鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

Sidney Jonesから得た教訓

現地水曜に定例のドラフト前記者会見を実施しておりましたので、そのあたりのニュースを中心に。

そろそろドラフト本番だがあまりにもニュースがないのでThibodeauxのこととか調べてみました。

今ドラフトの基本路線

現地水曜に定例のドラフト前記者会見を実施。
登壇者はGM RosemanとHC Sirianniの2名。去年はRosemanに対する”早く辞めろ”コールがPhilliesの本拠地・Citizens Bank Parkでも鳴り響くほどであったので、その声を抑えるためか、選手人事のトップであるAndy Weidlを同席させていたが、今回Weidlは出席せず。Rosemanの延命にも繋がった2021ドラフトはWeidlの作ったボードに従った見事なものだったが、このWeidlがいないということは何を意味するのか。今から怖くて仕方ない。

とはいえ、Rosemanは”ボードに従って”ということを再三述べていたのでまあDillard(残っているはずがないと思っていたのでロクに調査してなかったがスリップしてきたのでトレードアップして飛び付いた結果バスト)とかReagor(ボードではまだのはずだったがRosemanがMINへの嫌がらせのためなぜか指名した結果バスト)のような悲劇ははなさそうだと信じている。
100万回述べていた”ボードに従う”ことと”Dillard・Reagor”との違いは、まあ簡単に言うとニーズに流されない、ということだと理解しており、”リーチはしませんよ”という決意表明だと理解しているところ。
もちろんそのボードの上位からQBとOTがちゃんと抜かれているかは知る由もないが。

そして、それに加えて印象的だったのが、”全ポジションを改善させる”ということと、”キャラクターが大切”だということ。前者は前述した”ニーズに縛られない”という信念の補強だと思うが、後者は成功した去年の路線の踏襲。
キャラクターの部分は、チームの土台が出来ているのでもうちょっと軽視する部分かと思いきや、やはりSirianniという人はこのあたりを重要視している様子。
NYGとかDALのようなフットボール以外のことに情熱を燃やすラッパーたち(NYG:Kadarius Toney・DAL:Kelvin Joseph)を指名して苦しんでいる同地区を見ているとこの路線は反対できない。
ちなみに、今ドラフトにおいて"ラッパー"という肩書を持っている有名プロスペクトはMarcus Jones(Houston)のみ。すごく欲しい選手。30-Visitで招待済みなのでこのあたりの人間性もちゃんと確認したのだと思っております。
チームメイトやカレッジ時代のHCからも評判は良かったようなのであまり心配はしていないが。
その他、無理矢理音楽関係で広げると、TulsaのChris Paul(OG)はミュージカル歌手。ちょっと素行不良とは繋げにくいが何となくフットボールとも合わなそうな気がするのは気のせいか。

Sidney Jonesから得た教訓

本題はこちら。上述の記者会見にてこの忌まわしきバストについて言及があった。それが”Sidney JonesとLandon Dickersonの比較”という文脈。

おさらいをしておくと、Sidney Jones(Washington)は2017のドラ2。ドラ1級の評価を得て順調にコンバインも経過したが、その直後3月初旬のプロデイにてアキレス腱を断裂。その分の割引で1巡からはスリップ。PHIが2巡43位で指名。その後2019までの3年間をPHIで過ごすが輝くことは出来ず。2021にSEAでプチブレーク。見事2022の契約を獲得。許せない。

Landon Dickerson(Alabama)は2021のドラ2。こちらも1巡級の評価で最終年を過ごしたが、2020年12月中旬のSEC Championship GameでACLを断裂。こちらもケガの割引で1巡からスリップ。PHIが2巡37位で指名。トレーニングキャンプ最終盤に復帰し、シーズン序盤からLGの先発に定着。慣れてきた中盤からはMailataと恐怖の左サイドを形成する大活躍。来季オールプロ(予定)。

この2名の差は、単純に言うと”負傷した時期”の差。もう少し言うと、負傷・手術から回復経過を評価する時間の有無。受傷時期からドラフトの間で言うと前者は1カ月強。後者は4カ月強。”このタイミングが違った”というのがRosemanの主張。

これを鵜呑みにして今年に当てはめるなら、”プロデイに負傷したDavid Ojabo(Michigan)はヤバくてシーズン最終盤に負傷してそれなりにリハビリが進んでいるJameson Williams(Alabama)はイケる”ということになる。
まあそう言うことなんでしょう。1-15でWilliamsという選択は十分あり得ます。Ojaboについても”経過がよくわからないから上位指名するにはリスクが過ぎる”ということだと思いますので下位なら何の問題もなし。

Deebo Samuel

記者会見の翌日、全国系記者が一斉に報じたところによると、”Deebo Samuel(SF)がトレードを希望している”とのこと。
そもそもDeebo(2巡)とAJ Brown(2巡・TEN)・Terry McLaurin(3巡・WAS)という3名のWRは2019のドラフト指名のため軒並み2022シーズンが4年目、つまり契約最終年となるため、彼らの去就は長らく注目を集めていたもの。
このオフにJAXとChristian Kirkのせいで不当なほど高騰したWR相場においてこの3名に加えてDK Metcalf(SEA)の契約延長が成されるか、それぞれどの程度の金額規模になるかというのはなぜか2019に2巡でWRを指名しておきながらWR不足にあえぐPHIファンにとっても重大な問題であった。

そして上に挙げた4名の中では、BrownのようにSNSのBioから所属チーム名を消すような不穏な動きをしていなかったDeeboとMcLaurinはすんなり延長するはずで獲得の選択肢から早々に消すべきではないかと思っていたところ。

それだけにこのニュースには不意を衝かれた。そしてその理由は、”金額云々よりこのチームでの使われ方が嫌だから出ていきたい(意訳)”とのこと。

そこで調べてみたが、2021シーズンのDeeboは77回のレシーブに加えて59回のキャリーで合計136回のボールタッチ。RBトップのHarris(PIT)の381回タッチ。WRトップのCooper Kupp(LAR)が149回タッチなのそこまで多い数字ではないが、SFのケガ人事情と合わせて押し付けられた感があったか。
本人もケガに強いタイプではないし傍から見ていてRB並みにさっさと選手生命終わりそうだと思っていたが、さすがに本人もこれは嫌がった様子。

各種妄想記事では一応PHIもトレードの候補には上がっている。
が、前述の記者会見でもドラフトの重要性は強調していたし、ないんだろうな、と思う次第です。

JJAW、TEに転向

旧ルールなら”(Deeboがつけている)背番号19が空く”ということにテンションは上がったろうが、背番号ルールが変更になってTEでも19をつけていい時代なので特にコメントなし。
いくらブロックが強いといってもそれは”WRとしては”というだけの話。球獲れないのは変わらないでしょうからシーズンインまでのリリースという路線に変更はない。

このニュースから教訓が得られるとしたら、”ダメなやつを3年間引っ張ったら誰も貰ってくれなくなる”ということ。そういえばSidney Jonesもそうだったな。
結論は、早くReagor売れ

Kayvon Thibodeaux

今後トレードが発生するにしても恐らくドラフト当日の周りの動き次第だろうし、全然30-Visitが明らかにならない(現時点で20名判明)し、

eagles-nest.hatenablog.com

はっきり申し上げてヒマだったので、何故Thibodeauxにスリップフラグが立っているのか調べてみた次第です。

Oregon入り

Class Of 2019における全米No.2プロスペクト。1位はNolan Smith(Georgia)、3位はDerek Stingley(LSU)。リクルートしていたのはOregonの他にAlabama・Florida・FSUなど錚々たるメンツ。
その中からOregonを選んだ理由が、Oregonの卒業生で最も有名な男であるフィル・ナイトの存在。Oregonへのオフィシャルビジットにおいて、Thibodeauxはナイキの創業者として知られるこの男に会ったことで大いなる刺激を受けた模様。
こういったオフフィールドのチャンスを重視してOregonを選んだというもの。

懸念

College FootballのNIL(Name,Image,Likeness)の世界では既にThibodeauxは超大物となっており、NFTアートの世界での前述のナイトとのコラボや、ユナイテッド航空とのコラボに加えてオリジナルの暗号資産の立ち上げとか手広く事業をやっている様子。

自身の高校時代の経験を通じて、”地域社会を変えていくための質の高い教育の提供”にも興味があるようで、こういう分野では同様の活動をしているNBAの先達・LeBron Jamesを尊敬しているとのこと。

懸念はつまり、”フィールド外のことへの興味が強すぎるのではないか”というもの。フットボールが二の次になっていしまうことへの懸念。
ラッパーたちと種類は違えど、懸念の種類は前述のラッパーたちと同じもの。

主張

フットボールへの情熱”という点について、本人は全く譲らない。
曰く、”ここに来るまでに経験した逆境、犠牲にしなければならなかったもの、俺がここにいるために母が犠牲にしなければならなかったものを知れば、俺の心の中を本当に理解してもらえるはずだよ”

高校時代、転校を経験した男は毎日80マイル(約130km)の距離を通学したこともあったようで、Thibodeaux本人の夢に向かってフットボールでステップアップしていくために母親が払った苦労についてはずっと心の中で大きな部分を占めている様子。

結論

賢い男なんだとは思う。
たぶん今は自身の拠って立つところが”フットボール”だということは理解しているはず。今は。
問題はこれがずっと続くのかどうか。
実際、全体2位を持つDETはThibodeaux指名に後ろ向きだという話も聞こえてきた。
仮に10位を外した場合、トレードアップしてまで行くべきなのか、さらに落ちてきた場合指名するべきなのか。悩ましい。

振り返ってみると、2021は勤勉さについてJustin Fieldsが、2020はリーダーシップについてJustin Herbertが、2018にはJosh RosenとかLamar Jacksonがそれぞれフィールド外のことで懸念を抱かれていた。その懸念が合っていた間違っていたは色々あろうが、まあこの時期の風物詩みたいなもの。

メディアに向かって、”好きなことを書けばいいよ。俺のフォロワーが増えるだけさ。”と嘯く男は果たしてどこで指名されるのか。興味は尽きない。