鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

新HCの紹介と考察

インタビューがえらく上手くいったという情報が入っていたMcDanielsに決めるならちょっと引っ張りすぎの感もあり、長期戦の様相を呈していたHC選びが急転直下解決。ちなみに公式発表はまだされておりません。

 

【新HCはNick Sirianni】
現地19日(火)に突如飛び込んで来た「IND OCのNick Sirianniとインタビュー」とのシェフター情報。それまで候補者にリストアップされていた気配が全くなかった人材だったため単純に驚いた。そのあたりでは他にJohn Fassel(DAL STC)、Dennis Allen(NO DC)などのインタビュー情報も入っていたため、もはや何でもありの様相を呈していた。現地では「あそこのスーパーマーケットのマネージャーもインタビューを受けたらしい」「お前の高校のSTCも候補に上がってる」などいじられ放題。個人的には、経歴を傷つけるリスクが高すぎる仕事なので誰も引き受けてくれないのではないかと心配していた。
その後、Sirianniとのインタビューは2日に亘って行われたという話があり、ほぼほぼそうなのかなと。
最終的にはJohn McDanielsとSirianniの二択だったと理解している。そのうち、RosemanがMcDanielsを推していたが、最終的にはオーナーのLurieがSirianniを選んだとのこと。
個人的には、ボストン大学で心理学を修めた過去を持つLurieのHCを選ぶ目は信じていたところ。この人選については文句なし。というか人を見る目がないGMでお馴染みのRosemanが推したやつじゃなかった時点でこの選考は成功ではないでしょうか。John Dorseyが吹き込んだという噂はありますが。
そしてこの動きはWentzに最後のチャンスを与えようとするものだと見て間違いないでしょう。HC選びはそれを主軸に行われていたようですし。
では、Sirianniさんについて。私も最初の反応は誠に恐縮なことに“…誰?”であったので調べてみました。

 

【経歴】
まず、読み方ですが、カタカナでいうと「シリアーニ」でたぶん間違いないでしょう。「-」のところが小さめの「ン」である可能性も若干ありますが、まあ誤差です。
イタリア系アメリカ人の39歳。父親がフットボールコーチで兄二人もフットボールコーチ経験者。というか、父親はニューヨーク州北西部では知る人ぞ知るハイスクールフットボールコーチ。そのコーチ歴は45年に及び、バッファロー近郊の“Chautauqua”郡のスポーツの殿堂入りも果たしている人だとか。
そしてその影響を受けて本人もフットボールコーチの道に。本人としては「望んで」コーチ稼業を始めた様子でもないが、やはり環境は人間を作る。フットボールコーチ以外の道への分岐点がことごとく上手くいかず、気づけばコーチ業界の頂点にまで来てしまった男。
超厳格だった父親のもとで、ちょっとした反抗期なんかもありながら、末っ子はすくすくと成長。そして二人の兄を追いかけてオハイオ州にあるNCAA DivisionⅢのパワーハウス、Mount Union Collegeに進学。
選手としてはWRをプレー。19.6ydsのアベレージレシーブヤードは学校史上第5位だとか。
引退後にMUCでDBコーチとしてコーチ稼業をスタート。そこでは一度大学時代の友人に誘われてフロリダで営業職の面談を受けたそうだが、その友人が、面談直前にSirianniと一緒に滞在していたホテルの部屋の鍵を持ったままビーチにジョギングに行ったため、締め出されたSirianniはその友人を捕まえるべくスーツを着たままビーチを爆走。直後に荒い息も収まらぬまま受けた面談の結果は、案の定不合格。
あるいはインドアフットボールでも一瞬プレーしたそうだが、DivisionⅢ出身者には壁が厚かったようでそちらも断念。

その後ペンシルベニア州インディアナ大学(Indiana University of Pennsylvania:インディアナ大およびインディアナ大機構とは別物)で3年間WRCを務めたのち、2009年にKCのHCの友人の誘いでKCの“low-level”クオリティコントロールコーチとしてNFLコーチのキャリアを開始。ちなみに当時のKCのHCはTodd Haley。その後順調に昇進し、2012年にはWRCに。ちなみに2012のOCはあのBrian Daboll。まだダメだった頃。
その後、2013にSD(現LAC)に転身、そこでQBCだった現IND HCのFrank Reichと出会う。
2013はクオリティコントロールコーチを務め、翌2014から2年間はQBCとしてOCに昇進したReichの直属の部下に。Reichが去った2016・2017はWRCを務め、2018にINDのHCとなったReichに誘われ、INDのOCに。以降3年間、Luck・Jacoby Brissett・Riversと異なるQBを指導。
昨オフにはCLEからインタビューの打診を受けていたそうだがプレーオフに集中するために断り、そして2021、めでたくPHIの第24代HCに就任(予定)。

 

【INDでのお仕事と評判】
プレーコール経験はなし。これはReichのお仕事。
ではSirianniのお仕事はというと、主にGame Planの作成。その役割は「決して小さなものではない」とのこと。Reichとの間ではGame Plan等について信頼に基づく率直な意見交換があった様子。
Sirianniが評価されていたのは、Game Plan作成能力ももちろんあるんでしょうが、作成したGame Planを選手に教え込むというか落とし込む能力の高さ。この点が、Reichからの信頼が厚かった所以。その一例として、オフシーズン中に選手のスキームの理解を確認するため、筆記試験を課したこともあるとか。やってることが教師。
ちなみに、彼をよく知る人は、DivisionⅢというレベルが低いところでコーチをした経験が、「Sirianniをいい教師にした」と。つまり、教えなくてもなんでもできちゃうようなエリートではない人間を一人前の選手に育てるためには、情熱を持って、選手のモチベーションを上げながら、丁寧に、粘り強く教えることが必要だったと。

そして一番評価されているのは、その情熱。
これはINDが出していた映像をみたけど、まあ確かにアツそうな御仁。選手とのコミュニケーションは問題ないとみて間違いないでしょうし、事実選手からの信頼は厚いとのこと。

 

【懸念点とか】
さて、悲観的でお馴染みのPHIメディアの中には、この時点でご懸念を表明されている例も。
具体的には、
・プレーコール出したことないやないか
・どのカテゴリーでもHCやったことないやないか
・QBの指導経験が少なく、実績も出てないからWentzは直せない
など。
上の2点は論ずるに値しない。
1999にPHIがHCとして迎えた男は当時40歳のQBC上がりでプレーコール経験もHC経験もなかったが、その後14年に亘って君臨し、見事常勝軍団に育て上げた。名をAndy Reidという。
さらにもう一例挙げるなら、Sirianniの前任のDoug Pedersonもプレーコール経験はほぼなかったが、Super Bowlに勝った。人間誰しも初めての時というのはある。
挙げた二人との共通点、Lurieが選んだ、という点を信用してみたいと思う。
そして、一番重要な3点目について。これはもうWentz次第ということでよいのでは。
なぜなら2021はWentzにとって、実質契約最終年。21オフからはデッドキャップのほうがキャップセーブより小さくなるのでカットもできる。そもそもCBA下においてはコーチが指導できる期間は限られるので貴様自身で立ち直ってください。どれだけSirianniが有能でもそのコーチングを受け入れないということであれば修正は不能。無理ならHurtsで2022からはやっていきましょう。

しかしこの論がさすがに無体すぎるのであれば、もう少し。
2020シーズン、INDは“Time To Throw”いわゆる投げるまでの時間がNFLで2番目に短いOffenseを展開。対するPHIは30位。この統計に関してはWentzもHurtsもほぼ変わりなかったので、ほぼWentzの記録と思っていいのでしょう。(さらっと確認したところ、PHIのこの遅投げ傾向はWentzトップフォームかつReichがいた2017も同様)
PedersonはDeepへの意欲がひときわ高かったため、この統計が下位に沈んでいたのは妥当。一方で、SirianniのOffenseはWentzにとって従来のスタイルと真逆。LoSから5yds以内のWRへのRACを期待するパスとRBへのパスを多用する、比較的“horizontally”なOffenseを好むそう。
この急激な方向転換がWentzにどう作用するのか。好意的には、球離れをよくすることでReagorとかの才能が活きてWentzにかけられた負担軽減につながるという見方もできる。しかしこればっかりはどうなるかわからない。Andrew Luck、Phillip Riversといったタイプは異なりながらいずれもリーグトップクラスに君臨した男たちを間近で見てきて蓄えたであろう引き出しに期待しましょう。

ちなみに、2016ドラフトにおけるWentzの評価をもう一度確認してきた。もしかしたらカレッジ時代のスタイルにヒントがあるのではないかと思って。
結論としては、Pedersonのスタイルに非常に似通ったスタイルでやっていたらしい。評価ポイントは「Deepへの正確性とプレーアクション等からの積極的なポケットワークというか走りながらの局面打開能力」。懸念点は「ケガ歴と、ショートパス・プレーリードの正確性」。絶望。何も変わっていない。ちなみに紐解いてみた記事では「いずれの欠点も修正可能」という文言で結論とされていた。重ねて絶望。
高校、大学、プロとすべてのカテゴリーでケガを積み重ねてきた28歳に、果たして新しいスタイルに生まれ変わる余力はあるのか。蓋を開けてみるまでわからない。

 

【今後の展望】
<組閣>
ちんたらHCを選んでいる間に有能っぽい人たちは結構さらわれちゃった感あり。
上がっているOC候補は、現LACのOCであるShane Steichenと、IowaステートのOCであるTom Manning、現INDの“pass-game specialist” Kevin Patullo。そしてJim Caldwell。このおじいちゃん人格者にならWentzの修正も可能なのかもしれない。思わず期待してしまう。正直に申し上げて前のほうは存じ上げない人ばかりなので、結果が出てから勉強したいと思います。
しかしお願いなのでOLCのJeff Stoutlandは残留させてくださいませ。噂されていたBAMAのOLCの職もDoug Marroneで埋まったようなので。
そして同じく不在のDC。こちらで名前が挙がっているのは現IND DBCのJonathan Gannonのほか、HOUで臨時HCだったRomeo CrennelとかWade Phillipsみたいなおじいちゃん連中ばっかりを追いかけているという噂もある。
まあこちらもおいおい決まってから勉強していきたいと思います。

<ドラフト>
2TEを愛用(比率はPedersonより低いけど)していたSirianniが就任したため、ドラフトでは6位でKyle Pittsなんていう噂も出てきた。ありかもしれない。だけど個人的にはその前にChaseもSmithも消えていることが条件になるのでCINの乱心が必須。
Kittleが年平均15MだったTEの相場は、試合への影響力に比して低すぎるという評価を個人的にはしているため、脳震盪リスクさえなんとかなりそうなのであればいってもいいかもしれない。
喉から手が出るほどCBも欲しいけど、この順位でいくのは怖すぎるしな…とか考えながら、こっちの答えはまだまだでなそうなので、まずはコーチの組閣を落ち着いて待ちたいと思います。

<Duce Staleyというナイスガイ>
Sirianniに不満はないけど、Duceの処遇は心配。またしても昇進が見送られたことをどう思っているのか。なまじ内外の選手からのサポートも手厚かったがためにSirianni的にもやりにくかろう。誰も悪くないとはいえ、そろそろ去り時かな。寂しいけど。

 

 

オーナーがLurieになって以降、今回でHC選びは5回目だったわけだが、他チームとの面談を受けていない独自候補を選ぶのはReid・Pedersonに次いで3回目。前述2人が成功だったと思うと、やはりLurieの人を見る目は信用したくなる。チップのことは忘れた。
何より今回Sirianniのことを調べて、すごく好きになった。McDanielsが来たらどう応援しようか…と悩んでいたころと比べるととてもすがすがしい。
Sirianniさんにおかれましては、この難問犇めくフランチャイズのHCを引き受けていただいて本当にありがとうございます。応援してます。頑張ってくださいませ。

HC選考

 HC選びの途中経過でも、と思いながらそんなことよりもっと大きなニュースがあって心が折れそうなのでまずはこれから。

 

【OLC Jeff Stoutland離脱か?!】
チップ時代の2013から都合8年間所属して数々のプロボウラーやオールプロを輩出してきた我らがOLコーチ、Jeff Stoutlandが離脱するかもというニュース。2011・12と所属していたAlabamaのOLCに引き抜かれるかも、というもの。今年もえげつない強さのOLをBAMAで構築していたOLCのKyle Floodがサーキジアンと一緒にテキサス大に移ることによってBAMAのOLCが空席となるため。
まだ本決まりというニュースは聞かないが、本当にこれだけはやめてほしい。せめてMailataがプロボウラーになるまであと1・2年はいてほしかった。というかずっといてほしい。
サラリーキャップが厳しいNFLという世界において、個人的にフランチャイズを安定させるためには「育てられるポジションコーチ(またはコーディネーター)」の存在が非常に重要だと思っているところ。今年、問題噴出のPHIにあって数少ない試合観戦の希望はMailataであった。MailataとStoutlandの関係は以前書いたのでここでは書かないが、Stoutlandの特徴としては、カレッジでのポジションコーチの経験が長かったこと。Kelceに言わせると「選手の入れ替わりが激しいカレッジでの経験が、『スターターだけでなく控えも含めてポジションの選手全員を分け隔てなく育てようとする』姿勢に表れている」という評価。実際、Mailataだけでなく、Herbigもかなり成長を見せていたしDriscollも同様。こういう若い選手がしっかり育っていたことが、このゴミシーズンを最後まで楽しめた一つの大きな要因だったように思う。
そして様々なスキームが溢れるカレッジの世界に身を置いていたことで、戦術理解にも造詣が深かった様子。もう一つの肩書、“Run Game Coordinator”としての今年の働きには文句ございませんでしたし。
そういう意味でも本当はずっと在籍してほしかったところだが、そうはいかないのがこの世の常。
仮に本当にBAMAに戻るのであれば、2020に負けず、素晴らしい人材を育ててプロというかPHIに送り込んでいただきたい。頑張ってください。

【HC選考】
さて、ここからが本題。
HC選考が進行中。今わかっているところでいうと、以下のような様相。

<面談済み>
Joe Brady:現CAR OC
Robert Saleh:現SF DC⇒NYJと合意
Arthur Smith:現TEN OC⇒ATLと合意
Jerod Mayo:現NE ILBC
Duce Staley:現PHI AHC・RBC

<面談予定>
Todd Bowles:現TB DC
Kellen Moore:現DAL OC

<興味ありとの噂>
Lincoln Riley:現OU HC⇒その後、「現在の立場に満足している」的な報道あり
Mike Kafka:現KC QBC
Brian Daboll:現BUF OC
Ryan Day:現OSU HC⇒その後、やっぱり候補じゃなかったという報道あり

HC選考に1週間程度出遅れたせいか、PHI以外のHCを求める全チームがインタビューしたとされるEric Bieniemyの名前がない。
さて、PHIはこの中から誰を選ぶのか。残るPHI以外のHC選考会参加者はLAC・DET・HOU。
以下、私見を。HCにはざっくり分けて二種類の人間がいると理解しているところ。雑にいうと、「リーダー型」か「戦術家」か。
もちろん、例えば現在リーダー型として分類される筆頭のMIAのフローレスとかBUFのマクダーモットなんかも戦術理解への造詣は深いんでしょうし、稀代の戦術家としてもてはやされているLARのマクベイなんかはリーダーシップにも定評がある。TENのブレイベルなんてどっちのタイプかわからない偉人。なのでこの線引きは曖昧なもの。しかし、特徴としては、リーダー型には優れたODのコーディネーターが必要になるということ。
そしてPHIの喫緊の課題は、QB再生。この観点でいうと、OC上がりの戦術家タイプがいいんでしょうね。例えばNYJに行ったSalehなんかはDC上がりなのでD#の戦術にも優れているのでしょうし、リーダーシップも抜群なんでしょうが、QBを再生できるOffenseのアシスタントを選べるかはよくわからなかったところ。そしてこの場合、仮にQB再生に成功したとしてもその人材を引き抜かれる可能性は常にある。だからこそOC上がりの戦術家タイプのニーズは高いんでしょうし、そのタイプを求めていきたい気持ちがある。

前回、Duce Staleyかなあなんて言ってましたが、Duceは完全なリーダー型。2011にコーチ稼業を始めてから一貫してPHIですし、ポジションコーチとしても2013以降RBCの経験しかない。だからニーズとしては微妙。おそらくMayoも似たような感じではないかと。
そういう意味では、上のリストの中で該当するのはJoe Brady・Kellen Moore・Mike Kafka・Brian Dabollぐらいか?そのうち前三者は経験が若干乏しいか。というかそもそもD#畑の候補者が多すぎませんかね?

もちろん、DuceにしたってMayoにしたって成功を収める可能性はいつだってあるし、それまでの肩書がなんの意味もないなんていうことはReid(GBのTECとQBCからPHIのHC)やHarbaugh(Johnのほう。PHIのSTCとDBCからBALのHC)を見ていてよくわかっている。だけれどもやはりちょっとは安心したいので、過去の肩書や成績等からWentzやHurtsにとって誰がベストか、という点で考えてみた。

Joe Brady
2019にLSUのOCとしてバローを擁して全米王者になって一躍脚光を浴びた御仁。現在31歳。その後、Matt Rhuleに呼ばれてCARのOCに。CARでは最大の武器であるマキャフリーが3試合しか出場できなかったが、Offenseの成績はリーグ中位と、PHIよりは格段に効率的なOffenseを展開。
CARの試合を2・3試合流し見したが、フィールドの使い方がうまいのか、まあレシーバーがよく空くこと。意表を衝くコールも結構見かけた。一方で特に試合後半、アジャストされだしてからは糞詰まりになるというか、もうひとクセ欲しかったなあという印象。現地ではプレーコール入れるのが遅かったり、たまに謎のプレーコールがあったりするという欠点も指摘されている様子。
QB再生という観点では、Bridgewaterを見ていると、前からあれぐらいだった気もするのでよくわからない。よくわからないけどアリだとは思う。

Kellen Moore
現在32歳。言わずと知れたにっくきDALのOC。今年もよくやられた。
Dakがいた2019はリーグ1位の獲得ヤード。一方で2020のDak不在期間の成績はリーグ17位にとどまった。もちろんOLの崩壊とかいろいろあったんでしょうけど。
しかし、PHIの課題はQB再生である。それが本当にできるのか?という観点では、すみません、ナシでお願いします。

Mike Kafka
QB再生したいからリーグで一番成功しているQBのコーチを連れてくる。安直だけどいい作戦かも。PHI的には選手としての印象もあるが、昨年のOCインタビューに続いての興味となる。
しかしはっきり言ってこんなにわからないブラックボックスもない。Maholmesの異次元の活躍は誰によるものなのか。ReidなのかBieniemyなのか、はたまたKafkaなのか。蓋を開けてみたら全部Reidでした~という結論までありそうで怖い。
こんなものは外から判断できるわけもない。ただし、現役引退後、母校のコーチを1年務めただけでKC入りしているし、指導したQBはMaholmesだけというのが不安材料。このコーチ歴はやはり経験不足をイメージしてしまうのでちょっと今回はパスで。
というわけで、本命を固めましたのでご報告差し上げます。

 

【本命:Brian Daboll】
こんなことを言うときが来るとは思ってもみなかった。
Brian Daboll。御年45歳。
Belichick門下生として経験を積み、兄弟子であるManginiについてNYJへ。その後Manginiの横滑りに伴って2009に34歳でCLEのOCに。そこからMIA・KCとOC経験を積むが、全く芽が出ず、2013にはNEに出戻り。心機一転、2017にBAMAのOCに抜擢されて全米制覇。翌2018からBUFのOCに就任してAllenとともに右肩上がりの成績を残し、2020オフにはHC候補として大人気の存在に。
では、OCとしての成績を、Offenseの獲得ヤードのリーグ順位の観点で並べてみましたのでご覧ください。
2009 CLE 32位
2010 CLE 29位
2011 MIA 22位
2012 KC 24位
2018 BUF 30位
2019 BUF 24位
2020 BUF 2位
うーん酷い。ひどい。もちろん、獲得ヤードという指標が一面的であることは否定しませんが、こうもすごい数字が並ぶとある程度信じたくなる。
しかし、この人、2009から比較すると人間としての成長の仕方がなかなか素晴らしいようで、その当時は「これがリーグで一番成功しているBelichick-style。俺が正解。信じないやつは共産主義者。」というスタンスだったのが、いまは「私はすべての答えを持っているわけではない。思いやりを持つこと、よく聞くことを学んだよね。」というスタンスになるなど、だいぶ柔軟になっているとのこと。口調まで変わっているかは知りません。
彼の転機は2013からNEに出戻っていた期間にグロンクに出会ったことと、そして2017のBAMAでのRPOとの出会い。その両エッセンスが今のBUF Offenseにも最大限反映されている様子。
今や息子のように愛してやまないAllenとの関係などを見ていると、この男ならWentzとHurtsの成長物語を描いてくれそうな予感がする。というかHurtsとはBAMA以来のタッグ再結成か。
新鋭として文字通り尖ってデビューしたはずの男が挫折を味わい、人間としての深みを増していったという物語。いかがでしょう。私は好きです。
PHIにとっては初めてとなるBelichickツリーの人間。彼であれば託してみる価値はありそうだし、このロスター構成にあっても、円熟した人間ならではの味を出しながらなんとかやりくりしていってくれそう。やはりHCは愛される人間でなければ。

以上、何も決まっていない現状にもかかわらず壮大な妄想をお届けしました。しかしBAMAというかセイバンは本当に偉大。

ちなみに、私はBieniemyには若干地雷の匂いを嗅いでおります。根拠はありません。

HC解雇

日本時間1月12日早朝、HC Doug Pederson解雇との報。シーズン終了からしばらくHCの去就についてなんの報道もなかったので、当然残留するのだと思っていたところ、11日夜から「今日オーナーと面談する」という報道が入りだして、キナ臭い感じは持っていたが、そのまま面談後に解雇という運びに。

経緯としては、先週の火曜にシーズン総括の恒例の面談を実施、その際にオーナーから再建計画について、特にコーチ人事の観点での深掘りを求められ、その追試への回答が12日に持たれた面談。そしてその内容がオーナーの気に食わなかったから解雇、という流れのよう。
その追試への回答内容というのが、今季大不振に陥ったWentz以下パスユニットの総括責任者であった“Passing Game Coordinator”のPress TaylorをOCに内部昇格、空席となっているDC候補として、前PHI DBコーチで現DET DCのCory Undlin、あるいは現PHI DLコーチのMatt Burkeの内部昇格、加えてSTCのDave Fippも残留、というものだったそう。
申し訳ないがこんなレポートでは単位を上げられない。はい落第。
今季Wentzを壊したPress Taylorの無能ぶりは言うに及ばず、UndlinはSydney Jones以下、ゴミみたいなDBしか生産できなかった男であり、STCなんかもうすでに放り出していないとおかしいところ、こんなことで再建を謳ってりゃクビも切られるわな、という内容。

Pedersonの特徴として、現役引退後、高校のコーチからすぐにAndy Reidのもとで働きだしたため、コーチ人脈が異常に薄いというところが挙げられる。Defenseに関してはほぼSchwartz人脈であったし、Offenseも当初フロントに準備してもらったFrank Reich・John DeFilippo、チップ時代から在籍していたJeff Stoutland以外目立ったアシスタントはおらぬまま。
これじゃあなかなか強くならないという感想だし、酷いアシスタントコーチをかき集めるところから始まる1年をまた見ないといけないのかと憂鬱になっていたところだったので、この第一報は比較的好意的に受け止めた次第。

【Pedersonへの感想】
まずはお疲れさまでした。そしてロンバルディトロフィーをありがとう。
Schwartz引退のときにも少し述べたが、オーナーとGMからのPedersonへの信頼はもとからあまりなかった様子。それが何に起因することなのかは定かでないが、就任初年度の2016オフに1年で解雇しようとする動きを見せたことからもその様子はうかがえる。
その後のスーパー制覇、ケガ人にまみれながらも2年連続のプレーオフ進出で、信頼は芽生えたかと思いきやこの仕打ち。勝ち続けるしかなかったということか。
それが途切れてしまったいま、こういう結末になったことは致し方なかったのかもとは思いながら、もうちょっとマシなサポーティングキャストを揃えることはできなかったのかという思いもある。
オフェンス畑のHCでありながら、師匠のReidとかマクベイとかシャナハンのような、スキームで輝くタイプではなかった。
2017の、データに基づいた4thDownや2ptでの積極性については評価されていた記憶もあるが、それすら他チームにしっかり取り入れられてもはや目新しさはなくなっていた。そういう意味ではハリーアップスプレッドオフェンスで一時代を築いたものの、その要素が広まった結果、全く輝けなくなってしまったチップと被る。これは言い過ぎか。
しかしチップとの違いとしては、選手、特にベテラン選手からの信頼が厚いこともあり、外からは見えない部分でいいところはあったのでしょう。それが統率という点で十分だったのかはわかりませんが。記者からの評価等では「Pedersonはナイスガイだ」というものも多々ある。

上に述べたようにコーチ人脈が薄いので、他チームに移ったとて2017のように活躍できるのかはわからない。だけれどもコーチ周りにも強い、いいGMと巡り合えればまだまだやれると思います。
恐らくHCとしての引きはまだまだあるでしょうから、新天地でのご活躍を祈念しております。AFCとかで頑張っていただきたい。


【責任の所在】
コーチ人事とチームの成績についてはPederson、選手人事はGM Rosemanということだったよう。
そうであればたびたびドラフトでゴミ指名を繰り返したり、今季ドラ2で使う当てのないHurtsを指名してWentzに無用のプレッシャーをかけたり、Jefferyを開幕ロスターに入れておきながら10試合出場できなかったこととか、Petersを巡るあれこれとか、いろいろとチームの足を引っ張ったあいつの責任はどうなるのか。
これがこの“HC解雇”だけで喜べなかった最大の理由。
Pederson解雇後のオーナー会見では、Rosemanは今後3-5年に渡ってその席にいることが言明されていたとのこと。まあこの件については改めて。

 

【後任人事】
現在噂も含めて名前が上がっている後任人事は以下の11名。本当はもうちょっといそうだけどいまはこの程度で。
Robert Saleh:現SF DC
Eric Bieniemy:現KC OC
Brian Daboll:現BUF OC
Arthur Smith:現TEN OC
Greg Roman:現BAL OC
Joe Brady:現CAR OC

Todd Bowles:現TB DC
Mike Kafka:現KC QBC
Duce Staley:現PHI AHC・RBC・RGC
Lincoln Riley:現OU HC
Graham Harrell:現USC OC
上の5人+Bradyぐらいは、今年のHC候補者としてほぼ全チームからリストアップされているような大物。このうちSalehとは面談予定が入っているようだが、他は知らない。
PHI特有の候補者は下の5名程度。

現地のファンから人気なのは、Bieniemy・Staley・Rileyの3人。Rileyとは接触済みだとか。

個人的には現時点の気持ちは横並び。
なぜかというと、
・Wentz?Hurts?それ以外?でおなじみのQB問題
・74Mを超過するサラリーキャップ問題
・無能GM
・もはやJerry Jonesに迫る勢いでむちゃくちゃやろうとするオーナーの存在
等の課題というか問題というか状況。

一般的に、特に新人HCであれば自分の色を出そうとするはずのところ、このフランチャイズは今年のHC競争において最も“やりにくい”環境にありそうだから。
PHIの事情としては、そのうちのQB問題に決着をつけてくれそうな、いいQBを育てた実績があるOC上がりのHCを望むのであろうが、向こうは向こうで引く手あまた。
だからHC Lincoln Rileyという妄想は楽しいものの、彼が本当に将来性の塊であるSpencer Rattlerを指導する喜びを捨ててまでWentz再起あるいはHurtsの飛躍に賭けてくれるのか、というところには全く自信が持てない。
だから、というわけではないが、唯一の内部昇格候補であるDuce Staleyにはちょっと期待している。
いくら嫌いでもオーナーとGMがあのままであるという事態は変えられないのだとすると、その環境下で一番うまく立ち回っていけるのは現役・OB含めた選手からの信頼がブ厚いあいつかもしれない。

ポジションごとの振り返りをしようにも、OC・DC含めた体制が決まらないことには何とも申し上げられないので、そちらもいったん保留にするか、先走って進めてしまうか。それも保留。
個々の候補者に対して思うところもなくはないが、当面はこのニュースをウォッチして、もう少し候補者が絞られるのを待ちたい。

或るPHIファンの申し開き

本来ならば人事異動やQB以下各ポジションの査定などを実施したかったところ、丸3日経過しても未だ騒動が完全に収まりそうにないあの世紀のクソ試合に関する、太平洋の反対側からのイチファンによる申し開き。
昨晩眠りにつきながら、個人的にはなんとなく腹落ちしたのでこの解釈で一つその矛を収めていただけませんか、というお願いです。
以下、通常と変わらないとはいえ完全なる妄言ですので、お気に障ってもどうかぐっとこらえていただきたい所存です。

あの試合において、特にNYG関係者を筆頭に、一番不興を買ったのが、4Q序盤にHurtsを下げて3番手のQB Nate Sudfeldを投入したこと。この行為が「完全に勝つ気がない采配」であり「『ドラフト順位を上げるための敗退行為は許されない』という暗黙の了解を破る行為だ」とか「こんなことを許すのであれば「『フィールドに出る限りは勝利を求める』というNFLの存在意義を揺るがしかねない」等(以上、完全意訳)の非難の殺到を招いた。そのリアクションには異論ありません。個人的にもあのQBスイッチは完全にドラフト順位狙いだと思いました。あの時は。


さて、ではここでいったん冷静になって事実を整理したい。

 

【前提というか事実の整理】
GM Roseman・HC Pederson以下、フロントと首脳陣は残留(シーズン終了後3日経過時点)
②試合後のPedersonコメント “I was coaching to win”
③2020年終了時点で21年度サラリーキャップ(想定額)と比較して70M以上の超過
④Week16終了時点でプレーオフ進出の可能性は完全に消滅していた

 

【事実に基づいた妄言】
まずは①の人事異動に関して。
シーズン終了前からずっと待っていたのにGM交代の報道はまだない。まだない上に、現地火曜日の記者会見に出てきて、GM Rosemanは「ロスターを若返らせなければいけないとわかっていたのにそれを実行できなかったのは私の責任」「ドラフトでのHurts指名時に“QB factory”を目指す、と言ったことは後悔している」「ドラフト6位は大きい。絶対に当てないといけないしそのための人間は揃っている」など、結構“on me”という言葉を繰り出すなど、クビがかかった人間とは思えない発言の数々。というかここまで自分の責任を認めるということは彼の交代はないのでしょう。
そしてHC。CINと並んで全体で5番目に悪い成績に終わったHCでありながら、現時点になっても明確に「Pedersonは残留」というニュースは出ない。プレーオフに出たHCについてならこんなニュースが出ないのもよくわかる。しかし上述の成績。もうちょっと何かあってもいい。ということは彼の交代はやはりなく、そしてシーズン終了後にそのような素振りすらなかったことを考えると、最終戦前は「残留」ということはすでに決まっていたのではないかと推測される。そしてこの推測にすがってこの項を進めていく。


続いて、②のPedersonの発言。
これは試合後の記者会見において、問題のQB交代について聞かれた時のコメント。そもそもこの男は記者会見で明確なことを言わないということで現地記者からは半分呆れられている。その人がこんな発言をしたのだから全米はおろか全世界の笑いものになった。曰く、「勝つためにコーチしていると言いながらweek1以来ドレスアップもしていなかった3番手QBを出すとは何事か」と。しかしその文脈で、彼は「4年間ここで頑張ってきたSudfeldにはこの試合に出る権利があった」とも発言している。
さらに、Kelce、Graham等複数のベテランは、最終戦を迎えて「Sudfeldに出番があることを知っていた」と発言している。
現地火曜に地元ラジオで「誰が裏で糸を引っ張っているか知らないがHurtsを下げたことにPHIの選手は皆混乱していた」と憤慨しながら発言したMiles Sandersは除く。貴様そんないらんことを言うてる暇があったらファンブルしないように走る練習とボールを捕る練習をせんかい。とはいえ彼は未だにPHIの若き至宝。来シーズンは期待しているよ。
脱線した。

 

【捻りだした結論】

この試合は(プレビューでも述べた通り)純粋なプレシーズン第0戦であった。


残念ながらこれでは皆さんに理解していただけないであろうため補足する。しかしいい日本語が見当たらない。「消化試合」という言葉ではなんとなく勝利を目指す気持ちが伝わらない。「練習試合」でも同じか。なんと言えばいいのか。
断じて言いたいのは、「PHIとしてはドラフト順位を上げるためだけにワザと負けたわけではない」ということ。
そもそもこのプレーオフ進出の可能性が消滅済みの最終戦にケガ人もおじさんも含めた全戦力を投入して勝ちに行く、という選択肢はどのHCでもあり得ない。一般的には、この状況の最終戦の勝利にあまり意味はない。敢えてあり得る可能性を挙げるならば、「少しでもいい試合を見せないと明日から仕事がない」という状況に置かれたHCだけか。ここは推測になるのだが、上でも述べたように、やはりPedersonは残留が内定していたのであろう。そうでなければ筋が通らない。

つまり、Pedersonのコメント“I was coaching to win”は本心なんでしょう。「長期的には」という言葉を足せば。
③のように、PHIのサラリーキャップ事情は火の車。このオフは大勢のベテランたちをカットしなければいけない、あるいは再契約ができないことがすでに分かっている。そしてその中の一人に、おそらく2020年限りで契約が切れるSudfeldも入っているのでしょう。勝利に意味がない試合なのだとすれば、バックアップQBとして4年間チームに尽くした男に対して、転職活動の助けになるような場面を作ってやりたい、という気持ちも少しは理解できる。結果としてそれが裏目に出たのだとしても。(そしてその状況がわかっていたからこそ、Kelceは昨日のインスタでSudfeldのことをかばったのでしょう)
そしてベテランの転職活動の場のためとしてだけでなく、若手のオーディションの場としてもこの試合は活用された。その思いが表れたのが総勢10名超?のインアクティブリスト。結果は残念だった両OTも含めて、若手が試合経験を積んだ。70Mもキャップを開けないといけないチーム事情に鑑みると、やはりどこかでオーディションは絶対に必要だった。
何よりもHurts。彼もどこかでSudfeldが入ることを知っていた的な発言をしているが、それがゴール前4th downギャンブル失敗のあのシリーズ直後だとは到底思っていなかったであろう。反省しかない形でシーズンを終えることになった。個人的にはHurtsのメンタルを非常に買っているところがあるので、こういう刺激の仕方はアリだと思う。これでHurtsが飛躍したら儲けもの。飛躍しなければ…
本当はこういったことが本気のレギュラーシーズンの中でできればいいんでしょうけど、それができないのがPedersonの不器用さ。

無理矢理結論じみたものに持っていこうとしたもののやはり失敗した。
ここまで読み返してみても伝えたかったことの100分の1も表現できた気がしない。
繰り返すが、わかっていただきたいのは「ドラフト順位を上げるためだけに敗退行為をとったわけでは断じてない」ということ。

“I was coaching to win”が本当に意味を持つのかどうかはここからのPedersonの腕次第。あの敗北とそこからのバッシングを受けて、チームはカルチャーを失いつつあるように見える。

「一般的には、この状況の最終戦の勝利にあまり意味はない」と偉そうに前述したが、こういう試合を全力で勝ちに行くことがチームのカルチャーとかケミストリーにとっては重要なのかもしれない。
そんな葛藤というかもやもやを抱えながら、あの敗北と、あの敗北の中で経験を積んだ若手が本当にチームの力になるかどうかを楽しみに2021シーズンの開幕を8ヶ月間待つこととしたい。

2020年 week17 vs WAS 感想とNFLファンへの謝罪

CLEファンの皆さん、本当におめでとうございます。あれはいい光景でした。あれを見るためだけに早起きしてこちらとしても正解でした。来週もPIT相手ということで、今度は本気の相手だと思いますが、連勝と旋風に期待しています。少なくともチームの雰囲気とか文化は良化するんでしょうね。ではすみませんがAndrew Berryを返していただけませんでしょうか。

そしてPHI。全米と全世界にとんでもない恥をさらした結果、見事に全体6位指名権を獲得。嬉しくはない。タンクというものを初めて真剣に目撃したけど、なんともやりきれない。フィールドにいる選手が、生活と誇りをかけて勝ちに行くことは当然のこと、一方でフロントや首脳陣の思惑がまた別にあるということも理解できる。この試合を見て思ったのが、昨シーズン、この試合のPHIよりもっと徹底して戦力をそぎ落としておいて、それでもシーズン最終盤にチームを上向きに持って行ったMIAのフローレスはとんでもない有能HCなんではないかということ。
タンクをやり切るなら、願わくばHurtsのキャリアに傷がつかない形で実現してほしかったけどまあ仕方ないのでしょう。
そして絶賛大炎上中のあの試合が、あんな醜い試合になった戦犯は、こっちの事情を薄々把握しておきながらこのカードをサンデーナイトに動かしたNFL本部と、10人もインアクティブにしたのにちゃんと勝ってくれなかったWAS。
NYGの選手とファンの気持ちもわからんではないが、それだけ言うなら自力で決めればよかったものを…とは言いたい。
けどまあこんなものを見せつけられると萎える。ただひたすら萎える。

 

試合結果:PHI 14-20 WAS

 

試合内容について特に言及することはないのではないでしょうか。勝ちにいってないのだから。ただ、3QのGoal前のシリーズのHurtsには、来年に向けてやるべきことが山積みだということがわかったぐらい。
あと、RTに入ったTothとLTに入ったPryorはやっぱり時間がかかるということ。
Defenseはゾーンブリッツなんかを結構使ってましたが、まあゾーンカバーも程よく混ぜるといい結果が出ますよね、ということを再認識。

 

さて、これにて悪夢のような2020シーズンは全日程を終了。今後のオフも目が離せない。
「勝つ」という文化みたいなものを犠牲にしてまで9位から6位にドラフト順位を上げたのだからそこにはそれなりの見返りがないとやってられない。
QB Wentz・TE Ertz・C Kelceといった面々が、試合終了後深夜遅くまでフィールドに残って感慨深そうにしていたそうな。この3人もこれにてPHI生活は終了でしょうかね。Kelceは引退か。最後の試合がこれで…

このオフのフロントと首脳陣の動きは本当に大事。まずは「残留」という報道が出ているGMとHCから。オーナーとHCの面談は現地火曜日ぐらいに設定されているようなので、大きな動きが出るのはそのあたりではないかと思料。
長いオフが始まりますので、フロント他の動きを挟みながら、現有戦力の分析的なところからやっていきたいと思います。オフシーズンもお付き合いいただければ幸いです。

2020年 week17 vs WASプレビュー プレシーズン第0戦

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

さて、本日未明、「DC Jim Schwartzは今季限り」との報道あり。まあ残念ながら妥当と言わざるを得ない。
2016にPedersonと同時に就任。当時Schwartzを引っ張ってきたのはGM Rosemanであり、その人事にPedersonは噛めていなかったとのこと。そして初年度の2016に7-9でシーズンが終わると、Pedersonの初年度の成績を受けて「DC SchwartzがHC職に就くのではないか」という話が出ていた。そして迎えた2017シーズンの大躍進を経てそんな話は沈静化していたものの、昨シーズン終了後にもSchwartzの処遇についても首をもたげてくるなど、要はまあ火種みたいな人であった。

DCの能力としてどうかといわれると、「硬派」という言葉が真っ先に浮かんでくる。D#の成績的には、2018ごろまでは結構よかった。コンセプトは、「優秀なDLでペネトレイトし、相手のランを破壊し、パスはある程度通されるかもしれないけどマンツーマンで凌ぎ、レッドゾーンでタフにプレーする」というもの。それは明確に感じられたため、最終年度に変なブリッツの入れ方をしてすれ違いが多発していたのがなんとも残念。とにかく、そのコンセプトというかポリシーが上手くはまればいい成績になるし、それがはまらなければうまくいかない。ということだけだったような気もする。頑固というか。今季気になったのは、試合中のアジャストも含めて引き出しがあんまりないのではないかということ。Slayが途中退場したweek15の途中からでうまいこといった気がするゾーンカバーをSlayが復帰したweek16ではあっさり捨てて、Jacquetのところから大惨事を発生させたのを見てもそのあたりは明らか。ただ、冷静に見るのであればこの人の5年間、今季を除いてずっとリーグ上位1/3近辺の成績を残していたことは事実であり、割とよいDCだったのではないでしょうか。

そしてこの人の最大の罪は広い意味での戦力構築。補強面では、そもそもの就任の経緯からか、RosemanもDCのいうことに異常に従順だったように見え、DL Jernigan・Malik Jackson・Hargrave、DB Slayなど高額FAや高位のトレードで容赦なく補強を敢行、そしてそいつらの働きは微妙、というものをずっと見せ続けられていたような気がする。
そして組みあがったロスターの中での選手起用という意味では贔屓がすごい。例えばDE Barnett(彼も2017ドラフトでSchwartzが欲しがったといわれている)、LB Gerry、DB Maddox・Mills。NFLロスターレベルにいるのか本当に疑わしい連中を、気に入ったらとことん使ってとことんやられる。
今年、Slayを呼び寄せた結果、やっぱり目も当てられない成績に落ち着いたことでようやく踏ん切りがついたか。
個人的な思いとしては、サックは多いけどターンオーバーが限りなく少ないこの個に頼ったD#には限界を感じていたこともあったので、「やっと出ていってくれるか」というものが強い。一方でやはり成績的には比較的良かったこともあり、後任選びは非常に重要。
昨年もどこかのHCインタビューに呼ばれていたようで、まだ54歳ということもありリーグのニーズはありそう。引退も考えているとのことですが、またどこかの新天地でのご活躍を祈念いたします。

 

さて、week17。ドラフト的には最高3位、最低10位という幅をもって迎える最終戦の陣容は、さながら来年のプレシーズン第0戦。本題は驚くほどあっさり終わります。モチベーションの問題です。

 

【Injury Report】

<PHI>

 総勢12名のOUT組。悔やまれるのはJaylon Smithにチープショットを食らって脳震盪OUTのMailata。あの野郎許さん。

 その他、トレード価値という意味ではWentzとErtzにはケガしてほしくない思いが強いので、どうかこの二人にはドレスアップもさせないでくださいお願いします。

 

<WAS>

 QB Smithが復帰との報。これは朗報。彼さえいればWASはプレーオフ進出に値するチームといえるでしょう。Haskinsなんか出してくれていた開幕戦が懐かしい。話は逸れるが、Haskinsを見ていると、やっぱりオハイオステートのQBというステータスがめちゃくちゃ怖くなってくる。昨日大爆発したJustin Fieldsは今度こそ本当に大丈夫なのか?

 

【マッチアップ】

<Offense>
・では、さっそく今週のOL。16試合目で14通り目の並びになるということでNFL記録をなんと2通りぐらい更新したスーパーユニット。左からToth/Seumalo/Kelce/Herbig/Pryorの並びになるとの現地予想。怖い。LTのところが怖い。Toth最大の不安はパスプロテクション。お願いだからHurtsがケガしないようにしてくださいね。Prince Tega WanoghoをLTで使うという案もありますので一応提案しておきます。まあこんなもんでChase YoungとかMontez Sweatに対抗できるとは思えないので、ゾーンリードと早投げで対抗していきましょう。

Hurtsに関していうと、プレッシャーを感じた時にポケットから出るのが早いというのが現地で言われている欠点らしきもの。まあこれは新人QBあるあるみないなものであまり気にする必要はないと思います。というか、個人的にはよく粘ってターゲット探しているように映っているのでこの調子でお願いしたいところ。というかあれだけプレッシャーかけられておいて逃げるなとか無理な注文。

・WRの皆さん。Fulghamがあと1ydの獲得で、2016のJordan Matthews以来、4年ぶりにWRがチームのリーディングレシーバーになるとのことです。素晴らしいですね。励んでください。

 

<Defense>
・惨憺たるケガ人の状況なので多くは望みません。お願いしたいのはLB T.J. EdwardsとDB K’Von Wallaceの活躍。それだけでいい。Jacquetはちょっと成長していればそれでいいです。マクローリンにはSlayがつくことになると思うので残りのSims’sのところからやられるのは最小限でお願いしたい。

 

現地ファン投票も「負けろ」で固まった様子。本当に勝つ必要がない試合。是非とも若手の成長と、出場者におかれましてはケガなく乗り切っていただくことに期待しております。
3位まで上げられれば誰にいこかな~QBエサにしていい感じにトレードダウンできそうだな~

 

勝敗予想:WAS 38-17 PHI