鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2022 NFC Championship vsSF感想

"Jesus replied, 'You do not realize now what I am doing, but later you will understand. ' "
(神は言った。'私がしていることを今はわからなくても、いずれわかるようになるだろう')
ヨハネによる福音書 13章7節

 

 

夢に見たほど劇的でもなく、さりとて無感動で過ごすのも難しいという微妙な温度の結果になりました。

 

とはいえ結果は最高のもの。

ここまで来たら内容よりも結果が大事だ、ということがすっかり頭から抜けておりました。

 

結果PHI 31-7 SF

 

祝!!!! NFC Champion!!!! SBLVII進出決定!!!!

 

展開振り返り

またしてもコイントスに敗北してPHI Offenseからの試合。
ここで最高のOffenseを見せる。

 

と言っても、デザインが美しかったわけでは断じてない。

美しかったのは、"どこまで来てもやることはレギュラーシーズンの試合と一緒"と語り続けたSirianniの心意気。
それが表れたのが自陣からの4th&3でのギャンブル。

 

戦前からHurtsスクランブルに出たら奥を狙えと言っていた。
それを体現したのはWatkinsではなくまさかのDeVonta。

 

それがこちら。

ちゃんと奥を狙ったDeVontaは素敵すぎる。
これが本当はドロップだった、みたいな話は聞きたくないし検証VTRなんか見たくない。
事実は、試合進行上このパスはコンプリートとして扱われた、ということだけ。

 

そして、ここからOL各位によるナイスブロックで導き出されたのは、TDという結論。

これがどれぐらい美しかったか、という問いには、以下の映像で答えるしかなさそう。
公開以来100回は観ている。

 

BGMをつけるとなお美しい。

 

そして狙い通り先制した直後のDefense。
その2nd&6。
このプレーで勝負は決した。

 

それがReddickのこのサック。

 

こちらで先方の先発QB Purdyは負傷。
"開幕シリーズが大事だ"
とは言ったが、まさか1Qの8分経過時点で先方のQBがいなくなるとは思ってもみなかった。

 

このプレーで、絶対にやってはいけないと試合前にSteichenに願っていた"TEをDE1に充てること"という禁忌を犯したのはまさかのShanahan。

 

誰か存じ上げぬが、Kittle以外のTEをReddickに当てていい結果が出るわけがない。
一発で仕留めたReddickは本当にナイス。

 

以降の先方のQBは4番手のJosh Johnsonになったり、Purdyは肘の靭帯を断裂していたりと、まあいろいろあったが実質は上記プレーにて試合終了。

 

QB3でここまでチームを導いたShanahanには脱帽しかない。

 

少々拍子抜けはしたが、結果はPHIの勝利。
伝説のSB52以来、5年ぶりのSB進出が決定。

 

 

対戦相手は、もちろんドラマ性でCINを上回るKC。

 

PHIファンが夢にまで見たAndy Reid Bowl。
初の兄弟対決となるKelce Bowl。
何より、Reidにはクビにされてしまった元KCのコーチであるSirianni Bowl。

 

いずれにしても、ただただ愛しかない組合せ。

 

Sirianniにゲータレードシャワーをお見舞いするベテランたちの映像も良いが、心奪われたのはこちら。

 

後列のおじさんたちがいたからPHIはたった5年でSBの舞台に舞い戻れた。
そして、そのおじさんたちが支え続けた土台に大輪の花を咲かせたのが前列のJalen Hurt。
そしてその仲間たち。

 

もはやいろいろな人が彼らへの愛を語っているのでこれ以上は重ねないが、本当に涙が出そうになるほど素敵な時間だった。

 

 

この日の勝者

NFLチームにおいて、そのシーズンが"成功した"と言えるのはChampionship出場からだと言われておりますので、この日試合をした4チームは2022シーズンを成功と見做してよいということです。
そういう前提に乗っかり、以下を綴って参ります。

 

  • Jeffrey Lurie
    言わずと知れたPHIのオーナー。
    この人がチームを買ったのが1994年5月。
    SirianniでHCは5人目。
    Lurieが選んだHCは全員がプレーオフ進出。
    そして、3人のHC・3人の先発QB・2人のGMを擁して3度目のSB進出。

    "強いチームを作るためには何が必要か"という問いはよくあるが、その選択肢はHC・GM・QBぐらいだろうと見受けられる。
    違う。
    強いチームに必要はのは、優れたオーナーシップです。
    まあファンからすると、オーナーなんて替えられない分フラストレーションを抱えてもどうにもならない相手なのでこういう考え方はストレスを溜めるだけなのでしょうが。

    Sirianni以下のコーチ陣を集めて"今季の目標は第1シード獲得"と高らかに宣言したのは開幕直前。
    見事に期待に応えたSirianni以下コーチ陣と選手たちは見事だが、最高のHCを連れてきた見る目と、常に批判に晒されてきたGMを信じ続け、そしてその男が信じた道を疑わなかったのはこの人の功績。

    3回目のSB進出、おめでとうございます。


  • GM Howie Roseman
    正しかった。
    十人十色のドラフト戦略にあって、一見すると地味に映る"全てはトレンチから"という思想の正しさが証明された。
    SB52の栄光から、"ダイナスティ"構築を目的とした間違った積極補強戦略およびCarson Wentzの契約延長と彼の崩壊、という一通りの挫折を経験して行きついたのが、"再建"ではなく"移行"という考え方。

    デッドマネー上等で働きの悪いベテランをカットし、ドラフトで若手を大量に指名。
    一方で給料は高くとも核になるベテランは残す、あるいはWentzで得たドラフト資産をもとに他チームの失敗を攫う(AJ Brown・Bradberry・CJGJ)、ということを繰り返したこの2年。
    ドラフトでは積極的(それぞれトレードアップしてDeVontaとDavis)に、FAでは慎重(買い叩けるまで粘ったKyzir White・Linval Joseph・Ndamukong Suh)に、振舞おうとしているさまがよく見えた。
    急遽のオールインとなった口火はAJのトレードだったと思うが、Bradberryにしてもストリートから拾ったDT陣にしても本当に良いお仕事だった。
    あんたはこの上向きの時期には最高のGMだな。

    だが俺たちは忘れていない。
    問題は、前回失敗したSB以降のチーム作りだよ。
    既にRobert Quinnという痛手(4巡指名権)を負っていることに加えて、Hurtsの契約延長問題やDefenseが軒並み(Sweat・Reddick・Slay・Maddox以外の先発全員)FAとなる今オフの舵取りは非常に難しそう。

    心の底から最高のGMだと思い込むにはこの時期をどう乗り切っていただけるかにかかっている。
    喜ぶな。働け。


  • HC Nick Sirianni
    あんたは最高だよ。
    Rosemanの仕事が正解だったと言えるのは、そもそもLurieがSirianniを採用したお陰。
    あのクセの強いおじさん連中がああも見事に心酔するとは想像すらしていなかった。
    これ以上の言葉はない。

    Sirianniさんへ。
    愛してる。
    PHIのHCになってくれて本当にありがとう。
    大好きだよ。

    だからあと1試合、いつも通り、毎日を大切にしてやるべきことをやって、長かったシーズン最後の試合に臨んでください。

    もう俺たちはこの船に乗ってしまった。
    船頭の言うことには絶対に従います。


  • QB Jalen Hurts
    そして物語は振出しに戻る。
    冒頭の聖書の一節を持ち出したのは、もちろん我らがQB Jalen Hurtsその人。

    曰く、全く歓迎されなかった2020年のドラフト2日目にもこの言葉を心の中で唱えたそう。

    あれから3年弱。
    予想外のドラフト指名により、街の誰からも歓迎されなかった男は、いつのまにかチームの支柱になった。
    チームの皆が、苦しい時に目で探してしまう、無くてはならない俺たちのフランチャイズQBになった。
    ファンが、このチームこそがアイデンティティだと信じる街の皆が、希望と共に声を枯らしてその名を叫び続けるヒーローになった。

    その人柄と誠実さとフットボールへの真摯さで周囲を惚れさせ続けたこの男の、それでも苦難に満ちたこの旅は、いったいどこまで続くのでしょう。

    願わくば、まずは一つの良い区切りを見たい。
    あの時、心からの祝福を贈れなかったうちの1人は後悔と共にそう想う。


    ちょうど1年前。
    DeVonta Smithの電話が鳴った。
    電話口には興奮したJalen Hurts
    "おい観たかBurrowの試合を。俺たちにだってできる。あの舞台に絶対に立つぞ。"

    まさかこれほどすぐにその日が来るとは思わなかった。

    Hurtsよ。
    俺たちのHurtsよ。
    SB出場を決めても、"まだ仕事は終わっていない"と真顔で語る俺たちのQBよ。


    愛してる。

    あの夢舞台で、どうか今出せる全てを出しきってほしい。
    どんな結果になろうとも、俺たちはあんたのことが大好きだよ。

    もうこのチームが行くことは到底ないと思っていた頂点の舞台。
    連れて行ってくれてありがとう。

    最初から信じてなくてごめんなさい。

    今となれば、微塵の疑いもなく信じられる。


    長い長いこの物語には、ハッピーエンドがよく似合う。