鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

弱点の克服

きっかけは"2021PHIのOffenseがInside10で滞った"という統計。その重要エリアでのOffense改善の方法を探して旅に出たのがこの記事。
その他、トレードが噂されるBatesの話とか世界陸上関連とか粛清とかドラ1候補生の誕生についてとかの詰め合わせです。

Inside10という鬼門

きっかけ

それはこちら。

こちらの統計によるとPHIは24位。
これが引っかかったのは、"Red ZoneにおけるTDパーセンテージ(62.9%)がリーグ8位だった"という統計だけが頭にあったから。

"Red Zone"が恐らく20ydライン以内だと思うと、この2つの統計から導かれる結論は1つ。"10~20ydまでは割と機能するのに10yd以内に入ると途端にダメになるOffenseだ"ということ。

これはいただけない。
ゴール前というのはOffenseにとって恐らく1番重要なエリア。ここでTDを獲れないOffenseというのはそこまでがどれほど順調であっても絶対に看過できない。
ということでスタッツをめくる。

2021の武器

2021のPHI Offenseの武器は主にDeVonta・Goedert・Hurtsの脚の3点だったと理解している。
それぞれについて、Inside10でのPFRのスタッツを確認した。

Jalen Hurts:7TDパス(リーグ23位タイ)
ちなみに1位はBradyで24TD 0INTという化け物じみた数字を残している。それに比べるとなんとも物足りない。
当然受け手側も
DeVonta Smith:2TD(10~20:1TD)
Dallas Goedert:2TD(10~20:0TD)
というリーグ20位にも割って入れない数字しか残せていない。

が、Hurtsという男には脚という武器がある。こちらでは同じくInside10からチーム最多の22Attempts、最多の9TDランという数字を残している。
この9TDは名だたるRBたちの中に割って入るリーグ5位タイという好成績。
立派な武器と言えそう。

ちなみに、PHIのRB陣でいうと、同じくInside10からの結果が以下の通り。
Boston Scott7TD(16キャリー)
Kenneth Gainwell4TD8キャリー
Jordan Howard:3TD(14キャリー)
Miles Sanders0TD(10キャリー)
となっており、実はこのエリアで一番結果を残したRBがBostonだったという事実は率直に驚きでした。

ちなみに”エース(笑)”RBのSandersさんはシーズン0TDという決定力なので当然Inside10からも0TDという屈辱の数字を叩き出しているし、Inside5からはAndy Dalton(CHI)やJared Goff(DET)といった足のイメージが全くないQBどもにも劣る▲5yds獲得というリーグ最低のスタッツを残している。
こんな奴の使い途がどこにあるというのか。キサマの"チャンス(キャリー)"を明らかに効率が良いGainwellにもっと割いてやるならまだしも増やしてやる蓋然性はどこにも見当たらない。
そうだトレードしよう。

PHIのおさらい
Hurtsの脚という武器はゴール前で生きる。
PassでのターゲットはやはりDeVontaとGoedert。ただし、残した数字は平凡。
RunではHurtsの脚力に加えて、Bostonが密集地帯で走る能力において図抜けたものを持っている。

守るべきエリアが狭くなってDefenseにとっても守りやすくなったときにOffenseとして違いを作るためには平面か立体かのどちらかで飛びぬけたものを持っている必要がありそう。
このことはInside10からのレシービングTD10傑のバラエティを見ていただくだけでご納得いただけそう。

1 Cooper Kupp(LAR)9TD
2 Mike Evans(TB)8TD
3 Davante Adams(GB)7TD
4 Mark Andrews(BAL)7TD
5 Keenan Allen(LAC)6TD
6 Tyreek Hill(KC)6TD
7 Hunter Renfrow(LV)6TD
8 Travis Kelce(KC)6TD
9 Jaylen Waddle(MIA)6TD
10 Adam Thielen(MIN)6TD
驚きはJustin Jefferson(MIN)の不在。2021は3TDで2020もこのエリアではわずか1TD。数少ない弱点はゴール前だとお見受けした。

上位と比較すると、このあたりの責任はひとえに投げ手であるHurtsに帰せられるべきものが大きいと思われるが、DeVontaとGoedertも現時点では上に挙げたメンツと比較するとまあ平面でも立体でも若干見劣りする。気がする。

このエリアにおける2022シーズンでの改善は必須。そしてフロントもよく理解していた。補強はした。すっごい地味なのを。
2022のゴール前のキーマンは皆さんが思い浮かべたアイツではない。

地味補強

実はこのオフの補強の目玉であったAJ Brownの2021シーズンにおけるInside10からのレシービングTDの数は、なんと0。”ゼロ”である。
どういう事情があったのか、このあたりについてTEN界隈を探ったが全く情報はなく、まあOCのせいなのだろうな、という結論に落ち着いた次第。断じてAJの劣化などではない。と信じている。

地味補強とは、Zach Pascalのこと。AJよりもちょっとデカい6'2"(188cm)という身長を誇るこの男は、高さで勝負するタイプかと思いきや、まあそれも出来るんだが意外とスロットからリリースしてCB3ぐらいとLBの間のスペースをスルスル狙うのが非常にお上手。
2021シーズンはInside10から2TDというPHIのエースたちと同等の成績を残している。何より昨INDにおいて、このエリアでのターゲット率は大エースMichael Pittmanと同じ25%。Wentzにとってはほぼメインターゲットとなっていた様子が窺える。

となるとPascalにもたらされるメリットもDeVontaが享受するものと同じ。
つまり、"AJとDeVontaがいるからマッチアップするCBのレベルが落ちる"ということ。
うむ相乗効果。
というわけで、PHIのOffenseにはいよいよ欠点がなくなって参りました、という自惚れ記事でした。

ちなみに、AJ BrownのInside10での成績だが、2020には5TDというリーグ12位タイというだいぶ優れた成績を残しているので心配はしていない。
2021の下降は恐らくOCがArthur Smith(現ATL HC)からTodd Downingに変わったことによる影響だろうと思い込んでいる次第。

トレード話

Sandersのところで口走ってしまったが、トレードの噂が。対象はS Jessie Bates(CIN)。
フランチャイズタグを貼られた選手のうち、テンダーオファーにサインしなかったことによって2022はプレーしないことが濃厚になった男。
(テンダーオファーにサインすれば支配下に戻るためトレーニングキャンプをホールドアウトすると莫大な罰金を科されることになるが、サインしていないので支配下でもなく、Week1までにサインしなければ2022シーズンはプレー不可。そしてBates本人はそのつもりっぽい。もう1人サインしなかったのはOT Orlando Brown(KC)だがOTには興味が湧かない。)

Rosemanが"PHIで実績を残していない選手に大金を払うのはあんまり好きじゃない"的な発言をしていたし、そのうえでこのオフはAJとReddickに大金を払ってるしそもそもSに価値を見出していなそうなのでトレードでの対価+新契約(CINと揉めたのは保証額が少なかったことによるものだそうで、まあまあの保証がセット)が必要なこのパターンに飛び付く可能性は低いと思っているが、まあ開幕までになにが起こるかはわからないので注視しておきましょう。

プレーオフでの鮮烈な活躍によりだいぶ価値を高めたBatesだが、実はCINのファンからの評価は二分しており、”バカ野郎なにやってんだフロントよ”派と、”オールプロに選ばれた2020ならまだしも2021のBatesに大金はつらいよね”派に分かれているようで、そんなものを見せられるとこちらとしても腰が引けちゃう。
Gannon的には欲しくてたまらないのだろうが、こっちとしてもEppsが見たい。
結論は出ないが、あんまり要らないんじゃないかな、と思っているのが現在地。

仮にトレードで獲得するんだ、となるのであれば、
SandersとJJAW(TE)をセットで売りつけられれば御の字。
OT Dillardは貴重な控えなので売れません。
どうせ戦力にもならないのであれば買い叩けよう。頑張れRoseman。来年の1巡なんか絶対出すなよ。

フライング

学生時代を過ごしたOregonでの世界陸上に出場していたのがOregon大出身のWR Devon Allen。
110mハードルにて今季世界ランク1位の成績を残していただけあって順調に決勝に進出。そしてフライングにて無念の失格。
人間のリアクションスピードを考慮して設けられている"号砲から0.1秒以内にピクついた奴はフライング"という規定に1000分の1秒差で引っ掛かってのフォルススタート判定。
スローの映像を観てもどこがどうフライングなのか全くわからないがまあそういうことだそう。

なにせフットボール経験が少ないので53ロスターに残る可能性があるとしたらリターンスペシャリストとしてなのだろうが、学生時代にはキックオフリターンでのTD実績はあったがパントリターンについては実績自体がほぼなかったはず。

Reagorが使い物にならなかったこの枠にはストリートFAとして拾ってきたAllenに加えて、UDFAにて経験と実績が豊富なBritain Covey(Utah)を獲得している。
Allenの負傷歴があまりにも多彩というか悲惨だということを考えてもCoveyでいいのではないかと思っているところ、Allenに"世界陸上メダリスト"という箔がつくことがなくて実はホッとしている次第。
Allenさんにおかれては、トレーニングキャンプは全力で頑張っていただくとして、2023にもあると聞く世界陸上でのリベンジに向けてケガなく過ごしていってくださいませ。

粛清

というほど大したものではないが、90名(+InternationalなんとかプロジェクトのMatt Leo)の上限に達していたロスターからCB Craig Jamesをカット。
彼の思い出と言えば2020Week4でRodgersを沈めた試合終了間際のPD。よく見りゃDPIな気もしなくもない。

以降はSTとしての出番が主だったと認識しており、CBだけで12名とだいぶ膨らんだ現状においてはカットもやむなし。
新天地での活躍をお祈りする。

さて、というわけで問題は空いた1枠。
レーニングキャンプを1週間後に控え、昨日ぐらいから各チームUSFL上がりの選手との契約をポツポツ始めているのでそういう使い方をされるものだと理解している。
まさかBatesのために空けたわけではあるまいな。
欲しいのはSipossだけじゃ物足りなさすぎるPの競争相手。
どうやらSipossはホルダーとしての能力が高いようで、そちらも評価されている様子なので査定は難しそうだが頑張って探してほしい。

しかしElliottの成績までもダメパンターに握られてるのがどうも納得いかないところ。

未来のドラ1候補誕生

OLUでありTEUでもあるBIG10の名門Iowa大だが、またしてもドラ1候補が誕生したというのが今日のメインのお話し。
名前はOLのGennings Dunker君。

何がかというと、数日前の話にはなるが、Iowaで恒例の”肉祭り”が開催された。
目玉は60ポンド(27kg)の俵投げ競争。過去の優勝者はTristan Wirfs(TB)とTyler Linderbaum(BAL)でいずれもドラ1。
そしてこの競技に於いて、今年はDenker君が12'6"(3.81m)という記録を残して優勝。
これはフリーク・Wirfsの12'(3.7m)という記録を超えている点で注目に値する気がする。

Dunker君はレッドシャツフレッシュマンなのでドラフトは最速で2024。
6'4"(193cm)というサイズを考えるとプロではIOLになるのだろうが、その非凡なパワーがどうなるか、今から非常に楽しみである。

ちなみに、この日のヒーローはDunker君ではなく、IowaのCBであるRiley Moss
Riley Mossと言えば2021のIndiana戦でPick6を2発挙げたことで名を上げたが、そのCBがOL達と共に俵投げ競争に出場。
そして見事に11'(3.35m)という記録を残したそう。

ちなみにこの白人CBはさすがにAllenのレベルにはいないものの110mハードルでもなかなかの結果を残しているアスリート。
5年目の今季はどれほどの結果を残し、2023ドラフトでどうなるのか、興味は尽きない。