FA市場開場に向けて契約切れの選手たちへの何らかがそろそろ出てくるはずだが、出てきたのはAlbert-Oと1年契約を結びました、というどうでもいい話だけ。
あえて深掘りする必要もない。
それと、かわいそうなことにいつものように現地メディアにおもちゃにされていたA.J.だが、ラジオに出演して疑惑の火消しをしていたのでこれにて本件はこれにて落着。
A.J.はPHIにいる。ずっといる。
しょうもない人間はヒマだと本当にロクなことをしないな。
今回はケガ人の影響をモロに受けたCBポジションについてです。
開幕前の期待
開幕前の陣容は以下の通り。
OUT:なし
Stay:Darius Slay('20/Trade←DET)・James Bradberry('22/UFA/NYG)・Avonte Maddox('18/4巡)・Zech McPhearson('21/4巡)・Josh Jobe('22/UDFA)・Mario Goodrich('22/UDFA)
IN:Kelee Ringo('23/3巡)・Eli Ricks('23/UDFA)
<途中加入>Bradley Roby('23/Street FA)・Josiah Scott('23/Street FA)
<まだ見ぬ何か>Isaiah Rodgers('23/Street FA)
1年契約だったBradberryと、最終年を迎えるところだったSlay。
なんなら両方出ていきかねない様相だったが、蓋を開けてみると一転して両残り。
ということで流出なし。
加えてドラフトではRingo、UDFAでRicksを加えることができたという最高のオフに。
先発から控えまで、完璧に揃った気がしたし、穴などないと思っていた。
が、暗雲はプレシーズンゲームでのMcPhearsonの離脱から形を持ち始めていたようです。
CB(7)
DTとならんで人数過多なポジション。
Desai Defenseの生命線なのか、あるいはほかの理由があるのか。
後者ではないかと踏んでおります。
#2 Darius Slay(Mississippi State)6'0"(183cm)190lbs(86kg)32歳 11年目(11.8M・1/3・20-T-DET)
2022:17試合(先発17試合)55タックル(40ソロ)3INT 14PD
契約も延長してくれた頼れるアニキだが、衰えの気配が見えてきたのも事実。
衰えというと誤解を招きそうだが、ネックは体力的な問題。
パフォーマンスを落としていた2022シーズン終盤には"長いシーズンだよ"という発言もしていたようなのでブリーザーは絶対に必要。
そういう意味でもCBは多めに確保しているものだと理解しております。
ただ、Slayが精神的支柱だということは事実なのでそう簡単に下げるのも難しい。Desaiよ。がんばっていいかじ取りをするんだ。
今季も難敵ぞろいだが、まずはWeek2のJeffersonから。昨季の再現をひとつよろしくお願いします。
#24 James Bradberry(Samford)6'1"(185cm)212lbs(96kg)30歳 8年目(3.1M・1/3・22-SFA)
2022:17試合(先発17試合)44タックル(39ソロ)2TFL/3INT 1Pick6 17PD
マンツーマンが苦手、という触れ込みだったが蓋を開けてみるとなんの問題もなかった。
シーズンを通してみるとSlayより安定していた印象まである。
心を打たれたのがSBでのホールディング。
そもそもあの一つのプレーが敗因なんてことはないんだが、それでも責任は自分で背負っている姿にはグッときた。
それが残留してくれると。3年もいてくれると。
ありがたい。
今季はSlotに入ることも多くなりそうで、モンスターTE(Kelce・Kittle・Waller)を消すというお仕事も追加されそう。
これこそがこの男の本領であろうと期待しているところ。
あまりに寡黙で、試合中にマイクをつけても何もしゃべっていない時間がただ続くだけという職人。
今季もいい仕事を期待しております。
#29 Avonte Maddox(Pittsburgh)5'9"(175cm)184lbs(83kg)27歳 6年目(4.1M・2/3・18-D4-125)
2022:9試合(先発8試合)43タックル(28ソロ)3TFL 1.0サック 2QBヒット 1INT 3PD 3FF
2022シーズンはターフトゥだったかに泣かされて思うようにプレーできなかったが、負傷前もややオーバーアグレッシブで安定感を欠いていた印象がある。
実は契約も結構危ない気がしており(2024シーズンのキャップヒットが10Mに達する)、後進が順調な今、2023シーズン次第ではさよならとなる可能性すらある。
勝負の年。がんばってください。
#28 Josh Jobe(Alabama)5'11"(180cm)190lbs(86kg)25歳 2年目(0.9M・2/3・22-UDFA)
2022:11試合(先発0試合)
2022シーズンはDefenseスナップ12とほぼお目にかかれなかったが、キャンプを通してここまで順調に経過。
STでの期待が高く、Sirianniからも名指しで期待する選手に挙げられていた。
Slayのブリーザー候補1番手でもある。
出番が増えそうで楽しみなシーズン。
#22 Kelee Ringo(Georgia)6'2"(188cm)207lbs(94kg)21歳 ルーキー(1.0M・1/4・23-D4-105)
2022:なし
荒削りで時間がかかると思っていたが、キャンプ前の練習動画の時点で課題のフットワークはすでに滑らかになっていた。
不思議なものである。
プレシーズンゲームも悪くはなかったが、まだまだ課題はありそう。
だがここまでの成長は順調。
大丈夫、勝負は来年以降だこの調子でがんばりたまえ。
#31 Mario Goodrich(Clemson)6'0"(183cm)186lbs(84kg)23歳 2年目(0.8M・2/3・22-UDFA)
2022:なし
Maddoxの控え1番手。
プレシーズンに出てくる選手相手ではさほど欠点が見つけられなかった。
非常にいい成長だと思います。
どうせMaddoxはそれなりにケガするので、ぜひ昨季のJosiah Scottとは違うというところを見せていただきたく。
#39 Eli Ricks(Alabama)6'2"(188cm)188lbs(85kg)21歳 ルーキー(0.8M・1/3・23-UDFA)
2022:なし
世代No.1 CBだった高校時代からルーキーイヤーのLSUでは"Pick-6-Ricks"として名を馳せたのにドラフトにもかからなかったのは、最終年Alabamaでのパフォーマンスの悪さでしょうね。
それに加えて運動能力も低いとなればなおさら。
ただ、Pick-6を挙げたプレ初戦もそうだったが、リアクションは悪くないし読みも悪くないしで今のところいい買い物に見える。
ロスターには残れた。
ガリガリでSTでやっていけるかわからないが、まずは試合に出るというところから始めていきましょう。
53ロスター紹介2023 - 鷲の巣
結果
(数字はレギュラーシーズンのみ)
*Darius Slay:プロボウル選出
計算が狂ったのはMcPhearsonのプレシーズンゲームでのアキレス腱断裂に加えてWeek2に発生したMaddoxの大胸筋断裂での長期離脱。
Slotの控え筆頭とスターターが相次いで離脱したことによりここは計算ができないUDFA2年目のGoodrichしかいない状況に。
そして当然のことながらそんなGoodrichでJustin Jeffersonを止められるわけがない。
途中出場してJeffersonにやられ続けた姿を全米に晒したWeek2の39スナップがシーズン全体の半分以上を占める信用のされなさで、結局シーズン中にカット(その後PS入りして現在もFuture-Contractでロスターにはいる)。
NCBと呼ぼうがSlot CBと呼ぼうが、中にも外にもReceiverを抱えるこのポジションは、アサイメントもたぶん複雑なはずで、両隣と後ろとの関係の成熟もたぶん必要なはず。
そんなポジションの戦力を9月に失ったダメージは相当に大きかった。
対処療法として、キャンプからSlotの練習を積んでGoedertを封じたことで対TE用というか対Travis Kelce用CBという期待を背負っていたBradberryのSlot起用の機会を増やしてみたがあまりしっくりこず。
一応の解となったのがStreetから拾ってきたベテランBradley Roby。
だが彼もケガであっという間にいなくなり、離脱中はSのSydney Brownを使ってみたりBradberryに戻してみたりUDFAルーキーのEli Ricksを起用してみたりByardに任せてみたりといろいろやってみたが結局どれもしっくりこず。
復帰したBradley Robyも微妙な感じでいつの間にかシーズンは終わっていた。
あのRobyでさえ、結果的にはSlotで一番安定していたというのが衝撃の事実。
ここは紛うことなき補強ポイント。
Slotへの動員で割を食った形のBradberryは結果的にDefense最多スナップを記録。
お疲れさまでした。
Slotに加えてSlayもちょこちょこ離脱したこともあって、エースWRとのマッチアップが増えた今季はAll-Pro 2ndチームに選ばれた昨季とは比べ物にならないぐらいパフォーマンスを落とした。
原因が本当にわからない。
2022シーズンはその辺のエースWRでも寄せ付けなかった(印象がある)のに。
簡単に説明しようと思うと、まあ年齢からくる衰えということになるんでしょうか。
今季も"全然ダメ"というものではなく、"悪くないけどちょっとずつ惜しい"というものだった。まあ1年前と比べて最後のところが届かなくなってきたのだとしたら、それを衰えと呼ぶんでしょうが。
PFFのマンカバーにおける評価が100点満点で"34.9"という大赤点(24/34 70.6% 7TD 0INTでRating141.5という惨状)ではさすがにできる擁護にも限界があるというもの。
(ちなみに、2022の同指標は67.6というそれなりの成績)
衰え×Slayの稼働減によりマッチアップ相手が凶悪化=悲惨な成績
といったところだろうか。
大好きな選手だっただけに残念でならない。
Slot起用については個人的にも熱望していたところがあるのでなんとも言えないが、あれだけうまくいかないとなるとやはり失敗だったということになるんでしょう。向き不向きというのはわからないものですね。
Slayは、さすがに年齢のこともあるし一時期よりは衰えたんだろうが、それでもまだ十分な存在感とその技術。
しかしBradberryほどではないにしてもマンカバーではやられていた。
こちらもPFFの評価は前年の72.1→42.7という急降下を見せてはいたが、Zoneカバーならまだイケるので大丈夫。たぶん。
全般的に2021・2022よりパフォーマンスを落としたのは間違いが、あと1年ぐらいなら期待できそう。
33歳で迎える2024シーズンは、本人も匂わせているように恐らくラストイヤーとなる。
デカい花火をよろしくお願いします。
明るい話題は、やはりしわ寄せを食らった若手の成長。
特に最終盤に半先発っぽい使われ方をしていたKelee Ringo。
だいぶスリップしたため2024ドラフト3巡を差し出して4巡で獲得した素材だが、今ドラフトの3巡と比べるはさすがにかわいそう。それぐらいには成長してくれた。
ただ、現時点でいきなりSlayの相方として独り立ちさせられるほどの能力があるのかは正直よくわからぬところ。
イケていた試合もあったが、Wild Card RoundではMike Evansにちょくちょくやられていた。
まあSlayとかBradberryでもやられてたので一緒と思えば一緒だが。
とはいえ2024シーズン開幕から先発確定とはとても言えない出来だったはず。
課題は明確で、マンカバー(PFF指標:37.5)。
Josh Jobeも非常に良かった。
こいつはRingoとは逆にマンカバーはできるけどZoneカバーが出来ない体質。
ランストップとタックルがアレなのでスターターとして置くにはどうしても怖いが、まあいいバックアップになるべくあと1年がんばってください。
意外なことにこの面々で3番目に多いスナップ数を任せられたのがUDFAルーキーのEli Ricks。
UDFAルーキーだという色眼鏡の度数強めで見るなら相当に良かった。
特にカバーは、運動能力の低さを思わせない勘の良さだった。まあたまにはちゃんとやられていたが。
しかし課題はタックル。
そのガリガリの身体では難しかろうと察するところではあるが、さすがに20%近いミスタックル率は酷い。
メシ食え。
Maddoxは2年で21試合の欠場。
若いころからよくケガはしていたが、2021シーズンは完走もしていただけにそういうのは収まったと思っていたが。
これほど計算できない高給取りもいなかろう。
そしてプレー面も、微妙のひとこと。あんなにパスカバー下手だったっけな。
PHIでの将来はだいぶ怪しくなった1年であった。
来季に向けた展望
6/1以降のカットでBradberryの2024のデッドマネーは4.3Mになるらしい。
もはやPHI現地ではこれが既定路線という言いぶり。
まあ強くは反論できない。
さようならということになろう。
その他のカット候補は、Avonte Maddox。
2024シーズンのキャップヒット9.7Mを考えるとリリースしたいところ。
ただ、Bradberryに加えてCox・BG・Kelceといったベテランどころの動向が不明なため、6/1指定カットの2枠を両方CBで使い切るかが不明。
ペイカットの上で残す、という方法はあるんだろうが、ペイカットという手法をRosemanが使っているところはあまり見たことがないし、何よりアキレス腱断裂から復帰のZech McPhearsonや、コミッショナーお仕置きリストにいるIsaiah Rodgersという面々を見てみたいという気持ちが強い。
今季のパフォーマンス、ケガに弱いという体質と来季開幕時点で28歳という年齢も、すべてが放出という方向を指している。気がする。
Slayはたぶんラストイヤーになるはず。がんばれ。
Robyはチームの苦境においていい仕事をしてくれました。できればケガ無しVersionも見てみたかったがこれはかなわぬ願い。ありがとうさようなら。
では補強ポイントについてだが、まずはBradberryが空く外CBの先発ポジション。
Kelee Ringoで、と言いたいところではあるが、もうしばらくSBを狙い続けなければいけないチーム事情を勘案すると不安でしかない。
やはりFA補強ということになるでしょう。
そしてKCが教えてくれたSF対策が、マンヘビーDefenseだった気がしている。
マンツーマンができるメンツが絶望的に欠けている今、これを放置することは許されない。
ちなみにMIAを先ごろカットされたXavien Howardは、Fangioとの関係がアレなので断じて候補者ではありません。
相方のRamseyが怒っていたのが、"Howardは最高なのに遣い手がクソだった"というもの。
Howardの成績を見ていると、2022シーズンからZoneカバーの方が得意っぽい様子が見えていて、2023シーズンも同様(だいぶZoneカバー多め)の使い方をされていたはずなのになぜか成績をだいぶ落としていらっしゃる。
それがFangioのせいだというのがRamseyの言。
真偽は不明だしどうでもいいが、Howardだけは来ない。
現状、PHIメディアで最右翼、正しくは一番熱望されているのが、KCからUFAとなるL'Jarius Sneed。
KCの場合はChris Jonesもいるので延長は難しい気がする(本当のところはわからない)し市場に出てくることはありえそう。
Sneed獲得に走ることへの異議はない。いけRoseman。
長期的にみると微妙に価値が下落しているように見えるCBポジションだが、サラリーキャップが急増したことにより、見た目上の金額も、現役最高額のJaire Alexander(GB)の21M/年を超えてきそうな気配。
25M近辺の勝負になるでしょうか。
がんばれRoseman働けRoseman。タグ貼られたら泣く。
しかし仮にSneedが獲れたとしても長期的なCBポジションに関する回答にはならない。
今度はSlayがいなくなるから。
ここ補うためにはこの1巡でのCB指名は必須。
現時点ではあまり調査できていないので、Top5評価を受けている候補者5人を並べるにとどめておきます。
Nate Wiggins(Clemson)・Kamari Lassiter(Georgia)・Kool-Aid McKinstry(Alabama)・Terrion Arnold(Alabama)・Quinyon Mitchell(Toledo)。
まあ各チームこの5人のうちのどれにするのかで悩むのでしょう。
マンツーマンがうまそうなのは、Wiggins→Lassiter→Mitchellなような気がしているのでその順番を所望いたします。今は。
なんだかいつぞやのWR5人の序列で悩んだドラフトのようだな。
あの時のRosemanは確か…Jalen Reagorさんという方を選んだんだったかな。
彼はどうなったんだったかな…
プロとしての矜持、そのキャラクター、どれをとっても一級品であるSlayがいるうちにCB大国の礎を築かねばならない。
そういう意味ではラストチャンス。
FA+もう1本の柱が必要になる。
Rosemanよ、苦手分野であることは承知しているが、ドラフトでは頑張って当てたまえ。
くれぐれもReagor over Jeffersonの二の舞にはならないように。