鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

キャンプ初日

キャンプインに遅刻して書いた前エントリーの妄想があまりにもハズれていた恥ずかしい早朝。

2年ぶりにファンとメディアが入った素晴らしいキャンプ初日の現地報道からいくつか。

 

■Transaction
キャンプインに先立つTransaction。

Active/Physically Unable to Performリスト:OT Le'Raven Clark(アキレス腱)とS Rodney McLeod(膝)

Active/Non-Football Injuryリスト:C/G Landon Dickerson(膝)

Reserve/COVID-19リスト:S Andrew Adams、DE Matt Leo、LB Alex Singleton


Active/PUPリストの2人は昨季のケガからの回復途上。Dickersonも同様だが、こちらはカレッジでの負傷のため"Non-Football Injury"という扱い。
この3人については特に驚きなし。予想されていた動き。

PUPは、”キャンプ前からのケガ”に適用されるもので、Activeロスターのカウント外。
レギュラーシーズン開幕前までなら”Active/PUP”に入れられ、そのまま練習できずにシーズンインするときには”Reserve/PUP”に入ることになる。後者の場合、開幕6試合は出場不可。一度でも練習するとPUPリストから外れ、二度と戻ることはできない。という仕組み。

チームからの許可が出れば練習は可能になる。

COVIDリストの3人の詳細は明かされていないが、陽性もしくは濃厚接触だとのこと。

 

■ケガ人
上記以外、初日の練習を欠席したのは以下。

OUT
LG Isaac Seumalo(ハムストリング)week to week
DB Nate Meadors(ハムストリング)week to week
CB Shakial Taylor(下半身)day to day
WR Quez Watkins(コンディショニング不良)day to day
WR Greg Ward(COVIDじゃない病気といか体調不良)day to day

Limited
WR Jalen Reagor(下半身)

Watkinsはフィジカルテストに通っていないのだとか。ダメだなこいつは。
Reagor貴様もだよ。練習せい。

 

■DeVonta Smith
ルーキーだとかそんなことは全く関係なく、全ドリルに先頭で参加していたそう。素晴らしい姿勢。
初日はDarius Slayとのマッチアップで完封されたようでその点については本人も非常に不満げだった様子。
良かったところもあったみたいだしまだ初日なのであまり心配はしてません。
Slayはまだまだいけるのね。そっちのほうが好材料

 

Hurts
レッドゾーンドリルで狭いウィンドウのGainwellを狙ったパスをJosiah ScottにPick食らった。
その後HarrisをかわしたSmithにしっかりTDパスをヒット。
コンビネーションの醸成にはそれなりに時間がかかると思っているのでこんなもんでしょう。
課題だった正確性はすこし向上しているようなので楽しみ。

 

■LT選手権
初日はDillardからスタートしたが、Mailataとのローテーションで同じような出番だったとか。ここの競争についてはStoutlandも徹底的にやっていく様子で、1か月以上一喜一憂の日々が続きそうな予感。
そんなことよりMailataに口ひげが。

 

■若手TE陣
Caleb Wilsonエンドゾーンで素晴らしいダイビングキャッチTD。
Jason CroomはTDこそなかったもののSirianniが称賛した、いいデコイとしてのプレーを披露。
Tyree Jacksonは後半に落球があったもののミドルゾーンで印象的な活躍。
みんながんばれ。Jacksonがんばれ。
しかしパツキンにイメチェンしたErtzが立ちはだかっている。さてどうなるのか。
ちなみに、この日のTE1はGoedertだったそうです。

 

■LB
Singletonが不在の穴はDavion Taylorがラインナップ。プレーのほどは不明。
6巡ルーキー、JaCoby Stevensは3rdチームながら早速シグナルコーラーを務めたとか。さすがに理解力は大したもの。

 

■Milton Williams
ドラ3のMilton、初日はDE Brandon Grahamの控えだったよう。
DTやると思ってたんだけどな。
D#は3-4っぽいラインナップを見せたそうです。

■ワクチン接種
PHIの選手・スタッフで1回以上の接種は90%以上だそう。
Hurtsももちろんその中の一人。いいね。

 

 やはりキャンプが始まると楽しい。
こんなペースで毎日追いかけられるとは到底思いませんが、テンションが上がってしまったということでご寛恕いただきたい。

しばらく一喜一憂していく所存です。

キャンプイン!!そして気が早い予想

各チーム続々とキャンプインし、罰金強化の関係でホールドアウトはないようだが様々なニュースが飛び交う中、比較的穏やかなPHI界隈。
とは言いつつ、CBにSteven Nelsonを加えるというムーブはあった。早めから狙っていたようだが、ここまで引っ張ったのはサラリー周りだと思われる。FA市場開場直後は10M以上というサラリーを要求していたという噂で、このオフのサラリーキャップの火の車ぶりでは当然手が届かなかった男。これが4M(もちろんふんだんにダミーイヤーあり)で手に入ったのだからこのムーブはスマート。

今晩(現地28日)から練習スタートの予定。その前に53枠の予想でもしようと思ったが、いかんせん新体制初年度ということもありODの人数配分が全くわからない。例年なら25・25の均等配分もしくはOffense26人という配分だったがどうか。


とりあえず全く読めないDefenseの配分を26人にすることで一旦予想してみます。
現在の90人と注目の競争なんかも併せて。

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2021ドラフティ紹介(その8:Patrick Johnson)

実は下位指名群のなかで一番興奮している指名がPHI最後の指名となった彼。

 

7-234 DE/LB Patrick Johnson(Tulane)6-2 240lbs

f:id:eagles-nest:20210725122556j:plain


 

【生い立ちからTulane】
Tennesseeはチャタヌーガ出身。124.0サックで未だPHIのオールタイムサックリーダーかつホールオブフェーマーである偉大なるReggie Whiteと同郷
Patrick自身が「チャタヌーガ出身でPHIに指名されたのはWhite以来らしいよ」とカレッジ時代のHCに話しているようなのでこの指名には本人も興奮している様子。

Notre Dame高校ではTE・LBとしてプレー。2-starリクルートとして主にFCSレベルからのオファーが多かったようだが、FBSレベルではCentral MichiganやFlorida Atlanticのオファーを蹴ってTulane入り。

TulaneではトゥルーフレッシュマンからDEで活躍、Ohio StateやOklahoma相手にサックをかますなど当初から素材は素晴らしかったようで、器用すぎたこともありその後パスラッシュを生業としながらもDEやLBなどポジションをちょこちょこ変えた。この点がサイズ同様にトゥイーナーだという評価になったのかもしれない。
結局積み上げた24.5サックはTulaneのオールタイムサックリーダーなので残した成績は立派。

2020にTulaneのDLCに就任したByron Dawson(高校レベルでの指導経験が豊富で、2005~19までの15年間指導したEvangel Christian Academyからは1巡でLARに指名されたJerry Tillery(ND)を筆頭に3名の高校オールアメリカンを輩出)の指導により、その技術レベルは格段に進歩したそう。

 

【人柄】 
文句なし。
Tulaneでもキャプテンだし、コーチからは「あいつがどこにいるのかすぐわかる」と言われるぐらいフィールドでは元気いっぱいで、ロッカールームやハドルの空気を前向きに変えていくことができる人柄だとのこと。
サザンアイビーの1つに数えられる名門難関大学にあって、3年半で単位を取って卒業したところからも学業面での優秀さはうかがえる。

 

【選手としての評価】
<長所>
・手の使い方が上手
・ブロックに対してヒットする技術が高い
・小さい割にコンタクトは強い
・パスラッシュの足捌きはスムーズ
・LBとしても、ブロッカーへの嗅覚は優れてい
コーチングに対して熱心に耳を傾ける
・カレッジ時代の実績あり


<弱点>
・サイズが小さい
・腕が短い
NFLレベルで“強い”とは言えない
・手の使い方は上手いが、一度組まれると苦労する
・ランゲームでのアンカーがやや弱い
・2019に肩の関節唇を損傷した前歴があり以降のプレーにやや影響あり
・フィットするスキームを選ぶ


以上が、ドラフト前の評価。

 

【希望】
このドラフトではTulaneから2名指名されたが、もう一人は4巡111位のCameron Sample(CIN)。PatrickはSampleの逆サイドの相方。映像を見ている限り、Sampleのほうがこんなに早く選ばれる理由はあまり見当たらないというのが率直な感想。とはいえドラフト前の評価からすでにSampleは「4巡相当」という評価をされていたので何かはありそう。

この順位で指名された選手に当然期待されるSTでのプレーも、カレッジ時代から積極的に取り組んでほぼ全スナップ出場していたこともあり、HCは太鼓判を押しているのでやってくれそう。

個人的に興奮している理由は、映像からうかがえる技術レベルが非常に高いこと。ランプレーの際のプルアウトしてくるOLとの当たり方なんかは完成されている感があって非常に頼もしい。天井という意味ではあまりないのかもしれないが、運動能力も高そうなのでただのいい奴では終わらない気配がする。(個人的願望)

春のOTAでは、LBのドリル中に、Joe OstmanGenard AveryPatrick Johnsonの3人が従来のOff-Ball LBとは別ユニットとして練習を行っていたという目撃情報もあり、Gannonがトゥイーナーパスラッシャーたちをどう生かすかは非常に興味深い。

果たして53人のうちこのポジションに何枠割かれるのか全く分からないし、そして多分偉大なるRyan Kerriganもこの枠に入ってくるとは思うが、是非とも生き残ってほしいというのが本音です。

 

TulaneのBowl Gameは欠場しているが、これは直前に父親が急死したことによるもの。
そんな悲劇は世の中に山ほど転がっているのだろうが、そういう悲劇を乗り越えた男はひと味違うのではないかと思いたいところがある。
7巡234位と言えば“UDFAで声掛けても来てくれなさそう”という選手を指名するゾーンだと認識しているし、チーム側も認識しているとおりPHIのDLというかパスラッシャー陣の層の厚さでは彼のロスター枠確保は相当に難しそうだが、そんな逆境でもめげずにアピールしていただきたい。

そして一日も早くGannonの懐刀となって要所でフィールドに出てきて活躍してくれるのを楽しみに待ちたい。

2021ドラフティ紹介(その7:Tarron Jackson)

この半年間、諦めて過ごしたErtzの件、この2週間チーム施設でチームメイトたちとトレーニングしているということは、トレーニングキャンプの出席はまあほぼ確定なんでしょう。その後のことはわからない。ただ、功労者をキャンプ後のカットで放流するかというとその可能性は低いのではないかと。ちゃんとしたフランチャイズなら、早めに新天地探しをできるように3月とかにカットしてあげるのではなかろうか。

というわけでErtzは2021シーズンも残るというのが個人的本線。そうなった場合、Goedertと揃って契約最終年になるTEの扱いはちょっと難しそうな気がする。デカい契約を狙っているGoedertの出番が削られれば来オフに彼がゴネることにつながるのではないかという不安。
2022のドラフトでTE1を獲りにいく余裕はない。山ほどいる若手の活躍も見たいし何とも難しい。

本題はトレーニングキャンプを3日後に控えて完全に滞っているドラフティ紹介の第7弾。6巡1つ目で指名されたDE。

 

6-191 DE Tarron Jackson(Coastal Carolina)6-2 254lbs

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 【生い立ちからCoastal Carolina】
まず初めに、“タロン”ではありません。“トゥロン”です。現地実況を見ている限りそっちが正解っぽいです。
サウスカロライナ生まれで、幼少のころからフットボールに親しむも、バスケットボールに集中するために10歳でフットボールを廃業。その後高校の2年次に復帰。当時はMLBとDEとTEをプレー。タックルマシーンとして活躍するも、無念の無星。当然メジャーカレッジからのオファーはなく、唯一あったのがDiv.Ⅱからのオファーだったが、その後当時FCSに所属していたCoastal Carolinaからのオファーがあり、そちらを選択。

数学の学士を取得し、20年5月に卒業しているので学業は優秀。
2016はメディカルレッドシャツ、2017は8試合(1先発)で3.5サックを記録するもケガの影響で最後の4試合を欠場。
先発に定着した2018からは3年間で全36試合先発出場。
以降サック数は3.0(11.0TFL)⇒10.0(13.0TFL)⇒8.5(14.0TFL)。
カレッジ5年間で26.5サックと44.5TFLという立派な数字をお残しに。いずれも大学歴代1位。26.5サックはSun Beltカンファレンス1位タイ。

2019ぐらいからは相手OffenseのGame Planにおけるファーストネームだったようです。ダブルチームが通常となっているなかで最後2年間の記録は立派。

手にした勲章はAll-Americanとか2年連続Sun Beltカンファレンス1stチームなどなど多数。

 

【人柄】 
勤勉。ハードワーカー。この男もこういう言葉で真っ先に形容される人柄。
そしてやはり応援したくなるバックボーンを持つ。イーグルスをこよなく愛した亡き叔父が20シーズン開幕直前に亡くなったそうで、叔父が愛したチームへの加入に感動している様子。
そして、トゥロンが9歳のとき、3つ上の兄を白血病で亡くしている。彼の”9”というカレッジ時代の背番号は、兄の思い出と衝撃を受けた9歳の出来事を忘れないように付けたもの。

 

【選手としての評価】
<長所>
・ランでもパスでも手の使い方が上手い
・ハイモーターガイで、パシュートの全力ぶりは絶品
・2年連続チームキャプテン
・実績が示すようにパスラッシュの嗅覚は一級品


<弱点>
・パスラッシュの最後の“Body bend”がやや苦手で、要は大外からのラッシュだとQBに対して行き過ぎてしまうこと多数
・アンダーサイズでありOLと一旦組み合うとそこから相手を外したりその後の改めてのラッシュに苦労する
インサイドにセットしたランプレーのダブルチームでは吹っ飛んでいくシーンも散見される


以上が、ドラフト前の評価。

 

【希望】
2017にFBSに入り、わずか4年で11勝1敗(Sun Beltでは8勝0敗)、APランキング14位という大躍進を遂げたCoastal CarolinaのD#の要。
Zach Wilsonを2020唯一の敗戦に追い込んだBYU戦でもしっかりプレッシャーをかけられておった。いい反則ももらってたし。

その男が6巡まで残った理由はやはりそのサイズ。DEにしては小さく、OLBにしては遅い。

PHIにおける比較対象は、やはりBrandon Graham。アンダーサイズで爆発的なスピードもないとなるとこの男との比較にならざるを得ない。身長・40ydsはほぼ同じ。

そしてそういう目で試合を観ると、あまり悪くない。対戦相手のレベルがあまり高くないのでどこまで評価できるかわからないが、押し込んでいくようなプレッシャーのかけ方に加えて、少しばかりのハンドテクニックがあることは伺えた。

Senior Bowlでパワー5出身者相手にもそれなりにやれていたのでカレッジレベルでの能力に懸念はないが、サイズ的な話もありプロでどこまで通用するかよくわからないある種の素材型であることは間違いない。素材というのが“技術”であることがありがちな素材型とは逆であることがミソで、バルクアップが間違いなく必要だが、そこが伴ってくればそこそこのパフォーマンスは見せてくれそう。
天井はそんなに高くないように見えるが、勤勉さがハマるといいローテーション要員にはなってくれそう。

2021ドラフティ紹介(その6:JaCoby Stevens)

逮捕とか起訴とかしかニュースがないとは何て平和な毎日。
レーニングキャンプ開幕までには、と思っていたが間に合わなそうなドラフティ紹介第6弾は栄光のLSUの#7を背負った男。そしてドラフト前の評価はTop10(これはさすがに酔狂)からドラ外まで凄まじいばらけ方をしていた。活躍できるかどうかが非常に気になる選手。

6-224 LB/S JaCoby Stevens(LSU)6-1 212lbs

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【生い立ちからLSU】
Tennessee生まれ、ナッシュビル育ち。もちろんTitansファン。
バスケットボール、フットボール、陸上で活躍し、5-starリクルートとしてclass of 2017のSとして1位、TennesseeのリクルートとしてOG Trey Smith(6-226でKC入り)に次ぐ2位、3位はWR Tee Higgins(CIN)、全米18位という超エリート。
高校のFreshmanイヤーからSECからのオファーを受け始め、家族のルーツがLouisianaにあることもあってjuniorでLSUに入学を決定。ところが、LSUがゴタゴタし始めたことを受けてそれをいったん撤回。
再度リクルートを受け始めるが、Alabama、Auburn、Georgia等を抑えて結局LSUに落ち着いたもの。
叔父さん(Grayson Augustus)は Louisiana-LafayetteでOGとしてプレーの経験あり。

大学ではJuniorイヤーまでSFが主戦場。JuniorのAlabama戦ではDeVonta Smithにぼっこぼこにやられていた。
最終年はFSからLBまであらゆるポジションでプレー。Senior BowlではLB。

 

【人柄】 
このPHIドラフトにおいて唯一といっていいほど懸念がある人。よくわからないというのが本音ですが、フィールドでは気分的にもパフォーマンス的にもムラがあるという評価も見た。ロッカールームではよきリーダーだとのことで心配ない模様。
ほぼ前年のスターターを欠いたLSUのBo PeriniによるボロボロDefenseを最後まで支え続けたことについての評価は高かったりする。よくわからない。

ちなみに、フィールド上ではアグレッシブさが過ぎてフラッグをもらっているシーンを何度か見た。アツい男には見えるがその裏で自分をどれだけ制御できるのかがカギになりそう。

 

【選手としての評価】
<長所>
・フィールド上でリーダーでありコーチ、ロッカールームでもリーダー
・優れたバーサタリティ
・複数のポジションをこなせるフットボールIQの高さ
・フィールド中央でのTEのカバレッジに定評
・高校までWRだったこともありキャッチ力は高い


<弱点>
・オーバーアグレッシブなプレースタイルでやりすぎてフラッグもらいがち
完全にプレーをリードしきらずにホールを決めてしまうのですれ違い多数
タックルミス多い(直近2シーズンで14回)
・クイックネスにやや問題があるためWRのカバーではセパレートされることも多い
・特にDeepでのカバレッジは苦労していた
・Seniorイヤーの努力や規律の面でやや問題あり


以上が、ドラフト前の評価。

 

【希望】
PHIとしてはLBとして指名しているので、DeVonta相手には本当に無力であった彼がDeepでWRとのマッチアップという地獄がなさそうなのが救い。
昨年のドデカい課題であったTEのカバレッジにおいて戦力になってくれるのであれば御の字。

そして、彼の場合、今ドラフトにおけるチーム8人目の指名になるため、そもそもトレーニングキャンプを乗り越えてロスターに残れるかという勝負。

しかし、この指名には残念ながらあまり興奮していない。
3試合ぐらい見たが、ハイライトになるプレー以外はほとんど絡んでこない。そしてプレースピードもあまり速くない。ハイライトプレーもサインが当たったものが多く、個人でどうこうしたというものはあまり見つけられなかった。

何より、弱点の2点目と3点目を見ていただきたい。これ、曲がりなりにも前年のPHIのLB1でありながら他チームではキャンプ前にカットされちゃったでお馴染みの忌まわしきNate Gerryの生き写しであろう。
2点目の弱点の原因はGerryのやられ方と同根だと個人的には思っており、アンダーサイズの選手がLBとしてプレーする場合、この点が怖い。何かというと、OLをしっかり捌けるフィジカルと技術が足りないため、リアクションスピードで先んじることに重きを置いた結果、リードを間違うというもの。そしてランプレーに気を取られた結果、本職のカバレッジの判断もだいぶ遅れるという悪影響が波及する、という悪循環。
JaCobyも多分に漏れずカレッジレベルでもOLに対しては無力であったため同じ懸念はあり続ける。
願わくば、LBという枠にとらわれない使い方で彼の本能を最大化することにより、CLEに行ったJOKの劣化版ぐらいになってくれれば幸い。
DCのGannonもそういう使い方を意識した発言もされている模様。
元5-starということもあり、ハマればやってくれるのではないかという期待はちょっとだけだがある。

じゃあまあGerryよりはマシか。
それではSFカット記念として全PHIファンを絶望の淵に叩き落した2020の背番号47のスーパープレー集をどうぞ。

 

 

このテのトゥイーナーが真価を発揮するかは使い手の能力次第。
“スキームはない”というもしかしたらすごい怖いかもしれないことを宣っているDC Gannonの手腕を問う彼は試金石。
願わくばプレシーズンぐらいでどう使っていくのかを見せていただきたい気持ちがあります。

2021ドラフティ紹介(その5:Marlon Tuipulotu)

第5弾はランストッパー。この男もいい血筋を背負っている匂いがする。

 

6-189 DT Marlon Tuipulotu(USC)6-2 317lbs

 

 

【生い立ちからUSC】
NZ生まれという情報もあったけど真偽のほどは定かでない。ロス近郊に育ち、その後Oregon州にお引っ越し、高校もOregon。
フットボールのキャリアは高校からスタートしたが、1年次から順調に活躍。SeniorイヤーにはDLとOTの両面でプレー、USA Today紙のOregon州のDPOY(Defensive Player of the Year)選出に加え、DL・OTの両面でAll-Americanに選ばれる。
そしてフットボールの技術向上を目的としてJuniorイヤーに始めたレスリングでもSeniorイヤーには最重量級である285lbs級で州チャンピオンになる腕前。

4-starリクルートとして、DTランキングでは全米5位、Oregon1位。
Oregon、Washington、USC、Nebraska、Notre Dame、Arizona、Michigan、UCLA、Ole Missからオファーを受け、Washingtonに行きかけて最終的にはUSCに進学。
2017のフレッシュマンイヤーは3試合出場後に左膝の捻挫と背中の手術でレッドシャツに。後者は2019にも1試合欠場の要因となっている。

2018以降はスターターとして順調に出番を重ね、2020にはALL-PAC12の1stチーム選出。
Bruglerによる今ドラフトにおけるDTランキングではMilton Williamsを超えるNo.3と評価されている。これはさすがにやりすぎだとしても他の専門家でも大体DTの10位ぐらいには入れていた。

そしてこいつも家族がなかなか。
いとこが2009の2-56でINDに指名され6年間在籍したFili Moala。
そして別のいとこにこのドラフトの5-180でSFに指名されたSのTalanoa Hufanga(USC・#15)。
さらに弟もUSCで2020にDTのコンビを組んでいたTuli Tuipulotu(#49)。

 

【人柄】 
こいつもまた優等生。
高校時代から落ち着いていてリーダーシップを発揮できる人間だ、という性格上の評価も非常に高かったよう。
それは前述のHufangaも弟のTuliも同様で、この3人は2020USCのD#を引っ張る存在として、フィールド内外でのリーダーシップやストイックさ等の内面を高く買われていた様子。

しかしこういう選手ばっかり指名してるな。よほど去年のPHIのロッカールームはクソだったんでしょうな。

 

【選手としての評価】
<長所>
・大きいサイズと強い下半身
ダブルチームを引き受けられる低さと強さ
レスリングで鍛えた手足の捌き
・特にブロックを外す手の動きは秀逸
・キャリアをしっかり視野に捉えて動くのでプレーリードの間違いは少ない


<弱点>
・爆発的なクイックネスはない
・方向転換もややぎこちない
・爆発的な一歩目がないためパスラッシュに迫力を欠き、カウンタームーブもできない
・要はパスラッシュではほぼ無力
・負傷歴

以上が、ドラフト前の評価。ランストッパー。

 

【希望】
2020の数試合を観る限り、弟のTuliとか、いとこのTalanoa Hufangaの方が魅力的に見えたというのは冗談として、ダブルチームを潰すというよりブロッカーを確実に外してキャリアのホールに顔を出すことに長けている印象はあるが、いずれにしてもランストッパーとしての能力は間違いない。そして恐ろしいほどパスゲームでは無力。

長くWide9を採用してきたPHI DLがピュアな1テクを置くとしたらいい感じでフィットしそうな人材。

4-106でJAXに指名された同僚のJay Tufele(USC・2020はオプトアウト)とか弟のTuliといったDTの相方が結果を残しているところを見ると、Marlonがダブルチームを引き受けることの好影響は周りに出そう。贔屓目が過ぎる視点で言うと、Hufangaが縦横無尽にフィールドを駆け回って大活躍したのもMarlonのおかげ、ということになる。
結局DTとして12番目に指名されるところまでスリップした要因はケガの状態ではないかと言われているところがやや不安ではあるが、Hargraveのローテーション要員として2021の早めから姿を拝めることを期待している。

2021ドラフティ紹介(その4:Zech McPhearson)

第4弾は待望されたCBドラフティ。
Josh Sweatの活躍で忘れられがちだが、皆さまご存じのようにPHIの4巡指名は呪われている。
4巡CBといえばAvonte Maddox。
あとはRosemanピックの代表として悪名高い2017の132位Donnel Pumphrey(出場0試合、1年でリリースされたのになぜかスーパーボウルリングを保有)、あるいは先ごろATLと契約した2019の138位Shareef Miller(こちらは出場試合1試合STの2スナップのみ1年限りでリリース)なんかもそう。
最後のプロボウラーは'91の4-104のLB William Thomas。現実的な希望としての最高値は
2006の4-109で指名されて8年間の在籍で渋い活躍をつづけたWR Jason Avantとかでしょうか。
しかしMcPhearsonは調べてみると分厚い背景を持った男でした。 

 

4-123 CB Zech McPhearson(Texas Tech)5-11 191lbs

 


【生い立ちからTexas Tech】
本名はZechariah McPhearson。Zechは「ザック」という発音で良いらしいです。
ボルチモア生まれ。スーパーアスリート一家の8人兄弟の下から二人目で、男7人の末弟。では家族を紹介します。

父Gerrick SrはDBとしてボスカレからトライアウトでNE入り。ボスカレではレジェンドQB、Doug Flutieのチームメイト。
母KimはNWFL(女子フットボールリーグ)でRBとOLをプレー。
兄①Gerrick JrはCBとしてMarylandから2006の7巡でNYG入り。
兄②DerrickはWRとしてIllinoisに在籍。その後ベースボーラーとしてBrewersのマイナーにも所属。
兄③EmmanuelはNew Mexicoで2年間DBとして出場。
兄④JeremiahはIUP(Indiana University of Pennsylvania)に3年間在籍。ここはSirianniがかつてアシスタントコーチとして所属していた大学としてPHIファン的にはお馴染み。
兄⑤Matthewはベースボーラーとして2013のMLBドラフト4巡でARZ Daimondbacksに指名されるも残念ながらメジャーでのプレーはなし。
兄⑥JoshはウォークオンでPenn State入りしてWR・RBで3年間在籍。残念ながらオフェンススナップの形跡はなし。STerだったよう。その後CFLでもプレー。
1人いる妹はUW-Green Bayで大学サッカーをプレーしている。
以上、開いた口が塞がらないモンスターアスリート一家。

ワシントンDC近郊、Marylandにあるキリスト教系の私立高校では1-23でMIAに行ったOT Christian Darrisawや、Penn Stateで5年目を迎えるCB Tariq Castro-Fieldsとチームメイト。
2015にはキャプテンとしてAll-Marylandのファーストチームに選ばれる活躍で、4-starリクルートに。州内11位のリクルートでCBとしてはTrevon Diggsに次ぐNO.2。
Alabama、Clemson、Ohio State、Penn Stateという並み居る競合校からのオファーを受け、Penn Stateを選択。
ちなみにこの男のえげつなさは、Penn Stateからのオファーはフットボールだけでなく野球でもあったよう。両方にコミットしたとのこと。その後野球でどうなったかは知らないが、高校時代は2014-15に全米連覇。外野手としての通算打率は4割近くだったとか。意味が分からない。

レッドシャツを1年経て2017-18はPenn Stateでプレーするも出番には恵まれず、2019に卒業。トランスファーポータル入りし、最後の2年はTexas Techでプレー。Texas Techでも修士号は取得済み。勉強もようやってる様子。

 

【人柄】 
とてつもない家庭に育った男は「幼いころから競争の連続だった」と回顧している。Sirianni好みと言えそう。
幼いころはピーナッツバターを食べれば力が強くなると信じてピーナッツバターをたらふく食っていたとか。
とにかく明るくて愛にあふれた家庭で育ったようで、素行的な心配は全くなさそう。努力を積み重ねられることもその学業成績から想像できる。

一つだけ文句つけるとすると、ご家族は地元BALもしくはWASからの指名を熱望していたっぽいところ。許さん。
まあご本人はPHIファンのようなのでいいけどね。

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【選手としての評価】
<長所>
・柔軟なボディコントロール
・スムーズな方向転換ができる
・マンカバレッジで体勢を保つことができる
・ゾーンカバレッジでは忍耐強く、落ち着いて、ルートとの位置関係を維持できる
・コンテストボールにも対応可能
・ランゲームでもコンタクトを厭わない
・STでも2つのエキストラポイントブロックとTDと実績あり


<弱点>
・走るのは得意だが、メークアップのスピードはそれほどでもない
・プレーの展開を見極めるのが遅れることがあり、そして間違えることもある
・WRのルートに関する感覚が乏しく、クロージングで方向を間違えることもある
・ランサポートのタックリングでは体を投げ出すものが多く、ラッピングが下手
・体格は平均的

以上が、ドラフト前の評価。

 

【希望】
40ydsの4.5はCBでは平均的ながら、10ydsと20ydsがそれなりに速いのでカバレッジで後れをとることはなさそう。

怖いのはランサポート。4-120でNEに行ったRhamondre Stevenson(Oklahoma)にはスティフアーム一発で吹っ飛ばされるシーンもあった。腕の短さと相俟ってタックルにはとても不安があるし去年のNRCを見ているようでちょっと怖いので是非練習していただきたい。

それと弱点として挙げられていたプレーリードのところは、担当ゾーンに逆サイドから入ってくるMimsを見落として剛腕Rattlerに仕留められてしまったシーンもあった。
とはいえ個人的にCBのプレーに注視しているとミスにばかり目が行ってしまう傾向にあると自覚はしているので粗探しっぽくなってしまった可能性はあります。

とはいえ、2020にBIG12では3人しかいなかった4INTという成績を残したのだからボール奪取能力はなかなかのもの。去年のPHI DB陣において一番足りなかったところなのでお願いしたい。

OTAではSlayの逆サイドの1枚目がJacquetでスロットはMaddoxだったとのことなので現時点での序列は2枚目以降。
DC GannonはCBに「特定のタイプの選手を求めていない」という趣旨のことを言っている。薄いCB陣との比較になるが、きらりと光るものを見せることができれば出番は意外と早めに回ってくるかもしれない。
いっぱいやられていっぱい成長してほしい。

しかしCBは難しい。2020の1巡指名だったLVのDamon Arnetteももはや戦力外っぽい扱いだとか。
そのCBが4巡で当たればこの収穫はとてつもなく大きい。
血統背景からも期待は大きい選手です。