鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

心配事と希望

やはり結果は最悪に近いものでした。

 

 

Deanのケガ

2Q中盤、TE Kraftへのスクリーンを見事に嗅ぎ分けて3ydのロスに仕留めたPHI Defenseの小さな大黒柱は、しかしそのまま座り込み、支えて立ち上がらせようとしたNolanに寂しそうに首を振った。

 

目を閉じて彼のために祈った大学時代のルームメイトはその瞬間を"とても心が痛んだ"と振り返る。

 

受傷時のリアクションが派手じゃなかったためにそれほど大きくはないんじゃないかと勝手に思っていたDeanのケガ、結局"膝蓋腱断裂"という大ケガだったことが判明。

 

膝の皿と脛を繋ぐ非常に重要な腱であり、脚気の診断のときに反射の検査のために叩かれるあそこである。

手術自体は難しくないケガだとのことだが、なにせリハビリがとても重要で復帰までに要するのは6-9ヶ月とほぼACL断裂並み。

 

楽観シナリオでも2025シーズン開幕時にはPUP入りが確定。

 

悲観シナリオはよほどつらい。

このケガの過去の受傷者を遡ってみると、RB Cadillac Williams・LB Jerod Mayo・WR Victor Cruz・TE Jimmy Graham・CB Morris Claiborne・DT Gerald McCoy・CB JC Jacksonといったところ。

お気づきだろうか。

 

ほぼ全員が受傷により選手生命を奪われている。(最後のやつはケガでパフォーマンスを落としたところに素行不良も重なったので微妙だが)

このケガからの生還率は、ACL断裂やアキレス腱断裂なんかよりおよそ低い。

 

ということで、受傷前のパフォーマンスに戻ることはほぼ不可能だというのが悲観シナリオ。

 

悲観シナリオをもう少し穿って考えると、もともとケガ自体がレアケースのためサンプルが少なくリハビリにおける復帰までの最短ルートがよくわかっていないということなんだろうと思われる。

 

ということでDeanのPHIにおける将来には相当分厚い暗雲が垂れ込めたと言えるでしょう。

 

 

しかしまあ物事には何であれプラスがあればマイナスもある。逆もまたしかり。

 

マイナス面は言わずもがなリーグトップクラス(今季PFFグレード76.6でリーグのLBにおける全体13位。1位はもちろん90.1のZack Baun)のLBを喪ったこと。

 

プラス面はBaunの契約延長が不可避になったことと、次世代に道が拓かれたこと。

 

 

 

Deanの後釜

DeanがWC含めてPFFグレード76.6・リーグ13位という素晴らしいパフォーマンスを残していたというのは先にも述べたが、実態はもう少し輝かしくて、新スキームに慣れるまで、Deanもシーズン序盤は結構苦労していた。

 

それが落ち着いていいパフォーマンスをできるようになってきたタイミングと、Defenseが安定し始めたタイミングはちょうど符合する。

 

つまり、バイウィークが明けてWatsonにちょっとやられたWeek6 CLE戦までを適応のための時間だと捉えると、Defenseが目に見えて向上したのはWeek7以降。

ということでWeek7~WCまで、という極めて恣意的な物差しで見てみると見え方はもっと変わる。

 

Nakobe DeanさんのWeek7~WCPFFグレード90.9 全LB92名中2位

え?この数字でも2位なの?

じゃあ1位は誰?

そんな疑問が生まれるのは当然。

よくぞ聞いていいただけましたね。

 

1位はもちろんZack Baunさんで、同期間のPFFグレードは驚異の91.7

 

ちなみにですが、Baunの91.7はLBに限定しなくてもDefense全体(592名)で1位ですし、Deanの90.9は同3位です。間にはMyles Garrettさん(91.4)という化け物が入るだけです。

 

話が逸れた。

BaunDeanではそれぞれ明確に特徴があり、Baunはパスカバーに、Deanはランストップと(主にBlitzからの)パスラッシュが秀でているというわかりやすい関係。

 

その点、DeanのあとにBurksが入ってきたのは妥当で、彼はランストップが得意。

しかしそのBurks、正直不安しか生まないパフォーマンスであったというのは試合直後にも述べた通りで、パシュートが下手すぎてちょっと見てられなかった。

36スナップで5タックル3ミスタックル37.5ミスタックル%の選手なんて見たくないというのが人情。

 

というわけでいよいよ本格デビューさせるしかないわけですよ。

我らがJeremiah Trotter Jr.を。

 

Fangioもこう言っている。

いいぞ。

 

Deanの強みはプレーリードとフットボールIQだった。

そしてその強みはそのままJr.にも当てはまる。

がんばれJr.

 

BGという偉大なリーダーに続き、"Defenseの真のリーダー"(Slay談)を喪ったチームにおいて将来を嘱望されるサラブレッドがプレーオフDivisional Roundという大舞台で先発を担う。

実に美しい物語である。

早く続きを読みたい物語である。

 

がんばれTrott Jr.

 

 

そういえばこんなニュースもありましたね。

 

在野にいた2023シーズンの先発LB Nicholas MorrowとPS契約。

この話は実に簡単で、BurksにしてもTrott Jr.にしても、いずれも重めにSTのお仕事を担っているため、どっちかが先発することになればその役割をST面で支えることになる人。

ということで彼がDefenseとして試合に出ることはないのでご安心を。

 

しかしSTのBurksは代えが効かないからな。やっぱりTrott Jr.をDefenseで使うべきだと思いますよ。

 

 

 

もう一つの心配事

DALのHCであったMike McCarthyが自らの意思で同職を退任。

契約期限切れというのが表向きの理由だが、最終的には延長の打診を固辞したというのが実態とのこと。

 

ということで、空席となったDALのHC候補としてOC Kellen Mooreの名前が当然上がっている。

しかもあろうことかオッズは2位。

 

今季のパスOffenseが当初の期待ほど改善しないこと、あまりいいデザインのパスを見かけないこと、やっぱりスクランブルドリルが下手(DotsonのTDレシーブのプレーは極めて稀な事象)なことなどを考えると、Blitzへの対処が劇的に改善したことと差し引いてやや流出にはネガティブ。

そして流出されてから次の候補を探すのがめちゃくちゃハードル高いことを考えると非常にネガティブ。

絶対にKevin PatulloなんかをOCにしないで欲しい。

 

まあこの辺りは他力本願でしかないので手を合わせて祈るしかない。

どうか出ていかないでください。

 

ということで本件は純粋な心配だけ。

 

 

 

しかしDeanには本当に、衷心から回復をお祈り申し上げている。

最高のチームメイトで最高のリーダーなんだ。

帰ってきてくれ頼む。