ホームゲームだったはずなのにやっぱりアウェイ寄りの歓声でしたね。
今後はGBが毎年ブラジルでやればいいと思いますよ。
少なくともPHIはあそこでやらんでいいでしょう。
ということで大変にストレスフルだった初戦の振り返りです。
結果:PHI 34-29 GB
コンテンダー相手になんとか勝利。
あんな試合でも勝てたという結果は良かった。若い選手が多いだけに、冬にかけて仕上がるとしたらGBは相当厄介な相手になりそうだという感触です。
LoveのケガはIR入りも避けられそうなものだったそうでほっとしました。
概観
ハイライト置いておきます。
試合の入り方はゴミそのものだった。
スリッピーな芝のコンディションもあったが、やはり1年前同様にプレシーズンに一切出なかったOffenseは1年前同様に開幕週をプレシーズン扱い。
こういうところ、1年前に"プレシーズンの過ごし方を考え直さないといけない"と発言していたHCがいたような気がするんですが。
全く成長していなかったということですね。
そんなOffenseと対照的に、Defenseは、特にRed Zone Defenseはカッチカチ。
Hurtsの1つ目のクソジャッジの産物でしかないINTと、Jurgensのお漏らしスナップによるFumble Lost、この自陣深くでのTurn Over2発を両方ともFGで終わってくれたのは展開にもよほど大きな影響があった。
その後ようやくOffenseが徐々に立ち直っていき、前半の残り3ポゼッションはSaquonへのデザインも実行も美しいWheelルートのTDパス・Saquonの今度は華麗なるインサイドのTDラン・FGと得点を重ねるが、その間にDefenseが急に"Jayden Reed止められない病"に感染して33ydラン(こっちはXPでJalen Carterがオフサイドして2ptを誘発しながらそれを止めるという技あり?結果オーライ?のシークエンスで6点止まり。これが最後まで効くことになるんだから人生はわからない)と70ydパスで2本を取られて2点ビハインドで前半折り返し。
後半はA.J. Brown様のJaire Alexanderをぶっちぎる67yd独走TDレシーブであっさり逆転して開幕。
するんだが、ここはPHI Defenseの反則てんこ盛りシリーズとなりあっさり逆転を許す。
ここから3Q中盤にかけて試合は停滞するが、それをブチ破ったのはそういえばキャリアのGB戦(2試合)で2つ目となるINTを挙げたReed Blankenship。
これでボールをもらったあとはSaquonこの日3つ目となるTDは、今度はパワーを見せつけてのもの。
ここからは、Hurtsのこの日2つ目の、これはAlexanderが上手すぎるINTなんかもあったが、Josh JacobsにちょくちょくやられながらもDefenseが最後のところをしっかり締めて試合終了。
最悪のフィールドポジションで3回もボールを差し上げておいて勝ち切れたという意味では、強さがあることも確認できた開幕戦だったと思います。
まあ今はこれで満足しましょう。負けるより5万倍良かった。
観戦者のストレスゲージは10回ぐらい振り切れたが。
主なStats
走られすぎ。Avg.7.8ydsはさすがに擁護できない。
序盤は結構ランストップ良かったのにBoxの外を使われだすと全然止まらなくなった。
このエリアはDBのタックル力が試されるところ。
そして酷い結果だったと申し上げておきましょう。
夏の間練習してないのはいつものことなので、プレーオフまでにもうちょっと上達していてくれることを期待しておきます。
反則が多すぎる。
反則合戦では先方のダメージの方が大きかったはずではあるが、Defenseの反則の多さはいただけない。
得点だけで見るとSaquonとA.J.。
なんだが、ボールを運ぶという点ではDeVontaが非常に効果的だった印象があります。チーム最多の7レシーブはさすがだし、RACがとっても良かったのも好印象でした。素晴らしい。
その他、やはり合流間もないDotsonは1回ターゲットになっただけだった様子。
もうちょっと時間はかかりそうですね。
良かった人たち
Offense
- OC Kellen Moore
最初のプレーがアンダーセンターだった時点で痺れたんだが、やはりOffenseが2023シーズンとは全然違う。
モーションについても期待通りいっぱい入れてくださり、いきなり2023シーズンの35.1%に対して2倍弱の比率でモーションを活用。
A.J.の1発TDもそうだが、(詳しく説明できないのが口惜しいが)効果的だったはず。
In Kellen Moore’s debut as Eagles offensive coordinator, the offense utilized motion on 48 of 73 plays (65.8%), their highest mark in a single game since 2020.
— Next Gen Stats (@NextGenStats) 2024年9月7日
Last season, the Eagles used motion at the lowest rate league-wide (35.1%).
Powered by @awscloudwatch the short motion pre-snap from AJ Brown
— Warren Sharp (@SharpFootball) 2024年9月7日
helped influence Alexander’s coverage and eventually stack him
Eagles didn’t do any of this last year
that’s Kellen Moore pic.twitter.com/hytVRXFCDB
モーション使用時のHurtsの成績が以下。Jalen Hurts was significantly more effective as a passer when the play featured motion, completing 15 of 21 for 212 yards and 2 touchdowns.
— Next Gen Stats (@NextGenStats) 2024年9月7日
Without motion, Hurts finished 5 of 13 for 66 yards and 2 interceptions.#GBvsPHI | @Eagles pic.twitter.com/eKfUG8BnPv
その結果なのだろう、短いパスがテンポよく決まるOffenseだった印象がある。
その受け手としてA.J.をデコイにしてのDeVontaが活きたと。
明確に短いパスの方が効果的だったというスタッツが以下。Jalen Hurts by Air Yards vs Packers 🎯
— Next Gen Stats (@NextGenStats) 2024年9月7日
Under 15 Air Yards
🔹 18/22, 193 yards (103.2 rating)
Over 15 Air Yards
🔹 2/7, 85 yards, 2 TD, 2 INT (77.7 rating)#GBvsPHI | #FlyEaglesFly
短いパスが効果的だったのも、よく見るとちゃんとBlitzが入ったときのその後ろ側の浅いエリアを使えていたことも一因であろう。
Blitzとのすれ違いでWRにボールを持たせることが出来れば、自動的に3列目のDBまでのRACが確定する。
これがAir Yardは短くてもしっかりゲイン出来た内実だと思われる。
ちなみにDeVontaを狙ってXavier McKinneyにピックされたプレーだが、あれも浅いところでGoedertがしっかり空いていた。
あのプレーのあとからちゃんと浅いところにボールを撒けていたのはHurtsの成長だと思い込むことにする。
確認できた範囲で、パスの時にBlitzが入ったのがこの試合で7回。
その結果は、6/7(85.7%)91yd 1TD 0INTでなんとレーティングは満点の158.3。
いかがでしょうか。
どうでしょうか。
2023とは違うのだよ。
"HurtsにはBlitz入れときゃ止まる"という法則も今シーズンからは通用しないのだよ。かかってこいTodd Bowles。
Week4が楽しみだ。
返り討ちにしてくれよう。
- Saquon Barkley
そりゃそう。
余裕のGameBallです。
過去のスタッツが物語るところではあるのだが、やっぱりちょっとInside Zoneを走るの苦手かな、という印象があった序盤だが、徐々に良くなっていったのは見事だった。
1つ目のWheelルートのTDレシーブは、デザインもHurtsの落としどころも完璧だったが、それを完結させたレシーブと足の残し方はWRのそれ。
相当芸術点は高かった。
本業のランも、DTが即漏れしていたもの以外は悪いプレーは見当たらなかったはずで、やはり1列目を抜けるときのスピードは素晴らしいし視野も広い。
Saquon Barkley is having one of the greatest team debuts of all time.
— NFL (@NFL) 2024年9月7日
📺: #GBvsPHI on Peacock pic.twitter.com/Hvx7tUzGkI
後述するが、OLはやはりそれなりに良いことも確認できたので、今後への大きな楽しみが出来ました。
Saquonが良かったもんであまり出番がなかったGainwellではあるが、彼とて1回だけだったレシーブでのRACは非常にいいプレーでした。
大変よろしいですね。
- OL
Jurgensのスナップミス2発等、まあシーズン初戦にふさわしいミスはあったが、概ねよかったはず。
Laneが下がりすぎていたとしてイリーガルフォーメーションの反則を取られた直後のプレーでほとんどボールに被るぐらい前目にセットしていたのは笑った。
"は?どこについてても問題なく止められますけどね?"と言わんばかりのやり直し。
皮肉が利いていてたいへんよろしい。
Blitzもちょこちょこ入っていたはずだが、そのピックアップについても特にミスらしいミスはなく。
むしろJurgensとBectonのInsideのランブロックの力強さはかなり好印象だった。以下がJurgensのランブロックハイライト。
スピードとパワーの両方で十分以上のものを見せてくれた51番に注目していただきたい。
Eagles C Cam Jurgens had his share of highlight reel run blocks against the Packers. He wasn't perfect, but there's a lot to work with. pic.twitter.com/NbAe1BeER5
— Jimmy Kempski (@JimmyKempski) 2024年9月7日
いいね。
とてもいい。
あとはTush Pushだ。1回でも失敗するんじゃない。
あれはね、Kelceが始めてすぐのころのポッドキャストで"4&1でやるべきプレーはQBスニークしかない。なぜならQBスニークの成功率は92%もあるからだ"と熱弁した直後ぐらいからSteichen下でやり始めたプレー。
なお"92%"という数字に根拠はないようです。
Kelce在籍時の成功率は95%近かったはず。
そういう意味でもあのプレーはPHIの魂なのである。Kelceがいた時代の象徴なのである。
特に最後の、敵陣ゴール前でファンブルしたやつは絶対に決めねばならない。
JurgensとHurtsは次週までにスナップを1,000回は合わせるように。
- A.J.とDeVonta
この2人に関しては「いつも通り素晴らしかったです」という思いしかない。
JALEN HURTS TO AJ BROWN. 67-YARD TD TO START THE SECOND HALF.
— NFL (@NFL) 2024年9月7日
📺: #GBvsPHI on Peacock pic.twitter.com/Xq57EnstcKAJ Brown displays his combo of speed and strength 😳
— NFL (@NFL) 2024年9月7日
📺: #GBvsPHI on Peacock pic.twitter.com/wwysleIvB6
A.J.の一発TDはこれこそA.J.にしかできないことではあったが、以下のプレーでもそうだったようにDeVontaもDeVontaで特に終盤は非常に効果的なレシーブを重ねていた。DeVonta Smith. Always reliable.
— NFL (@NFL) 2024年9月7日
📺: #GBvsPHI on Peacock pic.twitter.com/iIw8UOZtIhやはり頼りになるのはこの2人。
Goedertもいいスタートを切っていたようだしあとはDotson。
コネクションの確立には少し時間がかかるでしょうから気長に待ちます。
Defense
- LB陣(特にZack Baun)
急遽のDevin White欠場に伴い、BaunとDeanでコンビを組んだLB陣。
悪くなかったと思いますよ。
双方ちょこちょこタックルミスがあったのは気に入らないが、Baunの15タックル(11ソロ)2サック1TFLという数字はお見事。
EDGEとしても十分通用するパスラッシュ能力をBlitzで使われることが効果的なのは薄々想像していたが、実際の映像では想像以上だった。
しかもそれ以外のところもしっかりLBとして成立していた。
なによりプレースピードが速いのがよろしい。
いい補強です。
この試合だけでお釣りがくる。
Deanも同じようにBlitzがキレていた。
パスカバーで数回やられたという話だが、ざっと見たところ大きな綻びにはなっていなかったはず。
あのPick6未遂は本当にいただけないので次はちゃんとボール捕ってください。
当面このコンビでいきましょう。
Devin Whiteなんていなかった。
- CB Quinyon Mitchell
蓋を開けてみるとSlayの相方として外CBの先発。
Rodgersの負傷から何がどう転んでこうなったのかはわからないが、Quinyon本人だけ見てみると非常にいいプレーだったはず。
9ターゲットで4レシーブ60yd(ターゲット比率30%)で被レーティング66.9だったとのことなので充分な数字。
Christian WatsonとかRomeo Doubsのようなデカいのにしっかりとつけていただけでなく、Jayden Reedのような俊敏なタイプにでも問題なくつけていた。
3年後にCB市場の相場を塗り替えるのは彼でしょうね。
若干かかっているように見えたがいいデビュー戦だったと思います。
- S Reed Blankenship
ちゃんとタックルできるDBというだけでありがたいのにそれに加えてあのINT。
ルーキーイヤーの時といいGB戦では絶対輝いてくれるな。
やはり相性というのはあるのか。
CJGJがやっぱりちょっとタックルに不安は残るので今シーズンもお忙しくなろう。
- DT Moro Ojomo
地味ではあるが、いいプレッシャーもかけていたし想像を遥かに超える出来だった。
最高だよ。
悪かった人たち
Offense
- 挙げるべき個人名が思いつかない。
- 敢えて挙げるなら序盤のHurtsだが、それとてどんどん良くなっていたので"悪かった"わけではない。
ただ、それでもなお注文を付けるのであれば、いろんな場面でGoedertは空いていたので彼をもう少し使っていきましょう。
Jaire AlexanderにINTされたゴール前のパスも、あの結果はAlexanderの受け持ちZoneからの飛び出しがさすが超一流というとんでもなく良いものだっただけなので"Hurtsが悪い"と言ってしまうのはかわいそうだが、あれはA.J.の弊害。
困ったときのA.J.を繰り返していたらああいうので狙われる。
あのプレーも投げるならGoedertのところだったはず。
ただ試合中に良くなっているのが見えたので初戦としてはOKだと思います。
Defense
- パスラッシュ
Vic Fangioの思想として、パスラッシュでつける変化とはLBなりを1枚Blitzで入れるかわりにDL特にEDGEを下げることで全体のバランスは崩さずに変化をつけていく、ということなんだろうと理解している(Blitz率はリーグ中位ぐらいなのに5men+ラッシュの比率はだいぶ下位だったはず)。
しかしまあかからなかったですねパスラッシュ。
Jalen Carterも個別にはいいプレッシャーをかけられていたプレーもあるにはあったが、2発の反則、特にBaunのサックを無駄にしたアンネセサリーラフネスの反則は非常に良くなかった。
猛省を促す。
それとともに、開幕戦、KCのChris Jonesを見てしまった身からすると、あれほどまではいかなくてももうちょっと出来るのではないかと期待してしまっていた。
時間が解決する部分もあるのだと信じているがが、この日の出来として非常に物足りなかったのは事実です。
やはり相方にはFletchが必要なのか。
唯一Josh Sweat(というかBaunとOjomo以外でQB Hitまで持っていけたのがこの2名だけ)はやはりいい動きをしていたと思うが、反対側のBryce Huffは完全に沈黙。
30スナップに出て1タックル(0ソロ)のみというスタッツはなんともいただけない。
まだ何の評価も下さないが、次はがんばってください。
- NCB Avonte Maddox
いやあ実にひどかった。
Ringoがなぜあんまり出ていなかったのかよくわからない(Quinyon負傷による一時離脱の穴を埋めた4スナップのみ出場)が、QuinyonをNCBにおいてRingoを外に置く形が現状ではベストな気がしている。
先発として出てきている時点でびっくりしたが、もっとびっくりしたのはNCBとして全然機能していなかったところ。
手元集計では3/7(42.9%)30yd 1TD 0INTで被レーティング95.2とかのやられ方。
これにDPIの13ydも追加せねばなるまい。
失敗の4回のうち2回が投げ捨て風オーバースロー、1回がドロップ、1回がシンプルオーバースローである。
これがなければレーティングは130台とかにまで跳ね上がる。
さすがに投げ捨て風オーバースローの2発(いずれもRed Zone)はいいカバーの結果のものだったのでこれまで切り捨てるつもりはないが、まあやられているのが目立ったという印象に変わりはない。
Quinyonを外CBとしてやっていくのであれば、Dimeパッケージでの5スナップしか出番がなかったCooper DeJeanのスターター昇格が望まれて仕方ない。
なお、DeJean君のこの5スナップであるが、最後のWillisの2スナップがあるので実質は3スナップ。
なお、バレてはいないが最初のプレーではChristian Watsonとマッチアップして中央をブチ抜かれていた。
幸いLoveはDoubsに投げてくれたので19ydで済んだが、下手したら61ydのTDとなっていたカバーだったことは付言しておく。
やはりもう少し時間がかかるか。
全くこのエリアは本当に埋まらないですね。
さてFangioさんはどうするんでしょうか。
- S CJGJ
タックルちゃんとせいというのは既に述べたが、Jayden Reedに70ydのTDを許したプレーもあれはタックルミスの前にCJGJのカバレッジが異常にソフトだったことによるもの。
シングルハイの勘はあまりないのか。
苦手だと思っていたランストップでの思い切りはとても良かったが、まさかこっち方面でやられるとは。
ちょっと不安です。
Offenseはだいぶ良くなっていた一方で、昨シーズンに完全に崩壊したDefense側の再建はFangio先生のお力を以てしてもいまだ道半ばといった感じ。
まあDLとSlay以外は継続性もクソもあったものではないので開幕戦としてはこんなものでしょう。
とはいえあの酷かった2023シーズンにはこれだけRed Zoneに侵入されてこれだけTDを許さなかったシーンにはとんとお目にかからなかった。
全般に若返ったということもあるのでシーズンが深まっていくにつれてもう少し成熟することへの期待感は結構持てる。
今の時期にはそれだけでいいのかもしれませんね。
まずは勝てたということを1週間喜びましょうか。
GO BIRDS!!