鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2024ドラフティ紹介(DB Cooper DeJean)

ルーキーミニキャンプも終わってドラフトの喧騒も落ち着き、日常モードにすっかり移行した今日この頃。

2025ドラフトでは本格的にいいTEに出逢わねばならないのでそっちの調査をしてもいいのだが、とりあえずはビッグイベント関連。

 

これから徐々にニュースがなくなっていきますので、不定期でドラフティ9名の紹介をやっていこうと思います。

初回は、個人的に複雑な感想をいだいた2巡指名の彼からです。

 

 

 

物語

学生アスリートだった両親からIowaの小さな町に3兄弟の長男として生まれたCooper少年は幼いから運動神経抜群で野球、バスケ、そしてフットボールに熱中する少年時代を送ったそう。

 

特にその情熱を傾けたのはやはりフットボールで、RBとして頭角を現し、高校ではWRで大活躍。

その後DBやQBでも輝いてキャプテンまで務めたという万能っぷり。

ジュニアイヤーには13戦全勝で高校史上初の州タイトルを獲得したチームで投げては3,546yds、走っては1,292ydsで合計66TD(パス42・ラン24)を荒稼ぎ。

ついでにDefenseでは34タックルに5INT(うち2つはPick-6)を記録、余禄としてパントリターンでも2TDを記録するというもう意味がわからない神童ぶりを発揮。

 

翌シニアイヤーでもチームを全勝優勝に導き、個人記録でも前年からはちょっと人間味がにじみ出る数字を記録(一部だけ書くと、Offense59TDとDefense3INT)してIowa州全体の最優秀選手に選出される。

 

このころにはバスケと陸上でも立派な数字を叩き出すオールマイティな化け物になっており、4-StarでClass of 2021におけるIowa州6位のプロスペクトとしての評価を受ける。

そしてあっさり進学先をIowaに決めて、先発2年を含む3年を過ごしてのプロ入り。

 

バスケの映像がこちら。

 

 

 

使われ方と特徴

Iowaでの使われ方
  • マンカバー率は相当に低く、基本のカバレッジはゾーン。

 

  • Slot起用も、あまり多くはないがある。
    これはマンツーマンの対象、主にエースWRであるが、それがSlotエリアに入ったとき。
    なので非常に過酷な状況でのマッチアップが多いが、それでも十分にやれている。

    "十分にやれている"の中身は以下である。
    2022シーズン:86スナップ0TD2INT 被レーティング11.5
    2023シーズン:19スナップ0TD0INT 被レーティング39.6
    十分どころの騒ぎじゃなかった。

 

  • "Sもできる"という評判ではあるが、S起用はあまり見られない。
    この評判の出所は、ゾーンカバーが多かっただけに、これによってDeepの広いエリアを守るアサイメントが課されることも多く、そのときの動きが非常に良いことによるものなのだろうと推測しているところ。

 

 

出来ること
  • スピード・タフネス・勘。
    どれをとっても大変よろしい。
    基本はゾーンカバーでの起用ではあったが、マンツーマンもできるし、そのミラーの能力は優れている。はず。

 

  • タックルも評価は高く、2023シーズンはミスタックル率12.2%というあまりいいとは言えない数字を残したが、2022シーズンのそれは3.9%
    これは今ドラフトのCBのタックリング部門においてトップクラスにいい評価をいただいているQuinyon Mitchellさんの6.3%と比較しても著しくすぐれている数字。
    Terrion Arnoldも2023シーズンは11.1%という数字であることからするとCBのこの率の良し悪しの基準はおよそ10%というところに線を引くべきなんでしょう。
    ちなみに、DeJeanの話に戻すと、なぜ2023シーズンのタックリングが劣化したのかは不明。

 

  • スピードは4.46という数字がちゃんと映像に現れており、十分にある。
    目に付くのは方向転換のスムーズさ。
    さすがにQuinyonほどではないが、マンカバーでも密着はできる。

 

  • そしてゾーンカバー主体のCBとして"エリート"の称号を得るほどには視野が広い。
    次のターゲットがどこからくるのか、QBはどこを見ているのか、というところが常にわかっているような動きであり、これが前述したとおりに"Sもできる"という評判の根源ではないかと思わされるところ。
    "勘の良さ" もこの視野の広さと無関係ではなかろう。

 

  • ほぼ2年間のカレッジキャリアにおいて20PD7INTという決定力の高さ。
    2022シーズンに至っては5INTのうち3つまでもがPick-6である。

 

  • Pick-6の多さからもわかるように、Punt ReturnerとしてもBig10カンファレンスの1st Teamに選出される程度には優秀。

 

 

できないこと足りないこと
  • パスカバーの際、投げられてからWRに詰めるまでの最初の一瞬のバーストが足りない気がする。
    見比べた際、この点についてはMax Melton(Rutgers→ARI)の方が優れている気がした。現時点では。
    身体的な能力値だけなら余裕で足りるはずなので、専門家の指摘通り要らぬステップを踏んでしまっているのでしょう。
    改善可能と見たが、すぐ直るか、そもそも直るのかはわからない。

 

  • 前に強い反面、後ろに弱い。
    個人的にSをやらせるときにはこれが気になる。
    視野は広いのでその視界の中でQBの目線をとらえてターゲットのWRを確定してボールを追う、というのは非常に得意なんだが、奥をブチ抜こうとする動きに対してはやや見積もりが甘いところがある気配。
    本格的にS起用するとなるとこの辺りが致命傷になりかねない。

 

  • ケガの心配がなくはない。
    最終年の最後4試合を欠場した脚のケガもそうだが、高校時代から"ケガをおして"という表現にちらほら出逢ったのは不安材料。

 

 

評価と期待

ドラフト時の評価

いいところ

  • デカくて運動能力もある。
  • スムーズで教科書通りの動きを見せることができ、DBのテクニックもいろいろ使える。
  • 予知能力が高い。これは高校時代にQBとして長くプレーしたことにも影響を受けていそう。
  • キャッチポイントでの動きはまるでレシーバー。
  • レシーバーと1試合やり合って一歩も引かない程度にはテストステロン値が高い。
  • ランディフェンスでも頼れる。ブロッカーをコントロールする能力が高く、タックラーとしても堅実。
  • Puntリターンの平均は13.1ydと優秀(カレッジ通算31回406yd1TD)。
  • Puntカバーのガンナーとしても優秀(STタックルはカレッジ通算12回)。
  • 謙虚で穏やかなオフフィールドの人間性。良きチームメイト。
  • 大舞台に強い強心臓の持ち主。
  • バックフィールドでの経験ポジションが多い。

 

 

伸びしろ

  • リアクション後のバーストと最初の1歩目の爆発力にやや欠ける
  • 方向転換時に余計なステップが多い。これがブレイク後のセパレートに繋がっている。
  • 掴んじゃう癖がまま見られる。(2023シーズンに2回DPIをもらっている)
  • オフェンスでの練習中に折った右腓骨の状態。

 

 

個人的な期待
  • 「できないこと足りないこと」として書いたあたりの不安が、特に前2者が、"1巡22位で外CBとしてCooper DeJean指名"というドラフト前にPHI現地が推していた案に猛烈に反対していた根拠となるところ。

    適性はゾーンカバーだとも思っていたし。

     

    だがそれも1巡22位でQuinyon Mitchellを指名した後ならば何の問題もなくなった。
    NCBとして考えるなら特に反対する理由もない。

 

  • チームは使い途を明言していないが、ルーキーミニキャンプではDBの全3ポジションに入ったというところから、勝手にNCBとして使われるものだと踏んで話を進めます。

 

  • 2023シーズンを迎えるにあたって、というか正しくは2022シーズン最後のSBでKelce弟にやられた時から思っていた、"デカCBを活用してのTEカバー"という夢がある。
    Bradberryに見ていた果てない夢ではあったが、PHI首脳陣も同じように考えたのかキャンプから試していたこれ、結局一切ものにならず。

    BradberryにTEをカバーする能力がなかったのではなく、彼のクイックネスではSlotエリアはあまりに守るべき範囲として広すぎたのだと理解しているが、この夢をかなえてくれるのに、DeJeanはまさに適任なはずの男。
    サイズ(Bradberryとほぼ同じ6'1")があり、そしてクイックネスはケタ違い。

 

  • そしてこのNCBエリアは、Bradberryがどうとかそれ以前の問題として、先発Maddoxと控え筆頭のMcPhearsonの長期離脱により完全に崩壊し、シーズン終了までDefenseの穴であり続けたところ。

    DeJeanにお願いしたいのは、ここのテコ入れと長期安定。

 

  • 2021・2022シーズンあたりのMaddoxは良かったんだが、彼とてサイズの問題があったのでTE封じまでは難しかったところ。
    Maddoxにないサイズという武器を最大限に活用してなんとかうまいことやってくださいませお願いします。

 

  • 本格化した気配のあるJake Ferguson(DAL)からSam LaPorta(DET)、言わずもがなのGeorge Kittle(SF)にKelce弟まで仮想敵たちが抱える多士済々なTEを試合から消すのは勝ちあがっていくうえで非常に重要なお仕事。
    Bradberryに見た夢を君に託そう。

 

 

以上、Cooper DeJeanについてでした。

 

NCBでの起用であっても現状で即通用するレベルだとは思っていないが、真面目な性格でもあるので言われなくても当然努力は積むのでしょう。

Slayの後姿を見て一日も早く戦力になってくれる日を期待している。

 

がんばれ。