待ち時間が長いほどやはり欲しかった選手はどんどんいなくなっていく。
哀しさの方が多かった2023ドラフト2日目の振り返りです。
展開
財布になけなしの2巡62位と3巡66位を入れて、しっかりと握りしめたこの日の欲しいものリストに書いていたのは、
- TE2
- 控えOL
- (前者が叶わなければ)WR3
- 出来ればどっちかダウンして3日目指名権を増やしたい
というなんとも強欲が過ぎる願望。
そんな2日目は父親のチームに指名されるという一番きれいな縁故採用で開幕。
2-32 PIT CB Joey Porter Jr.(Penn State)
続いて、初日衆人環視のなか待たされ続けた男がトレードアップしてきたチームにようやく救われるというほっこりしたスタート。
2-33 TEN QB Will Levis(Kentucky)
しかし平和な雰囲気はここでブチ壊される。
突如襲ってきた大嵐。
2-34 DET TE Sam LaPorta(Iowa)
2-35 LV TE Michael Mayer(Notre Dame)
2-38 ATL OT Matthew Bergeron(Syracuse)
2-42 GB TE Luke Musgrave(Oregon State)
LaPortaは欲しかったがもうちょっと残ると思ってたしBergeronは2-62でまさに欲しかったしMayerかMusgraveが落ちてきたら昼からパーティしようと思ってたのに。
DETはHockensonを同地区にトレードで出しといて次のIowaの新作TE獲るとか貞操観念を疑うしATLは昨日から嗜好が被りすぎてるしGBはRodgersの圧がなくなって解放されたのかこの後も完璧すぎるし。
LVはまあ好きにしたらいいけど。
このあたりで変な汗が吹き出し始める。
そしてそんな純情なPHIファンを地獄に叩き落とすのはいつだってあいつらです。
2-58 DAL TE Luke Schoonmaker(Michigan)
おい。
こら。
またお前らか。
まあこれでも済まなかったんですよね。
とどめを刺してきたのはあろうことかLincに銅像が立つあの人のチームでした。
2-61 JAX TE Brenton Strange(Penn State)
ダグ。お前もか。
これで事前に欲しかったTEがGeorgiaのDarnell Washingtonを除いてほぼ全滅。
初日にGeorgia祭りを開催しているので正直Washingtonでも良かったし、なんなら残っていたCB Kelee Ringoの方のGeorgiaでも良かった。
だが、ここでRosemanはトレードを敢行。
この時点でWashingtonに飛び付く気がなさそうな気配。
<Trade!!!!>
PHI:3-65・6-188・7-230 ⇔ 2-62:HOU
Washingtonに行かないのならもはや紙屑と化していた2-62をHOUに差し出し、3スポット落として待望の3日目指名権を獲得。
よろしい。最悪は免れた。
そして迎えた連続指名。
レジェンド・Trent Coleに読み上げられたのは以下の2選手でした。
3-65 OG Tyler Steen(Alabama)
3-66 S Sydney Brown(Illinois)
驚いて上手くリアクション出来なかったのは、特に後者のほう。
初日を全面的にDefenseに振った分、2日目はOffenseに全振りするものだと待ち受けていたところ。
なのでTEがいなくなった時には目の前が真っ暗になった。
確かにニーズではあったがDefenseはパッチワークでやっていくものだと思っていたのでただただ意外だった。
控えOLと3日目指名権、と願いが半分だけ叶ったこの日の指名。
紐解いてみるといい味がしてきました。
収穫物
Tyler Steen(Alabama)
サイズは6'6"(198cm)321lbs(146kg)とNFLレベルのOTとしても充分。
が、腕が短い。
あれだけ"短い"と騒がれたPenei Sewellより短い。
キャリアの最初は名門VanderbiltにDLとして入学し、そこからOTにポジションチェンジ。
Vandyで合計4年プレーした(OTとしてはRT1年・LT2年で計46試合先発)が、DLだった初年度がRed Shirtsだったため1年残ったプレー資格を全うするべく、Vandy卒業後にアラバマ入り。
そしてLTとしてフル先発。
DLでSECのチームからオファーがあったことでわかるように、ゴリゴリのアスリート。
コンバインでは40ydsこそ走らなかったが、OGとしてなら相当のレベル。
Tyler Steen was drafted with pick 65 of round 3 in the 2023 draft class. He scored a 9.94 #RAS out of a possible 10.00. This ranked 9 out of 1423 OG from 1987 to 2023. https://t.co/ABW1rGjQkJ pic.twitter.com/wgWfmApokl
— Kent Lee Platte (@MathBomb) 2023年4月29日
OTとしても別に失格というわけではなく、技術的な課題があるということからトップクラスほどの評価を得られなかったとのこと。
長くなるので割愛すると、主に手の遣い方が未熟だとのこと。
まあね。4年しかOTやってませんから。
PHI目線で言うと、欲しかったのは左右のOTのバックアップとして計算できる選手かつRGコンバート初年度のJurgensの保険的役割。
どうでしょう。
技術的な課題はあるが運動能力が高いOLで、左右のOTを問題なくこなした経験が50試合近くあるという選手です。
これ以上ハマるピースがあろうか。
Bergeronを熱望したのも同様の理由で、かつLTとしての完成度が高そうだったから。
コンバインでもSteenのフットワークは良かった記憶があるし、Bergeron亡きいま、これ以上の選択肢はない。
Vandy卒ということで頭脳は折り紙つきだしStoutland Uに入学するには十分すぎる素質を持っていると言っていいでしょう。
Mailataも熱望している。
@ZzTylerzZ00 welcome to Stoutland U brotha! https://t.co/giX8lRNW7m
— Jordan Mailata (@jordan_mailata) 2023年4月29日
コンセンサスボードでは82位なので65位での指名はリーチと言えばリーチだが、とてもいい人選なので一切気にならない。
まったくナイスピックと言わざるを得ない。
是非4年後にはチームを支える存在になるか、チームに補償ピックをもたらす存在になっていただきたく。
応援しています。
Sydney Brown(Illinois)
若干抵抗感のあるファーストネームだがまあがんばって慣れよう。
5'9"(175cm)211lbs(96kg)という上背こそないががっしりした体格のS。
2022シーズンに大躍進したIllinois大の、特に一時期全米1位になっていたDefenseを、Devon Witherspoon(1-5でDET)やJartavius Martin(2-47でWAS)と共に後ろから支えた男。
3日目以降に落ちたRB Chase Brownを双子のどっちかに持つ。
アフロをヘルメットからなびかせたS、となると全NFLファンが期待してしまうこと必定。
こちらもIllinoisで5年間先発を務めただけありSteenを超える50試合先発という実績を持つ。
人間的にも明るくチームの中心になるタイプなのだそうで、その点でも安定感抜群のピック。
コンセンサスボードでは73位なので指名される位置としては妥当なのだが、層が薄いSプロスペクトのなかで、Antonio Johnson(TexasA&M)・Ji'Ayir Brown(Penn State→3-87でSF入り)、それこそChristopher Smith(Georgia)と彼より事前の評価が高いとされた選手がまだ残っているなかでの指名だったためやや驚いたのは事実。
彼の中に何を見たのか、ということだが今出ている材料は、Defenseの2線目以降なら大外CBを除くほぼ全ポジションをこなせるバーサタリティと、上述した選手が皆40ydを4.5台で走ったなか、彼は4.47というタイムだったという運動能力の高さがかろうじて挙げられるだろうか。
Sydney Brown was drafted with pick 66 of round 3 in the 2023 draft class. He scored a 9.68 #RAS out of a possible 10.00. This ranked 32 out of 957 SS from 1987 to 2023. https://t.co/3p0rHfAvsh pic.twitter.com/kabb3HOxWk
— Kent Lee Platte (@MathBomb) 2023年4月29日
まあなんというかわからないんです。
映像を観てもタックルが飛び込んでいくものばかりで不安定で、その小ささゆえにTEとのマッチアップはしんどそうだった、という不安があったため"獲るとしても4巡ぐらいで"という気持ちだったのがドラフト前。
言い過ぎたので補足すると、これでもあの時に4巡をはたいたK'Von Wallaceと比較すると圧倒的に素敵な映像を残している。
ただ、今ドラフトにおけるSプロスペクトのなかでもトップタイとなる通算10INTという決定力と、めちゃくちゃ幅広いポジションをプレーできる器用さというか使い勝手の良さと、運動能力(Ji'Ayir BrownとBrandon Josephも通算10INTだが彼らはコンバインで4.6台を出しちゃった)という天井の高さの合わせ技でここまで高い評価を下したということでしょう。
技術的な課題は直せるという判断だと仮定すると、考えれば考えるほどいい味がしてきた。
PHI的には長らくパッチワークを繰り返したSに、Wallaceでは失敗したがそろそろ長期的な解を出したいSに、運動能力とバーサタリティが高い選手を連れてこれたという点で見事にニーズを押さえた選手だと言えるでしょう。
個人的には"タックルの技術"と"ランサポートのルート"に改善の余地があると思っているが、逆に申し上げるとここさえ矯正出来れば行く末はTroy Polamalu。
人間性も高く評価されているのでちゃんとした指導を受けて、Edmundsを見習って、Blankenshipと切磋琢磨して、しっかり成長してくださいませ。
うむ。非常に楽しみになってきた。
2人ともデプス要員なんだろうがそこに止まらなそうな何かが感じられて非常に良いです。
層が薄いポジションにこんな的確な補強をするとは。
Rosemanお見事。2日目もあんたの勝ちです。
GoedertとDarnell Washingtonのコンビを観たかったという気持ちはちょっと薄まった。
指名権整理
<1日目>
1巡10位(←NO):DT Jalen Carter(Georgia)
1巡30位:EDGE Nolan Smith(Georgia)
<2日目>
2巡62位(→HOU)
3巡65位:OG Tyler Steen(Alabama)
3巡66位(←ARI:Jonathan Gannon):3-66 S Sydney Brown(Illinois)
3巡94位(→ARI:Jonathan Gannon)
<3日目>
4巡133位(→CHI:Robert Quinn)
5巡165位(→NO:CJGJ)
6巡188位(←HOU)
6巡208位(→JAX:Josiah Scott)
7巡219位(←MIN:Jalen Reagor)
7巡230位(←HOU)
7巡248位
3日目は4巡5巡と待ち時間が長くなりそうですが、188位は6巡の10番目なので結構早い予定です。
3日目の希望
まさかあの完璧な初日から、こちらのテンションを落とさない2日目になるとは思っていなかった。
今年のRosemanはひと味違う。
3日目に希望なんかありません。もうデプスは埋まりました。
足りないのはPと一芸WRとTEともう一丁OLぐらいでしょうか。
とはいえ好きにしてください。
お祭りもいよいよ幕。出来れば派手なピックをお願いしますね。
GO BIRDS!!