ようやくにしても新体制回りのニュースが入ってきたのでまずはそちらから。
本題は、こちらもコーチたちの無能ぶりの影響を受けずにはすまなかったRB陣です。
ニュース
LurieとSirianniの会見以来、噂しか流れていなかった新体制について。
現地21日(日)夜、NFL NetworkのRapoportによると、DC Sean Desaiが解雇されたとのこと。
シーズン中にプレーコール権限剥奪という降格処分を受けていたことを考えると妥当すぎる結末。
ただ、このニュースすら腹立たしいので以下殴り書きます。
- Desai→Patriciaへの権限移譲は、"DesaiスキームはそのままでコールをPatriciaが出す"というSirianniの説明だった。
- 実際はシーズン終盤にDefenseスキームを一新するという意味不明な動きを取り、結果全く意思統一が出来なくなったDefenseは歴史的な崩壊を見せた。
- もちろんDesai時代のほうが、消極性はPatriciaを上回っていたものの、全般は見るに堪えるものであった。
- そしてこのシーズン中の方向転換の決定者はSirianni。
- そもそもDesaiをDCに連れてきたのもSirianni。
- そのSirianniがまた自分でDCを選ぶ。
- やってられるか。
Desaiが苦労したきっかけはMaddoxとDeanのケガだったと考えると不運でしかない。
悪い人間ではなかったと聞いているし、やろうとしたことは間違ってなかった気がする。
前途がいいものになるようにささやかに祈っている。
現時点での後任候補者の噂は、NYGを追われたWink MartindaleとATLを追われたRyan Nielsenだということです。
どちらも地雷のにおいがしますね。
では本題に入りましょう。
開幕前の期待
OUT:Miles Sanders('19/2巡→CAR)・Trey Sermon('22/Waiver→IND)
Stay:Kenneth Gainwell('21/5巡)・Boston Scott('18/PS/NO)
IN:Rashaad Penny('23/UFA←SEA)・D'Andre Swift('23/Trade←DET)
キャリア初の1000ydを走るも大エース感は最後まで出なかったSandersが去った昨オフ。
プレーオフではGainwellがスターターを奪っていたためGainwellだけでもいいが、さすがに実績も期待値も低すぎるのが怖いな、と思っていたところにUFAで真っ先に獲得したのがPenny。
SEAでの活躍の印象も強かったが、それ以上に大ケガで離脱を繰り返している印象も強かったこの男を獲ったのは意外でしかなかった。
ケガのイメージがあるが、元気なうちは働くだろうしドラフト1枚ぐらいの指名でたるか、と思っていたところ、3日目にトレードでやってきたのが地元の星 D'Andre Swift。
これで体制は万全。
むしろ豪華すぎる。いったいどれだけランが出るんだ今季は、というぱんっぱんに膨れ上がった期待が以下だったようです。
RB(4)
確実に1年前より強くなったと胸を張れるポジションの1つ。
ここへの投資の少なさは長年不満だったが、今季に関してそれは一切ありません。
そして新OCのBrian JohnsonはRBへのパスを好むという噂のため相対的に目立つ場面は増える可能性があります。
#14 Kenneth Gainwell(Memphis)5'9"(175cm)200lbs(91kg)24歳 3年目(1.0M・3/4・21-D5-150)
2022:17試合(先発0試合)53回 240yds(Avg. 4.5yds)4TD 0Fum 0Lost/23回捕球169yds(Avg. 7.3yds)0TD
2022シーズン序盤は、WEEK2 MIN戦での落球がINTにつながるなどキャンプ以降の評判の芳しくなさを引きずっていたが、いつの間にか改善。
レギュラーシーズンの試合で"この試合が転機だった"といえるものは一切ないのだが、プレーオフに入って爆発。
Divisional RoundのNYG戦でのランパス合計121yds獲得は、かのJeremy Maclinに次ぐプレーオフにおけるフランチャイズ2位の記録。 この試合を機に不甲斐ないSandersに代わってRB1に昇格。
とはいえ今季のRBルームの充実ぶりを見るにつけて、やはり2022シーズン程度の出番数(Offenseスナップの28%)にとどまる気はする。 が、キャンプでも相当に評判が良かった。 万能RBとして限られた出番のなかでも爆発を楽しみにしております。
#0 D'Andre Swift(Georgia)5'9"(175cm)208lbs(94kg)24歳 4年目(1.8M・4/4・23-T-DET)
2022(DET):14試合(先発8試合)99回 542yds(Avg. 5.5yds)5TD 1Fum 0Lost/48回捕球389yds(Avg. 8.1yds)3TD
Georgiaドラフトに沸くPHIに、Ringo指名直後に飛び込んできた"Swift、PHIへ"のニュース。
Swiftは高校までPHIという地元っ子。
元UGAのスターRBだけあって走るのはうまい。特にBoxの外に持ち出されるととんでもなく厄介な存在になるということは昨季開幕戦で痛いほど思い知った。
あまり派手ではないが、スクリメージydsが875yds以上、7TD以上という成績を過去3年連続で出しているのはSwiftのほかにはChubb(CLE)・ZEKE(NE)・Henry(TEN)・Jacobs(LV)・Jones(GB)の5名しかいないのだとか。
ケガが多い印象だが意外とコンスタントに結果を残しているようで。
プレシーズンでもいいランを見せていた。 健康でよろしく。
#23 Rashaad Penny(San Diego State)5'11"(180cm)220lbs(100kg)27歳 6年目(1.2M・1/1・23-FA-SEA)
2022(SEA):5試合(先発5試合)57回 346yds(Avg. 6.1yds)2TD 0Fum 0Lost/4回捕球16yds(Avg. 4.0yds)0TD
(健康なら)とんでもないラッシング能力を発揮する元1巡RB。
専門はBox内であり、この点Sandersが大の不得意だった分野のため、(健康なら)猛烈なアップグレードが期待できる。
ただ、Sirianni率いるPHIの練習とかケアの体制については相当にご満悦なようで、これまでのキャリア5年間で42試合(ほぼ試合数の半分)しか稼働できなかった男も、Gainwell・Swiftとの頻繁なローテーションと合わせると健康で1年を過ごしてくれるのではないかという期待はある。
ちなみに、これまでのキャリアにおける5.7ydsというランにおける平均獲得ydは歴代でも相当上位(2000年以降最高とかそんなレベル)なので能力はとても高いし、2022シーズンの数少ないサンプルからもそれはうかがえる。
カレッジでは7Kickoff Return TDというFBS歴代最多タイ記録を保有している才能の持ち主。 さすがにケガが怖すぎるので起用は憚られるが、キャンプでもちょろっと練習していたようなのでここぞという場面ではあるかも。
#35 Boston Scott(Louisiana Tech)5'6"(168cm)203lbs(92kg)28歳 5年目(1.2M・1/1・18-PS-NO)
2022:15試合(先発2試合)54回 217yds(Avg. 4.0yds)3TD 0Fum 0Lost/5回捕球15yds(Avg. 3.0yds)0TD
"Giant Killer"
vsNYGで異常な活躍を見せるという年に2・3回しか意味がない能力をもつ男。 しかしその特性ゆえにファンからは愛されてやまない。
いつの間にかGoedertとならんでバックフィールドでは最古参。
プレシーズンで見たときは、やはりSwiftやらPennyと比較するとランが下手なのであまり期待はできないが、NYG戦は是非頑張ってほしい。
ゴール前とか密集は意外と得意。
ちなみに、現在の本業は替えの利かないKickoff Returner。
53ロスター紹介2023 - 鷲の巣
結果
確実に強くなったはずだったのに地味な数字に終わったこのユニット。
Swiftこそ1000ydを超えたが、悲しいかな序盤を除くと特にインパクトはなかった。
数字以上に、本当にシーズン最終盤の時期に関してはRBの記憶がまるでない。信頼されてないかのごとき出番の少なさ。
パスパスパス。
まあPHI OffenseにおけるRBなんてそんなもんなんでしょうと思わざるを得ない。
観ていて腹立たしかったのが、そのバリエーションの少なさ。
Run Game CoordinatorたるStoutland先生の引き出しの豊富さはもはや実証済みのため、恐らく問題はここではない。
またしてもBrian JohnsonないしはSirianni。
もうちょっとオープンのランは使いようがあったはずだし、KCのようなミスディレクションのランも拝んだ記憶がない。
これはRBの項で述べるべきではないかもしれないが、そもそもHurtsのQB Readの対策がだいぶ進んでいたはずなのにそれを超えるなにかは本当になかったのかね。
Goedertをリードブロックに使うと見せかけてそのままフラットに飛んでいくDivideのランとプレーアクションも2022シーズン来ずっと見続けたやつだし。
なんか新しいのないの?
Swiftは、序盤こそ"早く契約延長しろ"と叫んでしまうほどの切れ味を見せてくれていたが、その後は徐々に姿を消していったという感じ。
とはいえ前任のMiles君と比べると2段ぐらいは良かったはず。
実際自身初のPro Bowl選出もあったキャリアハイイヤーとなった。おめでとう。
かわいそうなのが、あれほどの切れ味を見せたJet Sweep(Week11 KC戦の35ydゲイン)なのに、まるで忘れられたかのようにコールされず。
そして同じ使われ方は二度とされませんでしたね。どういうつもりなんでしょうねあいつら。
来季どうなるかはわからないが、もう少し脳みそがマシな首脳陣のところに行けばもう少し活躍できるかもしれませんよ。
残留?大歓迎です。
一番意味がわからないのが、Pennyの出番の少なさ。
Gainwellがハーフタイムだったかにファンからのファンブルロストへの煽りDMに返信する程度に集中できていなかったWeek6 NYJ戦後ぐらいの時期にPenny待望論が出てきた気もしなくはないが、最終的にはWeek1・9・18の3試合(最後は消化試合かつSwiftがケガでお休み)にしか出番を与えられず上記の出来。
FAで第一陣として加入が伝えられたにしてはえらい渋い使われ方でしたね。
理由はプロテクションの不安定さと、そもそもスピードが想像以上になかったことの2本建てだと思っているところだが真相は不明。
そしてもうお顔を拝むことはないのでしょう。
なんとも勿体ない金の使い方をするものです。
Gainwellはまあ普通。
可もなく不可もなく。シーズンを通してみると、不可。
ながらこれもGainwellが悪いとも思えない。使い手が変わるともう少し違う世界になるかもしれませんね。
Bostonはあまりにも出番が少なすぎたが、その中ではまあ悪くなかったのでは。
いいプレーが出たのに同じことをやってくれないコーチ陣だから継続して輝けなかったことについては同情する。
ほんとにみんなかわいそう。
そういえばINDに行ったSermonが輝いてるのを見た。
悔しくて涙に枕を濡らした記憶がある。
やっぱりそういうことなんでしょうね。
来季に向けた展望
まずは現行のメンツの契約の先行きを見ていただきたい。
なんなんだこれは。
アナリティクス的にRBの価値が底を打っているとはいえさすがにこれはやりすぎであろう。
Gainwellだけしか残らんとはどういう料簡かね。
Swiftに対する首脳陣の評価はよくわからんが、これまでDETではZoneスキームで走っていなかった男ですから、Stoutland先生のスキーム2年目ともなれば2023シーズンより良化することへの期待は持ってもいいはず。
BostonもUFAにはなるが、1年前同様保険として確保はしとくんでしょう。使われるか知らんのでBostonはよく考えた方がいいよ。
彼がいなくなるとKickoffのリターナーもいなくなるというのは、本当に1ミリぐらい残留の方向に振れる要素かもしれない。
基本はドラフトで探すでOKです。
FA組だと欲しいのはプロテクションも安定しているAntonio Gibson(現WAS)。
Memphisの後任であるGainwellとも上手いことやれよう。
なによりBieniemyがおもちゃとして楽しんでいた形跡があるのでそういう面でも魅力的。困るのは、若干Gainwellとタイプが被ること。
これとてどうしてもというレベルではないのです。
彼を獲るなら迷わずSwiftキープで結構。
ドラフトで探すなら。
まだちゃんと調べ切れていないが、筆頭はなんといってもBlake Corum(Michigan)。ACL断裂明けの1年目であれだけ走れるなら、来季はもっとよくなっているでしょう。
願わくば、本人には申し訳ないが、コンバインでは是非どうしようもないタイムを叩き出していただきたい。
あとは父親にフラれた腹いせにとFrank Gore Jr.(Southern Mississippi)をPHIに来させる案にも賛成だし、ちょっとケガで成績を落としてはいるが安心のWisconsinブランドからBraelon Allenでもいいし。
そろそろMiles以来の上位指名でも全然文句ありません。
お願いは一つ、どうか人選を間違えないでいただきたいということだけです。