Ricksも残れたし基本は予想通りだったが最大のサプライズはPunterを53人の中に入れなかったこと。
SBにおけるGannonの次の戦犯だと認識していたためSipossのカット自体は妥当だと言うほかないが、それにしたってPunter不在はだいぶ面白い。
さすがに4th Downは全部ギャンブルだ、という前衛的フットボールを展開するにはまだ時代が追い付いていない気がするところ。
さてRosemanはどうするんでしょうか。
またしてもアナリティクス的発想ではないかと睨み、ちょっと妄想を膨らませております。
パンターの評価方法
最近喧しいRBの価値低下もアナリティクス的観点の普及によるもので、その思想に傾倒していると言われているRosemanなら同じ観点をパンターにも当然持ち込んでいるはず。
と思って調べはじめたのだが、出会ったのがPuntalyticsというサイト。
アナリティクスの文脈でよく使われるEPA(Expected Points Added:1つのプレーの前後で得点期待値がどれだけ上下したか、という指標)で捉えると、4th Downが主戦場となるパンターにこのまま適用してもすごく出来が悪い数字での評価となるなどなかなか難しいことも多く、評価方法も定まっていないのだとか。
1つの方法として、どこまで主流になっているのかわからないが、
"試合の残り時間とかのスクリプトを除外したパント前のEP(Expected Points)値とパント後のフィールドポジションにおける1st DownのEP値の差による指標の算出"
という手法があるそう。
例えば、自陣20ヤードラインでの4th Downは、平均して-2.0のEP値(マイナスの値は、相手が次に得点する可能性が高いことを意味する)で、そこから50ydsのパントを蹴って、敵陣30yd地点で1st Downを迎える場合、先方の自陣30yd地点からの1st Downは、先方にとっては平均1.3のEP値(自軍にとっては-1.3のEP値)になるので、その差分である+0.7のEP差だけそのパントには価値があった、とする方法である。
ただ、この方法にも弱点はあって、例えばFGを蹴りたくない点差と時間帯で敵陣45yd地点から4th&20を迎えてしまった場合のような、距離が出なくても敵陣深くにコントロールできたような"いいパント"がすなわちEP差に直接貢献しないシチュエーションのことを考えるとまだ欠陥があるものだということ。
そのため、このEP差(通称pEPAと呼ぶそうです。どこまで浸透してるかは知りません。) だけではなく、短い距離しか残っていないエリア(Pin-Deep Territory)でのパントは別で評価する必要があるとのこと。
なんだお手上げな結論は。
一番大事なこと
一元的に評価するのが難しいということが分かったパンターについてだが、原因は変数があまりに多いということ。
残り時間もそうだしフィールドポジションもそうだし、相手側にもリターンチームがいる。
そういった様々な変数のなかで、一番大事だとされているのは"蹴る・蹴らないの判断"のところ。
アナリティクスの文脈のなかで一番言われるのが、パントを蹴るという判断への批判。
これはもう全然パンターに責があるわけでもなく、基本的にはHC責。
これをPHIに当てはめた場合、Sirianniはこっちの筋の判断もわりと良かったはずで、評価も良かった。
なのであれば。
最も批判されるPin-Deep Territoryでのパントも少ないはずなので基本は自陣深くから飛ばせるほうがいいんだろうと思ったのは個人的な感想。
Pin-Deep Territoryの反対はOpen-Field Territory(自陣深く等とかのコントロールよりも飛ばすほうが優先される場面)と呼ぶのだそう。
なので新パンター選びではOpen-Fieldでの指標の良さを優先したいところ。
わかったこと
調べた結論はなんとも言えないものだが、わかったことは、このあたりの指標だとSipossは意外と有能だったということ。
特にPin-Deep Territoryでの指標はなかなか。
そして、かつてこの評価手法だと長らくリーグトップクラスに良かったのが引退したBrett Kern。
やっぱりRosemanはアナリティクス野郎。
想定されるターゲット
- 現在市場にいて一番アナリティクス的に優秀なのがBlake Gillikin(元NO)。
Sipossと似たようなスタッツを残しているが、SipossよりOpen-Fieldでのパントが優秀で、一方でPin-Deep Territoryでの成績は劣る。
微妙にGrossの距離がSipossより飛んでいるのでまあストレスは少ないかもしれない。
というか現時点では理想的。
2022シーズンのpEPAはリーグ8位(0.07)と結構優秀。
NOでは30歳のオールドルーキーに競り負けて職を失ったのだとか。
なお、Sipossは同指標が0.00で21位。 - Sipossの1つ上、20位で0.01のpEPAを残したのが元CINのDrue Chrisman。
彼もGillikin同様Open-Fieldでの指標が良い。
何よりもよく飛ばせる。
ただ、まあまあPin-Deep Territoryの成績が良くないのでRoseman的にどうかはわからない。 - Braden Mann
Punterを2枚確保したPITにまだ所属している片割れ。
1年前にWaiverにかかったこの男をRosemanはクレームしていたという話であり、相当気になっている様子。
指標的にはSipossと酷似しているのでちょっと嫌だ。
2022シーズンのpEPAはリーグ24位(-0.01) - Pat O'Donnell
先ごろルーキーとのロスター争いに敗れてGBをカットされた御仁。
2022シーズンのpEPAはリーグ22位(-0.01)。
こちらもSipossと酷似しているPin-Deep Territoryでの成績はいいが飛ばせないタイプ。
Sipossより飛ばせないのはちょっといただけない。 - Michael Turk
Oklahoma大出身でUDFAとしてMIAと契約するも、トレーニングキャンプ開始直後の8月2日にカットされている。
カレッジ最終年である2022シーズンに急激に成績を落としたそうなのでその不調がまだ尾を引いている可能性はある。
ちなみに、彼もOpen-Fieldでの評価のほうが高い。 - Adam Korsak
Rutgers出身。
現在はCFLに所属。
プロでの比較対象がSipossだったというのはなんともキナくさいが、Siposs路線で探すなら彼。 - Matt Araiza
Punt God。現在は無職。
刑事訴訟は無罪。
言わずと知れた飛ばし屋。
こいつが大本命です。
以上、いろいろと調べてみましたが、結論はずっと不変です。
Araiza獲れ。
GO BIRDS!!