鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

初日

大満足の初日。

想定外の展開もあり、ドラフト自体も非常に楽しかったと思います。

では振り返りを。

 

 

ドラフト開始直前

久しぶりに1巡が1つしかないドラフトを前にしてスポットライトの数が足りなかったであろうRosemanが渾身のビッグニュースをぶっ放す。

 

A.J. Brownとの契約を3年96M(32M/年)のWR最高額で2029シーズンまで延長

 

 

見たか。

どうだこのやろう。

 

ちょっと前から再延長の噂は出ていたが、DeVontaの延長があったばっかりなのでさすがにこのオフはなかろう、けど2025シーズンは保証額なしだし下手したら2024シーズン限りなんてこともあるのかな、と思っていたA.J.の契約関係。

 

それが一昨日になって"予備交渉を開始した"という話が入ってきていた。

 

そしてそれから1日と数時間。

決まったんかい。

しかもWR最高額で。

 

最高なのである。

 

とにかく渋滞しているのが、Top TierのWR達の契約延長協議。

 

相当多かった滞留者のうち、さすがはDETのAmon-Ra St. Brownが4年120M(30M/年)というTyreek Hill(MIA)に並ぶ水準で契約を延長したのが1日前。

 

残りがJustin JeffersonCeeDee LambBrandon AiyukTee HigginsJa’Marr ChaseJaylen Waddleである。

 

Amon-Raの時点で30Mの壁に到達したと思うと、彼らのうちの特に前3人の契約が延長なのかFAなのか、どんな形であれ成立した暁には35M/年も超えているかもしれない。

そんな彼らの延長を指をくわえて眺めるのではなく、むしろ敵の首を締めに行ったのが今回のRosemanの動き。

 

1年後、保証額がないというA.J.側の不満をきっかけにして契約延長の話をしていたら32M/年では絶対に済まなかった。

 

そのタイミングでA.J.側が主導権を握っての交渉は相当にしんどいことになっていたであろう。

敵も味方もまとめて裏をかく。

実に素晴らしい動きだったと思います。

 

RosemanはこのタイミングでのDeVontaとA.J.の延長について、"Offenseのタレントは見つけたら離さない。そしてさらに追加していく"とのこと。

このドラフトでのWR指名の可能性を消していないのは実に素晴らしい。

 

A.J.さんへ。

まだ26歳だそうで。

リーダーとしても、一級品の力を持つWRとしても、あと5年ちょいどうぞよろしくお願いします。

 

 

展開

そしていよいよ始まったドラフト。

 

序盤の展開は賢人たちの予想通り進捗。

 

1-1 CHI QB Caleb Williams(USC)

1-2 WAS QB Jayden Daniels(LSU)

1-3 NE QB Drake Maye(North Carolina)

1-4 ARI WR Marvin Harrison Jr.(Ohio State)

 

最初の波乱はここ。

WRの指名が予想されていたLACがあろうことか、"OLもweaponだ"というHarbaughの謎の言葉とともに意味不明な指名。

 

1-5 LAC OT Joe Alt(Notre Dame)

 

いやあんたらLTいるじゃないの。しかもいいのが。

このせいで要らぬ余波がNFC東に及ぶ。

 

1-6 NYG WR Malik Nabers(LSU)

 

許しがたい災害。

個人的なWR1がNYGにやってきた。OBJ以来の不穏分子であろう。

おのれHarbaughめ。

 

そしてこの日のハイライト。

 

1-8 ATL QB Michael Penix Jr.(Washington)

 

淡い記憶によると彼らはこのオフにKirk Cousinsを獲ったはずなんだが。

よくわからんが、こういうことも積み重なって、なんとスタートから14人連続でのOffense側の選手の指名。

これまでの開幕からの連続Offense側選手指名記録が2021ドラフトの7人だったようなのでそれを容易に上回る大記録。

 

1日目終了後のRosemanの回顧によると、この時点でどうやらPHIは目当ての選手が流れてきそうだという読みのもと腹をくくって22位を待つことにしたのだそう。

 

そしてそこからまあまあDefenseの選手たちが売れ出して、それでも順当にEDGEから売れていったこともあり、PHIの番である22位を迎えるときにはニーズのCBは全員残っているという、事前に何度モックを回してもあり得なかった形に。

 

そしてRosemanが選んだのがこちら。

 

1-22 PHI CB Quinyon Mitchell(Toledo)

 

うむ。

完璧である。

 

 

1巡22位 CB Quinyon Mitchell

歴史

PHIにとっては2002年以来となる1巡でのCB指名。

その時に選んだのはLito Sheppard

All-Pro1st Team 1回、プロボウル2回の名CBである。

小さいがいい選手だった記憶がうっすらとある。

 

それ以来となる。

 

ここからはQuinyon自身の話。

Quinyon Mitchellはフロリダの片田舎(人口3000人以下の街)に生まれ、小さい時からフットボールに親しむ。

高校ではバスケットボールと陸上もやり、100m走ではスクールレコードである10.99という記録を残す。速い。

 

高校のジュニアイヤーには3-starリクルートとして、CBでは全米159位、フロリダ内では全体253位という、そこそこの評価を受ける。

その時点で奨学金のオファーをくれたのがToledoをはじめとしたいくつかのスモールスクール。

その中からToledoへの進学を決めるが、翌シニアイヤーにはより大きいIllinoisからもオファーが舞い込む。

さすがにQuinyon少年も熟考したようだが、結局義理を尽くす形でそのままToledoへ進学…しようとしたが、単位の関係で卒業が半年遅れ、2019入学のはずが2020入学にずれ込む。

 

そこからSeniorまでたっぷりToledoでプレー。トランスファー全盛の時代にあっておよそ時代遅れにまで映るほどの一途さ。

 

惚れずにいられない。

 

 

CBとしては、ジュニアイヤーである2022シーズンに、14試合で脅威の25PD(FBS最多)2つのPick-6を含む5INT(Mid-American Conference最多)という化け物級の数字を残して全米の耳目を集めることとなる。

 

しかしトランスファーなんか考えない。

Toledoに入ると決めたんだからToledoでのプレーを全うする。

義理の人からすると当たり前の話である。

アーリーエントリー?何それおいしいの?

 

そして迎えたシニアイヤーである2023シーズン。

さすがに警戒されたか2022シーズンと比較すると数字は落としたが、それでも13試合で19PD(MAC最多タイ)1INTという記録を残してドラフトへ。

 

2年連続で数字は残していながら、彼につきまとっていたのが、"ソフトなマンツーマンあるいはゾーンカバーでしかプレーしてないからプロのプレスマンではプレーできなくて通用しないのではないか"という疑念。

 

もっともである。

 

そしてSenior Bowl

ここで全ての疑念が払拭される。

 

相手は恐らく明日2日目に指名されるであろう全米王者MichiganのエースWR Roman Wilson君です。

 

"スモールスクールだから対戦相手がしょぼいだけかと思ってたらそうじゃなかった。本物"ということでここで評価は跳ねる。

そして極めつけがコンバイン。

 

 

 

サイズこそエリートではないが、圧巻のスピードを見せつけて身体能力も本物であることを見せつける。

これで1巡をロック。

 

 

評価

いいところ

  • ゾーンカバー
    めちゃくちゃ上手い。
    視野が広くてターゲットに早めに気づける。
    そして気づいて飛び出すスピードが速いのなんの。

 

  • マンツーマン
    ゾーンカバーだけの男ではない。
    マンツーマンも、懸念されたプレスマンもしっかりできる。
    上のRoman Wilsonの映像が全て。何ですかあの動き。全く理解が出来ない。
    念のためもう一度貼っておきますね。

    どんなフットワークをしているのか。
    これができりゃ大抵のことはできるでしょう。

 

  • 成績
    惜しいだけじゃない。ちゃんとした数字を残せているのは一流の証です。

 

  • 抜群の耐久性
    先発に昇格してから3シーズン。
    最後のボウルゲームをオプトアウトした以外、全試合先発出場。
    責任感の塊かよ。

 

  • 人間性
    上述の、"トランスファーしなかったこと"についてSenior Bowlや今日のインタビューでの回答。
    "金、その他の機会、そんなもんは人間関係の前には霞む。Toledoのチームで築き上げた人間関係は素晴らしいものだった。それを捨てようとは思わなかったのが残った理由だ"
    鑑かよ。

 

 

不安なところ

  • クッション
    ソフトなマンツーマンやゾーンカバーが多かったからか、マンツーマンでのクッションが時折異常に深くなる。
    あんなスペースを与えちゃうとプロのWRには何されちゃうかわからないのでこの辺りは改善が必要。
    (ただ、やられてるなーと思ったのは2022シーズンのvs Jaxon-Smith Njigba相手だったので心配しすぎかもしれない。Senior Bowlの練習のパフォーマンスが試合で出せるなら不安なし)

 

  • 対戦相手
    やはりこれはちょっと不安。
    まあ全体4位男 Marvin Harrison Jr.相手にちゃんとできていたので問題はなかろうが。

 

  • プレーの強度
    タックルが特にだが、強度が高い方ではないので慣れるのに時間がかかるかも。
    ただ、カレッジレベルではミスタックル率も低いので決して弱いわけではない。

 

  • 年齢
    学業のアレでちょっとつまづいちゃったこともあり、もうすぐ23歳。
    まあさほど気にすることではない。

 

 

とにかく努力の人である。

金や派手なパーティには目もくれず、身近な人を大事にして真面目に日々を送る、なんとも好感の持てる人物である。

 

 

Slayという最高の教材がまだ健在です。

彼から多くのことを学び取って、偉大なる先人を追い越せるように頑張ってください。

 

 

こんな素人が言葉を飾っても響かないだろうて、最高の誉め言葉を見つけましたので置いておきます。

これを聞いたときはさすがにQuinyon本人もすんごい嬉しそうな顔をしてました。

 

以下、カレッジフットボール業界に世界一の権威をもつ1人の偉人からのコメントです。

 

Nick Sabanさん

"昨オフ、残念ながらトランスファーポータルに出てきてくれなかったが、もし出ていれば彼がAlabamaの欲しい奴リストのNo.1だった。"

 

期待ばかりが膨らみますね。

 

 

2日目のターゲット

どうせトレードアップのネタとして消えると思っていた2巡指名権2つ(50位と53位)が両方とも無事。

 

こういう点でもRosemanはよくやった。

最高だった。正しくは、最高にラッキーだった。

 

 

残る指名権

1巡全体22位:オリジナルピック→CB Quinyon Mitchell

2巡全体50位:Wentz最後の一滴(NO由来)

2巡全体53位:オリジナルピック

 

4巡全体120位:Pickettトレード(LAR→PIT→PHI)

5巡全体161位:2023ドラフト時のトレード(TB由来)

5巡全体171位:補償ピック(Isaac Seumalo分)

5巡全体172位:補償ピック(Andre Dillard分)

6巡全体210位:補償ピック(T.J. Edwards分)

 

3巡を作るためになら5巡3つをどうにかしてもいい気すらしている。

それほど3日目の層は薄そうなので、2日目に欲しい買い物はあらかた済ませておく必要がありそう。

 

 

EDGE>>LBS=WROTIOL=DT=TE

というのがニーズではあるが、柔軟に動いてくださって結構です。

 

2日目先頭のBUFがWR関係で指名かなにかとんでもないことを考えている可能性が濃厚ではあるが、初日がほとんどOffenseの選手で終わった反動で、ここまで誰も指名されていないLB・Sももしかしたら早めに売れ始めるかもしれない。

そっちから行くのがいいかもしれませんね。

 

ということで明日の本命は以下です。

2-50 LB Edgerrin Cooper(Texas A&M

2-53 EDGE Marshawn Kneeland(Western Michigan)

 

叶うはずもないので、ほかのターゲットを羅列しておきます。

 

WR Roman Wilson(Michigan)

DT Maason Smith(LSU)

DT Jer'Zhan "Johnny" Newton(Illinois)

WR Keon Coleman(Florida State)

EDGE Bralen Trice(Washington)

EDGE Chris Braswell(Alabama)

S Tyler Nubin(Minnesota)

LB Payton Wilson(NC State)

DT Dewayne CarterDuke

LB Jeremiah Trotter Jr.(Clemson)

S Tykee SmithGeorgia

S Cole Bishop(Utah)

WR Jalen McMillan(Washington)

WR Jermaine Burton(Alabama)

WR Ja'Lynn Polk(Washington)

 

上手いことトレードダウンとかトレードアップとかしちゃってEdgerrin CooperTykee SmithJermaine Burtonなんか獲れたら泣いちゃうかもしれない。

 

Rosemanよ。

まだOLに行くのは早いと思うぞ。

まあ信じるけど。

2日目もよろしくお願いします。