最高だったドラフト後、少しばかりの脱力感があったが現地のニュースはちょこちょこ進んでいるので浅いドラフト後日譚と合わせて。
Dawgsまみれドラフトの謎
1-9 DT Jalen Carter(Georgia)
1-30 EDGE Nolan Smith(Georgia)
3-65 OG Tyler Steen(Alabama)
3-66 S Sydney Brown(Illinois)
4-105 CB Kelee Ringo(Georgia)
6-188 QB Tanner McKee(Stanford)
7-249 DE Moro Ojomo(Texas)
"ゲイターズの同窓会から縁を切られるかもしれない"
というのはFlorida大卒のRosemanが飛ばした冗談だが、今ドラフトでの指名選手があまりにもGeorgiaに偏ったことは周知の事実。
ではなぜそうなったかについての質問がRosemanに集中するのも当然の話。
どのタイミングかはわからないが、昨年RosemanがGeorgiaの練習を見学して帰ってきた際にSirianniに"どの選手が良かったか"と問われた時の感想は、"わからんけどDefense全員が良かった"というもの。
だから3人も獲ったのか。
もともと、PHIというかRosemanはあまりその年にいい成績を収めた大学から集中的に人を獲ってくるということをしないチームというかGMだった。
その証拠に、2015~2020のドラフトにおいてカレッジのプレーオフに出場したチームから獲ってきた選手はトータルで5人だけ。
その風向きが変わったのがクソみたいなドラフトをした2020。
Justin JeffersonをパスしてReagorを選び、そして何の役にも立たなかった2020ドラフト。
しかしここでは2巡でカレッジの勝者になりながら挫折を経験した男も獲っている。
言わずと知れたJalen Hurts。
Hurtsをみて考えを改めたのか、偶然だったのかは定かでないし、恐らく評価軸を変えてみたことと評価の結果という偶然の両方の要素がうまくハマったのだと思うが、2021ドラフトでは全米王者Alabamaから1巡でDeVonta Smith、2巡でLandon Dickersonと連続で指名。
この2人を指名してみて、Hurtsのときに芽生えた仮説が確信に変わったのが、"経験が最良の教師になりうる"ということだったよう。
偉大なカレッジプログラムにリクルートされ、偉大な環境で優れたコーチのもと優秀なチームメイトと切磋琢磨し、最大の試合、最高にプレッシャーがかかる舞台で、最高の競争相手とプレーしてきた選手たちは、そのままプロの世界に放り込んでも結構問題なくやれちゃう、ということだったそう。
シンプルだがこれが1つの答え。
やり方を変えてみた2021ドラフト以降、PHIのカレッジプレーオフ出場チームからの指名選手はたった3回のドラフトにもかかわらず全1巡指名の4人を含む計9人。
Hurts・DeVonta・Landonといずれも良きチームメイトであったことも非常に大きな要素だったことは想像に難くないが、"カレッジで勝者のメンタリティを身に備えた良きチームメイト"を指名するというのがRosemanの出した1つの答え。
もうね、良きチームメイトと言う意味ではNolan Smithなんか最高なんですよ。
Jalen Carterと並んで臨んだPHIでの指名翌日の記者会見では、Carterのことを"JC"と呼び、どんな質問が来るかと不安げな表情のJCの代りに受け答えを積極的にリードし、時折笑顔でJCがどれだけ最高かを褒めながら握手までして徐々にJCの表情も和らげていっていた。
会見直後、ある記者が"Nolan Smithが近い将来"C"マークを胸に付けていても全く驚かない"という感想は本当によく理解できるものだった。
素行面とかチームメイトとしてのNolan Smithは全く問題なし。
4巡のRingoもその点では問題ないという調査結果だった様子。
JCのその点での懸念はそれこそ懸念と言う日本語が弱すぎるぐらい明確だが、Georgiaの先輩であるDeanも記者会見の日にチーム施設にかけつけたJordan Davisもいるし、Fletcher CoxもBrandon Grahamもいる。
なにより俺たちにはHurtsがいる。
"出身校で選ぶとかアホのやることです。我々は選手を獲ったんだ"というRosemanの発言は至極まっとうなもの。
特定の学閥がロッカールームに溢れるわけではない。チャンピオンが溢れるだけです。
転ぶときは派手に転ぶかもしれないが、この路線は大いにありだと思いますし応援したいと思います。
"Red Star"の謎
EaglesのBig Boardには数名"Red Star"がつけられた選手がいるのだそう。
その赤星が意味するところは"Philadelphia Eaglesを体現するような男で、偉大な性格、キャプテンシー、知性、(コンバイン等で示される)運動能力、試合でのアサイメント遂行、練習態度が抜群の選手"という意味なのだそう。
ドラフトプロセスでは"Blue Chip"という言葉がよく使われるが、"超欲しい選手"に対して組織としてつける記号なのだそう。
その性質上、おおむね1巡で指名されるような選手にしか付与されることはない。
一方で、"Red Star"は全てのスカウトに付与することが許されているそうで、要は各エリアのスカウトが惚れ込んだ選手に与えられるものだとか。
性質の違いから、"Blue Chip"が上位層の少数に偏るのに対して、"Red Star"は通常ボードに10名前後いて、1巡~UDFAまで様々なレベルに散っているとのこと。
現在のロスターには前述のDeVonta SmithやLandon Dickersonを筆頭に15名近くが元"Red Star"保有者なのだそうです。
そして、このワードが出てきたのは、3巡66位で指名されたS Sydney Brown(Illinois)指名の文脈でのこと。
PHIが12年ぶりに3巡という高位で指名したSになるのが彼だが、内面に関する評価が非常に高かったようで、特にその練習や試合に現れる情熱に対して首脳陣は惚れ込んだ様子。
ドラフト前のインタビューも、チームでキャプテンを務めた素晴らしい青年で、望みようがないほどのチームメイトで、勤勉で、時間を大切にする人だという印象をしっかり植え付ける良いものだったということです。
スキームフィットという点でも、新DC DesaiがSに求めるであろう多彩な役割のすべてを高レベルで果たしているのが試合映像に映っている。
というか、TEへのマンツーマン力たるや2巡34位でDETに指名されたIowaのTE Sam LaPortaを完封する程度だし、通算10INTというボールへの嗅覚も、ランストップへの嗅覚も素晴らしい。
映像を見直すたびに惚れていってしまっている選手だということは白状しておきます。
そのうえで内面も素晴らしいとは。
非常に楽しみ。
Edmundsの背中から存分に学び、今後5年間はBlankenshipと組んで鉄壁S陣を構築してくださいませ。
Ojomoについても語り散らしたいところだがとりあえずはBrownについてだけです。
ニュース
ドラフトは終わってもロスター補強に終わりはない。
Former Jaguars’ TE Dan Arnold reached agreement on a one-year deal with the Philadelphia Eagles, per source.
— Adam Schefter (@AdamSchefter) 2023年5月4日
ドラフトで指名を熱望したのに放置されたTEポジションだが、ここへ来てそこそこの有名人と1年契約。
Dan Arnold 28歳。
Wisconsin–Plattevilleという聞いたことのないカレッジの出身で、2017にUDFAとしてNOからプロ入り。
NOで2シーズンを過ごしたのちARIで2年を過ごし、その後CAR→JAXと渡り歩いてこの度PHI入りとなった次第。
StollとCalcaterraじゃ明らかに足りていなかったTE2としてそれなりに計算できる選択肢でありなので興奮はしている。
ストリートにいるTEとしてはほぼトップの存在なのでこれ以上の補強はUDFAとCalcaterraの成長待ちという未確定のものにすがるしかないが、やっと見てられる陣容になったのでひと安心。
Arnoldも加えたドラフト後のロスターの状況についてはおいおい整理します。
GO BIRDS!!