FA第一波が大体終わった頃でしょうか。
ほぼニーズが埋まりかけている感じですので振り返ってみます。
非常に気にいらないトレードも起こっております。
二日目以降のショッピング
Huff・Barkley・Baunが初日の買い物。
それ以降について。
その1:プレーメーカーの帰還
S C.J. Gardner-Johnsonと3年最大33Mにて契約。
2022シーズンにビッグプレーを大量に決めて非常に効果的な補強となったCJGJがPHIに戻ってくることに。
大変喜ばしい。
1年前はビッグマネーを期待していたCJGJ側と、キャップ都合でデカめの契約を提示できなかったPHI側が折り合わず、CJGJはDETへ。
その際にCJGJのエージェントが(詳細は覚えていないが)余計なことをTwitterに投稿してPHIファンにバカにされ、CJGJ自身もPHIファンに"不快だ"という旨の発言をしていた。
それから1年。
PHIはDefense側のビッグプレー不足に悩まされ、CJGJはケガもして冷静に自分を見つめなおした。
そしてこの度、晴れて双方が歩み寄っての長期契約締結へ。
あの別れも必要なものだったのだと思いましょう。
CJGJ自身もPHIファンには正式に謝罪していたし、現地ファンもそれを受け入れて両手を広げてこのやんちゃ坊主の帰還を歓迎している。
実によろしい。
こいつがFangioにどう使われるか楽しみでならない。
そして2022シーズン中は散々CJGJにイジられ倒していたBradberryにどんな好影響があるのかも。
懸念はケガ。
何もないことを祈っております。
実に喜ばしい。がんばってください。
その2:的確な穴埋め
Kelceの引退とOpetaの契約満了で頭数が足りなくなっていたIOLに、2020ドラフト3巡78位でTemple大からATLに指名されたキャリア22先発の26歳を補強。
前職のATLでは2021シーズンにCとして全17試合に先発。
開幕PHI戦の映像を見返したが、HargraveとRidgeway相手に疎漏なく1試合を務めていた。
というかあの時のDefenseが弱すぎる。
LGとしても3試合の先発経験があるバーサタリティの持ち主で、Temple大時代に仰ぎ見たPHIへの加入に興奮を隠しきれない様子。
ATL時代のキャリアを狂わせたケガさえなければ相当に優秀な選手のはずで、Steenが思いのほか伸びなかったりJurgensの数試合の負傷離脱時には頼りになりそう。
経験とデプス不足のIOLには実にいい補強だと思います。
その3:激安デプス要員
WR DeVante Parkerと単年契約。
2015ドラフトの1巡全体14位指名は6'3" 212lbsと大型のWRで長らくMIAのパスオフェンスを支えた御仁。
31歳という年齢から分かるように、峠は過ぎている。
それでも2023シーズンは33回394ydsとPHIのWR3であったOZよりは見栄えのいいスタッツを残している。
セパレートydsでは2023シーズンだったかでリーグワーストの数字を残しているとの報道も出ていたが、その分コンテストキャッチは強く、フィールド中央で輝くタイプでもある。
NE時代はあまりSlot起用されていないが、MIA時代はSlotとしても有能だったはずなので、PHI Offenseとしても幅は広がりそう。
まだ見ぬドラフト下位指名のWR3に背中を見せる係としては最高ではないでしょうか。
4.69Mの契約の大半を、リリースしたNEが持つようなので、PHIの負担は実質たったの1.2M。お安い。
なお、DeVontaとややこしくなるため、こちらが先達ではあるものの、DeVante呼びは避けてParker表記で行きたいと思います。
その4:微妙な先発確保
LB Devin Whiteと単年最大7.5Mにて契約。
2019ドラフト全体5位で指名されたスピード狂のLB。
特技は明確で、そのスピードを生かしたBlitz。
キャリア5年合計23サックという数字にそれは現れている。
反面、その小さい身体(6'0 237lbsなのでほぼDean)から想像がつく通り、そしてドラフト時から不安だったように、ランストップができない。
正しくはOLと勝負してブロックを外して、というのが苦手。
そしてパスカバーも勘は良くない。
SB制覇した2020シーズンはTodd Bowlesにうまく使ってもらえて140タックル15TFL9サックという数字を残す大活躍だったが、とはいえTBでは横でずっとLavonte DavidというレジェンドがDefense全体の舵を取っていた。
事実、今オフもTBが残したのはもう34歳になっているLavonteの方で、Whiteではない。
そういった点で、UFAになるのは知っていたがそもそも欲しい人リストには最初から挙げていない。
そんな御仁が来た。
テンションは上がらない。
運動能力の割に上手くないLBに、果たしてここから上がり目はあるのでしょうか。
SFに行ったDe’Vondre Campbellで良かったじゃないか、Whiteに7.5M払うならCunninghamと再契約で良かったじゃないかという気持ちは全く消えない。
とはいえ、2024シーズンにおける最低限の先発要員は確保。
これで2巡ぐらいでEdgerrin Cooperを確保できればシーズン中に先発交替が発生する(予定)。
万能LBを長期契約で囲うのではなく、単年契約でWhiteを獲ってきたということはまだDeanに期待しているということで間違いないんでしょう。
ドラフトに向けて、最低限のお仕事ということではOKだと思います。
その5:STer補充
LB Oren Burksと単年最大2.5Mにて契約。
2018ドラフトの3巡指名ももうすぐ29歳。
LBとしてはプロ入りのGB以来一貫してバックアップ。
STerとしては有能。
ということで先ごろ契約したZack Baunと似たような動き。
Shaun Bradleyとは本格的にお別れの気配。
LB補強しろとは言ったがバックアップばっかり集めろとは言ってないんだがな。
まあDeanのケガグセを考えるとそれぐらいはしておいた方がいいか、という気持ちもある。
流出と引き留め
思わず空いた穴
TE Jack StollがNYGへ。
UDFA入団後3年経過して契約満了となっていたStoll。
この場合ERFAとなるため、PHIがテンダーオファーを出せば残留はほぼ確定だったのでその線で進むと考えていたのだが、どうもPHIはテンダーオファーを出さなかった模様。
これは残したくないから、というものではなく、テンダーオファーもそれなりに高値になるため、それを嫌った場合Rosemanがよくやる、一旦FAにしておいて安価で契約しなおす動きをしようとしたところ、オファーがあったNYGが選ばれたということだとの現地の推測。
まあそうなんでしょう。
NYGはどうもTE1 Darren Wallerの去就が定かでない様子で、引退まであり得る情勢とのこと。
TE2としてはDaniel Bellingerを2022ドラフト4巡で獲得済みではあるが、彼一本となると不安が残るところ、デプスの補強が必須だったというのが実情のよう。
果たしてそこに獲るのが3年20捕球183ydsのStollで正しかったのかはよくわからないが、GoedertがケガしたとてA.J.とDeVontaがいる中でHurtsからあまり投げてもらえていなかったというStollなりの不利はあるので、ポテンシャルはもう少し高いとNYGでは読んだのでしょう。
まあなんだか嫌な気はする。
ということで想定もしていなかったTE2、できればブロッキング寄り、という穴が空きましたのでドラフトでのチェック対象が増えた。
Goedertの契約が2025シーズンまで、というこのタイミングでのTE指名は、上位なら間違いなく後継者を見据えた指名になるはずで、コンバイン時点では見向きもしなかったTheo Johnson(Penn State)も視野に入ってくる。
イチ推しがブロッキングオンリーのTip Reiman(Illinois)だということは一切揺らいでおりません。
その他、IOLにおける有能バックアップとして数年機能していたSua OpetaがTBに1年契約で拾ってもらえたとのことで流出が決定。
不満がないことはなかったが、ピンチヒッターとしては何度も助けられました。どうもありがとう。
長期契約をもらえるように頑張ってください。
そういえばMariotaは同地区のどこかに行った。詳細は忘れたが、PHIにもういないのは確か。
ST陣への報奨
暗黒の2023シーズンにおいて唯一働いたST陣への報奨が続々。
だいぶ前に発表されていた、STC Michael Clayとの契約延長に続き、以下が発表され、STの核はしばらく維持されることが決定。
大変喜ばしい限りです。
- P Braden Mannとの2年契約を締結。
内容は2年4.2M、最大5Mというもの。
昨シーズンのPunt Coverの改善を思うと非常に安い買い物。
大変よろしい。
- LS Rick Lovatoとの1年契約を締結。
数少ないSB戦士でもあるLovatoとは詳細不明ながら1年の契約延長。
2023シーズンではFumble Forceを1つ記録したガッツの男。
この"1FF"という記録は、Dean・Shaq Leonard・Cunningham・Byard・Blankenship・BG・Nolan・Bradberry・Slayよりも多いという特筆すべきもの(皮肉)。
彼に関しては一切の不満がない。
今後もいいスナップをお願いします。
- K Jake Elliottとの契約を延長。
ここ2年間好調が続いているElliott。
2024限りとなっていた契約をこの度4年24Mにて延長することが確定。
これにてElliottの6M/年という給与水準はリーグ最高給かつリーグ最高Kの呼び声高いBALのJustin Tuckerと並ぶことに。
世代交代といこう。
当然の引き留め
DE Josh Sweatとの契約再構築完了。
当たり前だよ。
Sweatは出さない。
Reddickともどもトレード先探しの許可を得ていたというニュースが流れていたSweatだが、どうやら保証額がゼロだった2024シーズンの契約内容についての交渉が行われていたようで、そのなかでのトレード先探しだった様子。
それが、山ほどの問い合わせを受けながら、結局Rosemanのお眼鏡にかなうオファーはなかったようで、2024の契約を一部見直して保証額をつけることで話がまとまったとのこと。
この時点で契約延長まで行かなかったのがなんとも悲しく、いよいよPHIラストイヤーの予感。
寂しいことこの上ないが、次なる大型契約のため、死にもの狂いで2024シーズンは働いてくださいませ。
ちなみに、Reddickに関する続報はまだない。
意味不明な動き
Trade
<Trade!!!!>(以下、差し出したもの)
PHI:2024 3巡(98位)+2025 7巡×2⇔QB Kenny Pickett+2024 4巡(120位):PIT
意味がわからぬ。
安いバックアップQBが手に入ったという点ではいいのだが、気に入らないのがそいつのメンタルと実力と、なにより対価。
たけえ。
Pickettといえばドラフト最下位指名Brock Purdy以外のQBの不作が明らかになりつつある2022ドラフトにおける唯一の1巡指名QB。
ドラフト前からRosemanが気に入っている素振りを見せていたのは覚えている。
もうPHIの選手になっちゃったので遠慮なく書き殴るが、PITにRussが来ると決まって以降、Pickettはそれを飲み込むのにだいぶ苦労していたと聞く。
平たく言うと、めちゃくちゃ不満げだったとか。
2023シーズン終盤に足首のケガもあってMason Rudolphに先発の座を奪われたときも"いつもと違ってサイドラインから試合を観ることでなにか学ぶものはあるか?"というごく一般的な質問に対しても、冷たく"No"という受け答えをしちゃっていた。
そうなんだろうよ内心は。ケガで焦る気持ちもあるだろう。
だけど外に対しては何かポジティブな発信をすべきなのではなかろうか。
自身をリーダーだと思うならなおさら。
というか普通に学べよせっかくの機会なんだから。
PHIでは山ほどそんな時間を過ごすことになるんだよ。
こういったプライドだけ高くなっちゃったメンタル面の幼さもあって今回のトレード(リリース)となったのでしょう。
その性根を叩き直さないと先はない。
少年時代からの憧れのEagles加入。精一杯がんばってください。
がんばるなら応援する。
応援はするが、出番がないことは祈っている。
対価
このトレードにおいて一番意味不明なのがその対価。
なけなしの3巡を、Hargraveが置いていってくれたなけなしの3巡を、こんな何者でもないのにのぼせ上った若僧に使ったことが一番意味不明。
さらに翌日に出た"Justin Fields、2025の6巡の対価でPIT行き"というニュースが苛立ちをさらに加速させる。
こっちで良かったろうが。
PickettとFieldsは、QBポジションでそれなりに先発経験があって一度挫折した者同士ではあるが、最大の違いはPickettの方が最初の契約が1年長く残っていて、指名順位がちょっと低いためちょっとサラリーが安い(P:2.0M・2.6M/F:3.2M)、ということぐらい。
傑出した脚力を持つFieldsと比較すると、パスは若干マシな気もするが局面を打開する力はPickettが現時点では劣ると言わざるを得ない。
そんな選手にこの対価。
CHIは足元を見られすぎだしPHIは気前よく出しすぎだし。
本当にPITは上手いことやったな。
と、「3巡を差し出す」という衝撃に引っ張られ過ぎたのでここまで書き散らしたあとで冷静に見れば、ほぼ4巡の98位と120位のスワップ。
ということでバリューチャートを確認したところ、両者の価値の差分はおよそ120位の価値そのものに当たる。
ということで、PHIは4巡中位指名権を出して、2年弱の先発経験があり、Fieldsより数ヶ月年上の、Fieldsほどではないが伸びしろがあるかもしれないQBを2年間確保したことになる。
さてあなたはどう思うでしょうか。
こう考えると飲み込めそうにはなるが、私はそれでも高い気がしてならない。
しかしまあこの4巡でQBを指名されたら間違いなく発狂していたはずなのでもしかしたらまだましなのかもしれないと思い込もうと努力している。
QBの序列は微動だにしない。
あくまでもこいつの加入はバックアップとしてのものでしかない。
ただし成長してもらうことも絶対に必要。
このQB2獲得の動きのゴールは、何等かの事故あるいはPHIのお披露目がうまくいったとして、こいつが2年後のオフに補償ピックを得られるほどの契約を獲得できること。
それ以外の成功はあり得ぬ。
Sirianniよ、性根を叩き直せ。Kellen Mooreよ、奥義を伝授してやってくれ。
Pickettよ、HurtsとSaquonに挟まれてスクワットしろ。
己の小ささを自覚するうえであれほど効果的なものはなかろう。
現在のデプスチャート概観
明白だったとはいえ補強ポイントがRoseman目線とほぼ違っていなかったということはうれしい点。
徐々にあいつの思考が分かってきた。実生活においては何も生きない能力の筆頭である。
Offense
QB2とWR3の穴は埋まったのでいまからでも開幕はできるが、代わりに空いたTE2の穴をどうするか。
なんとなく、バランスを考えるとここにはブロックが出来ないCalcaterraとAlbert-Oではない誰かを入れるのが正解っぽい。
とはいえTogiaiではない。
となるとドラフトせざるを得ないでしょう。
OT・IOLにそれぞれ穴がまだある。
Driscollの行き先が決まったというニュースは聞かないが、もしかしたら呼び戻しておいて一旦陣容を整えておくという動きはあるかもしれない。
なくても困らない。
とはいえこのLaneの控えに1巡を突っ込むという現地のバカどもの発想には一切同意できない。
OTの穴は本当に空いてから1巡上位を使って埋めればよい。
それ以外の動きは悲劇しか生まないのでDillardを思い出せRosemanよ。
Defense
こちらも一応開幕はできる。
ただ、DTのデプスを補う動きはもう少しあってもいいはず。
やっぱり若すぎる気がする。
RosemanがEDGEばかり膨らませているのもこうしてみるとよくわかる。
SweatとBGとReddickが今季限りだと思うとHuffとNolanだけでは到底足りないし、やはり3-4 DEっぽいSweatの後継者の指名は必須だな。
1巡22位では迷うことなくDarius Robinsonに行きなさい。
くせえ疑惑2発
タンパリング疑惑。
Saquonとの契約交渉において、合法タンパリング期間に交渉がまとまったことは良いのだが、その過程においてRosemanからSaquon自身に直接電話があった、というのをPenn StateのHC James Franklinが"BarkleyはRosemanと話してPHIエリアに戻ることを優先したらしい"と言ってしまったことが今回の疑惑の発端。
とはいえ正式契約時の記者会見でこの疑惑はSaquon自身が明確に否定。
なんでもPhiladelphiaエリアからの一般的な売り込み電話、それをかけてきた電話の主がEaglesファンだったということまで含めて一般的、に関する話をしていたのが変な形でFranklinに伝わったのだそう。
日本語にしていて自分でもよくわかっていないが、Saquonも明確に説明していたようなのでたぶん大丈夫。
そんなことよりSaquonがいかに酷い環境で飼われていたのかというのが下の図。
右に寄るほどチームのブロッキングがよく、上に行くほどラッシングがよいということだそうです。
Rushing Yards Over Expected (given defender location at handoff) versus team run block grade
— Computer Cowboy (@benbbaldwin) 2024年1月9日
Achane is back to break our charts; CMC good pic.twitter.com/1sPAPGgwZu
どうでしょう。
一番左の環境にいた男がSwiftと入れ替わることになる。
興奮しないわけにはいかない。
早く開幕しろ。
2発といったからにはもう1つなければおかしい。
というのが、あまりにもスムーズに公表されすぎたDC Vic FangioのPHI入りの件も、Saquon同様にタンパリングの調査対象になっているとのこと。
こっちはニュースが出たタイミングからEaglesファン目線でも怪しかった。
1巡指名権剥奪だけないようにお願いしますGoodell様。
Pickettトレード以外は総じて理解できる、間違えた結構満足できるオフを過ごしているはず。
あとはDTのデプス要員だけのはず。
早めにいい選手を拾ってきてください。