鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2024ドラフティ紹介(WR Ainias Smith)

まったくニュースがない。

Kelee RingoがたぶんJaxon Smith-Njigba(SEA)に誘われてSEAのソフトボール大会に出てたことぐらいしかニュースがない。

RingoはそういえばSEAエリアの出身らしいな。

それでも許されないことはあるぞ。気をつけろ。

 

というわけでルーキー紹介です。

今回は5巡という、巷の評価よりちょっと早めに指名されたWRについてです。

 

 

 

紹介

WR Ainias Smith(Texas A&M

ドラフト5巡全体152位で指名された小兵のWR。

 

5'9"ちょいなので176cmとか。体重も190lbs(86kg)。

ベンチプレスから察するにRB兼任だけあってパワーはありそうだがやっぱりちっさい。

 

 

 

RASは以下。すんごい微妙。

微妙どころか、こんな身体能力の選手をRosemanが獲るという想像はつかなかった選手。

 

 

 

実績

全米タイトルに三度輝いた古豪・Texas A&Mでの登録5年間の成績は以下の通り。

2019 12試合出場 22レシーブ 248yds(Avg. 11.3yds)3TD

2020 10試合出場 43レシーブ 564ydsAvg. 13.1yds)6TD

2021 12試合出場 47レシーブ 509yds(Avg. 10.8yds)6TD

2022 4試合出場 15レシーブ 291yds(Avg. 19.4yds)2TD

2023 12試合出場 53レシーブ 795ydsAvg. 15.0yds)2TD *ALL-SEC 1stチーム

通算 50試合出場 180レシーブ 2,407yds(Avg. 13.4yds)19TD

 

太字はチーム最多となったカテゴリー。

 

アベレージのレシービングヤードがあまり長くないことからもわかるように、短いところでの使われ方がメイン。

 

 

物語

まずはその名前"Ainias"をどう発音するかだが、現地実況なんかを聞いていると最初の"i"は無視してよさそう。
最後の"a"を読んだか読まないかぐらいで発音するのが現地風。

 

無理矢理カタカナに起こすと、アナイァスアナイスアナイースぐらいでもいいかもしれない。

"ナ"を強めに発音するのがカギです。そんな感じ。

 

 

CFLとかアリーナフットボールで活躍した父を持つ。

Texas出身で、例にもれず幼少期から輝きは見せていたようで、ユースレベルで充分目立ったのちに高校進学。

進学したのはDulles High Schoolというところ。

ざっと見たところ、フットボール業界での偉人は輩出していないようだが、卒業生で一番有名なのは、MLBで史上最多となる7度のサイ・ヤング賞を獲得し、354勝を挙げながらもお薬疑惑が足を引っ張って野球殿堂入りはならなかったRoger Clemens

 

 

Ainias君の話に戻ると、入学して早速活躍。

2年次に55レシーブ689yds6TD+3TD(ラン)+1TD(投げる方)、3年次には21レシーブ352yds4TD+408ydsラッシュ7TDという成績で地区のオールパーパスプレーヤーオブザイヤーに選出去れている。(この賞がなんぼのもんかはわかりませんが、まあそのエリアではちゃんと突き抜けていた選手だったようですね)

最終4年次には55レシーブ717yds10TDに加えて483ラッシングydsと10TDラン、さらにはDBとして23タックル3INTという鬼気迫る活躍でチームをプレーオフに導き、ヒューストンのOffensive Player of the yearにも選出される。

 

そうして迎えたカレッジリクルート戦線だが、3-Starのプロスペクトという評価。

ちなみにこのリクルートクラスでの筆頭評価はもちろん我らがNolanの方のSmith君である。

 

最初のオファーはどうやらGeorgiaからあった様子。

その後合計すると20ほどのオファーが積み重なったようだが、あろうことかAiniasが絞り込んだのは、そこからDukeTexas A&Mの2校。

 

理由は、その2校の工学系のプログラムが優れているから、というもの。

そして最終的にはDukeを選びそうになったようだが、Jimbo Fisherの人柄と設備面を優先させてTexas A&Mを選択。

 

同期はOG Kenyon Green(HOU)とかRB Isaiah Spiller(LAC)とか。

 

 

カレッジでも順調に実績を積み、3年間の活躍を経て2022ドラフトでは上位指名を見込まれるようになるも、大学残留を決断してプロ入りを見送り。

そして迎えた2022シーズン序盤での大ケガ。

残念。

 

2023シーズンにはしっかりフィールドに戻ってきて過去最多のレシービングヤードを積み重ねるに至るが、Punt Return TDなんかがあった2021シーズンほどのインパクトは残せず、あまり注目されないままドラフトプロセスを消化。

 

しかしPHIはTop-30において最初に名前が漏れたことからもわかるように相当高く買っていた様子。

なので指名されたときもあまり驚きはなく。

"Trotter Jr.行けよ!"と思った順位ではあったが、結果的に彼も来たので不満なし。

 

 

 

使われ方と特徴

Texas A&Mでの使われ方
  • 最終年だけを取り出してもOffenseでの558スナップのうち、Slotエリアが390と最多にはなるが、その他Wideで145、Backfieldで20とあらゆるところで使い勝手よく起用されている印象。

 

  • 基本の出没エリアは浅いところになるが、割とバランスよくディープにも飛ばされている。

 

 

 

出来ること
  • YouTuber。
    Vlogなんかをあげており、Hurtsのロッカールームでも温和な表情なんかも見られたのは非常によろしかったです。
    こちらに貼っておきます。

    www.youtube.com

 

  • PFFによると、2023シーズンのカレッジにおいて70回以上ターゲットになったWRは153人。
    そのうち、6.7ydsというYAC(Yards After Catch)は35位タイ
    1回というDropの少なさは5位タイ
    20回というMTF(Missed Tackles Forced after a Reception)の多さは15位タイ
    この辺りが目立つ数字。

 

  • さらに、「使われ方」として書いたようなセットするエリアの多様性と、上述した目立つスタッツを併せて考えると、モデルは明確にDeebo Samuel(South Carolina→SF)。
    ドロップはしないミニチュア版Deebo
    Deeboよりvsマンツーマンが得意だが、あれほどの爆発力は望むべくもなく、全般に突き抜け感がないバージョン。
    そんな受け止めをしているところ。
    とてもいい意味で言っている。

    ちなみに、どれぐらいvsマンツーマンが得意か、というところだが、2023ドラフトでDETに2巡指名されてド派手なルーキーイヤーを送ったBrian Branch(Alabama)をちぎってTDレシーブ、ぐらいはできるということはお伝えしておく。

 

 

 

できないこと足りないこと
  • 上でも述べたが、爆発力は足りない。
    純粋なまっすぐのスピードが突出していないという理由によるんだろうが、うっかり目の前にスペースを与えられるといいゲインは出来るが、そうでないときに自分から目の前の相手を華麗に躱すようななにかにはお目にかかれなかった。

 

  • ルートランももう少し改善の余地がありそう。
    ただでさえフィジカルツールにハンデを抱えているのだからルートランでセパレートできるようにならないとこの先での活躍は少々キツかろう。

 

 

 

評価と期待

ドラフト時の専門家(Dane Bruglerさん)の評価

いいところ

  • マルチディメンションで使える武器

  • ライン際やルートブレイクから爆発的なクイックネスを発揮できる

  • 横方向の動きとバーティカル・バーストでプレスを回避し、ルートに出ることができる

  • スピードの加減速が激しく、Defenseに万全の体勢でタックルさせないことでYACを生み出すことができる

  • ボールをよく追い、密集地帯でもよく集中力を維持できる(過去4シーズンは全試合で1以上のパスレシーブあり)

  • ランエクステンション・デザイン(ジェットスイープ、スクリーンなど)で危険なプレーを見せる

  • タッチダウン2回、1回平均10.2回(82回/836yd/2TD)と、今ドラフトクラスで最も実績のあるパントリターン選手でもある

  • キックリターンも得意(20/360/0)

  • アグレッシブなメンタリティで勝負する(Jimbo Fisher曰く「Ainiasには3つの要素がある。1つはそもそものフットボールの能力があること、2つ目は超競争的であること、3つ目は素晴らしいインテリジェンス。」)

  • Texas A&Mの歴史上4番目となるキャリア通算180回レシーブを達成。
    通算レシービングヤードでもTexas A&M史上2位。
    1位はMike Evans。ただし、Johnny Manzielと組んでプログラムの伝説となっている男の残した2,499ydというレシービングヤード歴代1位の記録は、たった2年間で成し遂げたものだということは指摘しないでほしい。

 

 

 

伸びしろ

  • 小柄で腕が短く、体格も平均的
  • NFLディフェンダーに体を寄せてエアスペースをコントロールするのが難しい
  • キャッチ半径があまり大きくない
  • ストライドレベルを調整したり、余分なステップを使うため、DBに追いつかれる場面が目に付く
  • ほとんどのターゲットがスクリメージラインから10ヤード以内
  • ブロッキングの強さに限界がある
  • 2023年の2回を含め、キャリア通算で6回のマフパント
  • アウトサイドレシーバーとしての出場は全体のわずか22.5%
  • 全て不起訴処分にはなっているが、飲酒運転、マリファナ所持、銃器不法所持の疑いで逮捕歴あり
  • 2023シーズン最後の試合で指を骨折し、手術が必要となり(2023年11月)、ボウルゲームは欠場、コンバインで左すねのストレス骨折が見つかり(2024年3月)、ドラフトプロセスでは満足にワークアウトを実施できず

 

 

 

個人的な期待
  • WRとして最低限のルートランとか手の確からしさは備えている選手。
    彼が輝くかどうかは、まず使い方の巧拙が大きそう。
    だいぶ熱望して獲った気配が見えるので、このあたりにKellen Mooreの意思が入っていないとおかしい。
    このテのタイプを好むイメージはあんまりないんだがどうぞお好きに使ってください。

 

  • とはいえ使われる方も成長は必要。
    特にルートランのところ、こういう小兵のWRには欠かせない分野だと思料する。
    いまが足りない、というものでもないと思うが、願わくばDeVontaぐらいまで成長していただけるとこのリーグでも長生きできるのではないでしょうか。

 

  • 非常に残念なことに、ミニキャンプではマフが目立ったとのこと。
    がんばれ。

 

  • とかくケガが多い選手。
    本人が上げているVlogでもリハビリのところを入念にやっている様子はうかがえた。
    ということでドラフトプロセスでは大した数字を残せていないが、これもまだ回復途上によるものだと勝手に楽観視しているところ。

    A.J.DeVontaGoedertが空けた穴をつくだけの簡単なお仕事です。
    フィジカルで物事を解決するタイプではないので、厳密にいうと先に挙げたDeeboとは違う方向に進むのだろうが、YACに秀でたWRは何枚いてもよろしい。
    ケガなくシーズンインして、初年度から輝いてみせてくださいませ。