トラップゲームのにおいがプンプンした試合。
想像をはるかに上回るトラップ具合でした。
展開と結果
BAL戦を上回るOffenseの進まなさとDefenseのじりじりした進まれ方。
Offenseはランでご機嫌に進むも2nd&Shortで下がったりパスで下がったりという謎の進まなさ、Defenseはちょいちょいいいプレーを見せるも、基本はHubbardのランがじりじり出続けるというなんともすっきりしない展開。
FG失敗なんかもあり4Q終盤までつかず離れずが続き、残り2:58からの97ydドライブを完遂されそうになった最後は、もう負けるのもありかな、それはそれでプレーオフに向けて何かになるだろうという境地にまでいたったが、結局は先方のドロップとDarius Slayに助けられて勝利。
手に汗握るというかなんというか。
当然試合後にはひと悶着発生しております。
結果:PHI 22-16 CAR
ハイライトは以下YouTubeからどうぞ。
主なスタッツ
良かった人たち
- SaquonとOLのランブロック
やはりここは見事。
もう少しSaquonに固執したらもう少し早めに点差がついてもう少し楽な展開になったのではないかという気がしないでもないが、これだけランが出ていたのにそれを活用できなかったパスユニット側の問題が大きすぎてここが良かったのが霞んでしまうのは残念。
- Darius Slay
今季ここまでQuinyon比でやられ気味の印象が強かったSlayだが、4PBUの大活躍。
最後はこの試合大暴れのThielenに対するパスを華麗にクリーンにカットして試合を終了に導くナイスカット。
もはや最近の相手OffenseはQuinyonサイドを諦めてSlayサイドを狙う前提での組み立てになっている気配すらあるが、とはいえ大事なところでしっかり締まったプレーが出来るのはさすがベテラン。
Quinyonには"40までいけそうだな"といじられていたが若者に負けずとりあえず今季はがんばってください。
相変わらずド安定のQuinyonには言うことないし、Thielenという老獪なルートランナーに対してこれまでで一番やられた気がするDeJeanにしても許容範囲内。
ルーキーがいちばん頼もしい。
- Grant Calcaterra
キャリア初TDレシーブおめでとう。
悪いのは誰か
- Saquonのランは機能し続けていたのに前半5ポゼッションで3回のパント。
その責任者は、やはりと言うべきか、とある指標ではvs Manだとそれなりに優秀なのだがvs Zoneとなると一気にパフォーマンスが下がるJalen Hurts。
そんな状況ではあるのに対戦相手はManカバレッジを多く敷いてくれているので事なきを得てきた部分はあるが、さすがにこの試合を見られたらバレるであろう。
毎度ZoneヘビーなTB戦で上手くいかないのもこの辺りに問題があるんだろうと思われる。
プレーデザインでなんとかなるんではなかろうかと思いながら、何かをしようとしている形跡がなかったもんで結局なんともならなかった印象がある。
この試合で目立ったのは、A.J.は受ける準備が出来ているのにHurtsが厳しいところに投げきれないという映像。
この連勝中の最大の要因である"Hurts由来の事故の減少"がいつの間にか自分を縛るものになってでもいたのか。
サックを受けるのはいいが、投げる面での消極性というのはいただけない。
いみじくもSirianniが10月ぐらいに自らを振り返って言っていた、"成功しつづけるということは失敗しつづけるのとおなじぐらい恐ろしいこと"というのが当てはまってしまっているのがいまのHurts。
実際連勝序盤と比較すると、徐々にではあるが指標上のパフォーマンスは低下しはじめているとのデータもある。
がんばれ。
無理をしろと言っているわけではない。
ただし、純粋なゲームマネージャーに徹するだけで勝ちつづけられるほどこのリーグは甘くないということなんでしょう。
ランのデザインとコールのタイミングは一級品だがパス側ではそれがあまり見えないKellen Mooreともども、DET次第にはなるがここからの数試合は正念場と心得て改善していただきたい。
- いい感じのディレイのブリッツってのは意外と誰のセンサーにも引っかからなかったりするんですな。
そんなわけはないけど。
ということでOLのプロテクションにもやや難あり。
4発食らったサックのうち少なくとも2発はOLの受け渡しのエラーによるものだったでしょうか。
- 1年前までならオートマチックだった52ydのFGを派手に右に外してしまったJake Elliott。
これで今季の50yd以上のFG成功なし記録は更新。
BAL戦で勝利の要因となってくれたあいつほど年を取っているわけでもないのにこれは一体どうしたことか。
4Qの最後も2ポゼッション差に広げられそうだったところを結局信頼度の問題なのか風の問題なのかで蹴る機会すら与えられなかったし。
Kが信頼できなくなると途端に幅が狭くなるからこれは非常に由々しき問題。
まあ今季はちょっと期待できないでしょうね。
ちなみに、先方のOff Sideで取り消しにはなったが左に外したXPのキックが観戦中のPHIファンの女性の頭部をヒットしたというどうでもいい話が湧いて出てきていたが、嘘っぽいという話もあるしなによりどうでもいいのでこのニュースの詳細は追わないことにする。
- というかCAR。
3勝とかいう戦績と薄いロスターとシーズン序盤のどうしようもなかった印象のせいでベガスオッズもおかしなことになっていたが、実際はもっといいチーム。
試合後火曜ぐらいの記者会見でFangioも言っていた。
"こっちがいいプレーをできなかったのもあるが、そんなことよりCARはいいプレーをした。もっと評価されるべきだ"
というわけで、そんなCARを相手にしながら、圧倒しなければいけない、できるはずだというプレッシャーに押しつぶされそうになっていたのがこの試合のPHI。
前半最後にイライラしてもみ合いになりそうになっていたMiltonにしても、試合後に不満を隠さなかった(結果してドラマを引き起こした)A.J.にしてもそう。
あのチームの看板に"KC"と書いてあったら起こらなかったであろうもろもろのことの根源は、"肩書以上にCARがいいチームだった"ということ。
勝てて本当に良かった。
ひと悶着
- 試合後にA.J.が"Offenseでは何を改善するべきか"という質問に対して苛立った様子で"Passing"とだけ答えたことで"A.J.、Hurts批判か?"という疑念が持ち上がり、現地月曜のラジオ番組でその件について水を向けられたBG様が"あの二人は仲良くやっていたが状況は変わってしまった"という旨の発言をしたことで"HurtsとA.J.の破局"というPHIにおいて高視聴率待ったなしのドラマが勃発。
- ヒマだったのか全国系のRapoportやESPNまでがその件に触れたことで騒ぎは拡大していったが、結局木曜辺りだったか、HurtsとA.J.がそれぞれ記者に対して疑惑を否定。
Hurts:"状況が変われば、物事も変わる。でもA.J.は、私が彼をとても愛していることを知っている。私がこのチームメイト全員をとても愛しているのと同じだ。
結局のところ、彼は競争心の強い男だ。勝ちたいのだ。ボールを絶対に欲しがる。そして試合でインパクトを残したいんだよ。
それは尊重したい。"
A.J.:"Jalenとの間には何の問題もない。BGのことも大好きだ。
だがOffenseがもっと改善できる点について質問されたとき、その答えは明らかにRun the Ballではない。Saquonはまさに MVP を獲得するところだ。
ではOffenseで他に何をするか?
Passingしかないだろう。
それはDefenseを助けることにもつながるし、ランブロックの改善にもつながる。
より早くオープンになること、同じ考えを持つこと、Jalenのリードだろうが、どんなことでもかまわない。
俺たちは2年前、SBに出て負けた。去年もチャレンジして10勝以上を挙げることができたが、ダメだった。
このOffenseの問題は、今修正できるチャンスがある問題だ。
今度こそSBに勝つために、今修正しないといけない問題だ。
俺は、みんなの意識を高めて注目してもらいたいと思った。
この街のためになら、どんな悪者になっても構わない。
チーム全員に責任を負わせ、改善していくために必要な役割なら、喜んでその役目を果たす。
俺たちは感情でやっているわけではない。
全員で仲良くしていこうとしているわけじゃない。
俺たちはここでやるべき仕事があり、そのために全員に責任を負わせようとしている。
ロンバルディトロフィーを掴むんだ。それが最終目標だ。"
というわけで疑惑は解消。
- 賢人・Landon Dickersonはこう言っている。
"俺たちは同じページにいる。
記者各位がどう解釈してどう書こうが知ったことではない。
平凡な人間の物語が売れないのは知っているが、俺たちは全員同じページにいる。"
はい。これで話は終わりですね。
どれもこれも想像以上に強くていいチームだったCARが悪い。
結局は勝てたんだ。
今できることはA.J.のバウンスバックに胸を高鳴らせることだけでしょう。
ビッグマネー
- 金額は8.3B(日本円にして1,277,079,466,800円…1.3兆円?)で、全体の8%ではあるがLurie一族が支配権を持っているという状況に変化はなく、その8%も2人に分けて売却するようなので現状が変更されるわけではなさそう。
- 問題はこのビッグマネーの使い途。
どうもそろそろ20年以上が経過したLincを改修あるいは新規でスタジアム建設をするという噂が出ているようで、その際には開閉式の屋根がつくかもという話。
- だがそんなことより、オーナーがキャッシュを持つということはつまりこのオフにもたっぷり補強あるいは契約延長ができるということだろう。
頼むぞRoseman。
今のところ見えている金がかかりそうな案件はSweat・Baun・Milton・Bectonぐらいか。
さっさと次々に延長したまえ。