鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

ドラフト延長戦とデプス

大量9人の採用ですから当然ドラフティのチェックなんかにも時間はかかりますのでそちらは気が向けばちょこちょこ上げたいと思います。

 

新しくなったデプスの紹介でございます。

そんなことよりドラフト4日目のお話から。

 

 

 

ドラフト4日目

そんなものはないんですが、ニーズを微妙に満たせていなかった気配のあるところに適切な補強がありました。

 

OT Mekhi Bectonと1年最大5.5Mでサイン

 

経歴と事前の評価

悪夢の2020ドラフトにおける全体11位指名。

Louisville大出身で、ドラフト前の時点ではOTでJedrick Wills(Alabama→CLE)、Tristan Wirfs(Iowa→TB)、Andrew ThomasGeorgia→NYG)と並んで1巡の評価を受けており、実際にはThomas・Willsに次ぐOT3としてNYJ入り。

 

高校時代から将来を嘱望されていた3-Starのプロスペクトは、Michigan、Oregon、Virginia、Virginia Tech等のオファーを蹴ってLouisville入り。

カレッジ時代にも最終年であるジュニアイヤーにはACCトップOLに与えられるJacobs Blocking Trophyという賞をもらっている程度には評価されていたが、それが1巡ロックレベルにまで跳ね上がったのは、やはりコンバイン。

 

6'7 3/8"(202cm)364lbs(165kg)の巨体で40ydを5.10で駆け抜けてしまったもんだからそりゃその身体能力には賭けてみたくなろう。

 

一方で、サイズと運動能力は秀でているものの、

  • コンタクト時に体重を相手に体重を預けすぎるきらいがありバランスを失うことがある
  • これに関連して、目の前以外からのプレッシャーに気づくのが遅れる
  • アグレッシブすぎてカウンタームーブに対応が遅れることがある
  • 姿勢が高すぎてレバレッジを利かせられないため試合ではあまり強くない

という懸念があったとのこと。

 

こうして、"ちょっと粗いがアップサイドが半端ない"という評価でプロ入り。

 

ルーキーイヤーの2020シーズンはプロの壁に悩みながら過ごしたが、飛躍を期待された2021シーズン開幕戦で味方と接触して右脚を負傷。

結局手術を受けて1試合48スナップでシーズンエンド。

 

そしてこの休養中にただでさえデカかった身体が400lbsまで膨れ上がるという体重問題が勃発。

この時点でNYJ首脳陣は彼の将来について大いなる疑問を抱え、その結果RTへのコンバートを打診。

迎えた2022シーズンのトレーニングキャンプでは右脚を再負傷して大手術を受けてシーズンエンド。

これでNYJでの将来は完全に消え去り、5年目オプションも行使されず。

ただ、オプション行使は見送られたが、2023シーズンは350lbsまで体重を落とした姿でトレーニングキャンプに現れ、キャリア最多の16試合に出場。

RTで開幕したのち、3試合目からはLT Duane Brownの負傷にともってLTに移って1試合得欠場はしたがそのままLTとして、ルーキーイヤー以来となるシーズン完走を達成。

 

そして無職であった。

 

 

現在地点

PFFが昨シーズンで彼に最低評価(総合25.5点。もちろん100点満点です念のため)を下したWeek16CLE戦をチェック。

 

メインのマッチアップは文句なくリーグトップのMyles Garrettさんであったのだが、華麗なるインサイドムーブでQBを串刺しにされるなどひどいものであった。

1サック3ヒット4ハリーの合計8プレッシャーに5ペナルティ(1ホールディング+4フォルススタート。だが審判が進行上無視したフォルススタートも2、3個はあった気がする)ともうやりたい放題。

 

かばうのであれば、Myles GarrettZa'Darius SmithのコンビはキツすぎるしたまにBlitzで入ってくるJeremiah Owusu-Koramoahなんか速すぎて消えて見えたろうよ。

かわいそうに。

 

 

やはり時間がかかりそうだというのはフットワークのところのもっさりさ。

Laneは言うに及ばずMailataからもこれほどのもっさり感を受けたことはない。

 

  • 大外のシンプルなスピードラッシュにはそれなりについていけるスピードはあるものの、コンタクト後の足捌きが未熟
  • 上半身だけで当たりにいっちゃうからコンタクト後のカウンタームーブもきれいにもらっちゃう
  • 外にはついていけているからもう少し落ち着けばいいのに焦って開くもんでインサイドがガラ空きになって守るべきスペースを自分で広げちゃってる
  • プロテクションの手も不用意に出すもんだから簡単に切られちゃう
  • サイズの割に、ポジションを取るだけで終わっちゃうランブロックは力感不足
  • リーグ2位の12ペナルティ(大半はCLE戦だけだが)はあまりにも多い

 

という悪さは見えた。

 

ただ、もちろんいいところもある。

  • なによりデカい
  • 前述のカウンタームーブにしても、あまり最初から外に飛び過ぎないようにして後半ぐらいからはある程度アジャスト出来ていた
  • 機動力はなかなかのものなので、2線目に上がる、あるいはプルアウトする動きなんかは比較的スムーズ

 

狭いエリアでの、あるいはヒット後のフットワークさえ向上すれば十分ドラ1の看板にふさわしい選手にはなろう。

 

と、書いていて思ったのだが、もしかしたらドラフト時の課題は一切解決されていないのかもしれない。

 

 

感想

いろいろ書いたが、とはいえこれでも昨シーズンにLane離脱時に入ってきてNYJ戦で敗因となったDriscollと比べるとマシ。

遥かにマシ。

 

あくまでも求めるものはバックアップとして左右をこなせるOTである。

ちなみに、Bectonは高校・大学と左右経験を豊富に持つしプロでもやっているので左右は問わない。

そう考えるとプロでの31試合出場(30先発)という経験はこの上なく心強い。

 

Roseman自身がドラフト終了後の会見で認めていたのが、"こんなにOLを獲らずに終わるとは思わなかった"というところ。

 

やはりDriscollの後任は当然探していたはずだが、初日からOTが順調に売れ過ぎたことによって選択肢がなかったということでしょうか。

まあOTがよく売れてくれたからこそQuinyonを22位で指名できたので決して悪いことだけではありませんが。

 

というわけで、ドラフトできなかった左右をこなせるバックアップOTを獲れたというだけでこの動きは100点。

 

さらに、上手くいけば、4年間で成長していないので上手くいく保証はあまりないが、Stoutland先生が獲得に向けて推したと言われているまだ25歳の素材が花開くことがあれば、Laneの後釜にこのまま座って後継者問題を解決してしまうことすら考えられるという点まで考慮すると、これはもう150点をつけられる動き。

 

最高でございます。

ナイスだRoseman。

 

 

 

ドラフト後のデプス一覧

こちらが本題でございました。

 

黒文字が昨シーズンからの戦力(アクティブロスターにいた人)、薄灰色がFuture Contract(PS相当)、赤字がFA・黄色塗りつぶしがドラフト、青がUDFAです。

 

Offense

  • QB
    何事もなければ何も起こらずにGrierがカットされるはず。
    彼はあくまでもMoore Offenseの伝道師なのでキャンプが本番。良かった場合そのままPSに残っていただければよろしい。
    そんなことより俺たちのMcKeeはどれぐらいパスが上手くなっているのか。
    プレシーズンが待ち遠しい。

 

  • RB
    今オフ最強化ポイント。
    GainwellにRB1への期待を持っていたあの頃から1年ちょっと。
    今や彼は完全にタイプが被るShipley君の加入により、元3巡のTyrion Davis-Price並びにPS濃厚のKendall Miltonとのロスター争いに直面することになる。
    2023シーズンの体たらくだと已む無し。

    そのShipley君だが、どの試合映像を見てもClemsonのOLが相当酷いこともあって良さも悪さもわかりにくい状況だが、やはり言われている
    "ブロックが出来るのを待てる辛抱強さプレーが崩れても打開できる視野の広さおよびこの両者を有効にする一瞬の加速力とトップスピード"
    という特色は相当なものだと見た。
    パスレシーブからRACへの移行も非常に滑らかで大変好感が持てる。
    Gainwellもタイプは似ている(プロテクションの酷さも含めて)が、アップグレードへの期待は高い。



    まあそんなことはSaquonさんがどれぐらい爆発するかですべてマスキングされてしまうんですがね。
    すべてはSaquon次第。

 

  • WR
    こちらもロスター争いが非常に楽しみなポジション。
    特にWR3。
    タイプが異なる選手の争いにはなるが、何をしたいのか全く分からない構成になっている。
    ということで特長別の雑分類をご覧ください。
    スピード:Campbell
    高さ:ParkerJohnny WilsonAustin WatkinsNgataHarrisHebertDavis
    ガジェット:Ainias Smith
    ST専用機:Covey

    意味が分からない。
    ということで、実質は高さ枠を誰が勝ち取るのかというParker vs Johnny Wilsonロスター争い。
    一番堅いのはWR陣で唯一無二のスピードを持つCampbellなのかもしれない。

 

  • TE
    なにやらいっぱい人を集めているようだが、まさかまた安く済まそうとしているのではなかろうな。
    なにせUzomahの加入が一番ありがたく、Goedertが抜けても何とかなりそうで安心している。
    CalcaterraAlbert-Oによる熾烈なTE3がキャンプの見所。

 

  • OL
    Bectonの加入により控えもしっかり厚みができた。
    これで開幕できる。
    しかしさすがにRoseman。将来への仕込みも忘れず実施。
    それがOTのUDFA Anim Dankwah(Howard)。
    6'8"という人間離れしたサイズの割に、コンバインでは動けるところを見せた。
    特にStoutland先生が直接指導するパンチのドリルなんかは非常にスムースだった気がしている面白い存在。
    これはOGのGottlieb Ayedze(Maryland)も同様。
    Ayedzeは308lbsながら40ydを5.01で走り抜けるスピードを見せたほか、MarylandのプロデイでStoutland先生が指導して近くで見ているはずなので楽しみな存在。

    両者ともに結局ドラフトにはかからなかったわけで課題はもちろん多いのだが、いつぞやのOpetaとかSillsのようにUDFA上りがロスターにいるというのはキャップ上も非常に助かるのでどうかがんばってくださいませ。

 

 

 

Defense

  • NTDT
    ドラフト指名があると思っていたがなかったという点でOTと同じではあるが、よく考えるとここはCarter本格デビューのシーズンになるのでそんなに数は必要なかった。
    Fletchの跡を継ぐ人間としての真価を発揮してほしい。
    70%ぐらいのスナッププレーしてください。よろしく。

    2024シーズンを迎えるにあたっての大きなトピックスの1つに、"Jordan Davisの5年目オプションを行使するか否か"というものがある。と勝手に思っている。
    正直に申し上げると、2年間の活躍ぶりは1巡指名選手としては地味すぎたと思っており、キャラもいいので残っては欲しいが、5年目オプションを行使するほどではないと思っている。
    ということで勝負の年。
    ひと皮剥けたところが見たいものです。

    契約最終年を迎えるMiltonも同様。
    ドラフト時に比較対象になってしまったMcNeil(DET)はもう遠いところへ行ってしまった。

    ロスター争いの見所はOjomo vs Gabe Hall

 

  • EDGE
    ちゃんとJalyx Huntは一流になれるのか。
    Huffは本物なのか。
    気になるところは多いが、ロスター争い自体は穏やかなものになりそう。
    起こるとしたら、Baun vs Okwara/Patrick Johnson

 

  • LB
    思い出してほしい。
    1年前を。
    あの時の先発級はDean(未知数2年目)とMorrowしかおらず、その後ろに続くのはChristian Elliss(UDFA上がり3年目)・Shaun Bradley(6巡上がり4年目)・Davion Taylor(バスト・2020クソドラフトの幻影)・Ben VanSumeren(UDFAルーキー)という陣容であった。

    それがこうである。
    Dean(未知数3年目)・White(他所のバストだが元Top5ピック)・Trotter Jr.(将来が約束されたピカピカの5巡ルーキー)・Burks(他所の元3巡なのにST専用機)・Ben VanSumeren(期待のUDFA上がり2年目)

    あまり代わり映えしないというツッコミはどうか控えていただきたいし、そんなことを思うだけで罪です。
    まあなんにせよテンションは上がっている。
    そればやはりJr.の加入によるものでしょう。

    そのJr.だが、やはり見れば見るほど上手い。上手いとしか表現できない。
    一番目を惹くのはタックルの上手さ。
    なによりそのタックルに入るまでのパシュートがお上手。
    だから無理なくタックルできる。
    そしてハイモーターである。
    小さいのが気にはなるが、少なくともカレッジレベルではOLに対するに多様な当たり方、躱し方を持っているように見受けられる。
    解説界の大物、Greg Cosellさん(NFL Filmsのシニアプロデューサー)による、"プロ入り時点の完成度はNakobe Deanより上"という評価もあながち間違いではない気がしている。
    あとはもう少しパワーをつければT.J. Edwardsである。
    ああいう、"タイプは古いがちゃんとしているLB"はチームになくてはならない存在。あのレベルまでへの期待は十分していいものと思われる。

 

  • DB
    敢えてCBとSを括ったのが、正直どう運用するのか全く読めないから。
    特にDeJeanのところ。
    NCBなら開幕先発もあり得るし、Sなら3枚目扱い。
    ただ、NCBならQuinyonもできるのでこっちの出番が先でもおかしくない。
    一応DeJeanはSで獲ったと思っている者からすると上記のようなデプスになるのではないかと思っているところ。

    仮にQuinyonが本当に本物だった場合、Bradberryファイナルカットでサヨナラまであり得る状況。
    キャップ的にはこのカットに意味がないというのはRosemanが言っていたことではあるが、53ロスターの枠は限られているのでそれを確保するために若手を優先させるというのは大いにあり得ると思っている。
    というのは全部不確定要素。

    キャンプで一番楽しみなのはここのロスター争いというか、若手たちの成長具合のチェックである。

 

 

というのがドラフト後の一番興奮している状況でのデプスチャート整理。

どのチームのファンも思っていることだろうが、敢えて口にすると、今年はSB狙えそうですね。