鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

Ertz

2020シーズン開幕直前に契約延長関係で揉めて以来、トレードの伏線は綱引きの綱ぐらいぶっといのが何本か張られていた感じだったので覚悟済みだったし、なんならさっさとすっきりさせろよとは思っていたZach Ertzのトレードが実現。相手はARZ

2020開幕前にKelce弟KittleというTE業界の二大巨頭が年15M近辺の契約を結んだことで同等の契約を要求。そしてフロントと衝突。一時はフィールドでRosemanと怒鳴りあっていたという話もあった。そして迎えた2020のケガと成績不振で放出がほぼ確定していたErtz。

個人的には前述のTE二大巨頭と比べるとKelceの爆発力もKittleの万能感もないのに何を寝ぼけたことを、と思っていたが、まあこの結論なら本人もチームも先方も納得できるという良いエンディングだったのではないでしょうか。

 

内容は、
ARZZach Ertz2022 5巡+CB Tay Gowan(2021 6巡):PHI
どちらも得たものを並べています。

 

2013のドラフト2巡35位指名。StanfordからPHI入り。もうすぐ31歳。
とんでもなくハズレばっかりだった2013ドラフトにおいてLaneの後に指名された男。GB(3巡Tretter・4巡Bakhtiari)とかKC(1巡Fisher・3巡Kelce弟)も当たりだとは思うが、すみませんPHIがこの年のドラフトでは優勝とさせて頂きたいと思います。

 

■記録
2013 16試合 3先発 36捕球 469yds(Avg.13.0yds)4TD
2014 16試合 5先発 58捕球 702yds(Avg.12.1yds)3TD
2015 15試合 7先発 75捕球 853yds(Avg.11.4yds)2TD
2016 14試合 12先発 78捕球 816yds(Avg.10.5yds)4TD
2017 14試合 13先発 74捕球 824yds(Avg.11.1yds)8TD
2018 16試合 16先発 116捕球 1,163ydsAvg.10.0yds)8TD
2019 15試合 15先発 88捕球 916yds(Avg.10.4yds)6TD
2020 11試合 11先発 36捕球 335yds(Avg.9.3yds)1TD
2021 6試合 3先発 18捕球 189yds(Avg.10.5yds)2TD
通算 123試合 85先発  579捕球 6,267ydsAvg.10.8yds)38TD

惜しかった。非常に惜しかった。結局先に殿堂入りしたHarold Carmichaelの持つフランチャイズ記録は塗り替えられなかった。
579捕球は僅差で2位(Carmichaelは589捕球)、6,267ydsは5位(Carmichaelは8,978yds)というもの。

今は不動産王を目指しているBrent Celekから2015ぐらいにTE1を奪い、2016のWentzの加入以来彼のお気に入りのターゲットになり、2017~2019まで3年連続でプロボウル選出。キャリアハイは2018。この年が唯一の1000ydsシーズン。

 

■Ertzの現在地点
タイプとしては、QBから一番近いところで頻繁にオープンになっているポゼッションレシーバー。
堅実ではあるが爆発力というものはプロ入り以来見たことがない。6-5というサイズも圧倒的に高い、とかそういうものではなく、エンドゾーンでも平面的に勝負するしかない選手。

上の表でもわかるが、2020に成績は急降下。ポゼッションレシーバーとしてもあまりオープンにならないし、飛んできても落とすし、というシーンが目立った。

何が衰えたか定かでない。Wentzの劣化も合わさったのだろう。

キャリア最悪の出来だった2020のあと、結局ロスターに残ったまま良い状態でキャンプ入りした2021シーズン。リハビリが順調に進んでメンタル面も復活したと本人が述べていたので期待はしていたが、残念ながらここまで特に見るべきものはなし。というか最近は落球ばかりが目立っていた。

はっきり申し上げるとGoedertを一人立ちさせるうえで、うまく両立させられているとも思えていなかったのでこれでようやくすっきりするな、という感想です。

Kingsburyは"うちのスキームにハマる"ということを述べられているようなので心機一転がんばってください。

 

■トレード相手
このオフのリハビリも元PHIのチームメイトで現ARZのJordan Hicksの家に奥さんと一緒に住み込んでやったということ、Ertzの奥さんとJJ Wattの奥さんがサッカーのチームメイトということや、故郷のカリフォルニアに近いことなど、彼にとってARZはやり直しの場としてはこの上ない理想の環境。復活を期待しております。

他に名前が出ていた候補はBUFとINDだったが、前者はDawson Knoxが本格化し始めたっぽいこと、後者はさすがにもううちにくれる指名権がないだろうということからそれぞれなさそうだと思っていた。

前述のErtzとの関係を考えると、トレードという方法での放出としては最大限PHIもErtzに配慮したっぽいにおいがあり、円満退社ということにはなるのでしょう。

 

■対価とPHIに残されたもの
5巡+Tay Gowanという対価については、先方がTE1であるMaxx Williamsを喪ったあとだということを考えるともう少し積んでもらっても良かった気がするが、昨シーズン直後に思っていた6巡ぐらい、という個人的な思いと比べると5巡1個でも結構だったところに若いCBがおまけでついているので上出来。

よくやったなRoseman、という気持ち。本当に欲しかったのは上に出てきたHicksだけどな。というかキサマLBには投資しないというそのクソみたいなポリシーをいい加減になんとかせいよ。まあ一度はトレードブロックに乗ったとはいえARZ的にHicksは結構重要なのではなかろうかと匂っていたところなので出てくるとは思ってなかったが。そもそもなんでトレードしようとしたのかも今となっては謎。

サラリー周りで言うと、ARZはErtzのベースサラリー5.7Mを引き受けていただける様子。PHIは2021と7.1M・2022に3.5Mのデッドマネーを背負うことになる。これにてPHIの2021のデッドマネーは57.7Mという天文学的な数字に。ついでに言うと現在IRが20.2Mである。こんなチームより成績が下回るチームが仮にあるとすると、それは恥です。31チームは奮起してください。ちゃんと調べてないけどこんなに金を無駄に遣っているチームはほかにないはず。

Tay Gowanについて。

2021のドラフト6巡223位。2020はシーズン開幕前に第1子が未熟児として生まれたこともあってオプトアウト。幼少期にホームレスも経験したという苦労人で、2016にMiami(Ohio)に進学。その後1年コミュニティカレッジを経験し、2019にUCFに転校。

実績はほぼUCFでの2019のものしかないが、その時は12試合出場(9先発)で31タックル10PD1INT。

ドラフト時の評価としては"デカいしそれなりにボールスキルはあるが、ちょっと時間かかりそう"というもの。結構。もとよりカレッジであまりプレーしていないという実績を見ると時間がかかるのは織り込み済み。実際ARZでも出場機会はなかったとのこと。来年Nelsonの後にハマっていただければ結構。

そういえば4巡で指名したMcPhearsonはどんな感じなんだろうか。D#スナップは"2"だと聞いていますが。

 

■残ったTEたち
このオフというか去年のシーズン終わりから"2021にErtzはいない"と織り込んでいたかのような動きを見せていたのでここの心配は全くない。Tyree Jacksonという大器(予定)も見つけているし。

今の体制は以下の通り。
TE1:Dallas Goedert
TE2:Jack Stoll
TE3:Noah Togiai
IR:Tyree Jackson

いま間違いないのがGoedertの出番の増加。機会をErtzと分け合うのがもったいないと感じていたここ1年ちょっとだったので来週から非常に楽しみなところ。

そして以前から100万回ぐらい申し上げているTyree Jacksonへの期待感。良いキャンプを過ごし、なかなかのプレシーズンを過ごしたこの男の存在もErtz放出の背中を押した要因の一つになったことは間違いないでしょう。そろそろ復帰できるのではないか。楽しみが止まらない。

Goedertの契約延長の話も、"Ertz不要"を確定させてトレード価値を落とすことを気にせずに済むので今後は進めやすくなるでしょう。

 

■謝辞
2020最終戦後の涙の記者会見以来もうお別れは済ませていた。
とはいえ奥さん共々長くフランチャイズの顔として貢献著しかったErtzへの気持ちは、公式が投下したこの画像に凝縮されている。

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一番の思い出であるSB52のTDキャッチも貼っておきましょう。

 

8年ちょっとの間ありがとう。新天地での活躍を期待してます。

 

そういえばKelceの髪色はどうなるのだろうか。