あまりにもニュースがない時期なので小さな古いニュースを広げる試み。
人生において何の役にも立たない情報ですが、無駄こそが豊かさです。
Arch Manning、進路を決定
色味をLonghornsに合わせてみたらめちゃくちゃ気持ち悪い見出しになってしまったのはご寛恕ください。
さて、ニュースというのがこちら。
Breaking: Class of 2023 5-star QB Arch Manning has announced his commitment to play for the Texas Longhorns. pic.twitter.com/ORiSuXvrwv
— ESPN (@espn) 2022年6月23日
Ole Missでの華麗なる実績によりカレッジフットボールの殿堂入りを果たし、NO・HOU(当時はOilers)・MINでプレーしたArchie Manningから始まるManning一族。
その最新作であり高校時代から前評判がだいぶ高かったArch Manningがとうとう進学先を決定。
Texas Longhornsにコミット。
高校生の進路が全米のトップニュースになるとはなんて平和な世界。
それもはず、Archieの次男は言わずと知れたレジェンド・Peyton(Tennessee)、三男はEli(Ole Miss)、この3人でカレッジ殿堂入りが2人(Archie・Peyton)・プロボウル選出20回・All Pro1stTEAM選出7回・NFL MVP選出5回・SB制覇4回…という意味不明なレベルでの実績を残している。
その正当な後継者としてArchに期待が集まるのはやむを得ないところでもある。
ArchはArchieの長男でOle Missに進学を決めるも、脊柱管狭窄症という病気?ケガ?により結局高校でプレーを辞めたCooperさんのところの次男。
一族で初めてSEC外のTexas行きとなる。まあ2025からはSECになるんだが。
発音ですが、カタカナにするとアーチ君です。
ハイライトをチラッと見ただけですが視野の広さとボールの落としどころが素晴らしい。叔父2人と違って足もそれなりにありそうなのでまあ期待は膨らむ。
これは完全に余談ですが、この一族のことはEliのドラフト時のゴタゴタ以来大嫌いです。
過去の高校NO.1QBの行く末
やっぱり色の組み合わせが気持ち悪い。そしてここからもっと気持ち悪いです。
じゃあこの高校NO.1QB(≠高校トップリクルート)のお歴々は一体どうなったのか、というのが本題。
2000年以降を追ってみたものです。プロスペクトのランキングは247sportsのランキングを参照しております。
2000:Brock Berlin(Florida)
Floridaでレジェンド・Rex Grossmanに勝てなかった男はMiamiにトランスファー。当地では先発として19-5の成績を残す。が、プロ入りはUDFA。MIAとSTLに在籍。STL時代に1試合だけ先発。
プロ成績:0勝1敗 18/31(58.1%)159yds 0TD 1INT
ちなみにこの年の当たりQBはQB5としてAuburn入りしたJason Campbell(WAS・OAK他)。
2001:Brodie Croyle(Alabama)
カレッジ時代を通じてケガに悩まされた人。Seniorのときにコットンボウルを制してMVPをDeMeco Ryansと共同受賞。
2006ドラフトの3巡でKC入りするもプロでも負傷に悩まされ、夜明け前のKCで控え人生を歩んだ。
プロ成績:0勝10敗 181/319(56.7%)1,669yds 8TD 9INT
同期QBはQB5でOregon State入りしたDerek Anderson(CLE他)がプロボウラーなので一番の当たり。あとはQB7でUSC入りしたMatt Leinart(ARZ他)とかか。
2002:Vince Young(Texas)
TexasのQBと言えばこの男。QB1がTexasを選ぶのはこのYoung以来となる。
未だあの伝説は色褪せない。
Texasに最後にナショナルタイトルをもたらした2005シーズンのローズボウル。
Pete Carroll率いる当時無敵のUSC。メインウェポンは前述のLeinartとハイズマンウィナーReggie Bushのコンビ。それとLenDale White。この圧倒的戦力相手に200ydsラッシング3TDの大活躍でUSCの連勝を34で止めた伝説の一戦。まあこの連勝記録はのちに剝奪されたが。
Texasとしては大当たりで問題ないのだろうが、その後のプロではだいぶ苦戦。全体3位で指名されたTENではOROYに選ばれたりプロボウル選出も2回あったりしたが、まあその期待値と比べるとバストと言って良いでしょう。
プロ成績:31勝19敗 755/1,304(57.9%)8,964yds 46TD 51INT
Youngもそれなりに活躍したが、この年の当たりはなんと2-StarのQB88という低評価でUtahに進学した男。名をAlex Smithという。
(この年はAaron Rodgersもいるはずだが、当時あまりにも無名だったため247sportsのランキングにも存在しておりません。JUCOから成りあがった男です。)
2003:Kyle Wright(Miami)
Bernie Kosar・Jim Kelly・Vinny TestaverdeといったMiamiの誇るレジェンドたちに並ぶべく期待された男はカレッジを通して期待外れという評価。
結局ドラフトもされず、UDFAでMIN・SFのロスターに名を連ねたこともあったが、結局NFLには出場なし。
プロ成績:なし
この年もプロ的な当たりQBは下位から。QB62でBoston Collegeに進学したMatt Ryan(IND)もしくはQB31でPittsburgh(のちにDelaware)に進んだJoe Flacco(NYJ)か。ここの決着はまだついていない。たぶん。
その他はQB5がJaMarcus Russell(LSU)、QB7がBrady Quinn(ND)、QB17がMatt Flynn(LSU)。つらい。
2004:Rhett Bomar(Oklahoma)
Adrian Petersonと同期でOklahomaに進学した彼。NILなんかなかった当時。学生はお金をもらっちゃいけなかったのです。2年次に規定違反でOklahomaを追われ、Sam Houston Stateから2009ドラフト5巡でNYG入り。残念ながらプロで姿を拝むことはありませんでした。
プロ成績:なし
この年は谷間。たぶんMichiganに進学したQB4のChad Henne(MIA・JAXから現KC)が筆頭。
2005:Mark Sanchez(USC)
出ました有名人。世代トップQBとしてUSC入りするもレッドシャツを経て女性問題で逮捕・ケガなんかを経て先発定着は2008シーズン。この年はBrian Cushing(1巡15位でHOU)・Clay Matthews III(1巡26位でGB)・Rey Maualuga (2巡38位でCIN)の3名を筆頭にとにかくタレントが揃いまくっていたUSC。その状況下でのたった1年だけのパフォーマンスでアーリーエントリーしてのプロ入りはPete Carrollからもだいぶお説教を食らっていたが、まあSam Bradford・Tim Tebow・Colt McCoyというド派手なQBたちとの競合を避けるためだったのでしょう。
2009ドラフト全体5位で指名されるが、AFC決勝まで進んだこの年がプロでのピーク。そういえばPHIにもいたな。
プロ成績:37勝36敗 1,314/2,320(56.6%)15,357yds 86TD 89INT
名前的には2005よりマシだが、QB25からTexasに進んだColt McCoy(ARZ)が出世頭。
2006:Matthew Stafford(Georgia)
先に申し上げておきますが、彼がこのリスト最高の成功者。
UGAで順調にキャリアを積んで2009ドラフト全体1位でDET入り。トレード即SB制覇という美しいストーリーを最近目撃したばかりです。
プロ成績:86勝95敗1分 4,302/6,825(63.0%)49,995yds 323TD 161INT
この年は他にQB3がTim Tebow(Florida)だったりQB6がJake Locker(Washington)だったりQB17がSam Bradford(Oklahoma)だったりQB50がKam Chancellor(Virginia Tech)だったりしますが、まあ文句なくStafford。
2007:Jimmy Clausen(Notre Dame)
2年次・3年次とそれなりに活躍し、2010ドラフトではBradfordと競って1巡と目された時期もあったが蓋を開けると2巡48位でCAR入り。Week3に先発を任せられるも、その後3試合で再びベンチに。その後ちょくちょく試合には出たが大エースSteve Smithに試合中に思いっきり怒鳴りつけられる姿がカメラに捉えられるなどどうやら素行に問題があったようで大した活躍はせず。CARは翌2011ドラフトの全体1位でCam Newtonを指名。Clausenプロジェクトは1年で終了。
プロ成績:1勝13敗 255/472(54%) 2,520yds 7TD 14INT
QB3がTyrod Taylor(Virginia Tech→BAL他)だしQB5は言わずと知れたCam Newton(Florida→Auburn)だしQB44は我らがNick Foles(Michigan State→Arizona)だが、この世代最高は多分QB70のRussell Wilson(NC State→Wisconsin)。強い。
2008:Terelle Pryor(Ohio State)
もはやWR転向後の記憶しかないが、彼も世代トップQB。
この男の異色さはバスケットボールでも高く評価されて多数のオファーを受けていたこと。どこをどう間違えたのかわからないが、素行の問題で出場停止を食らい、2011のサプリメンタル(補足)ドラフト3巡でOAK入り。こんなことをするのはAl Davisしかいない。WRに転向して一瞬CLEで輝いたがすぐに姿を観なくなった。
プロ成績:3勝7敗 175/311(56.3%)1,994yds 9TD 12INT
この世代の正解は、QB3でFSUに進んだEJ ManuelでもQB4でMissouriに進んだBlaine Gabbertでもなく、QB5からStanfordに進み2012ドラフトにおいて全体1位で指名されたAndrew Luck。
2009:Matt Barkley(USC)
PHIの恥部。Sanchezの後釜としてUSC入りして順調にキャリアを積み、Seniorの時に一時はハイズマンレースのトップを走っていたこともあったが、肩のケガで評価急落。
そのまま4巡98位でチップが指名。Folesいたのに。
プロ成績:知らん(2勝5敗 212/363(58.4%)2,699yds 11TD 22INT)
この年もQB6がTEとして開花(Logan Thomas)したりと結構な日陰者ばかり。
QB9のAJ McCarronでもQB10のGeno Smithでもないとしたら正解はQB28からFresno Stateに進み人生の相棒に出逢ったDerek Carr(LV)ということになりそう。
2010:Phillip Sims(Alabama)
A.J. McCarronというそびえ立つ壁に勝てず転校を繰り返し、結局UDFAで2015にARZ入り。その後いろいろあってCFLへ行ったとのこと。このリスト上で一番影が薄い人。
プロ成績:なし
この年は酷い。QB47のTrevor Siemian(Northwestern)とQB63のBlake Bortles(UCF)をハズレだとすると、QB139からEastern Illinoisという聞いたこともない大学に進学したJimmy Garoppolo(SF)が最大の成功例かもしれない。
2011:Jeff Driskel(Florida)
嘱望されてFlorida入りするも4年間で先発を張れたのは1年だけ。その後Louisiana Techに転校して1年先発を務めるがプロ入りは6巡207位でSF。が、その年のファイナルカットで残れず。以降CINとか。いまはHOUにいるそうですね。
プロ成績:1勝8敗 202/345(58.6%)2,120yds 13TD 8INT
この年もタレント不足。QB22のJohnny Manziel(Texas A&M)じゃないとしたら、QB42でMississippi Stateに進んだDak Prescott(DAL)が一番の出世頭。
2012:Jameis Winston(Florida State)
最年少ハイズマンウィナー。その後2015ドラフトの全体1位でTB入り。そこでの苦戦は皆さん承知の通り。ACL断裂後の2022シーズンはNOの先発QBとして勝負の年。
プロ成績:33勝44敗 1,665/2,720(61.2%)20,982yds 135TD 91INT
QB26からTennesseeに進んだNathan Petermanが同期の出世頭でないのだとしたら、Winstonがこれでも一番成功を収めているQBということになる。
2013:Max Browne(USC)
Cody Kesslerと長く先発を争い、Sam DarnoldにUSCでの命運を断たれた男。うむ弱い。
NFLチームとは契約せず。
プロ成績:なし
QB21のJared Goff(California)なのかQB71のBaker Mayfield(ウォークオンでTexas Tech)か。ドロー。
2014:Kyle Allen(Texas A&M)
チーム内の先発争いに負けたり勝ったりしていたものの、結局2015シーズンに入学してきたフレッシュマン・Kyler Murrayに先発の座を奪われ、Houstonに転校。その後1年先発としてプレーしたが輝けず、結局UDFAでCARへ。WASを経て今季はHOUだそうで。
プロ成績:7勝10敗 395/626(63.1%) 4,318yds 24TD 17INT
QB2はいま一番コメントしにくいあの人。Clemsonに進学してナショナルチャンプに輝き、2017の1巡12位でHOU入りしたDeshaun Watson(一応CLE)。ただし、世代の出世頭は彼ではない。QB21でOklahoma Stateに進んだMason Rudolph(PIT)でもない。真打はQB31からTexas Techに進学したPatrick Mahomes(KC)。
なおJosh Allenはリストにもいない。
2015:Josh Rosen(UCLA)
フレッシュマン時から素晴らしい活躍を見せ、Junior時にはパス獲得ヤードのスクールレコードも樹立して2018ドラフトの全体10位でARZに指名されたこの男。どこでどうおかしくなったのか。今はフリーエージェントだそうで。時が流れるのは早い。
プロ成績:3勝13敗 277/513(54%)2,864yds 12TD 21INT
この世代はQB19からOhio Stateに進学したJoe Burrow(CIN)が目立っている。その他の候補はQB28でLouisvilleに進んだLamar Jackson(BAL)ぐらいか。
QB93のTyree Jackson(Buffalo)とかQB110のAlec Ingold(Wisconsin)のようにコンバートしてプロまで上り詰めた選手を見るとほっこりする。
2016:Shea Patterson(Ole Miss)
こんな名前をこんなリストで見るとは全く思わなかった。
Shea Patterson wyd
— PFF College (@PFF_College) 2019年11月16日
(Via @CFBONFOX)pic.twitter.com/cofEiRtzt3
プロ成績:なし
ここはやはりQB13から我らがQB1まで上り詰めたJalen Hurts(Alabama)。まあ話はこれで終わっても良いのだが、公平な目で見るとやはりQB43からOregonに進学したJustin Herbert(LAC)さんがトップかな。
2017:Davis Mills(Stanford)
このあたりからは特に言うことがなくなってくる。
プロ成績:2勝9敗 263/394(66.8%)2,664yds 16TD 10INT
実績が抜けているのはAlabamaでHurtsを追い落としたQB3のTua。Pickettもこの世代のQB48。
2018:Trevor Lawrence(Clemson)
ここはQB2との決着がまだついていないと信じているところ。
QB2のJustin Fieldsはどれだけ進化しているのか。今季もWRの層が薄くて苦労しそうだががんばってくれ。
プロ成績:3勝14敗 359/602(59.6%)3,641yds 12TD 17INT
2019:Spencer Rattler(Oklahoma)
バカ肩という素材は健在。South Carolinaに転校して良くなるのか。良くなってくれ。
2020:Bryce Young(Alabama)
現時点では同期のQB3 CJ Stroud(Ohio State)に若干逆転された気がするが巻き返せるのか。
2021:Quinn Ewers(Ohio State)
Stroudに頭を抑えられているOhio StateからTexasにトランスファーしたと思った瞬間にArchという新星に襲われたかつてのQB1。今まで歴史を手繰ってきたが、このパターンは良くない気がする。
2022:Cade Klubnik(Clemson)
Drew Brees・Nick Foles・Sam Ehlingerを輩出したTexas州の名門高校Westlake出身のKlubnik君。あんまり見たことがない。頑張ってください。
2023:Arch Manning(Texas)
ここまで長い道のりをさかのぼってきて言えることは、高校時代の評価なんか何の役にも立たない、ということ。ベタですけどね。
QB1がそのままプロでも成功したパターンは20人弱でStaffordの1名だけ。
どれだけプロの壁は分厚いのか。なんて険しい道なのか。
Archのことはどうでも良いが、はっきり申し上げてこのまますくすく成長するというパターンは少なそうだとお見受けした。
結論。やるかやらないかは本人次第。