鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2020シーズン査定(WR編)

この振り返りは心に悪い。今回はWR編。明日のSBは何年かぶりに休暇取得が不可となったため観戦できず。その腹いせに今日かけるところまで書いてやりたい。しかしこのユニットが本当にひどかった。
途中に挟んでいますが、このユニットしか用意してもらえなかったWentzには同情してしまう。苛立ちのあまり長編となってしまったので早速本題に。

 

【2020開幕前】
Stay
:DeSean Jackson(T/TB/19)・Alshon Jeffery(UFA/CHI/17)・Greg Ward(17/UDFA)・JJ Arcega-Whiteside(19/2)・Deontay Burnett(19/Street FA)
OUT:Nelson Agholor(⇒LV)・Robert Davis(⇒LV PS)
IN
:Jalen Reagor(20/1)・John Hightower(20/5)・Quez Watkins(20/6)・Travis Fulgham(PS/GB/20)
Opt Out:Marquise Goodwin(T/SF/20)

この区分にするとPSをウロチョロしていたり途中加入の連中(Fulgham・Burnett)がうまく表現できないのでもう少し考えてみます。PSにしかいなかった人は割愛しております。
度重なるケガ人の発生によってNFL最低ユニットとなった2019のPHI。最終のチームスタッツで、レシービングヤードのリーダーはErtz、Goedert、Sandersと続いてWRはJefferyが490ydsでようやく登場。不在にもほどがある。最終戦プレーオフでは「Greg Ward/Deontay Burnett/Robert Davis/JJAW」という全くと言っていいほど実績がないメンツになったこともあって2020に向けてリームの明確な最重要課題はWRユニットの改善、特に「若返り」と「スピードアップ」とされていた。まあ確かにな、と思っていた。そして結果してこの「スピードアップ」の部分はあらゆる手を尽くしても改善されず深い謎を残すこととなった。

2019シーズン序盤から逆クラッチ落球を繰り返したNelson AgholorはLVへ。あんな集中力ないイップス感まであるレシーバーと契約するなんてGrudenとMayockは何を考えているのだろうかと思っていたらLVにてキャリアハイのご活躍。ロッカールームではリーダーの風格まであるそうな。おみそれしました。というかPHIにWRコーチはいないのか?まあいないか。
そしてAgholorと同じく産廃のにおいがしたJJAW。ルーキーだったから大目に見たけど彼は19ドラフトにおいてWRとして6番目に指名された男。彼の後で指名されたWRは、Parris Campbell(IND)・DK Metcalf(SEA)・Diontae Johnson(PIT)・Terry McLaurin(WAS)などなど。現地民がRosemanにキレている象徴的な出来事がこれ。結果論になるためドラフトの当たりはずれのことはあんまり言いたくないけどまあわかる。それでも指名してしまったJJAWについては、初のオフを順調に過ごしているという噂も流れていたため、あと1年ぐらいは期待してもいいかな、と思っていた。

そして迎えたドラフト初日。全体21位で指名したのはTCUのJalen Reagor。層が厚いと言われていた2020ドラフトクラスのWRにおいて、1巡候補ではあったものの、40ydsもReagorより速かったJustin Jeffersonをパスするほどかね?という思いはあった。フィルム的にもピンとくるものはなかったし。とはいえ、本当のことを言うと、当時PHIが欲していたのはNo.1を務められるWRであったが、Jeffersonは若干スロット寄りに見えていたので、まあそういうとこか、と無理矢理納得しようとしていた記憶がある。
そしてその後、ゴミみたいな2日目を過ごして、3日目は5巡161位でBoise Stの俊足WR Hightowerを指名、更に6巡190位をSFのこちらも俊足スプリンター・Marquise Goodwinとトレード、最後に6巡200位でSouthern MISSのQuez Watkinsを指名。明確にスピードの向上を意識しているさまが伺えた。

迎えたキャンプでは、Reagorが小さいケガで離脱するも、Burnett・Hightowerが非常に印象的だという現地報道で一喜一憂などしていた。Goodwinは奥様が妊娠中だったこともあり家庭の都合でOpt Out。
そしてJefferyは2019からのケガでキャンプはパス。Rosemanが2019シーズン開幕直前に行った契約再構築により2020のデッドキャップが26Mに達した関係でクビにはできないけれど、Reserve/PUPに入れると6試合パスすることになってその間空いた1枠で若手も試せるしまあいいかと思っていたらなんと開幕ロスター入り。

 

【2020成績】
Greg Ward
16試合(先発10試合) 79ターゲット 53捕球 419yds 6TD/2rush -4yds 0TD/0.7M
Travis Fulgham
13試合(先発8試合) 67ターゲット 38捕球 539yds 4TD/0.6M
Jalen Reagor
11試合(先発11試合) 54ターゲット 31捕球 396yds 1TD/4rush 26yds 0TD/0.6M
DeSean Jackson
5試合(先発5試合) 26ターゲット 14捕球 236yds 1TD/1rush 12yds 0TD/6.2M
John Hightower
13試合(先発4試合) 29ターゲット 10捕球 167yds 0TD/1rush 1yds 0TD/0.6M
Quez Watkins
6試合(先発0試合) 13ターゲット 7捕球 106yds 1TD/0.6M
Alshon Jeffery
7試合(先発2試合) 13ターゲット 6捕球 115yds 1TD/9.9M
JJ Arcega-Whiteside
7試合(先発2試合) 13ターゲット 6捕球 115yds 1TD/0.7M
Deontay Burnett
2試合(先発0試合) 4ターゲット 3捕球 19yds 0TD/0.1M
(ターゲット数と捕球数の関係については、これだけではよくわからないと思いますので判断材料を提供しておきますと、GBのDavante Adamsの捕球数÷ターゲット数は、115÷149で77%に達します。サンプルが少ないBurnettを除いたPHIの最高はWardで67%です。)

めでたい。補強の甲斐があったというもの。2年ぶりに500ydsレシーバーが誕生しましたね。そこは原資を突っ込んだところではなかったけど。WRがレシービングヤードのチームリーダーになったのは2015のJordan Matthews(997yds)以来というのだから実に5年ぶり。これも主にはTE陣の負傷離脱によるもの。
腹が立つからサラリーを最後に追記してみましたが、こう見ると誰が穀潰しかは一目瞭然。よく見ると1捕球で2M近くを稼いでいる人がいますね。そしてこいつは1枠を潰し続けたまま、結局バイウィーク明けのweek10から試合出場。一体どういうチーム編成なのか。

ドラ1のReagorについて。彼はD#のストレッチと、クラッチなレシーブという全盛期D-Jaxばりの活躍を嘱望されて21位で指名(ちなみにDeSeanは2巡49位なのでほぼJJAWと同じ位置)されたわけだがはっきり言ってからっきし。カタログ上のスピードはあるが、40ydsのタイムで劣るGreg Wardのほうがプレースピードは速い。そしてルートランが全然ダメ。CBのプレッシャーを受けて勝手に広がったり、キーとなるLBの位置を確かめずにカムバックしてくるものだからルートの目指すところがQBと合わなかったりとやりたい放題。挙句、これはドラフトの時から言われていたようだが、手を抜く。すごいサボる。week1のブチ抜き50ydsレシーブはよかったが、その後にも似たようなプレーがあったのを、しっかりサボってボールに追いつけていなかったものも見た。ここらへんは多分に無意識の部分もあるのではないかと思っており、しっかり指導していけば改善の余地はありそうだった。現にあのどうしようもなかったAgholorはそれなりに立ち直ったようですし。しかし、なにやらTwitterでの振る舞いとかにプロ意識のなさとかが取り沙汰されるものもあったとかで現地評価はゴリゴリ下落中。そして一番腹立たしいのが、彼の指名経緯。噂によると、スカウト陣は21位でJeffersonの指名を強く推していたようだが、Rosemanは「直下のMINは絶対Reagorを気に入っているから」というほぼ嫌がらせのような理由でReagorを指名。結局MINの狙いはしっかりJeffersonで、その後の活躍は周知の事実。一体何をやっているのか。自分のところの戦力をどうするかを第一に考えないのであれば何のためにその座にいるのか。早く退きなさい。

そしてFulgham。途中、week4から8まで5試合で435ydsを稼いでプチ旋風を巻き起こしていたが、以降バイウィーク明けから後半戦は姿を消して100ydsの加算でシーズン終了。出番をJefferyに奪われたという側面はあったが、冷静にみて、後半戦はフリーになる機会が非常に少なかった。この原因について確かなものはないが、現地報道によると、相手D#が本腰を入れてカバーしてきたところまでを跳ね返す力はなかったとか、そもそも練習サボっているとか。そんな奴ばっかり。前者の意見を信じるのであれば、このオフさえしっかり過ごせばまだまだ期待はできそう。

Greg Wardは素晴らしい。相変わらずスタッツ的には地味だが、いてほしいところにしっかりいるというか、ルートラン的にも十分。敢えて注文を付けるなら、その捕球半径にしてはもうちょっとキャッチ力が欲しいところ。タイトカバーでもうひと踏ん張りできれば十分なスロットレシーバーになりそう。目指せHunter Renfrow。そして彼のなにより素晴らしいところは、その人間性。ベテランたちが案の定ケガで抜けたPHI WR陣にあって、まだ2年目(実質4年目)にも関わらず最年長者として若手たちをよくまとめあげていたそう。試合中も直前のプレーに一喜一憂するちびっ子たちに次のプレーに集中するように声を掛けていたシーンが印象的。よく見かけた。苦労を重ねたからこそなのか、こういう人材をこそ大切にしてほしいと思います。

そして5巡と6巡のルーキーたち。40ydsのタイムは非常に速いと聞いていたけど全然Deepでもフリーになれていなかったね。この辺り、メリハリのないPedersonのパッケージも影響していたようであり判断が難しいが、プレースピードを判断するうえで40ydsのタイムが全くアテにならないということはよくわかった。大事なのはゲームにおけるプレースピード。これに尽きる。彼らについては、技術的にも、カムバックが甘くてINTになっていたシーンも見たし、シンプルな落球も見たしでもう少し時間がかかりそうですね。

 

【2021への願望とか】
しかしここまで書き連ねてみると、だんだんWentzが可哀そうになってきた。先に述べたように、Wentzがプロ入りした2016以降、PHIにはロクなWRがいなかったわけですから、そりゃこんな連中しか用意してくれないならフロントに見切りをつけても不思議はない。

さて、2021シーズンに当たって、PHIの最重要課題は、なんと、「WRユニットの改善」(2年連続)。
その前に現人員で契約が切れるのはGreg Wardのみ。ERFAのため、ミニマムでの1年契約で確保可能。
その他については、キャップが厳しくなることもあって、見通しは、
Alshon Jeffery:クビ(6月1日以降)
⇒1.0Mセーブ(’21/5.5M、’22/5.0Mのデッドキャップ)
DeSean Jackson:クビ(6月1日以降)
⇒8.7Mセーブ(’21/1.9M、’22/3.9Mのデッドキャップ)
Marquise Goodwin:クビ(いつでも)
⇒4.5Mセーブ
JJAW:産廃処理(できればトレードに使って7巡でもいいからほしい)

残る人員はWard・Reagor・Fulgham・Hightower・Watkins・Burnettというメンツ。つまり、またしてもゼロからの積み上げが必要。FAでいいのを獲れるキャップもないチームにあって、これが全体6位でWR指名シナリオが多い一番の理由。そして、希望は一番早く練習に来るという熱心な練習態度で若いながら人間性の評価も高い、Ja’Marr Chase(LSU)。Smithでもいいけどね。両方残っていたらChaseでお願いします。
というか、そもそも戦力補強に期待する前に、そろそろ自前の育成で何とか結果を残してほしいというのが希望の大本命。そういう意味ではWR育成に定評があるSirianni以下、新体制には期待しているし、そのSirianniが残留という判断を下したWRCのAaron Mooreheadさんにおかれましては、PHIとしては奇しくも2015以来となる2年連続のWRCとなるわけで、2年目の結果には大きな期待をいただいております。よろしくお願いします。

最後に、DeSeanについて。2008のドラフト以来大好きな選手ではあったけどそろそろ限界なんでしょうね。2019の復帰初戦ではこれがまたしばらく拝めるのかと晴れやかな気持ちになりましたが、結局あれがほとんど最後の雄姿になりましたね。お疲れさまでした。あのNYG戦での決勝パントリターンTDはSB52のGrahamのサック&ファンブルフォースに次ぐ最高のプレーでした。いい思い出をありがとう。

ちなみに、以降は結果論ですが、どうしてもRosemanさんに申し上げたく。
DeSeanの成績は2年間で8試合23捕球395yds3TD、サラリーは2年で17Mです。さらに将来にデッドキャップも残します。そして、DeSeanを得るためにトレードでTBに渡した2019の6巡指名権は、Scott Millerという選手に化けました。NFCのチャンピオンシップでもいい活躍でしたね。ちなみに彼の2年間のスタッツは26試合46捕球701yds4TDで、サラリーは2年で1.3Mだそうです。お安いですね。SBでの活躍も楽しみですね。