鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

ドラフト2日目の収穫物と感想

PHI特有のいざこざが垣間見えたり心を痛めるピックがあったりといろいろなドラマがあった2021NFLドラフト2日目。そろそろ来るかと腹を括っていたErtzはじめ自軍選手の驚きの流出もなく、ピック自体への満足感は昨日に引き続きとんでもないもの。お腹いっぱい。

心を痛めたのはHOUのQB Davis Mills指名。もうWatsonは有罪なのか。そうでないにしても見捨てられたのか。同地区以外の動向は基本気になりませんが、これはちょっと心が動いた。何とも言えない気持ちになりました。

 それではPHIのPickの振り返りを。

 

【2日目指名】
2-37 G/C Landon Dickerson(Alabama) 6-5 333lbs 1998/9/30生まれ(22歳)
3-73 DT Milton Williams(Louisiana Tech) 6-3 284lbs 1999/4/6生まれ(22歳)

前日失った3-84に代わる2日目指名権を獲得するような動きはなし。むしろ3-70をちょっとだけ落として3-73としてMilton Williamsを獲得。このちょっとだけ落とした動きがあとあとちょっとしたいざこざの火種に。

Dickersonは、健康でプレーできるなら今ドラフトNO.1のインテリアラインだと個人的には思っているもの。それがこの位置まで落ちてきたのは、前にも言及したがケガが原因。
入学はFlorida Stateで、そこで3年、学位取得後に転校したAlabamaで2年の計5年の選手生活を送るが、BAMA初年度の2019以外、すべての年で大ケガを負い、シーズンエンドの過去。選手生活が5年に及んでいるのも、Florida State最終年度の2018にシーズン2戦目に足首のケガを負った影響で、メディカルレッドシャツとされ登録年数に加算されなかったから。
そのケガの遍歴たるや錚々たるもの。
2016:右膝(前十字靭帯断裂)
2017:右足首
2018:左足首
2019:なし
2020:左膝(前十字靭帯断裂)
膝の靭帯断裂は、まあ簡単に言うとシーズンエンド確定のケガで、時期とか程度によっては翌シーズンの開幕を無事に迎えられるかもわからないもの。そして確か太ももかケツかの組織をもってくる手術をするはずで、無限にできるものではなく、多分できて2回が限界のケガだったと記憶している。つまりあと1回ずつ。

この丸出しの懸念がここまでのスリップの要因になったことは想像に難くない。というかこれしかない。

一方で、力強く機動力もありとことんやるプレーぶりは印象的、というかZone Blockingのあの1歩目のタイミングは非凡としか言いようがない。キャラも良く、3年で学位取得後、Alabamaのビジネススクールに入ったことからも頭の良さは窺える。
というわけで、Kelceがそろそろ引退、多分2021いっぱいだろうと思われているなか、Cとして計算できるIOLというというニーズも満たせるピック。
指名後の会見では、
・LT,LG,C,RG,RTという全ポジションで先発経験があるバーサタリティ
・膝の回復具合も問題なく、2021シーズン開幕からプレーできる
等に言及された模様。
全員が健康であれば、まずはSeumaloのLGに入って、
左からMailata/Dickerson/Kelce/Brooks/LaneというOL陣になるのであろう。
うむ。漏れる気がしない。Hurtsよ、10秒ぐらいボール持ってターゲット探せるぞ。そしてそんなにかからずDeVonta Smithがオープンになるぞ、という算段。勝ったな。
相手にしなければいけないのが、キチガイDL陣のWAS、強力Insideに加えて外側の強化もしっかりやってきたNYG、InsideはちょっとソフトながらどこからあのめんどくさそうなLB陣のBlitzが飛んでくるかわからないDAL、というメンツのため、ここを強化しておきたかった気持ちはわかる。そして10年OLを支え続けたKelceからの移行をスムーズに実行したかった気持ちもわかる。
しかしここで2巡にどうしても消極的になっていたのが、この場合外されるSeumaloの存在。というかサラリー。確か8Mぐらいキャップヒットあったはず。それを無視するということになるので、もうPHIという呪われたフランチャイズではOLは6人必要なのだと、そういうことなんでしょう。ここだけ呑めれば素晴らしいピックであることは間違いなし。くれぐれも健康でよろしく。

そして、3-73で指名したMilton Williams
元からこの男がとても欲しかったその理由の大半は、その運動能力。6-3 284というサイズでありながら4.63で40ydsを走り、1.65の10ydsスプリットにも表れる優秀さ。

  さらに、垂直跳び、20ydsスプリット、3コーンであれば100lbsぐらい重いのに、GBに1巡指名された40yds4.2台のCB Eric Stokesとあまり変わらないという凄まじさだとか。

 実際、DTの中では体重は軽いものの、そのスピードというか身体能力は傑出しているようで、それでいて比較的テクニックもあるように見えた。
Cox・Hargraveのローテーション要員としてしっかり技術を磨き、ゆくゆくはPHIのトレンチを支えていってほしいと思える逸材。ちなみに、サイズ的には3-4DEと4-3DTの中間ぐらいだが、本人は4-3DTのほうがしっくりくるとのこと。よろしい。

以上が本日の収穫物。
それ自体には全くいろんないし満足しているが、初日に2年連続で1巡WRを指名することになったことの、揺り戻しかのような2日目のOL+DLというセット指名。このフランチャイズはどういうものか、ということを内外に示すものとして非常に好意的にとらえたものです。

 

【いざこざ】
NFL networkでは映らなかったが、ESPNの映像によると、Milton Williams指名直後、歓喜に湧くPHIドラフトルームのなかで、一人Rosemanに対して不満を表明していた人物がいたそうな。

これは実際に映像をご覧いただいた方が早い。

 この白髪のおじさん、Lurieではなく、”Tom Donahoe”という“senior adviser”という肩書の方。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、90年代以降、PIT・BUFでGMを歴任された大ベテラン。現副社長で選手人事を統括しており現フロントオフィスで最も信頼できる(と個人的には思っている)Andy Weidlおよびその弟でありスカウト部門のボスであるCasey Weidlの師匠(Weidl兄弟の親父の高校時代のチームメイト)でもある人物。あまり表には出てこないようだが、Lurieの相談役としても影響力がある様子。
なぜこの大物が不満をこんなに露にしているのかというと、70⇒73のトレードダウンにより、お目当ての選手が指名されたことによるものだとか。
この間に指名されたのは以下。
70 CAR:OT Brady Christensen(BYU)
71 NYG:CB Aaron Robinson(UCF)
72 DET:DT Alim McNeill(NC State)
OTはいらないと思うと、CBなのかDTなのか。当初DTが被ったのだと思い、「McNeilか」とつぶやいたが、実際はAaron Robinsonが目当てだったのではないかという噂。

しかしどうなのか。根拠は薄弱としか言いようがないが、この選択であればやはりMilton Williamsでしょう。ニーズとしてはCBのほうが大きかったが、傑出度としては明らかにMiltonのほう。
2日目はBPAでいいと思っていた以上、興奮するのはやはりMilton。
結果的にこの選択に異議はないが、さりとてフロントが一枚岩でないという点ではRosemanに減点1。
だって他の31チームの映像でこんなもん見えなかったから話題になったんでしょうし。

 

【3日目への希望】
さて、楽しかったドラフトもいよいよ最終日。日本時間5/2(日)AM1時からです。

残された弾は以下の8個。
4-123(from MIA)
5-150
6-189
6-191(from CAR)
6-224(補償Pick)
6-225(補償Pick)
7-234
7-240(from SF)

残るニーズは、CB⇒EDGE⇒TE・LB・S⇒QB・OL・Pぐらい。順当に嵌めれば1ポジション1人ということになるのだろうが、そうはならないでしょう。多分いろいろアップダウンしてやっていくでしょうから、指名が固いのは上の2つぐらい。

これはそもそもの2日目の動きについても言えるし、なぜMilton>Aaron Robinsonで可としたかというところにも言えますが、昨日あたりから考え方が変わりましたので少しご説明を。

というのは、「CBは安くて良い」という考え方に宗旨替えを行いました。
2020のやられっぷりからCBはとどまるところをしらない巨大ニーズでしたが、2021よりDCも変わってCov.2が主体になりそうだと。そうなると、CBに求める能力は、バンプ・ランストップ、というサイズとの相関が高いものになり、いわゆる万能のシャットダウンCBを探す過酷な旅からは方向性が少し変わる。
こういう視点からすると、例えば、2巡でスルーしたAsante Samuel Jr.は血筋の魅力はあるものの、サイズが小さすぎるし、ランストップには懸念が残るという点で欲しい能力が欠けていて、あまり必要としていないマンカバー能力がオーバースペック、という何とも形容しがたいちぐはぐさではあった。彼がLACで仮に大成しても、現時点でスルーしたことには異論がないものです。
実際、2巡の時点で欲しかったのは、1-9のPatrick SurtainⅡ(DEN)、1-21のCaleb Farley(TEN)、2-33のTyson Campbell(JAX)ぐらいでしたし、最後はちょっと早すぎる気もしていた次第。

なので、求めるのは5-11とか6-0ぐらい以上のサイズでランストップができて、それ以上を望むのなら、プレスマンがそれなりにできてCov.3でも働けそう、という種族。
例えば3-76でDENに行ったPaulson Adebo(Stanford)とか、まあ個人的にはそんなにでしたがぎりぎりAaron Robinsonもそう。
そもそもこのタイプであればFA市場に残りそうでもあるので、Miltonと比較した場合、明確に後者のほうが興奮した、という次第です。個人的にこのタイプだと思っているRichard Sherman(現FA)も2011の5-154という指名位置ですし。というか単年契約でShermanとかが完全にドンピシャニーズです。
そして3日目の候補を挙げてみたいのですが、いかんせんほぼ映像見てない人たちなのでサイズと文字から判断して。指名されたらちゃんと見ます。
Keith Taylor(Washington) 6-2 187lbs
DJ DanielGeorgia) 5-11 195lbs
Camryn Bynum(California) 6-0 196lbs
Israel Mukuamu(USC) 6-4 212lbs
Tay Gowan(UCF) 6-0 186lbs
Nick McCloud(Notre Dame) 6-0 193lbs
Jason Pinnock(Pittsburgh) 6-0 204lbs
ちょっと小さいDJ Danielを無理矢理リストに突っ込んでいるのは、彼がシニアボウルの練習でとてもよかったと耳にしたからです。

さて、どうなるか。
残るシリアスなニーズはTEですが、いいなと思っていたHunter Longが取られてしまったので、希望としては
Jacob Harris(UCF)
Kenny Yeboah(Ole Miss)
そして大穴として控えPにも置けちゃうZach Davidson(Central Missouri)
です。大穴と言いながらロマンという意味ではDavidsonを強く推します。この場合7巡とかで結構です。

EDGEもLBもSも任せる。RBとってもいいかもね。Pは欲しい。Kentuckyの彼はどこで指名されるのか。

 

さて。楽しかったお祭りも明日が最終日。というかそろそろ寝ないと起きられない。無理ですが。
今のところ、一人でオフェンスを変えうる即戦力・オールプロにもなり得るリスク案件・天井が高そうなローテーション要員、というピックで、2日合計で100点を叩き出しているRosemanさん。2日目はピック以外のところで減点がつきましたが、明日もWeidl兄弟のいうことをよく聞いて、周りの大人の顔色も窺いつつ、いい仕事してください。

もとより最終日が得意だった印象。聞いたことのないInternationalナントカプログラムの隠し玉なんかも披露しながら楽しませてください。