鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

HC解雇

日本時間1月12日早朝、HC Doug Pederson解雇との報。シーズン終了からしばらくHCの去就についてなんの報道もなかったので、当然残留するのだと思っていたところ、11日夜から「今日オーナーと面談する」という報道が入りだして、キナ臭い感じは持っていたが、そのまま面談後に解雇という運びに。

経緯としては、先週の火曜にシーズン総括の恒例の面談を実施、その際にオーナーから再建計画について、特にコーチ人事の観点での深掘りを求められ、その追試への回答が12日に持たれた面談。そしてその内容がオーナーの気に食わなかったから解雇、という流れのよう。
その追試への回答内容というのが、今季大不振に陥ったWentz以下パスユニットの総括責任者であった“Passing Game Coordinator”のPress TaylorをOCに内部昇格、空席となっているDC候補として、前PHI DBコーチで現DET DCのCory Undlin、あるいは現PHI DLコーチのMatt Burkeの内部昇格、加えてSTCのDave Fippも残留、というものだったそう。
申し訳ないがこんなレポートでは単位を上げられない。はい落第。
今季Wentzを壊したPress Taylorの無能ぶりは言うに及ばず、UndlinはSydney Jones以下、ゴミみたいなDBしか生産できなかった男であり、STCなんかもうすでに放り出していないとおかしいところ、こんなことで再建を謳ってりゃクビも切られるわな、という内容。

Pedersonの特徴として、現役引退後、高校のコーチからすぐにAndy Reidのもとで働きだしたため、コーチ人脈が異常に薄いというところが挙げられる。Defenseに関してはほぼSchwartz人脈であったし、Offenseも当初フロントに準備してもらったFrank Reich・John DeFilippo、チップ時代から在籍していたJeff Stoutland以外目立ったアシスタントはおらぬまま。
これじゃあなかなか強くならないという感想だし、酷いアシスタントコーチをかき集めるところから始まる1年をまた見ないといけないのかと憂鬱になっていたところだったので、この第一報は比較的好意的に受け止めた次第。

【Pedersonへの感想】
まずはお疲れさまでした。そしてロンバルディトロフィーをありがとう。
Schwartz引退のときにも少し述べたが、オーナーとGMからのPedersonへの信頼はもとからあまりなかった様子。それが何に起因することなのかは定かでないが、就任初年度の2016オフに1年で解雇しようとする動きを見せたことからもその様子はうかがえる。
その後のスーパー制覇、ケガ人にまみれながらも2年連続のプレーオフ進出で、信頼は芽生えたかと思いきやこの仕打ち。勝ち続けるしかなかったということか。
それが途切れてしまったいま、こういう結末になったことは致し方なかったのかもとは思いながら、もうちょっとマシなサポーティングキャストを揃えることはできなかったのかという思いもある。
オフェンス畑のHCでありながら、師匠のReidとかマクベイとかシャナハンのような、スキームで輝くタイプではなかった。
2017の、データに基づいた4thDownや2ptでの積極性については評価されていた記憶もあるが、それすら他チームにしっかり取り入れられてもはや目新しさはなくなっていた。そういう意味ではハリーアップスプレッドオフェンスで一時代を築いたものの、その要素が広まった結果、全く輝けなくなってしまったチップと被る。これは言い過ぎか。
しかしチップとの違いとしては、選手、特にベテラン選手からの信頼が厚いこともあり、外からは見えない部分でいいところはあったのでしょう。それが統率という点で十分だったのかはわかりませんが。記者からの評価等では「Pedersonはナイスガイだ」というものも多々ある。

上に述べたようにコーチ人脈が薄いので、他チームに移ったとて2017のように活躍できるのかはわからない。だけれどもコーチ周りにも強い、いいGMと巡り合えればまだまだやれると思います。
恐らくHCとしての引きはまだまだあるでしょうから、新天地でのご活躍を祈念しております。AFCとかで頑張っていただきたい。


【責任の所在】
コーチ人事とチームの成績についてはPederson、選手人事はGM Rosemanということだったよう。
そうであればたびたびドラフトでゴミ指名を繰り返したり、今季ドラ2で使う当てのないHurtsを指名してWentzに無用のプレッシャーをかけたり、Jefferyを開幕ロスターに入れておきながら10試合出場できなかったこととか、Petersを巡るあれこれとか、いろいろとチームの足を引っ張ったあいつの責任はどうなるのか。
これがこの“HC解雇”だけで喜べなかった最大の理由。
Pederson解雇後のオーナー会見では、Rosemanは今後3-5年に渡ってその席にいることが言明されていたとのこと。まあこの件については改めて。

 

【後任人事】
現在噂も含めて名前が上がっている後任人事は以下の11名。本当はもうちょっといそうだけどいまはこの程度で。
Robert Saleh:現SF DC
Eric Bieniemy:現KC OC
Brian Daboll:現BUF OC
Arthur Smith:現TEN OC
Greg Roman:現BAL OC
Joe Brady:現CAR OC

Todd Bowles:現TB DC
Mike Kafka:現KC QBC
Duce Staley:現PHI AHC・RBC・RGC
Lincoln Riley:現OU HC
Graham Harrell:現USC OC
上の5人+Bradyぐらいは、今年のHC候補者としてほぼ全チームからリストアップされているような大物。このうちSalehとは面談予定が入っているようだが、他は知らない。
PHI特有の候補者は下の5名程度。

現地のファンから人気なのは、Bieniemy・Staley・Rileyの3人。Rileyとは接触済みだとか。

個人的には現時点の気持ちは横並び。
なぜかというと、
・Wentz?Hurts?それ以外?でおなじみのQB問題
・74Mを超過するサラリーキャップ問題
・無能GM
・もはやJerry Jonesに迫る勢いでむちゃくちゃやろうとするオーナーの存在
等の課題というか問題というか状況。

一般的に、特に新人HCであれば自分の色を出そうとするはずのところ、このフランチャイズは今年のHC競争において最も“やりにくい”環境にありそうだから。
PHIの事情としては、そのうちのQB問題に決着をつけてくれそうな、いいQBを育てた実績があるOC上がりのHCを望むのであろうが、向こうは向こうで引く手あまた。
だからHC Lincoln Rileyという妄想は楽しいものの、彼が本当に将来性の塊であるSpencer Rattlerを指導する喜びを捨ててまでWentz再起あるいはHurtsの飛躍に賭けてくれるのか、というところには全く自信が持てない。
だから、というわけではないが、唯一の内部昇格候補であるDuce Staleyにはちょっと期待している。
いくら嫌いでもオーナーとGMがあのままであるという事態は変えられないのだとすると、その環境下で一番うまく立ち回っていけるのは現役・OB含めた選手からの信頼がブ厚いあいつかもしれない。

ポジションごとの振り返りをしようにも、OC・DC含めた体制が決まらないことには何とも申し上げられないので、そちらもいったん保留にするか、先走って進めてしまうか。それも保留。
個々の候補者に対して思うところもなくはないが、当面はこのニュースをウォッチして、もう少し候補者が絞られるのを待ちたい。