいぶ少なくなっているので悪くは見えないが)
とはいえ悪くないプレーもたくさんあったので悲観的にはならなくて問題ないでしょう。
ではこのEdmundsをいったいどう使うのか。
タイプ的にはSS(Strong Safety)であり、2022シーズンのラインアップは
Box:322
Free Safety:254
Slot Corner:195
D-line:66
Wide Corner:49
というバーサタリティの塊。
本人も"バーサタリティには自信がある。コーチにいわれた役割の遂行に全力を尽くすよ。"との言。
スキーム上はGannon=Desaiだと仮定すると、基本はSplit Safetyなので深めにセットすることになろうが、Offenseがヘビー隊形の場合、EppsがBox内に入るパターンも結構見た。
そういう時にはEdmundsのBox内での強さも充分に活かせるでしょう。
がんばっていいとこどりしてBlankenshipと共存させてねDesaiさん。
もしかすると役割が被っちゃうのはBlankenshipではなくてMorrowの方かもしれないというのは考えすぎであっていただきたい。
実は去年の6月のDeVonta主催チャリティーソフトボール大会にも出場していたようで、その時からPHIの面々とは親交があるとのことで加入にはウキウキしているさまが窺える。
Week8の試合でもLincの雰囲気には感銘を受けたのだとか。
いいチームを選んだと思いますよ。
あんたも応援してる。
がんばって次の大金稼いでください。
補償ピック
全く問題ない。
当初の想定通りRashaad Pennyに加えてGreedy WilliamsもJustin EvansもNicholas Morrowもほぼベテランミニマムでの契約であり、給料が安すぎて補償の対象に当たらず、よって相殺対象にもならない。
Edmundsにしても2022の契約が2.5Mだったところから爆増する理由はないのでそもそも補償の対象にならない可能性大。
なったとしても3.5M/年のMinshewのレベルにはいかないだろうし、仮にその近辺であったとしても上から9個目のMinshew分のピックが消えるだけである。
もらえて最大4個なので元から無意味なところ。
ということで、Hargrave・Seumalo・Dillard・T.J.(もしくはCJGJ)の4つで3巡・5巡×2・6巡という補償ピックから変動なし。
そういえば
CJGJの契約詳細が明らかになった。
"8M"と喧伝されていたところだったが、内実は6.5Mで、残り1.5Mについては
"DET D#がリーグ上半分に入ることを前提に"、CJGJの出場スナップ率とINT数で半分ずつ設定されているものだそう。
CJGJが100%出場して15INTを収めたとて、D#の成績が良くなければ6.5Mのまま。
とてもリスキーなインセンティブ設定に見える。
個人成績だけに設定すれば良いものをなぜチームの成績とリンクさせちゃうのか。
上手く転べばいいんだろうが。
CJGJが拗ねないこと祈っている。
というか代理人よ。
失敗したな。
Top 30-Visit
むしろ本題はこちら、という可能性すらあります。
そろそろ情報が出つつあるのでいったん整理を。
情報の時系列順にしています。
DT Brodric Martin(Western Kentucky)
6'4" 335lbsの大男はShrine Bowlの練習でも相当輝いていた様子。
パッドレベルが高いとのことでダブルチームの受け方なんかはあまりお上手ではないが、とはいえシングルブロックで止めるのは相当に難しそうな選手。
Lil 330lb peak-a-boo from @ShrineBowl acceptance Brodric Martin from WKU. Massive 6’4 335lbs with some range! pic.twitter.com/cvu0rEcznL
— Ben Fennell (@BenFennell_NFL) 2022年12月9日
彼が最初に報じられたことには驚きを禁じ得ないが、2022シーズンでもDavisが傷んだ穴埋めに苦労したことを思うと、NT探しに全力を挙げるのはうなずけるところ。
本当の希望はKeeanu Benton(Wisconsin)だということは何万回でも言い続けるが。
現時点での予想は6巡以下程度。
UDFA向けの弾込めかもしれないということは頭の片隅に置いておく。
OT Paris Johnson Jr.(Ohio State)
今ドラフトにおいてLTとして真っ先に指名される可能性がある男。
仮に9位のCHIがスルーしちゃった場合、どうするのか悩ましい選手。
個人的にはスルーでOKなんだが、Laneの保険としてRGに一旦据えるという案は魅力的。
まあ現実的にはJurgensもいるしこんな高位でやることではない。
足さばきは完璧。
Ladies and Gentlemen. He’s an Elite Tackle. Great job today P! #ProDay2023 pic.twitter.com/QsHWjO8M9h
— 🙏🏽 Mike Daniels (@Mike_CoachD) 2023年3月22日
OT Dawand Jones(Ohio State)
Mailataよりもデカい、というとそのサイズ感が伝わるだろうか。
Senior Bowl史上最長のウイングスパンを計上したこの男。
その長い腕を最大限生かして、というプレーはあまり見られないが、とはいえ現時点でも2日目は外さなそう。
Best throw of the day by CJ Stroud.
— Dane Brugler (@dpbrugler) 2022年10月30日
Up six with 4 minutes left, OSU goes aggressive instead of running clock. Perfect placement by Stroud.
(Also, peek at Dawand Jones at RT 👀) pic.twitter.com/Do6cMHjirI
DT Jaquelin Roy(LSU)
DTは欲しいんだがお前じゃない。
6'3" 305lbsというサイズからはNTも出来そうだし"バーサタリティ"みたいなことも言われているが、試合の映像から惹かれるなにかを感じたことがない。
やめてくれい。
あとコンバインのドリルもまあ微妙だった。
やめようよ。
Big Time Sack @d1roy1000. Aggies forced to punt.
— LSU Football (@LSUfootball) 2021年11月28日
1:12 | 2Q pic.twitter.com/E2v0DAgz8a
RB Bijan Robinson(Texas)
言わずと知れた今ドラフトトップRB。
Saquon BarkleyあるいはAdrian Petersonの再来なんて声すらある才能の塊。
RBというポジション柄PHIが指名することはないんでしょうが、DALが指名しそうな気配が濃厚に漂う中、どういう選手か知っておくというのも悪くないでしょう。
Bijan Robinson making defenders look silly on his way to pay dirt 😯 pic.twitter.com/zLwRu74exw
— ESPN College Football (@ESPNCFB) 2022年10月22日
DE Lukas Van Ness(Iowa)
6'5" 272lbsというサイズと圧倒的な身体能力。
このサイズにしては小回りが利いてパスラッシュの能力も申し分なし。
ランストップまで含めた万能感で言うと、サイズ感こそ違うが、Grahamの後継者として選ぶなら彼。
ただし、1-10という指名位置が適正かどうかという謎はまだ残る。
1巡なのは間違いなさそうだが、コンバインのドリルの普通感からして1-10はちょーっと勘弁していただきたい気もする。
相手がPeter Skoronskiであることに大いなる価値がある映像がこちら。
...so this Lukas Van Ness kid has some power! Looks like f'n Justin Smith here lol
— Ben Fennell (@BenFennell_NFL) 2022年8月6日
Whoa.
And against Peter Skoronski - who might be the best OT in CFB this season pic.twitter.com/jLp3Bg7cVN
DT Bryan Bresee(Clemson)
高校トップリクルート。
6'6" 298lbsのサイズにして40ydは4.86となかなかのタイム。
これを見るとJordan Davis(340lbsで4.78)がいかに化け物だったかがよくわかる。
Davisでも13位だったのにそれを超える価値があるのか、というところが疑問ではあるが、じゃあほかに10位で誰を獲ればいいのか、という問いに明確な解なし。
Nolan Smithでも行くかね?
敢えてDavisより優れているところを挙げるとするなら、やはりそのパスラッシュ能力。
2021にACLをやっているので2022も本調子でなかったと考えるなら天井がどこにあるかは想像もつかない。
コンバインでも横並びのプロスペクトからは頭一つ抜けるさすがの動きを見せていたし妹さんのこともあり人間性も成熟していることは想像に難くない。
セーフティにもほどがあるピックだと個人的には思っているところ。
Coxの後継者として10年よろしく。
Yeah, #Clemson DT Bryan Bresee #11 looks healthy.
— Dane Brugler (@dpbrugler) 2022年9月6日
Stack, shed, finish. Hard dude to slow down. pic.twitter.com/myxrebj9HK
DT Jalen Carter(Georgia)
出ましたチキンレース案件(不謹慎)。
2023年初頭、Georgiaの全米優勝を祝したパレードとパーティの直後、この男はリクルートスタッフの女性が運転しOLの選手が同乗した車と公道でレースを開催。
結果、後者の車がクラッシュし、その2人が死亡。
当初は"リクルートスタッフの女性とOLの選手が自動車事故で死亡"というニュースだけ流れてきて、HC Kirby Smartも追悼するしDavisとDeanも2人を悼むTシャツで試合前練習をするなど追悼一色だった。
それが、コンバイン当日になってCarterが関与していたことが発覚。
前述の女性スタッフは血中アルコール濃度が0.197%という一般的には泥酔状態での飲酒運転だったようだがCarterの飲酒有無は不明。
当初の証言は"1マイルぐらい後ろを走っていた"というものだった。
本件については出頭して保釈されている状態で、刑事罰的なものがどうなるかは不明。
そしてその後にも別件でスピード違反で警察に事情を聞かれている映像が出回るなど散々。
極めつけはGeorgiaのプロデイ。
参加はしたもののコンバイン時より9lbs太った状態で現れ、ポジションドリルにのみ参加。
しかしそのポジションドリルすらさては飲んできたのか?というぐらい動きもおっそいし結局息切れで最後まで全うできずという有り様。
太ってる疑惑を招きかねない体重で現れておいてTシャツを脱ぎ捨てて確定ランプを自ら灯すなんて正気の沙汰とは思えないが。
残したフィルムは上々。
というか素晴らしい。
Jalen Carter: GROWN MAN 🤬 pic.twitter.com/HQRvGWDX8L
— PFF College (@PFF_College) 2022年9月3日
だが果たしてだれがこんな熱々の案件をピックするのか。
SEAしかないな。
仮に10位に落ちてきたときですか?
裏切られた格好のDavisとDeanがどう思うかを考えるとスルーで結構です。
以上になります。
最後の2名との面談情報は確実なところから出たものではないので真偽は微妙だが、噂程度のものも含めて現在では上記8名を招いたとのことです。
現時点の1巡10位希望
Breseeでも全然文句はない。
文句はないんだが、このリーグで勝っていくためには殴られる前に殴り、殴られたら5倍殴り返すOffense力がどうしても必要。
というわけで、現時点での1-10の希望はやはりJaxon Smith-Njigba(Ohio State)です。
武器が多すぎて困るということはないし、困るなら困ってから考えましょう。
いずれLambとGallupの契約が重くなってCooperを手放さざるを得なくなったDALのようになってしまうにしても、それまでにSB勝てれば何の問題もないのです。
そのための努力としてさらにピカピカの武器を手に入れるというのはどうでしょう、という提案でした。
考えてみてほしい。
A.JとDeVontaとJSNとGoedertが同時に立つフィールドを。
指揮者はHurts。
仮に後ろを分厚くされてもPennyがいる。
そしてこのOL陣がいる限り最低限の時間は確保できる。
そうしたら誰でも狙い放題ではないか。
一度殴り負けた。
次はもっと殴ればいいじゃないか。
という妄想が、Pascalも放流してしまったWRに補強の動きがないことでどうしても捗ってしまう毎日でした。
GO BIRDS!!