鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

HC選考

 HC選びの途中経過でも、と思いながらそんなことよりもっと大きなニュースがあって心が折れそうなのでまずはこれから。

 

【OLC Jeff Stoutland離脱か?!】
チップ時代の2013から都合8年間所属して数々のプロボウラーやオールプロを輩出してきた我らがOLコーチ、Jeff Stoutlandが離脱するかもというニュース。2011・12と所属していたAlabamaのOLCに引き抜かれるかも、というもの。今年もえげつない強さのOLをBAMAで構築していたOLCのKyle Floodがサーキジアンと一緒にテキサス大に移ることによってBAMAのOLCが空席となるため。
まだ本決まりというニュースは聞かないが、本当にこれだけはやめてほしい。せめてMailataがプロボウラーになるまであと1・2年はいてほしかった。というかずっといてほしい。
サラリーキャップが厳しいNFLという世界において、個人的にフランチャイズを安定させるためには「育てられるポジションコーチ(またはコーディネーター)」の存在が非常に重要だと思っているところ。今年、問題噴出のPHIにあって数少ない試合観戦の希望はMailataであった。MailataとStoutlandの関係は以前書いたのでここでは書かないが、Stoutlandの特徴としては、カレッジでのポジションコーチの経験が長かったこと。Kelceに言わせると「選手の入れ替わりが激しいカレッジでの経験が、『スターターだけでなく控えも含めてポジションの選手全員を分け隔てなく育てようとする』姿勢に表れている」という評価。実際、Mailataだけでなく、Herbigもかなり成長を見せていたしDriscollも同様。こういう若い選手がしっかり育っていたことが、このゴミシーズンを最後まで楽しめた一つの大きな要因だったように思う。
そして様々なスキームが溢れるカレッジの世界に身を置いていたことで、戦術理解にも造詣が深かった様子。もう一つの肩書、“Run Game Coordinator”としての今年の働きには文句ございませんでしたし。
そういう意味でも本当はずっと在籍してほしかったところだが、そうはいかないのがこの世の常。
仮に本当にBAMAに戻るのであれば、2020に負けず、素晴らしい人材を育ててプロというかPHIに送り込んでいただきたい。頑張ってください。

【HC選考】
さて、ここからが本題。
HC選考が進行中。今わかっているところでいうと、以下のような様相。

<面談済み>
Joe Brady:現CAR OC
Robert Saleh:現SF DC⇒NYJと合意
Arthur Smith:現TEN OC⇒ATLと合意
Jerod Mayo:現NE ILBC
Duce Staley:現PHI AHC・RBC

<面談予定>
Todd Bowles:現TB DC
Kellen Moore:現DAL OC

<興味ありとの噂>
Lincoln Riley:現OU HC⇒その後、「現在の立場に満足している」的な報道あり
Mike Kafka:現KC QBC
Brian Daboll:現BUF OC
Ryan Day:現OSU HC⇒その後、やっぱり候補じゃなかったという報道あり

HC選考に1週間程度出遅れたせいか、PHI以外のHCを求める全チームがインタビューしたとされるEric Bieniemyの名前がない。
さて、PHIはこの中から誰を選ぶのか。残るPHI以外のHC選考会参加者はLAC・DET・HOU。
以下、私見を。HCにはざっくり分けて二種類の人間がいると理解しているところ。雑にいうと、「リーダー型」か「戦術家」か。
もちろん、例えば現在リーダー型として分類される筆頭のMIAのフローレスとかBUFのマクダーモットなんかも戦術理解への造詣は深いんでしょうし、稀代の戦術家としてもてはやされているLARのマクベイなんかはリーダーシップにも定評がある。TENのブレイベルなんてどっちのタイプかわからない偉人。なのでこの線引きは曖昧なもの。しかし、特徴としては、リーダー型には優れたODのコーディネーターが必要になるということ。
そしてPHIの喫緊の課題は、QB再生。この観点でいうと、OC上がりの戦術家タイプがいいんでしょうね。例えばNYJに行ったSalehなんかはDC上がりなのでD#の戦術にも優れているのでしょうし、リーダーシップも抜群なんでしょうが、QBを再生できるOffenseのアシスタントを選べるかはよくわからなかったところ。そしてこの場合、仮にQB再生に成功したとしてもその人材を引き抜かれる可能性は常にある。だからこそOC上がりの戦術家タイプのニーズは高いんでしょうし、そのタイプを求めていきたい気持ちがある。

前回、Duce Staleyかなあなんて言ってましたが、Duceは完全なリーダー型。2011にコーチ稼業を始めてから一貫してPHIですし、ポジションコーチとしても2013以降RBCの経験しかない。だからニーズとしては微妙。おそらくMayoも似たような感じではないかと。
そういう意味では、上のリストの中で該当するのはJoe Brady・Kellen Moore・Mike Kafka・Brian Dabollぐらいか?そのうち前三者は経験が若干乏しいか。というかそもそもD#畑の候補者が多すぎませんかね?

もちろん、DuceにしたってMayoにしたって成功を収める可能性はいつだってあるし、それまでの肩書がなんの意味もないなんていうことはReid(GBのTECとQBCからPHIのHC)やHarbaugh(Johnのほう。PHIのSTCとDBCからBALのHC)を見ていてよくわかっている。だけれどもやはりちょっとは安心したいので、過去の肩書や成績等からWentzやHurtsにとって誰がベストか、という点で考えてみた。

Joe Brady
2019にLSUのOCとしてバローを擁して全米王者になって一躍脚光を浴びた御仁。現在31歳。その後、Matt Rhuleに呼ばれてCARのOCに。CARでは最大の武器であるマキャフリーが3試合しか出場できなかったが、Offenseの成績はリーグ中位と、PHIよりは格段に効率的なOffenseを展開。
CARの試合を2・3試合流し見したが、フィールドの使い方がうまいのか、まあレシーバーがよく空くこと。意表を衝くコールも結構見かけた。一方で特に試合後半、アジャストされだしてからは糞詰まりになるというか、もうひとクセ欲しかったなあという印象。現地ではプレーコール入れるのが遅かったり、たまに謎のプレーコールがあったりするという欠点も指摘されている様子。
QB再生という観点では、Bridgewaterを見ていると、前からあれぐらいだった気もするのでよくわからない。よくわからないけどアリだとは思う。

Kellen Moore
現在32歳。言わずと知れたにっくきDALのOC。今年もよくやられた。
Dakがいた2019はリーグ1位の獲得ヤード。一方で2020のDak不在期間の成績はリーグ17位にとどまった。もちろんOLの崩壊とかいろいろあったんでしょうけど。
しかし、PHIの課題はQB再生である。それが本当にできるのか?という観点では、すみません、ナシでお願いします。

Mike Kafka
QB再生したいからリーグで一番成功しているQBのコーチを連れてくる。安直だけどいい作戦かも。PHI的には選手としての印象もあるが、昨年のOCインタビューに続いての興味となる。
しかしはっきり言ってこんなにわからないブラックボックスもない。Maholmesの異次元の活躍は誰によるものなのか。ReidなのかBieniemyなのか、はたまたKafkaなのか。蓋を開けてみたら全部Reidでした~という結論までありそうで怖い。
こんなものは外から判断できるわけもない。ただし、現役引退後、母校のコーチを1年務めただけでKC入りしているし、指導したQBはMaholmesだけというのが不安材料。このコーチ歴はやはり経験不足をイメージしてしまうのでちょっと今回はパスで。
というわけで、本命を固めましたのでご報告差し上げます。

 

【本命:Brian Daboll】
こんなことを言うときが来るとは思ってもみなかった。
Brian Daboll。御年45歳。
Belichick門下生として経験を積み、兄弟子であるManginiについてNYJへ。その後Manginiの横滑りに伴って2009に34歳でCLEのOCに。そこからMIA・KCとOC経験を積むが、全く芽が出ず、2013にはNEに出戻り。心機一転、2017にBAMAのOCに抜擢されて全米制覇。翌2018からBUFのOCに就任してAllenとともに右肩上がりの成績を残し、2020オフにはHC候補として大人気の存在に。
では、OCとしての成績を、Offenseの獲得ヤードのリーグ順位の観点で並べてみましたのでご覧ください。
2009 CLE 32位
2010 CLE 29位
2011 MIA 22位
2012 KC 24位
2018 BUF 30位
2019 BUF 24位
2020 BUF 2位
うーん酷い。ひどい。もちろん、獲得ヤードという指標が一面的であることは否定しませんが、こうもすごい数字が並ぶとある程度信じたくなる。
しかし、この人、2009から比較すると人間としての成長の仕方がなかなか素晴らしいようで、その当時は「これがリーグで一番成功しているBelichick-style。俺が正解。信じないやつは共産主義者。」というスタンスだったのが、いまは「私はすべての答えを持っているわけではない。思いやりを持つこと、よく聞くことを学んだよね。」というスタンスになるなど、だいぶ柔軟になっているとのこと。口調まで変わっているかは知りません。
彼の転機は2013からNEに出戻っていた期間にグロンクに出会ったことと、そして2017のBAMAでのRPOとの出会い。その両エッセンスが今のBUF Offenseにも最大限反映されている様子。
今や息子のように愛してやまないAllenとの関係などを見ていると、この男ならWentzとHurtsの成長物語を描いてくれそうな予感がする。というかHurtsとはBAMA以来のタッグ再結成か。
新鋭として文字通り尖ってデビューしたはずの男が挫折を味わい、人間としての深みを増していったという物語。いかがでしょう。私は好きです。
PHIにとっては初めてとなるBelichickツリーの人間。彼であれば託してみる価値はありそうだし、このロスター構成にあっても、円熟した人間ならではの味を出しながらなんとかやりくりしていってくれそう。やはりHCは愛される人間でなければ。

以上、何も決まっていない現状にもかかわらず壮大な妄想をお届けしました。しかしBAMAというかセイバンは本当に偉大。

ちなみに、私はBieniemyには若干地雷の匂いを嗅いでおります。根拠はありません。