Saquonのリベンジマッチ。
というわかりやすすぎる構図の試合でしたが、それがまあなんともわかりやすく転んだ試合でしたね。
Saquonがボールを持つたびに熱心なブーイングを送る現地ファンを尻目に、Saquon自身はPHI入り以降、というか2019シーズンにマークしたキャリアハイに迫る成績。
展開的に1枚目を出す必要がなくなった4Q終盤に"キャリアハイまであと13ydだが出るか?"とSirianniに聞かれたのを"いや、若手を出してやってくれ"と一蹴したあのやり取り、とても素敵でした。
Saquonの人柄もそうだし、選手の個人記録をちゃんと考えてやるSirianniも。
ファン目線では特大のブーイングを送りたくなるHCではあるが、選手たちの心を掴んで離さないのはこういうところなんでしょうな。
展開と結果
もちろん序盤は停滞。
Offenseはプレッシャーにちゃんとハマって一切出ない。
両軍のDefenseが意地を見せ続けた1Qはしっかり無得点。
かくてフランチャイズ史上最悪の記録である1Q無得点記録は今季開幕から6試合連続、昨シーズン終盤からは8試合連続(プレーオフ含む)という凄まじい期間にまで伸ばされた。
もういっそこのスロースタートっぷりがどこまで伸びるのかは楽しみですらある。
なわけあるか。
その後、2Qに入ると、Kelceと空目したJurgensの美しいプルアウトに守られてSaquonに長めの当たりが出たことで試合は動き、そしてDefenseは堅いまま。
4th&3からシングルカバーになっていたA.J.への見事なボムでのTDもあり、順調に進捗。
その後もちょくちょく出るSaquonのホームラン級の当たりをすべてTDに結びつける効果的なグラウンドアタックのおかげで順調に加点。
最後まで安定したパスラッシュのおかげもあり危なげなく進行。
先方がQBをDaniel JonesからDrew Lockにスイッチした4Q残り11:26を以って正式に試合は終了。
4Qのほとんどでスターター陣を休ませられたのはとても大きかった。
結果:PHI 28-3 NYG
25点差なんていう特大の点差をつけたのは2021シーズンワイルドカードプレーオフ(vsNYG)以来。
先方を1ケタ得点に抑えたのもその翌週が最後。
0TDに至っては2021シーズン開幕戦(@ATL)以来という大昔以来である。
良い試合でした。
ハイライトは以下です。
主なスタッツ
- 2021シーズンに戻ったかのようなランへの偏り。
これでいい。
Hurtsのパスに頼るまでもなくランとDefenseで圧倒出来るならこれでいい。
良かった人たち
- パスラッシュ
8サックの内訳は、Jalen CarterとNakobe Deanが2ずつ、Josh Sweat・Nolan Smith・Bryce Huff・Jalyx Huntが1ずつというもの。
DeanのBlitzからの2つは本当にお見事だったし、CarterもDT陣で圧倒的に多いスナップ数を与えられてよくプレッシャーをかけ続けていた。
Sweatの1Qのサックはチームを落ち着けるのに非常に効果的だったしNolanがスピードだけでなくパワーを見せてくれたのも最高だった。
そしてなによりHuffにピュアなサックが出た。
Huffはこの日EDGEから終始プレッシャーになっていた印象まであり、素直に称賛できるいいパフォーマンスだった。
MetLifeスタジアム限定で輝けるリーグでも少数派の人なんでしょうか。
それと、消化試合の時間帯に出てきてなぜかブロックされずにFFまで記録しちゃったJalyx Hunt君も良かったですね。
恐る恐る、というような気配の漂うサックではあったが早速結果が出たのはいいことです。
この調子で頼む。
ちなみにサックこそ出なかったがこの日もOjomoとThomas Bookerは最高であった。
Ojomoに至っては一瞬"Carterさんかな?"と思ってしまうほどのキレ味をみせてくれていた。
Moro Ojomo is developing the Jalen Carter pass rush moves. #Eagles pic.twitter.com/psTun4FuiL
— Iggles Nest (@IgglesNest) 2024年10月21日すげえいつの間にこんなことできるようになってやがる。
ここまでの6試合、DT陣でベストとなる11.8%のQBプレッシャー率を記録しているのがOjomo。
スナップ数という貢献度を考慮するとさすがにCarterには劣るが、Miltonとはもはや同格。
7巡指名選手という意味ではMailata以来のヒットであろう。
非常によろしい。
ちなみにThomas BookerもDeanのサックをアシストするという大事なお仕事を遂行していたが、この日はランストップで目立っていましたかね。
Thomas Booker had three stops yesterday (and one pressure!), giving him 7 (!) stops in 32 run defense snaps on the season, per @PFF, which is extremely good. As of now, he has the highest run-stop % in the NFL. pic.twitter.com/Ydy5Xp9Lhc
— Iggles Nest (@IgglesNest) 2024年10月21日
結構使っていた印象があるが、NYGのものと比べると非常に見劣りがするぎこちなさであった。
先方はEDGEの後入りが多かったが、PHIはDTの後入りが多かった気がしており、まあそういうところも影響しているのかもしれないが、もう少しスムーズにやっていただけると助かります。
文句を言うとしてもここぐらい。
OLのレベルが相当に低かった気はするが、8つも出たのはやはりスッキリしました。
- パスカバー
先方のルーキーWR Malik Nabersが試合後に"ターゲットフィルムを見てくれ。俺はずっと空いてた"と、不満そうにとんでもない虚偽申告をかましていたが、あんた全然空いてなかったろうが。
立役者はDarius SlayとQuinyon Mitchellの両CB。
Slayはまた一段ギアを上げたかのようなパフォーマンスだったし、なにより最高だったのはQuinyon。
ということで彼の全パスカバーをどうぞ。
Quinyon Mitchell vs. NYG | Week 7#FlyEaglesFly pic.twitter.com/9JxkVfvbko
— oollie (@oollie2k) 2024年10月21日はい。完璧ですね。
確かこの男のドラフト前の懸念は"プレスマンカバレッジの経験が少ない"というものだったはずである。
それが今や以下のようなパフォーマンスなのです。Quinyon is bullying Nabers#FlyEagleFly pic.twitter.com/EeIlWq4tbA
— oollie (@oollie2k) 2024年10月21日もはや確信なのだが、こいつに唯一欠けているのがボールセンスで、この日も1つINTをドロップしていたが、そんなことはもう気にならないほどのカバーの安定っぷり。
INTがなかったりチームの注目度が低かったりでDRPOYなんかには縁がなさそうではあるがむちゃくちゃいい選手であるというところは譲れない。
元の素材の良さはもちろんあるが、それに加えてキャンプで毎日A.J.とDeVontaにもみくちゃにされ、Slayに指導いただけるとこんなにもいい選手になるのか。
リーグ最高のマンカバービーター相手に毎日マッチアップしてたらそりゃ上手くもなるか。
いいぞQuinyonその調子でな。
Quinyonにアテられたのか若返った感まであるSlayのこの日も相当に良かった。
いいぞいいぞ。
Sydneyが復帰したS陣も大したやらかしもなく安定してカバーできていたとのことです。
とてもよろしい。
- Saquon Barkley
この日の主役。
ブーイングが徐々に嘆息に変わっていった最高のパフォーマンス。
A.J.の試合前の予測の通りSaquonは未だにとんでもないデカい獣を飼っているようで。そいつが目覚めるとこんなことになるんですね。
それではこの日の3発をどうぞ。
SAQUON. 55-YARD RUN.
— NFL (@NFL) 2024年10月20日
📺: #PHIvsNYG on FOX
📱: https://t.co/waVpO8ZBqG pic.twitter.com/x02woOkZajこれはJurgensも見事。
Saquon having himself a DAY.
— NFL (@NFL) 2024年10月20日
Over 125 yards rushing against the Giants.
📺: #PHIvsNYG on FOX
📱: https://t.co/waVpO8ZBqG pic.twitter.com/USP8wd6AeVSaquon Barkley is at it again.
— NFL (@NFL) 2024年10月20日
📺: #PHIvsNYG on FOX
📱: https://t.co/waVpO909ge pic.twitter.com/iGCd9x3WWo前述したSirianniとの試合中のやり取りに加えて、
"Giantsというチームに憎しみはないよ。 彼らは僕をドラフトし、引き入れ、子供が夢を生きる手助けをしてくれた。Eaglesも同じだよ。Howieとこのチームは僕にチャンスをくれた。そういうことは僕にとって大きな意味がある。
新しいホームを見つけ、大好きな場所を見つけることができた。ここにいることに興奮している。
プレーするのは誰かの正しさを証明するためでも、誰かの間違いを証明するためでもない。自分らしくいるためなんだ。"
と試合後に語ったナイスガイ。
NYG時代から明らかだったように最高のリーダーでもある。
ここまではキャリアハイのペースで成績を残している男。
今後もどうかよろしく頼む。
- A.J. Brown様
リベンジマッチの先輩。
言うことなし。
もう語彙が尽きて長い。
JALEN HURTS TO AJ BROWN ON 4TH DOWN. 41-YARD TD.
— NFL (@NFL) 2024年10月20日
📺: #PHIvsNYG on FOX
📱: https://t.co/waVpO909ge pic.twitter.com/H2S70NsOdaこれに関してはA.J.にシングルカバーを仕向けた先方のDC Shane Bowenが悪い。
元TENのクセにこいつのすごさをご存じないのか。
観戦中には、画面中央の1st Down付近でフリーになりそうなDeVontaに投げるべきだと思ったがこの結果になるなら文句は言うまい。
投げたHurtsもお見事でした。
そしてこの試合ではこんなミームまで誕生。
Sitting on the couch watching MNF 😌 pic.twitter.com/7g0BgS4sbb
— Philadelphia Eagles (@Eagles) 2024年10月22日"もうね、最高に楽しかったんだよ"と上の写真のシーンについて語ったA.J.。
積極的に使っていきたい。
- OL
被サック5という数字は全然褒められたものではない。
全然褒められたものではないが、良かったという分類でいいでしょう。
ランブロックでのコンスタントさとか、ちょっといただけない部分はあったが、一番心配していたFred Johnsonのところが破綻しなかった。
序盤こそBurnsのスピードについていけずやられ放題なところはあったが、把握し始めてからは徐々に安定。
いいランブロックもあった。
むしろやられていたのはInsideの3人へのスタンツ。
特にSexy Dexyが絡むDT同士のスタンツの破壊力に派手に吹き飛ばされていたのがCam Jurgens。
Kelceのようなランブロックを見せたかと思うとKelceと同じ弱点を抱えていたとは。
まあタイプが似ているので当然と言えば当然なんだが。
そしてまたしても脳震盪で離脱したのがBecton。
ここを埋めたSteenだったが、特に目立った破綻はなし。
また少しランブロックが成長したかね。
それと、ここまで結構低調なパフォーマンスに終始していたLandonだがこの試合では今季初ぐらいの安定っぷりで少し安心した。
Laneは相変わらず圧倒的。
- FB Ben VanSumeren爆誕
TEのブロックがどうも思わしくないなか、キャンプからあったというBVSのFB起用がいよいよお披露目。
スナップ自体は5回だったが、1回は上にも貼った3発目のSaquonのロングゲインでのキーブロックとなるなどなかなかの出来。
仕方ない。もう1回貼っておきましょう。
Saquon Barkley is at it again.
— NFL (@NFL) 2024年10月20日
📺: #PHIvsNYG on FOX
📱: https://t.co/waVpO909ge pic.twitter.com/iGCd9x3WWo美しい…
理想はKyle Juszczyk(SF)だと語るBVS。
いや本職のことも忘れんなよ。
シーズン中には背番号変更がきかないのが残念でならない。
- NCB/PR Cooper DeJean
NCBとしては完全にMaddoxを凌駕した。
Deepに下がっておきながらスクリーンと見るや異常なスピードで駆け上がってくる。
守備範囲の広さたるや実に良い。
PRとしてもナイスリターンを見せてくれていたが、Fangioさん的には"あいつはNCBのスターターなんだ。PRをしているのを見るのは気分のいいもんではないよ"とのこと。
確かにね。
結構なヒットももらっていたしアレでケガされるのは困る。
とはいえ現状そう簡単に外せるわけでもないといううれしい悩み。
Coveyの復帰が待たれる。
その他
- ちょっとした変化その1。
Jalen Hurtsのポケットワーク。
なんだか無理をしなくなっている。
この試合で目立ったのは、"あ、ダメだ"となったときにさっさとサックされるシーン。
粘ってファンブルを食らったり無茶投げしてINTを食らうよりよほどいいんだが、果たしてこの変化は意図してのものなのかそうではないのか。
個人的には前者だと思うが、そうであれば悪くない変化。
プレッシャーがかかる状況で避けたいのがファンブル→INT→サックだと思うと、包まれたときにさっさとサックされることを選ぶのは悪くない選択だと思われる。
打開できそうな時にはそうしているし、事実スクランブルでのいいゲインも数回あったし。
"50Mもらっているのに?"とは思わないではないが、Josh Allenじゃあるまいし今はこれで良しとしましょう。
- ちょっとした変化その2。
どうもバイウィークを明けてからちゃんと練習をしているようで。
疲労度との兼ね合いなのかなんなのかよくわからないところでまだ判断は早すぎる気がするが、"水曜日は絶対ウォークスルー"といういつものルーティーンがちょっと崩れているようでもある。
その分ケガ人はちょこちょこ出ているが、それはそれでOK。
そうなっても大丈夫なようにロスターは厚めに組んでいるはず。
あれからたった2試合というサンプルサイズではあるし、"やっぱり練習したら解決したじゃないか"と言うのは尚早すぎる段階ではあるが、先週の"5"に続いてこの試合でのタックルミスは"4"とさらに減らしてきた。
NYGに許したYard After Catchはたったの42ydという数字で、これはWeek7におけるリーグ最小値であり、今季のリーグ全試合を見渡しても2番目に少ない立派な数字である。
それぐらいにはタックルが安定していたということであろう。
非常にいいのではないでしょうか。
特にこの試合ではプレッシャーをかけるDLの後ろのエリアを徘徊してタックルを続けたZack Baunのタックルの堅実さが目立った。
この調子でどんどん良くなっておくれ。
上手くはまったときにちゃんと点差をつけて勝てるというのは強いチームの特徴だというのはこれが全然なかった時期を見てきたもんだからよくわかる。
見たまえよDETを。
点差をつけて運の要素を極力排除するというのは勝ち続けるうえでとても重要なことです。
2022シーズンによく出来ていたその姿をようやく見られてホッとしている。
あとはこれが継続できるかどうか。
少し楽しみが増えた。