鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2023シーズン振り返り(EDGE篇)

CBSの中継だったもんで不安だったが最終的には手に汗握る展開になってなによりでした。最後は声出た。

あの展開で最後をああ持っていけるのはちょっと。ReidにしてもMahomesにしても格が違う。

 

ではあんな舞台に届きそうもないどうしようもなかったチームのポジション別振り返りは、ちょうどデカめのニュースとカチ合ったEDGE篇です。

 

 

開幕前の期待

開幕前の陣容は以下の通り。

 

OUTRobert Quinn('22/Trade/CHI→所属チームなし)

 

StayHaason Reddick('22/UFA←CAR)・Josh Sweat('18/4巡)・Brandon Graham('10/1巡)・Derek Barnett('17/1巡)・Patrick Johnson('21/7巡)

 

INNolan Smith('23/1巡)

 

恐ろしい結果に終わったトレードで得たRobert Quinnを処分したが、予想外にGrahamが帰ってきて、大きな流出がなかったオフ序盤。

 

だが高齢化は徐々に進んできていることもあり、やはりこのポジションはドラフトでのトップニーズであった。

そして本当は10位で獲ってもいいと思っていたところ、なんと31位までスリップしてくれたのがNolan Smith

これには大興奮であった。

 

スキームも変わらないしReddickという絶対的エースもいるしSweatはランパスどちらでも輝けるしGrahamは万能かつ使い勝手良いしで前年リーグトップ70サックの立役者たちが全員残ったうえにNolanというスピードが入ったら手が付けられないのではないかと思った。

そう思っていた。

 

 

DE(3)

 

基本は1人しかフィールドに立たない仕様になっているはずなので。

 

 

#55 Brandon Graham(Michigan)6'2"(188cm)265lbs(120kg)35歳 14年目(10.1M・1/1・10-D1-13)

2022:17試合(先発1試合)35タックル(19ソロ)11.0サック 11TFL 16QBヒット 1PD 2FF

 

チーム最古参。

アキレス腱断裂明けの34歳という不安しかないステータスで迎えた2022シーズンだったが、結果はまさかのキャリアハイ更新。

パスラッシュもそうだが、低い重心を活かしたランストップが本当に秀逸。

 

35歳になっていながら試合中にしゃべることをやめない。

相手チームであれば誰でもいいんだろう、コイントスで"お前には俺を止められない”と延々煽っていた相手はDTのDexter Lawrenceだった。そりゃね。マッチアップないし。

 

そんな陽気なおじさんも全体13位で指名されて数年はつらい日々を過ごす。

ケガや(プレースタイル的に)地味なスタッツから、14位のEarl Thomas(SEAなど)や15位のJason Pierre-Paul(NYGなど)との比較でバスト呼ばわりされたことは本人の心にも残っている様子。

ごめんなさいそう思ってました。

しかしそこからの発奮と本人の絶え間ない努力によって今となってはバストなんて思うPHIファンはどこにもいないのです。

 

DETとの試合中に先方のDB(Tracy Walker)をサイドラインから大声で煽っていたらSlayが寄ってきて"BG、あれは俺のいとこなんだよ"と苦笑いで抗議されたり、自宅に来ていた庭師たちと10年来の友達かのように話し込んで出かける予定を大幅に遅らせて奥さまをイライラさせたりと、まあとにかく愛らしいおじさん。

新加入の選手やコーチ(Patriciaとか)には最初に話しかけてすぐなじませてしまうという異能の持ち主。

 

ロッカールームには欠かせないおじさん。

1日でも長くPHIにいてほしいし今季がいいシーズンになることを祈ってる。 がんばってください。

 

 

#94 Josh Sweat(Florida State)6'5"(196cm)265lbs(120kg)26歳 6年目(5.9M・2/3・18-D4b-130)

2022:16試合(先発16試合)48タックル(31ソロ)11.0サック 15TFL 23QBヒット 1FF 1INT 1TD 1PD

 

BGとタイプは異なるし、他チームから言及されることはあまりないが、こっちがエース。

鋭い出足に長い手足とEDGEとしては理想的なフィジカルツールをお持ちで、その上技術レベルもどんどんあがってきている。

ルーキーイヤーの0サックに始まり毎年毎年数字を上げてきているのは心強いのひとこと。

今季のハードルは13サックぐらいにしましょうかね。

Rosemanは契約延長しちゃっていいよ。

 

チームメイトに"チームで一番好きなセレブレーションは?"と聞くと必ず返ってくる"Sweaty Jのだよ"という声。

同感です。

あの汗を拭うセレブレーションは最高。

毎試合1回は拝みたいものです。

 

 

#96 Derek Barnett(Tennessee)6'3"(191cm)259lbs(117kg)27歳 7年目(2.3M・2/2・17-D1-14)

2022:1試合(先発0試合)0タックル(0ソロ)0.0サック

 

トレード志願してたのにまだいるのか。

はよう。

 

 

OLB(3)

 

前任のハゲに引き続き、Desai Defenseでもここがパスラッシュの要。

Nolanに関してはパスカバーのお仕事もちょこちょこあるようで、それができるかどうかでスタンツの幅が変わってくるはず。

Rosemanが投資を怠っていないことからもわかるように非常に重要なポジションです。

 

 

#7 Haason Reddick(Temple)6'1"(185cm)240lbs(109kg)28歳 7年目(7.0M・2/3・22-FA-CAR)

2022:17試合(先発17試合)49タックル(35ソロ)16.0サック 11TFL 26QBヒット 5FF 3FR 3PD

 

パスラッシュのテコ入れに獲得してきたアンダーサイズのOLBは大当たりでした。

外からのスピードラッシュを基本としつつ、そこからの駆け引きで勝負するタイプだが、周囲のメンツも相俟ってシングルブロックになることも多く、その恩恵をだいぶ受けたシーズン。

とはいえ16サックは上出来にもほどがある。

 

Nolanとのローテーションが見込まれるシーズン。

さらにフレッシュな状態でプレーできるはずで、もっと成績を伸ばしても不思議ではない。

 

 

#3 Nolan SmithGeorgia)6'2"(188cm)248lbs(112kg)24歳 2年目(M・1/5・23-D1b-30)

2022:なし

 

UGAの優等生。

何を隠そう、彼のPHI入りを一番悲しんだのはPenn Stateへの訪問時にホストを務めたMicah Parsonsである。

A.J.がリクルートしていたように、惚れ込んだ人間がみんなPHIにきてしまったParsonsの行き先はもはやPHIしかない。

はやくおいで。

 

選手としてはアンダーサイズだが、このポジションはそれでも務まる。というのをReddickが体を張って示してくれた2022シーズン。

その反対側に過去20年のコンバインでEDGE最速のタイムをたたき出したこの男がくるというのだからこんなに心強いことはない。

 

確かReddickだったはずだが、ベテランが彼のことを褒める最大の要素がその向上心と学習能力。

プレ1であまり目立てなかったことがよほど腹に据えかねたのかベテランを質問攻めにして、課題を修正して見事プレ2では大活躍。

これこそがおそらくプロで一番必要な能力でしょう。

期待値で爆発しそうである。

初年度のハードルは出番も少なかろうで5サックに設定しておいてあげる。

是非軽々越えてきていただくことを期待している。

 

 

#48 Patrick Johnson(Tulane)6'2"(188cm)248lbs(112kg)25歳 2年目(1.0M・3/4・21-D7-234)

2022:16試合(先発0試合)7タックル(5ソロ)0.0サック 0TFL 3QBヒット 1FF 1FR

 

意外と生き残って3年目。

すごいスピードがあるわけでもパワーあふれるわけでもないが、最低限の仕事はしっかりするタイプ。

当面のミッションはSTでの貢献。

Bradley・McPhearsonが抜けたSTユニットでの活躍に期待。

53ロスター紹介2023 - 鷲の巣

 

 

 

結果

(数字はレギュラーシーズンのみ)

*Haason Reddickプロボウル選出

 

Reddickは安定の2ケタサックだったが、序盤順調に滑り出したSweatはWeek9を最後にサックは出ず。

 

Derek Barnett8試合で0プレッシャーという驚異のスタッツを残してHOUに行ってからポストシーズンを含む8試合で22というプレッシャーを積み重ねた。

 

これが全てであろう。

 

コーチ陣の責任。遣い手の問題。

 

まあさすがにこれで話を終えるのもつらいのでもう少し続けると、ここからは推測と感覚の話にしかならないが、ランとパスのプライオリティが非常に曖昧であった印象がある。

 

シーズン序盤に"今季はDesaiがEDGE陣にランストップから始めるよう教育している"という記事が出ていた。

その結果、Sweatはランストップの成績が過去最低になり、パスラッシュも本格化した2020シーズン以降最低であった。

結局どっちつかずであったと。

 

確かに2022シーズンもEDGEとDTの間のランが、特にPachecoに延々そこを走られたきがしており、課題であったことは理解している。

だがどっちつかずになったのはDesaiの失敗であろう。

パスDefenseに関してはよくわからんのでDesai→Patriciaもやりすぎではなかろうかと思わぬではないが、パスラッシュに関してはDesaiにも十分罪はあったと理解しているところ。

 

 

パスラッシュという点で最も良かったのがPass Rush WIN Rate(以下、同指標はすべてPFF参照)で19.5%というEDGE界隈におけるリーグ8位という成績を残したBrandon Graham

この男はまだイケる。

Sweat14.2%で同31位Reddick14.0%で同34位である。

 

しつこくて恐縮だが、Derek BarnettさんのHOU移籍後の同指標(Week13以降)は18.0%でリーグ23位である。それまでは0プレッシャーだった男がである。

一体コーチ陣は何をやっていたのか。

 

 

そして非常に残念なのが、シーズンを通して音沙汰がなかったNolan Smithさん。

スナップ数も多くを与えられなかったが、Pass Rush WIN Rateもなんと衝撃の4.7%という出来の悪さ。

彼よりパスラッシュの機会が多くてこの数字が悪いのはリーグ全体でたった7名しかいないという体たらく。

え?ルーキーだから?

そうですか。おかしいですね。ルーキーのなかでも26位なんですけど。ちなみに彼より前に指名されたEDGEは確か4名だったはずですよ。

 

ただこれも正直よくわからないのが、途中からOff-Ball LBの役割もやってたりしてたこともあったこと。

真面目にパスラッシュを成長させる気はあったんだろうかあのコーチ陣に。

 

 

ちなみに、Nolanさんの4.7%というPass Rush WIN Rateは、Patrick Johnsonの5.6%より悪いということだけは指摘しておきます。

Patrick Johnsonは主戦場のSTで6タックルを記録するなどよく頑張ったシーズンだったようですね。

 

 

 

来季に向けた展望

空気の読めないニュース

全米がSBに集中していた現地2月11日午前中のタイミングで出てきたのが、"Eagles、Reddickにトレード先探しの許可を出す"というニュース。

Rosemanがリークしそうなタイミングである。事実は知らないが。

 

すわReddick放出か?!と騒ぐのはやや早計で、同種の手続きは去年の3月にSlayに対しても取っていた。

結果は、契約延長であった。

契約延長の話をするにあたって市場価値を計らせるために他チームと会話させたのだ、という記事も見た気がする。

しかしこんな話になるのは下表のようなしびれる現実が待っているから。

 

 

はい。2025シーズンにロスターに残るのはまだ何者になるかもわからない、Bの字がチラついているNolan Smith君ただ1人です。

 

 

将来の話

Reddickをトレードに出すのか、Sweatをトレードに出すのか、両方契約延長するのか。

 

2024のキャップがチーム最大となるReddickを現時点でトレードに出すとデッドマネーは20.7M

Wentzのようなチームにとってはハズレだがまだ若くて対価が期待できるQBでもない、まして再建期でもないチームがこんなことしますかね?2025も同じような額のデッドマネーがSweatで発生すると見えているのに。

というのが、先ごろのニュースが本気でトレードする気の表れではなかろうと思う根拠の1つ。

 

いかに30歳を迎えるとはいえまだ衰えまでは見えない選手を売るのは現実的じゃない気がしていて、この動きの先にあるのは、現行契約と同等レベルの15M/年程度での3年延長ぐらいではなかろうか。(希望)

 

さすがに最近延長したMontezの方のSweatみたいな24.5M/年みたいな額はReddickのプレースタイル的に他チームに出ても望めないはずで、そのあたりをしっかりご認識いただいたうえで、どうか割安で延長くださいお願いします。

 

そしてReddickを望み通り延長することが出来れば、Sweatは現行契約のまま最終年を迎えてもらい、このドラフトでやるべきことは1巡22位でのSweatのようなランストップもできるEDGEの指名。

 

この近辺でモックに上がってくる候補者は、Senior Bowlで能力を再確認されたLaiatu LatuUCLA)・Bralen Trice(Washington)・Chris Braswell(Alabama)・Darius Robinson(Missouri)辺り。

 

Latuは過去引退にまで追い込まれているクビのケガが読めないので外すと、イチ押しはBralen Trice(Washington)。

ブロックを外すのが本当にお上手で、プレーには規律正しさも見えるので、このあたりやや不満だったSweatをアップグレードするなら最高なはず。

Sweatのドラフト時同様、やや粗削りではあります。

気になるのが、Defense左側にセットした瞬間にプレーから輝きが消えること。

なんなんでしょうあれは。

Sweatの主戦場がREだったので、そちらにそのままハマれば問題はないんだろうが、そんなうまくいくんでしょうか。

まあつまり万能ではないです。こんな欠点も含めて伸びしろと思えるかどうか。

 

Darius Robinsonはサイズ的にもぴったりなんだが、果たして1巡で行くのが正解なのかどうか。SeniorBowlではTyler Guytonからもサックを奪っていたので相当にやれるはずだが、実績を残したのが1年だけであり残したスタッツもエリートのそれではない。まあ8.5サックなので充分なのかもしれないが。

 

Rosemanが天井という意味での身体能力を相当に重視するのは周知の事実なので、コンバインを経てからしかわからないところではあるが、現時点で22位Robinsonはやや反対。

 

それをするのであれば、22位ではCBに行ってほしい。

Robinsonには2巡50位まで残っておいてもらいましょう。

 

 

あれだけ投資してもまだこのポジションに1巡を使わねばならないのがなんとももどかしいのだが、そうは言っていられない状況。

 

Reddickさんにおかれましては、お安めでの契約延長のほど、よろしくお願いいたします。