Sirianni解雇論が熱を帯びていたPHI界隈だったが、ある男が重い口を開いたことでそのムードは氷解。
最終戦に向けてチームはいいムードになっているそうですのでその話。
その男とはもちろんA.J. Brown。
彼が口を開いて事実を述べた途端、Sirianniへの逆風も見事に収まってしまったのが今週のハイライトでした。
A.J.を巡るあれこれ
A.J. DIVA論
今季は序盤にHurtsとサイドラインで言い合いになっていたりとちょこちょこ悪目立ちしていたA.J.の周辺がきな臭くなってきたのが12月下旬最大のトピックス。
そしてとうとう出たのが"A.J. DIVA論"。
Divaとはラテン語で歌姫という意味だそうだが、俗語としては目立ちたがりとか傲慢とかまあそういうニュアンスで使われている言葉。
きっかけはやはり連敗。
SEA戦の敗北以降勝ったNYG戦も含めてメディアへのコメントを拒否していたことに加えて、ARI戦での象徴的だったのがこのシーン。
4QのOffenseが見慣れたゴミシークエンスでFGに終わった状況でTVカメラが捉えたA.J.の不満げなボディランゲージ。
Eagles in FG range:
— Thomas R. Petersen (@thomasrp93) 2023年12月31日
- 1st and 20: QB run, 4 yards
- 2nd and 16: QB run, -4 yards
- BURN A TIMEOUT
- 3rd and 20: WR fucking screen
If this is Sirianni's offense, fire him. He's not qualified to design, run, or call an NFL offense.
AJ Brown knows it. The players know it.#Eagles pic.twitter.com/Dy2b2pDIUj
これが、"ゴミのようなプレーコールに対する不満"だと捉えられてしまったのがA.J.の不運。
そしてとうとう全米屈指のバカたちが動き出す。
それがPHI現地メディア。
賢明なる全国系メディアではほぼ報じられていなかったが、ARI戦の敗北を受けてPhiladelphia Inquirer誌という非常に質の低い新聞(全米で3番目に歴史が古い名門新聞社ではあるがいつもEaglesに関していらんことを書くでお馴染み)がとうとう"A.J.がロッカールームでトラブルの種になっている"と書き立てた。
これによっていよいよA.J.にPhiladelphia中の耳目が集まることに。
ずっと取材を拒否していたA.J.がこれらの周囲の状況に重い腰を上げて囲み取材に応じたのが現地水曜。
A.J.が語ったこと
多いのでざっと。
- このような状況になるまで口を開かなかったのは、勝てないタフな時間に何かを良くするためには仕事に集中するしかなかったから。質問に答えることでネガティブになりたくなかったし、そもそもメディア相手に口を開くほど発信に値するいいこともなかったから。
- だがあまりにもA.J.に関する質問が多いのでチームメイトがそれらに応えることになっていた。
そして、チーム全体が勝てないことへのフラストレーションを抱えているのに、記事になるのは"A.J.は""A.J.は"というものばかりで、どうやらA.J.がいろいろ考えて口を開かなかったことはいらぬ妄想を呼ぶだけでプラスに働かなかった様子。
このことについてチーム全体に対して謝罪したそう。
そして記者たちにこう続ける。
- 俺をどう書くかは自由だが、俺は自分が誰であるかを知っている。
そして俺はジャーナリズムを専攻していたから君たちの仕事も理解している。
自分がどう書かれるかも。
だから、チームがつらい時間にネガティブにネガティブを重ねるような記事を書かれる材料を提供するつもりはない。
君たちも試合を見ていたから、もうわかっているはずだ。だから、これ以上言えることはないって感じだったよ。これ以上悪くしたくないんだ。
それに加えて、俺が何かを言えば、何かをすれば、モンスターに分類されるからね。
それが君たちの仕事だからね。
君たちの誰にも腹を立てていない。
ただ、そういうものなんだと思っている。
- ARI戦のボディランゲージはDeVontaが傷んだことに対する反応。
プレーコールとは一切関係ない。
- そもそもプレーコールにはずっと一切不満がない。
結局は実行する選手側の問題だ。
あの(ARI戦の)シリーズについても、すべてのプレーが選手の実行の問題でありプレーコールは全然悪くない。
1人がやられてああいう結果に終わったがTDに終わるチャンスは十分にあった。
そして彼が核心に触れたのはここから。
- Sirianniとの関係についていろいろ書かれているのは知っている。
だからここではっきりさせておくが、俺はNickをめちゃくちゃ尊敬している。
- (SEA戦最終盤のA.J.を狙ったディープのパスがINTになったプレーについてSirianniが翌日の記者会見で"DPIをもらいに行った"というトンデモ発言をしたことでHC総叩き状態が始まったことを踏まえて)
あのプレーはプレーコールによるものじゃない。
Hurtsと話して即興で中でプレーを変えたんだよ。だからコーチのせいでは全くない。
Nickの記者会見でのあの発言は俺とHurtsをかばうために自分がバカなフリをしたんだろう。
後日、「そうだったの?」と記者から確認されたSirianniは、「選手を守るのがコーチの仕事だから普通のこと」と回答。
この3週間下がり続けていたSirianni株が、A.J.の囲み取材以降歴史的V字回復を見せているというのが現地。
ロッカールームの掌握能力については就任当初から非常に高いものを見せてくれているからここについては不満なんかないんだがOffenseについて口出しするのをいい加減やめてくれないかねお願いしますよ、というのが個人的な強い思いです。
この前後ぐらいだったろうか、ESPNのSchefterがEaglesおよびSirianniの将来について、恐らくインサイダー情報も踏まえたうえで"就任から3年連続プレーオフ進出を果たしているHCが解雇されることはない"と言っていたようなのでこれにて来年もSirianni政権は継続の公算。
大事なのはCoordinator人事です。頼むよ。
ちなみに、水曜日のA.J.のこれ以降、木曜金曜と練習があったようだが、チームの空気はめちゃくちゃ良くなっている様子。Mailataが言っていた。
A.J.が口を開くだけで、その内容が前向きであるだけで、チームには安堵の空気が広がるということなんでしょうか。
スーパースターというのは違いますね。
最高だと思います。
なお、今回いらぬ記事を書いたInquirerの記者はいつものJeff McLaneではなく、Marcus Hayesというおじさんです。
記事が事実を無視した妄想によって成り立っていたということが分かった本件により、そして俺たちのA.J.を事実無根の単なる印象によって悪役に仕立てていたことが判明したことで、全PHIファンを敵に回した結果、彼は何を投稿しようが煽られまくるという状況に陥っている様子。残念ながら当然。この世の地獄を見てほしい。
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Defenseの混乱
A.J.については収まったし、Offense側はひとまず於くとして、よりヤバいのはDefense側。
Desai→Patriciaのプレーコーラー変更があった際には"Desai DefenseのスキームのままだがコールをPatriciaが行う"という説明をSirianniから聞かされていたもんで、単なる運用者の変更なのだとまっすぐ信じていたが、どうも違う様子。
Reddickによると、もう少し根っこからのスキーム変更がここ数週間にわたって実行されているようで、それによりReddickのパスカバーの機会も増えているというのが実情だそう。
ちょっと待て。
それはシーズン中にやることじゃなかろうよ。
シーズン中にはアジャストの変更とかのちょっとした手直ししかやれないと思っていたが、それ以上のことをやっちゃうのね。
その結果、全然意思統一が出来ていないことは明らかで、ARI戦の逆転TDを決められた最終プレーでは1人のモーションに3人がついていくという地獄のような映像が展開されていた。
一応貼り付けておきますがあまりにもグロいので閲覧注意です。
Such a fitting finale to the #Eagles defensive film.
— Deniz Selman (@denizselman33) 2024年1月4日
For who knows what reason, Patrick Johnson comes on for his only snap of the game, nobody knows where to line up, 3(!) guys chase the motion guy, and Reddick predictably gets mauled having kicked inside to 4i (who knows why). pic.twitter.com/Uh3s9f6upZ
これ以上愚痴っぽくなるのは避けたいのであと1つだけにしておきますが、Patriciaの権限が広がり始めたのがバイウィーク明けからだったという話が出ております。
そのころから3rd DownのコールはPatriciaの役割になったのだそうです。いったいどういう切り分けなのか全く理解はできませんが。
そして、Desai Defense末期最大の不満が3rd Downのコールであり、その点はプレーコーラーを変えてもなにも変わっていないことに思い至るわけです。
このチームは何をしたいのでしょうか。
プレーオフシナリオ
NYG戦に勝って、DALが(WASに)負ければ第2シード。
それ以外は何がどうなっても第5シード。
ただ、第2シードになると対戦相手がGB次いでLARになる可能性が高く、Offense力が高いこの2チームを相手にするのは現状のザルDefenseでは相当しんどそう。
翻って第5シードに収まるならば相手はTB→NO→ATLというNFC南各位となり、TBとは手合わせ済みなのでまだ安易そうだという皮算用。
最終戦へのお気持ち
というわけで第5シード上等だと思うと、最終戦への期待は"いいところを見せて勝ってプレーオフに向けて弾みをつけろ"です。
どうせDALは勝つので。
ずっとプレーオフでは真っ先に脱落してほしいと思っていたが、A.J.の取材の様子を見たことで少し心境も変わって参りました。
なによりもうシーズンも終わるのだと思うとこのまま酷い状態で終わってしまうのはあまりにも選手がかわいそうな気がしてきた。
コーチはクソだが選手の力でがんばって勝ってください。
もちろん全力で応援する所存です。
久しぶりに燃えてきた。
GO BIRDS!!