鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

Wentzのトレードとデッドマネー、終わらないQB論争

今更感が過ぎますが、WentzがINDにトレード。

内容は
PHI:Wentz⇔2021年3巡(85位)指名権+2022年2巡指名権(条件付き):IND

条件というのが、Wentzが「2021シーズンにINDでオフェンススナップの75%以上をプレー」もしくは「70%以上でプレーかつINDがプレーオフ進出」で1巡になるというもの。


当初「2巡×2個」と言われていたのが若干トーンダウン。
しかしながら、この3月19日に保証されるはずの2022の保証額15MをPHIが引き受けるという報道は聞かないので、キャップも引き受けていただいたことも考慮するとまあまあの取引。
INDはPHIほどイカれたフランチャイズではないでしょうから、貴重な指名権+25Mのサラリーを食うQBを先発させないとは思えないので、問題はWentzの健康面と「本当にあいつは直るのか」という点に尽きる。まだ2021のスケジュールが出ていないので何とも言えませんが、どこかでくるバイウィークまでには「悪いのは全くサポーティングキャストを用意しないRosemanと代わり映えしないスキームしか準備しないPederson、つまりPHIだった」ことをWentzが証明することが必要。その点については信用している。OLさえしっかりしていれば(しっかりしているとWentzが思えれば)あの男はまだまだエキサイティングなプレーを見せてくれるはず。WRも、全くオープンにならないPHIと比べればINDのほうがだいぶマシでしょうし。
ちなみに健康面についても、50サックを浴びて無事だった2020を見たところ、だいぶ改善されていると思います。


Wentzくんへ。5年間お疲れさまでした。
最後こそああいう終わり方でしたが、特に2019最後の4連勝などカレッジのほうがマシなWR陣しかいなかったところ、一人でチームを背負っての活躍、いいものを見せてもらいました。頼れる相棒を見つけて長く活躍されることを祈念しております。


【経緯】
結局正式なオファーを出したのはINDだけだった様子。
RosemanとしてはCHIとかその他チームを引き出すことで対価の吊り上げを狙っていたようだが、肝心のWentzが「INDがいい」という強い意向を持っていたため、CHIとしてもオファーは出せず。結局INDに落ち着いたという経緯。

体制の安定度、OLを含むサポーティングキャスト等を勘案してのWentzの希望だったのでしょうが、個人的にはReich>DeFilippoという側面も彼にとっては大きかったのではないかと思っているところ。
「WentzはDeFilippoの指導スタイルが嫌いだった」という噂もあった。
まあこの辺りは終わった話。注目度とかフランチャイズの大きさとか何かにつけて比較されるFolesの存在を考慮してもINDのほうがフットボールに集中できるでしょうから彼にとってもいい結論だったのではないでしょうか。

 

【PHIに残ったもの】
Wentz一人でNFL史に燦然と輝く33.8Mというデッドマネー。(金額では2位のGoffを11M超えて歴代1位。キャップに占める割合でも2位の2001年のTroy Aikmanを5ポイント程度上回る歴代1位。)
個人的にはWentzとチームの関係が悪化しようが、ホールドアウト的なところまでいかない限り2021はWentzでいくと思っていた理由がこのデッドマネー。

デッドマネーとは、平たく言うと「チームにいない選手に払う金」のこと。
Goffトレード(22.2M)とGurleyカット(8.4M)に喘ぐLARの全体でのデッドマネーが30.8Mということでいかに桁違いかはご認識いただけるはず。
加えて、日本時間本日土曜早朝に発表されたDeSeanのカットで5.8Mのデッドマネーが発生しているので、これらを合わせて現時点で40.2Mのデッドマネーだそうです。現時点では、になりますが、2位LARを10M引き離してダントツのリーグ1位です。
現在報じられているところによると、2021のサラリーキャップは最低180M。もうちょっと増えるかもしれません。あと20Mぐらい増えろ!
そこに、PHIは2020からのロールオーバー(繰り越し)が22.8M弱あるので、2021のキャップは207.8M弱。手元の電卓がはじいたところによると、チームにいない2人のために約20%強のサラリーを抱えることになる。もちろんその分戦力は低下。そしてそれでもなお43Mほどキャップをオーバーしているので、ますますのリストラが必要。そうだとしてもデッドマネーなしで切れる契約になっている選手が限られるため、将来にわたって重荷を背負う契約再構築が必須という情勢。言葉にならない。

 

【ドラフト全体6位の行方】
前にもRosemanの項で述べたが、Hurtsをドラフト2巡で指名した経緯は、簡単に言うと「HurtsがWilsonのように見えたから」。しつこいようだが、この前提を押さえておかなくてはならない。
そして、この件をきっかけに、全く整わないサポーティングキャスト、貧弱コーチ陣等々の一連の不満がWentzの退団と現在のデッドマネー祭りを招いた。
それほどまでに入れ込んでいたHurtsしかロスターにQBがいない状況になったら、当然Hurts中心のチーム作りをしていくのではないかと思う。
しかしそうではないかもしれないと。6位でQBに行くかもしれないと。

この論争はこのオフずっと続いているものだが、個人的には反対の立場。
Fieldsが6位に落ちてくるなら考えないでもないけれども。

状況としては2016にトレードアップの末に全体2位まで上がってWentzを指名したときと同じで、武器がない、という状況は変わらないと思っている。
まして今年のFAで何かできる金はどこを探したって出てこない。
そんな状況下でまたしてもQBだけ指名したところで何も変わらないのではないかと思っている。

もちろん、例えばKCのMahomesのように一人で3人分ぐらいのプレーをするQBであれば真っ先にそこだけ指名したらチーム作りはできそうなものだが、さりとてそれだけでは勝てないことが証明されたのも今回のSBだったと思っており、「QBの重要性」について理解はするものの、それで失敗したばかりのチームには周りをしっかり作るところからやっていってほしいところ。
特に当面のキャップ状況が惨憺たる有り様になりそうなチームではなおさら。
幸いHurtsも大いにシーズン中に成長していたので、QBフレンドリーな新オフェンスのもとでとりあえずHurtsに託してみてもよいのではないでしょうか。
ドラフトストックという意味ではWentzの置き土産で2022のほうが豊富になりそうですし。


その他、DeSeanの退団については、昨オフに反ユダヤ的な発言をソーシャルメディア上でしたことによってユダヤ人のオーナーとGMから不興を買い、その時点で解雇という噂もあった男でもあり、さすがにこのキャップ状況とあの働きぶりでの解雇は既定路線であったため、驚きはなし。
これがどれほどコストパフォーマンスの悪い買い物であったかはWRの振り返りで触れた気がする。