鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

Draft3日目 -いつの間にか埋まった穴-

今年も祭りは楽しかった。
2つしか指名権を持たずに乗り込んだ最終日。恐らく誤算はあったのだろうが、それでもピンポイントで痒い所に手が届く指名。
そして、3日間の誤算を一気に挽回する爽快なUDFA集めとなっております。

最終日も変わらぬ逆風

指名権2個という寂しい懐で臨んだ楽しい楽しい最終日。
しかしどうにも流れが悪いのは初日2日目と同様。
今日呪いたくなったのはSEA
4巡頭の方でCB Coby Bryant(Cincinnati)を指名したはずなのに何を思ったのかPHIの5巡154位の直前5巡153位でCB Tariq Woolen(UTSA)を指名。
まあね。SEAが獲った気持ちはよくわかる。Woolenは将来的にはRichard Shermanを超える男になる。知らんけど。

狙っていたWoolenが寸前で消えたからだと個人的には確信しているが、結局5-154はJAXに渡して6-188と6-198を獲得。さらにその6-188をNOから貰っていた7-237と合わせて6-181にアップ。

ちなみに今日のSEAは7巡で
7-229 WR Bo Melton(Rutgers)
7-233 WR Dareke Young(Lenoir–Rhyne)
という個人的に気になっていた選手を合計4枚も抜くという極悪非道な所業を繰り広げた。
勘弁してほしい。こんなことでは世界から争いが消える日はこない。

そしてPHIのそれぞれの指名は以下。
6-181 PHI LB Kyron Johnson(Kansas)
6-198 PHI TE Grant Calcaterra(SMU)

Johnsonは小柄軽量ながらプロデイで40ydsを4.40(10ydスプリット:1.50)というタイムを叩き出したCB並みのスピードを持つパスラッシャー。
タイプ的にはこのオフに流出したAveryと似ているのでReddickの控えの座をPatrick Johnsonと争うことになりそう。Patrick Johnsonと比べるとリーチは短いは圧倒的にスピードは上だと思っているので期待は高まる。Gannonのおもちゃ枠。
EDGE最速のAmare Barno(VT:6-189でCARに指名)が残ってたからこっちかと思っていたがまあ気に入ったんだったら仕方ない。
コンセンサスボードで165位とかなのでこの位置で獲れたのはめでたいと言って良い素材。

Calcaterraは残っていた中では恐らく最高のレシービングTE。カバーリードとルート取りが巧みで加えてキャッチも堅実。
Oklahomaに入学し、2年次にはオールBig12の1stチームに選ばれる活躍。
度重なる脳震盪の影響で一時引退していたが、その後復帰し、最終年はSMUで活躍。チームキャプテンも務める。
部位が部位なだけにずっと再発の不安は付きまとうが、ここで取るリスクとしては気にならない。
脳震盪で大部分を欠場したOklahoma最終年の2019のQBはHurts。5試合5レシーブという成績しか残せていないが、多少は合わせた経験があるのはコンビネーション的にプラスに働くでしょう。
指名直後にHurtsから電話があって少し会話はしたそう。

Rodgers・Stollという控えTEの陣容において欠けているレシービングツールを持っているという点でばっちりニーズを満たす指名。なにこのパズルがピタリとはまった感覚。
こちらもコンセンサスボードで134位。198位での指名はナイススティール。

UDFA

今年も大物がしっかり漏れたドラフトにおいて、非常に良い動きを見せているのがここ。というかこいつらのせいでテンションが上がって仕方ない。

ちなみに、かのJoe Banner(元PHI球団社長)が、”6巡とか7巡の指名権は、UDFAじゃ来てくれないほど層が厚いポジションの補強に使うことが結構ある”と言っていた。
UDFAは選手陣営が各チームからのオファーを吟味できる点で大物にとっては売り手市場と言ってよく、何が言いたいかというと、大物が来た場合には”相対的にこのチームのそのポジションは先発を奪いやすそうに見えている”という、まあ舐められているのだと思っていただいて差し支えないものです。
契約金のデカい順番で並べていきます。
QB2・RB1・WR1・OG2・DT1・CB3・S1の合計11名です。

CB Mario Goodrich(Clemson)6'0"(183cm)176lbs(80kg)
<契約金217K・ベースサラリー不明>
217Kってさらっと書きましたが、この契約金は6巡筆頭のAraiza(216K)より高額なので相当な評価です。まあこの金額を目安にしてるんでしょうが。去年のStollもその高さに違和感があったが、あれでも契約金は123Kなのでこの待遇は異次元。

2巡でMINに指名されたAndrew Boothの相方。Boothを追っていて目が奪われることもあった選手。ゾーンカバーのときの辛抱強さとかランサポートへの素早さとかタックルの堅実さとか、非常に印象が良い。素人にはなぜUDFAまでスリップしたのか全く分からない。5巡ぐらいでは消えるはずだという事前の評価だった。

専門家によると、体重が軽い割にスピードと加速が今ひとつなので速いWRとストップゴーの勝負をされるとついていけないとか、カラダを開いた後の方向転換が遅いとかメンタルが幼いとかちょいちょいケガするとかまあいろいろあるよう。このあたりの合わせ技でのスリップなんでしょう。

シニアボウルの練習なんかでは、一度Austinにブチ抜かれているのを見たが、Velus Jonesあたりを完封してた気もしてよくわからない。たぶんマンツーマンでWR1を任せるには荷が重いということなんでしょうが幸いにしてそこまでCB負荷が高くないGannonスキームですので上手くいけばロスター入りも可能でしょうしもっと先まで見えてきそう。UDFAまで落ちたのは無念でしょうが本人はもう切り替えてベストなUDFAになってやると気合いが入っているよう。頑張ってください。


QB Carson StrongNevada)6'3"(191cm)226lbs(103kg)
<契約金20K・ベースサラリー300K>
4巡ぐらいでの指名が予想されていた大物QB。
デカくて強肩のポケットパサー。機動力は皆無。ヒザを中心に多彩な負傷歴を持っていることが不安視されたことに加えて、精神的に幼いという評判があり、このあたりが指名から漏れた要因っぽい。
持っているツールは現QB陣にないものなのでハマれば面白い存在になりそう。とりあえず去年の誰かのようにトレーニングキャンプ前にカットされるようなことがないようにお願いします。


CB Josh BlackwellDuke)5'10"(178cm)183lbs(83kg)
<契約金12.5K・ベースサラリー112.5K>
陸上でも活躍しているスピードスター。40ydsは4.3台と快速。スピードはあるが小さくてパワーがなさそう。大外についてよく吹っ飛ばされていた。多分NCBの控えを争うことになる。

ハマればこんなプレーもできます。



DT Noah Elliss(Idaho)6'4"(193cm)346lbs(157kg)
<契約金10K・ベースサラリー230K>
縁故採用。現在ロスターにいるChristian Ellisの弟。大学も同じIdaho。ブラコン疑惑。
体重が物語るように、求められるのはJordan Davisの控え的ポジション。
競争相手はRenell WrenとかTuipulotuとかMarvin Wilsonとかそのあたり。
ただし。これが単なる控え争いに止まらないのは、もしかすると現時点ではJordan Davisより上手い可能性が十分にあるせい。

そりゃテンションは上がる。


CB Josh Jobe(Alabama)5'11''(180cm)182lbs(83kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
まさか来てくれると思っていなかった。4巡でBALに指名されたJalyn Armour-DavisのBAMAでの相方。結構やられていた印象だが、2021はケガを抱えてのプレーだったようで振るわなかったとのこと。Saban門下生だけあってマンツーマンもゾーンもそれなりにこなす。サイズもあってヒットも強い。が、パックの意識はあまりないのでそれなりにミスタックルはあります。
回復具合にもよるが、2020のプレーが再現できればロスター入りは堅そう。

2020はKyle Pitts相手でもやれている。

STでも貢献必至。

ただしやらかすときも桁違い。



S Reed Blankenship(Middle Tennessee)6'0"(183cm)203lbs(92kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
FCSからきたS。存じ上げなかったが、1試合だけ観た結果、ちょっと興奮している。
The Draft NetworkによるとS全体の14位という高い評価を下されているので何者かと思って観てみたら…
2-HighベースのD#でプレーしており、スキームフィットは完璧。さすがに1-Highは厳しいようだがBox内に上がってもタックルは堅実。このバーサタリティはGannonが好きそう。
パスカバレッジも割としっかりしており、ゾーンカバレッジにおいてターゲットの判断とか球が飛んでくるタイミングとかの嗅覚も鋭い。全体的に攻撃性が高すぎる気がしていてプロのQB相手には簡単にひっかけられそうだが楽しみではある。
競争相手はWallaceあたりか。下剋上上等。ちょっと注目してみたい選手。

下のようなプレーからは勘の良さのようなものを感じる。

さすがにオールプロSとの比較は大仰にしても期待はそれぐらいある。



WR Britain Covey(Utah)5'8"(173cm)169lbs(77kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
絶対に必要だったリターナー。ここが彼で目途が立つなら本格的にあいつはいらなくなる。
ローズボウルのプレーは記憶に新しい。


下はシチュエーション的にD-Jaxの再来のようなプレー。コフリンの真っ赤な顔が目に浮かぶ。

一番テンションが上がるUDFAと言って過言ではない。



RB Kennedy Brooks(Oklahoma)5'10"(178cm)209lbs(95kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
"パワーバック"と呼ぶとちょっと違和感があるが、割と泥臭いRB。
加速とトップスピードの評判が良くないことに加えて素行の問題があって評価を落としたようだが、ブロックが完成するのを待って切れ上がっていけるところはPHIのスキームにフィットしそうで期待は高まる。

一番有名なプレーがこれ。

 


G Josh Sills(Oklahoma State)6'5"(196cm)322lbs(146kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
大柄なG。ただし、このサイズにして結構動ける。フットワークもよろしい。
West VirginiaからOklahoma Stateに転校。最終年はLGが主戦場だったが、RGの経験もあるのでSeumaloの有事とか絶対やってくるDriscollの有事に穴埋めしてくれそうな素材。



G William "Bill" Dunkle(San Diego State)6'4''(193cm)328lbs(149kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
もう1人デカいG。真っすぐは速くないがこちらも結構動ける。もう少し速いと最高だが、スキームにはフィットする。
彼はプレーした3年間を一貫してRGでプレーしているのでまあ狙いはSillsと同じ。Seumaloのところ。ちなみにSillsは24歳だがDunkleはまだ22歳。

 


QB EJ Perry(Brown)6'1''(185cm)215lbs(98kg)
<契約金・ベースサラリー不明>
アイビーリーグからやってきたQB。肩が弱いHurts。持っているツールはほぼHurtsと同じ。判断が遅いとされているところもHurtsと同じ。
肩が弱いとは言われながらこれぐらいのボムを合わせることは可能。

こういう映像だけ観てるとすぐに通用しそうだがそうじゃないんだろうな。

 

3日間の収穫

<ドラフト>
1-13 DT Jordan DavisGeorgia)(事前予想:13位)
2-51 C Cam Jurgens(Nebraska)(事前予想:83位)
3-83 LB Nakobe DeanGeorgia)(事前予想:24位)
6-181 LB Kyron Johnson(Kansas)(事前予想:165位)
6-198 TE Grant Calcaterra(SMU)(事前予想:134位)

後ろのカッコ内の数字は、各種ビッグボードの順位の平均値からコンセンサスボードとしてはじかれたものです。
あまり意味はない数字ですが、まあリーチかスティールか、という一般論において目安に用いられる。
これを眺めると、RosemanがいかにWeidlとスカウト軍団が作ったビッグボードに忠実に指名をしたか、ということがわかる。気がする。

短期的なスキーム変更にプラスに働きそうな即戦力2名(Davis・Dean)と文化を継承していく役割を担った将来の先発候補1名(Jurgens)と底上げ要員2名(Johnson・Calcaterra)という構成。
非常にバランスが取れている気がします。

<トレード>
WR1a AJ Brown
そして一番欲しかったところにスーパー即戦力の補強。

<UDFA>
QB Carson StrongNevada)(事前予想:119位)
QB EJ Perry(Brown)(事前予想:142位)
RB Kennedy Brooks(Oklahoma)(事前予想:119位)
WR/KR/PR Britain Covey(Utah)(事前予想:---)
G Josh Sills(Oklahoma State)(事前予想:---)
G William "Bill" Dunkle(San Diego State)(事前予想:---)
DT Noah Elliss(Idaho)(事前予想:157位)
CB Mario Goodrich(Clemson)(事前予想:150位)
CB Josh Jobe(Alabama)(事前予想:124位)
CB Josh BlackwellDuke)(事前予想:---)
S Reed Blankenship(Middle Tennessee)(事前予想:---)
夢が詰まっている。
強肩QBとタイプが違うQB、パワー寄りの密集を走れるRB、リターンスペシャリスト、先発まで張れそうなRGを2枚、完成度が高いギャップイーターのDT、誰か一人はあたるやろのDB4枚。
大満足。

全体

ドラフトに入る前のニーズは、
●即戦力WR
●新スキームを担えるDT
●速いパスラッシャー
●先発CB
●バーサタリティに溢れるスピード豊かなS
●レシービングTE
●パワーバック
●LBのスピードアップ
●RGの控え
であった気がしている。

eagles-nest.hatenablog.com
さすがに、1巡5個あったらなあ、というような即戦力まみれということにはなっていないが、とても経済的に、そして効果的に補強が実現できた気がしている。
特に即Hurtsの友になってくれそうなWRとTEの補強にはしびれた。

そして特筆すべきはそのUDFA。このあたりで集めたメンツがデプスあるいは一部先発として機能することは強いチームの絶対条件なので期待感は爆増する。

総合点は満点。100点です。

一つだけこのドラフトでの懸念点を挙げると、これだけ良いビッグボードを作ってUDFAをかき集めたスカウトならびに人事部門のボスであるWeidlの仕事っぷりが全米に知れ渡っちゃうところ。
この男はまだPITの新GMの候補に挙がっているままだし、そもそもPITは古巣だし。
近年稀にみる、というかこれ以上のものがあるのか疑わしいほど良いものを見せてもらうと、先が不安になってくる。

Weidlさん。末永くPHIでお願いします。おいRosemanそこを退け。
と言いたくなるが、うむ今回は褒めざるを得ない。ナイスRoseman。愛してる。いまだけは。